My Note 出会った人たち
2005.7.22

7月20日・21日と福井方面で仕事上の打ち合わせがあった合間を利用して、不登校関連のNPO等3団体の方々とお会いした。

一つはNPO法人教育支援機構(HP)。
塾の先生をしておられた方が、塾に通ってくる子どもたちの中から不登校になる子が出てきたことに心を痛め、メンタルフレンド的なことからさらに進んで「やり直し支援」で中学生の学力確保をサポートしておられる。
教室へ戻ろうという気になっても、ずっと休んでいたから授業についていけず、これがまた教室に行けなくなるきっかけになっている。
また、中学校は義務教育だから、たとえ1日も学校へ行かなくても卒業できるのだが、学力を確保していれば高校からのやり直しも可能である。
やがて「自分の行動範囲内の子どもしか支援できない」と考えて、ネット(メール)を使った活動をはじめ、しかしメールの無機質さゆえかface to faceでないことによるモチベーション低下のせいか、どうもはかばかしくなく、今は学校の先生か誰かが地域でサポートしてくれないか・・・・というところに行き当たっておられるようだ。
そうなのである。自分のがんばりで活動してきた時、考えれば考えるほど、活動が広がるほど、誰かと連携しなければ先へ進めなくなってくるのである。
そこで自分の「できることを」と割り切って線を引くか、連携によってさらに広がりエネルギーを要する活動を続けていくか、決断しなければならない。
私の場合は何も考えずにどんどん広げてきたわけだが・・・・^^;

こういう活動をしている方をサポートできないだろうか。
「できる人が」いるのなら、そこまではできないけれど、手伝いはできる人がサポートできないものだろうか。
地域の「塾生」のところへ行って話を聞いたりしながら、メールが送られてくれば、たとえ教えられなくてもいいから一緒に考え、やる気を引き出す。
そうすることで、NPO活動も続いていくし、何より子どものためになる(もう私などは、こういった人をサポートできない社会は駄目だとさえ思ってしまうのである)。

そういったことの呼びかけができないだろうか。
そのきっかけとして、圧倒的な情報配信力を持つPTAが力を発揮できるのではないだろうか。何と言っても、県内のほぼすべての小中学生保護者に情報配信ができるのだ。
そういうところで力を発揮してこそPTAではないかと思う。廃品回収などの年中行事を黙々とこなすだけがPTAではないのだ。


さて、20日にもうお一方お会いしたのは、NPO法人「あのの」である。(HP
事務局の野口さんに18日に電話して、急な話ながら20日にお会いする旨のご快諾をいただいた。
代表であり中心人物でいらっしゃるのは米沢豊穂先生(HP)であり、25年にわたりカウンセラーとして人間関係・親子関係の問題に取り組み、非行・不登校の改善実績も非常に豊富な方だ。
そのような方に、不登校問題に首を突っ込んでまだ1年に満たない私が、思いを語ったりしたのであるから、厚顔無恥もいいところであるが、先生はニコニコと聞いてくださり、お褒めの言葉と激励をいただいたりした。
さらに2日後にお礼のメールを差し上げたらすぐに返信くださり、25年前の自分を見るようだったと持ち上げてくださった。

1年ほど前、虐待・不登校の後に高校に進学せず家も出て、市内のどこかにいるらしい少女の話を聞いて、ホリデースクールなどで「元気な子ども」「子どもの光っている面」だけを見てきた自分に気がつき、少なからずショックを受けた。
それから、PTA東海北陸研究大会での「不登校児は不良品」という副知事発言、PTA掲示板での様々なことなどを経て、今年度は県PTA役員として取り組んでいるのだが、これまでそういったことに気がつかなかったというか関心を払わなかった自分が恥ずかしくもあり、負い目にも感じている。
そういう気持ちが自分を動かしているのかもしれない。四半世紀をかけて取り組んで来られた方にお褒めいただくような高尚な思いなどではないのだ。

しかし、こういったことに取り組み、仲間を集めて組織を作り、何年・何十年と活動をしているという人たちと会うと、こちらのモチベーションはぐっと上がる。PTAが社会の中でなすべきこと、存在意義も少し見えてきたようにも思う。


21日には、フリースクール「WILLBE」(HP)を主宰する竹内さんにお会いした。大変な経歴をお持ちである。(こちら
今年4月に、福井県教育委員会技能教育施設に指定され、高校卒業資格の取得が可能となった。これは大変素晴らしいことだと思う。
フリースクールというと、一昔前の積極的に学校を否定していたフリースクール群を連想してしまいがちだが、竹内さんとお話していて、そういった心配はないと確信した。
学校へ行けないけれど、人生を積み上げていきたい意欲がある子ども達にとって、このWILLBEや斧さんの「教育支援機構」などは大きな力となると思う。そういう子どもがいる限り、社会的な役割は大いにあると思う。

息子が高校に入学してPTAに関わるようになり、そこで痛感したのは、「つまづいた子ども」に対する姿勢が、中学校と義務教育ではない高校では全然違うということであった。
中学校は、たとえ1日も行かなくても卒業できる。高校は「不登校」は「退学」に直結している。
中学校は、その取組みに差があるとしても、不登校に陥った子ども達が復帰するためにあれこれ手を尽くす。不十分なことがあるとしても、方向性としてはそうだ。
しかし高校は、来たくない人は来なくていいよというスタンスである。我々保護者も義務教育ではないことを承知の上で、自分・親子の意思で子どもを入学させているのだから、それに対して反論することには気後れする。
しかし、高校をドロップアウトする子は確かに存在している。その子のいた高校から見れば退学すればもはや無関係であろうが、保護者にとっては大切な子どもであり、社会全体からもドロップアウトさせるわけにはいかない。それは社会の責務だと思う。
中学校であろうが、高校であろうが、一度つまづいたらそれで人生終わり、あとは負け組、などということがあっていいはずがない。そんな社会は願い下げであり、もしそんな面があるのなら変えなければいけないと思う。

・・・・とまあ、すでに小中学校PTAである県PTAの範疇を逸脱しかかってしまっているので、うーん、少しまずいぞと思う一方で、連携街頭補導でも取り組み始めているように、中高PTA連携の必要性を強く感じ始めている。
そこまで手が回らないのだが、息子が通う若狭高校の会長が県高校PTA連合会の副会長をしている今年のうちに、何とかきっかけだけでも作りたいと思っている。


2005.7.22 ブログに掲載