平成19年度試験について 最終更新:2007.12.26 Top Page

=CONTENTS=
1.試験の内容・合格基準
2.試験結果〜合格率など
3.一次試験の傾向

1.試験の内容・合格基準

一次試験は、2007年10月8日(月・祝日)に行われました。
一次試験の合格基準は以下のとおりです。
わかりやすいように、共通科目をのぞいて考えましょう。
合格条件は、以下の4条件をすべて満たしていることです。
 (1) 基礎科目 15問×1問1点=15点 40%正解=6問6点以上
 (2) 専門科目 25問×1問2点=50点 40%正解=10問20点以上
 (3) 適性科目 15問×1問1点=15点 50%正解=8問8点以上
 (4) 基礎と専門の合計(15点+50点=65点)で50%正解=33点以上

上記のすべてを満たしていることが合格基準です。逆にいうと、
 ●基礎正解6問(6点)未満
 ●専門正解10問(20点)未満
 ●基礎と専門の合計得点が33点未満
 ●適性正解8問(8点)未満

のどれかに該当するとアウトです。なお、共通科目は平均点以上であることが合格基準です。
合否判断は、前記合格基準を満たしているかどうかで決まります。
基礎と専門のところがわかりにくいかと思いますので、図表にしてみました。なお、図はNagaseさんに作成していただきました。ありがとうございます。
基礎科目正解数 専門科目正解数 判定 不合格根拠
5以下 (何問でも関係なし) × 基礎正解40%未満
6 13以下 × 基礎+専門で50%未満
6 14以上
7 12以下 × 基礎+専門で50%未満
7 13以上
8 12以下 × 基礎+専門で50%未満
8 13以上
9 11以下 × 基礎+専門で50%未満
9 12以上
10 11以下 × 基礎+専門で50%未満
10 12以上
11 10以下 × 基礎+専門で50%未満
11 11以上
12 10以下 × 基礎+専門で50%未満
12 11以上
13 10以上
(何問でも関係なし) 9以下 × 専門正解40%未満
なお、「基礎科目で0点の分野があると不合格」というウワサが流れたことがありますが、それはガセネタです。現実に確実に0点分野がある(完全に捨てて解答せず)人も合格してますし、技術士会に直製電話で問い合わせ、「技術士会としてはそのような基準は設けていない」との答えをいただいてもいます。これは某受験参考書にその旨の記載があったのがウワサの元のようですが、無責任極まりない話だと思います。
戻る

2.19年度試験結果〜合格率など

●受験者数・合格人数・合格率
 19年度試験の受験者数は27,628人で、一次試験合格が二次試験受験の必須条件となった平成15年度以降、ほぼ一定した割合で緩やかに減少しています。これは、15年度の新制度完全移行に伴い激増した受験生の多くが一次試験を突破し終えたこと、JABEE認定校の増加に伴う一次試験免除者が増加したことが主な原因と思われます。
 また合格者数は14,849人、合格率は対受験者53.7%でした。合格率は、一次必須化に伴う大量受験のあった15・16年度が50%強、17年度以降は25〜30%程度で推移していましたが、19年度は15・16年度並みに戻りました。これら合格率変化の原因は、平成15・16年度の高合格率については一次必須化に伴う受験者激増に伴う一時的なレベルアップと問題の教科書出典化、平成17年度以降の合格率ダウンについては出題内容見直し(基礎科目の応用問題重視、建設部門における専門科目の分野配分見直し)などが、そして19年度の高い合格率は、問題の難度が低下したことによると思われます。なぜ問題難度が低下したかは不明です。

 なお、建設部門の合格率は、対受験者50.9%で、18年度の19.5%の2.6倍に激増しています。

部門 申込者数
(人)
受験者数
(人)
合格者数
(人)
対申込者合格率% 対受験者合格率%
16年度 17年度 18年度 19年度 16年度 17年度 18年度 19年度
機械 2,231 1,779 1,128 58 38.4 44.1 50.6 75.7 47.9 57.6 63.4
船舶・海洋 27 21 18 48.4 57.1 57.1 66.7 68.2 72.7 63.2 85.7
航空・宇宙 53 44 29 29.3 33.3 46.0 54.7 44.7 48.9 53.7 65.9
電気電子 2,658 2,118 1,399 39.3 14.1 18.9 52.6 50.3 17.2 24.8 66.1
化学 332 263 156 42.3 39.3 38.7 47.0 56.1 47.5 51.2 59.3
繊維 43 34 16 44.6 27.7 39.6 37.2 53.2 34.2 48.8 47.1
金属 203 174 106 62.2 33.9 33.0 52.2 72.6 39.4 39.5 60.9
資源工学 12 6 3 55.6 60 50.0 25.0 76.9 78.3 66.7 50.0
建設 20,511 16,580 8,440 38.4 16.5 15.4 41.1 48.3 20.1 19.5 50.9
上下水道 1,913 1,533 799 51.2 26 49.3 41.8 63.4 31.6 60.8 52.1
衛生工学 745 592 323 50.4 36.6 39.4 43.4 65.2 44.1 49.0 54.6
農業 816 693 392 67 48.2 48.8 48.0 83.9 55.8 58.4 56.6
森林 275 235 89 45 37.9 25.7 32.4 56.7 46.8 31.8 37.9
水産 104 87 46 43.9 32.7 56.3 44.2 53.7 39.1 67.5 52.9
経営工学 159 126 88 43.9 55.3 53.0 55.3 55.9 68.6 68.2 69.8
情報工学 955 762 351 38.3 54.2 41.9 36.8 49.3 69.1 55.9 46.1
応用理学 442 369 279 25.7 27.4 48.4 63.1 31 32.8 59.3 75.6
生物工学 281 229 108 43 36.8 33.7 38.4 59.4 43.5 47.4 47.2
環境 2,115 1,743 875 38.4 30.5 24.2 41.4 47.5 36.9 29.7 50.2
原子力・放射線 275 240 204 71.2 63.1 63.2 74.2 84.4 74.3 78.9 85.0
合計 34,150 27,628 14,849 41.5 22.6 23.9 43.5 52.3 27.5 30.2 53.7


●合格者数の内訳
 受験内容による合格者数の内訳を見てみます。

(共通科目受験者・在学中受験者)

 共通科目を受験して合格した人は436人、最も多かった16年度(455人)に次ぐ多さとなりました。
 一方、技術士会が公表している在学中受験者数をみると、16年度をピークに、以降は年々減少傾向にあります。
 大学生・専門学校生などの受験者は、JABEE認定校の増加で減少していくのではないかと予測していましたが、そのとおりになっています。そしてこのことは、一次試験全体の減少にもつながっていると思われます。

 共通科目の選択科目は、数学・物理が圧倒的多数で、次いで生物、地学と化学はマイナー科目になっています。これは例年変わりませんが、19年度は数学・物理への集中がさらに進んだようです。
 なお、共通科目の合格ラインは平均点以上であることですが、受験生の皆さんからの情報では、50%以上得点できればおおむね安全圏のようです。

(適性科目のみ受験者)
 適性科目のみの受験者(既技術士)の合格者数は、15年度7,631人→16年度1,803人→17年度727人→18年度410人→19年度225人と、年とともにどんどん減っており、15年度の実に3%ほどになりました。これは、既技術士の多くが15年度に一次試験を突破したことを示しています。しかし新制度行こうから5年たってなお200人以上の旧制度技術士が一次試験を受けていなかったとは、今の時代に驚きです。
 なお、基礎科目・適性科目免除者、すなわち既技術士で登録部門とは別部門で一次試験を受験した人が11人います。これは、力だめしあるいは単なる勘違い(別部門の二次試験に挑戦するためには、挑戦部門での一次合格が必要と思っていた)と思われます。

部門 受験内容による合格者の内訳 共通科目選択状況
合計 一般 共通受験 適性のみ 基礎適性 数学 物理 化学 生物 地学
機械 1,128 1,018 109 1 0 104 108 2 1 3
船舶・海洋 18 18 0 0 0 0 0 0 0 0
航空・宇宙 29 28 1 0 0 1 1 0 0 0
電気電子 1,399 1,359 36 4 0 35 36 0 0 1
化学 156 150 5 0 1 2 1 5 2 0
繊維 16 16 0 0 0 0 0 0 0 0
金属 106 103 3 0 0 2 1 3 0 0
資源工学 3 3 0 0 0 0 0 0 0 0
建設 8,440 8,134 132 171 3 96 97 3 32 36
上下水道 799 767 20 11 1 10 10 4 7 9
衛生工学 323 318 0 5 0 0 0 0 0 0
農業 392 362 19 11 0 6 3 9 15 5
森林 89 84 3 1 1 0 2 1 1 2
水産 46 44 0 2 0 0 0 0 0 0
経営工学 88 82 6 0 0 3 2 0 4 3
情報工学 351 327 21 3 0 15 15 1 6 5
応用理学 279 257 11 11 0 3 4 2 4 9
生物工学 108 85 23 0 0 5 1 19 20 1
環境 875 822 43 5 5 11 10 16 29 20
原子力・放射線 204 200 4 0 0 4 4 0 0 0
合計 14,849 14,177 436 225 11 297 295 65 65 94
戻る

3.一次試験の傾向

●試験内容と受験者数・合格者数の変化
 右のグラフは、一次試験が始まって以来の受験者数・合格者数および合格率の推移をまとめたものです。試験制度の改定や試験問題の内容変更に伴い、受験者数や合格者数・合格率が大きく変化してきています。
  • 旧制度期
    旧制度のころ、一次試験は「技術士補試験」でした。
    技術士補になる意味は受験資格が4年で得られるというものでしたが、技術士自体がそれほど若年で取得するものでもなかったので、一部の意欲ある若手技術者に受験が限られていました。

  • 移行期
    平成11年、省庁統廃合による文部科学省発足とともに、技術資格の国際相互承認・国際化をにらみ、技術士法が平成12年に改定されました。
    この新制度への以降告知に伴い、二次試験受験に必須となる一次試験の受験者数が増え始めます。

  • 暫定期間
    平成13・14年は技術士法改定を受けた新制度下での暫定期間、すなわち一次試験を経ずに二次試験を受けることができる最後の2年間でした。この時期、さらに受験者が増加します。
    しかし問題が非常に難しく、対受験者合格率10%台(建設部門では10%未満となったこともあった)という難関でした。
    「早期に技術士10万人体制を目指す」とした文科省目標に反する結果であり、また「理工系大学卒業程度の学力を確認する試験なのに、大学で教えていない内容から出題されている。出題者は大学の授業内容を知っているのか」という意見が審議会で出されました。

  • 新制度期
    • 平成15〜16年
      新制度への完全移行により一次試験合格が二次試験受験の必須条件となり、受験者が激増しました。そして、
       ・二次試験受験レベルの受験者がかなりいて、受験者レベルも上がったものと思われる
       ・出題内容が大学テキストを出典とした基礎的問題になった
       ・適性試験のみ受験すればよく合格率は実質100%の「既技術士受験組」も数多くいた
      ため、合格者数・合格率とも50%を超えます。
      ここでまた問題点が指摘されます。それは、
       ・丸暗記すれば解けるような基礎問題ばかり出題している
       ・大学で教えている内容とウェイトが異なる
      という内容であり、
       ・基礎科目は応用力を問う問題を出すべし
       ・専門科目は大学での授業内容にあわせた内容とすべし
      という意見でした。
    • 平成17〜18年
      平成17年度から、基礎科目・専門科目が意見を取り入れたものになりました。
      このことと、
       ・適性科目のみ受験の既技術士組の減少
       ・15年度以降になだれ込んだ「二次試験候補生」から基礎力のある受験生が合格した
       ・JABEE認定校増加により科学技術系大学卒業生の受験が減っていると思われる
      などにより、合格者数・合格率とも激減します。
    • 平成19年
      合格率は再び激増、合格者数は1.5倍にもなりました。
      出題内容を見ると、確かに応用的な問題ではあるのですが、その難度は落としてあることが読み取れます。つまり出題傾向は変えずにレベルを落としてきたと判断でき、これが合格率アップにつながったと思われます。
すでにJABEE認定大学卒業生(つまり一次試験免除者)が毎年1万人以上誕生していると推定され、文科省が描いていた
  認定プログラムによる高等教育4年間の実務経験二次試験受験若い技術士が多く誕生
  →CPD・国際資格

という流れは、一次試験段階では完成しつつあるといえるでしょう。またこの流れは、
   高等教育(JABEE)
修習教育(IPD)
継続教育(CPD)
大学生 修習技術者 技術士
というようにも表現できます。大学生だろうが社会人技術者であろうが常に教育する、そしてそれは文科省が一手に管理する(このあたりが文科省のという役所の特徴でもあります)ということです。
このように考えると、一次試験を受けて修習技術者になるという道は「本流」ではなく(それゆえ私は大検に例えています)、「技術士補」という資格もまた「本流」ではないことがわかります。
ところが一次試験が簡単に合格できるとなると、JABEE認定を受ける「うまみ」(大学にとっては学生を集めるアピール度)が減ることになりますから、文科省にとっては面白くないことのはずです。
その一方で、「技術士数を増やす」という文科省の方向性も確かにあるでしょう。
これらのことから、19年度の合格率・合格者数激増は、合格者を増やしたいという文科省の以降の現れかもしれないし、そうかもしれないけれど、どちらかというと後者であり、ちょっとハードルを下げるつもりが下がりすぎたかなみたいな状態ではないかなと私は思います。
そして、おそらく今後も問題の難度の上下に伴って合格率も上下しつつ、しかし受験者数が徐々に減少しながら進んでいくものと思われます。

●科目別の傾向
 次に、科目別に見てみます。
  • 共通科目
    共通科目受験合格者推移を見ると、JABEE認定による一次試験免除による共通科目受験者数の減少と合格率の上下が相殺的に現れて、今年度は増加に転じたものと思われます。

  • 基礎科目
    基礎科目は、17年度から応用問題が増えたため、表面的な暗記勉強では対処できない問題が増えたと思われます。
    前述のとおり技術士会技術士試験等検討特別委員会の「技術士試験に関する改善提案」で基礎科目での「丸暗記」からの脱却が提案されたものが反映された結果であり、17年度から応用的問題が増えたのは偶然ではないのです。
    このことから、「今後も同様に暗記勉強だけではクリアできない問題が主体になる」と予測していたのですが、今年度は応用的問題でありながら、基礎レベルの出題であった(つまり出題傾向は変えず、難度を落とした)と判断されます。
    今後も同様の難度の問題が出るかというと、これはわかりません。今後も難度・合格率が上下することも考えられます。

  • 専門科目(建設部門)
    建設部門については、16年度以前は選択科目ごとに均等に問題数が配分されていましたが、17年度から土質、構造、河川水文等に顕著なウェイトが置かれるようになりました。
    このため、土質基礎・構造・河川砂防などに縁遠い分野の実務技術者にとっては難しくなっていると思われます。
    これも、 技術士会技術士試験等検討特別委員会の「技術士試験に関する改善提案」で専門科目でのより基礎的なレベルでの出題が提案されていたのに沿ったものであると解釈されますので、今後もこの傾向は続くと思われます。

  • 適性科目
    適性科目は15年度以降、技術者倫理に関する知識問題が増えています。今後も、「技術者倫理を知識として知っているか」という問題が出されていくものと思われ、JABEE認定校で使われている技術者倫理のテキストが出題出典となっていくと予想されます。
    17年度に見られた哲学関連知識にも出題範囲が広げられそうな兆候は、18年度以降は影を潜めました。これは出題者の思想の違いによるものではないかと思われます。
    いずれにせよ適性科目は、合格ラインに達することは易しい点では変わりありません。
戻る