技術士第一次試験専門問題対策資料 =道路=
最終更新:2007.02.12
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これまでの一次試験専門科目での出題実績ももとに、道路について、押さえておきたい事項についてまとめた資料です。

CONTENTS
道路構造令
交通量
舗装
道路線形
軟弱地盤対策
環境対策
新手法・トピックなど

道路構造令

  1. 道路の区分
    第1種 ・地方部
    ・高速・自動車専用道
    ・1級〜4級まで
    ・山地部は平地部より1ランクダウン
    ・高速以外は高速よりランクダウンすることが多い
    ・1種と2種は自動車専用道路

    ・3種と4種は一般道路
     計画交通量を考慮して細分

    ・奇数種は地方、偶数種は都市部


    ・1種4級、2種2級、3種5級、4種4級まで
    第2種 ・都市部
    ・高速・自動車専用道
    ・高速は1級
    ・高速以外は都心が2級、都心以外が1級
    第3種 ・地方部
    ・高速・自動車専用道以外の道路
    ・大部分の道路はこれに該当
    ・道路種別・計画交通量・地形によって決める
    ・国道は平地部1級〜3級、山地部1ランクダウン
    ・県道は平地部2級〜3級、山地部1ランクダウン
    ・市町村道は平地部2級〜5級、山地部は1ランクダウン〜同じ
    第4種 ・都市部
    ・高速・自動車専用道以外の道路
    ・「街路」とも呼ばれる
    ・道路種別・計画交通量によって決める
    ・国道は1級と2級
    ・県道は1級〜3級
    ・市町村道は1級〜4級

  2. 道路幅員
    1級 2級 3級 4級 5級 ・普通道路における幅員である。
    ・*は車線不要で車道幅員4m。特例3m。
    ・交通状況・地形により、特例0.25mの増減が可能なものもある。
    第1種 3.5 3.5 3.5 3.25
    第2種 3.5 3.25
    第3種 3.5 3.25 3.0 2.75
    第4種 3.25 3.0 3.0

  3. 車線の分離と中央帯
    1種・2種・3種1級は往復方向に車線分離して中央帯を設ける。
    中央帯幅は、1種3〜4.5m、2種1.75〜2.25m、3種1.75m、4種1m。ただし積雪地域では、除雪を勘案。
    中央帯=分離帯+側帯。側帯幅は、1種0.5〜0.75m、2種0.5m、3種・4種0.25m。

  4. 植樹帯
    4種1級および4種2級道路には原則として植樹帯を設ける。
    理由:都市部の幹線道路で、自転車・歩行者も多いので景観上の配慮が必要である。

  5. 路肩
    車道左側路肩幅m 車道右側路肩幅m 小型道路 路肩側帯幅m
    第1種 1.75〜2.5 0.75〜1.25 左1.0〜1.25、右0.5〜0.75 0.5〜0.75
    第2種 1.25 0.75 左1.0、右0.5 0.5
    第3種 0.5〜1.25 0.5 左0.5〜0.75
    第4種 0.5 0.5

  6. 自転車道・歩道
    種別 幅員m
    非専用道 自転車道 2以上、特例1.5まで縮小可 積雪寒冷地の冬期は自転車がほとんど通らない
    →自転車歩行者道の冬期有効幅は、自転車分の幅員不要
    自転車歩行車道 3以上、歩行者多いと4以上(4種1,2級)
    歩道 2以上、歩行者多いと3.5以上
    専用道 自転車専用道 3以上、特例2.5まで縮小可 両側に側方余裕0.5確保
    自転車歩行車専用道 4以上
    歩行者専用道 2以上

  7. 建築限界
    種別 建築限界H m 建築限界内には、橋台・照明施設・
    信号機・街路樹・電柱・防護柵など
    の施設は設置してはいけない
    車道 4.5
    設計車両の高さ3.8m+余裕高
    オーバーレイやクリアランス減少が考えられる
    場合には4.7m確保
    が望ましい
    3種5級・4種4級普通道路特例4.0m
    自転車道・
    自転車歩行車道・
    歩道
    2.5

  8. 設計速度
    1級 2級 3級 4級 5級 最高設計速度は120km/h
    ・特例10〜20km/h程度低く設定できる。 ただし1種4級は高速道路の場合は60km/h。
    第1種 120 100 80 60
    第2種 80 60
    第3種 80 60 40〜60 30〜50 20〜40
    第4種 60 40〜60 30〜50 20〜40

  9. 曲線半径
    設計速度km/h 120 100 80 60 50 40 30 20 ・曲線部の車線等は適切に拡幅する。
     1種・2種・3種1級・4種1級はセミトレーラ、それ以外はバス・トラックを対象に。
    ・特例設計速度40km/h以上の場合は曲線半径を小さくできる。(710→570、460→380など)
    曲線半径m 710 460 280 150 100 60 30 15

  10. 曲線部の片勾配
    区 分 道路の存する地域 最大片勾配%
    第1種・第2種・第3種 積雪寒冷
    地域
    積雪寒冷が甚だしい 6
    その他 8
    その他 10
    第4種 6 特例として片勾配をもうけないことができる

  11. 緩和区間
    設計速度km/h 120 100 80 60 50 40 30 20 ・車道の屈曲部には緩和区間を設ける。
    ・曲線部で片勾配・拡幅した場合は、緩和区間ですりつける。
    緩和区間長m 100 85 70 50 40 35 25 20

  12. 視距
    設計速度km/h 120 100 80 60 50 40 30 20
    視距 m 210 160 110 75 55 40 30 20

  13. 縦断勾配
    区分 設計速度km/h 120 100 80 60 50 40 30 20
    1種、2種、3種 縦断勾配% 2 3 4 5 6 7 8 9 特例=一般+3%
     〃 (特例) 5 6 7 8 9 10 11 12
    4種 縦断勾配% 5 6 7 8 9 特例=一般+2%
     〃 (特例) 7 8 9 10 11

  14. 合成勾配
    設計速度km/h 120 100 80 60 50 40 30 20 ・車設計速度20〜30km/hは特例12.5%
    ・積雪寒冷特例8%
    合成勾配% 10 10.5 11.5

  15. 積雪寒冷地
    積雪地・・・・最近5年以上の最大積雪深の平均値が50cm以上の地域、またはこれに準ずる地域。

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交通量

 交通量に関しては、交通容量、計画交通量といったものが出ています。また、交通量の昼夜率なども知っておいたほうがいいでしょう。

  1. 交通容量
    ある断面を1時間に通過し得る乗用車台数
    (1) 基本交通容量・・・・道路条件・交通条件が基本的な条件を満たしている道路での交通容量
      日本の多車線道路では、一般に220pcu/時/車線を用いる。
    (2) 可能交通容量・・・・道路条件・交通条件が対象道路の現実の条件
    (3) 設計交通容量・・・・可能交容量に各計画における交通量・交通容量比を乗じたもの
     基本交通容量→可能交通容量→設計交通容量と補正していく

  2. 計画交通量
    計画設計を行う路線の、将来通行するであろう自動車の年平均日交通量
    なお、設計時間交通量=計画交通量×K値/100×D値/100である。
    用語 意味 地方部での値 都市部での値 特徴
    K値 年平均交通量に対する30番目時間交通量の割合 10%台 7〜9%程度 時間・方向のばらつきの目安。
    都市部より地方部のほうが高い
    値を示す。
    D値 往復合計の交通量に対する重方向の割合 55〜60% 55%程度

  3. 昼夜率
    1日24時間交通量÷昼間12時間交通量

  4. 混雑度
    道路の混雑度とは、交通量÷交通容量である。

  5. 調査方法
    断面交通量調査が一般的だが、OD調査、パーソントリップ調査、物資流動調査といったものもある。
    OD調査・・・・自動車起終点調査。
            交通量・起終点・運行目的・積載品目・貨物量・乗車人数などの交通の内容を多面的にとらえることを目的とした調査。
    パーソントリップ調査・・・・都市圏において交通需要を発生させる人の動きに注目して実施する調査。

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舗装

 アスファルト舗装要綱をまとめた資料を伏龍さんが作成・ご提供くださいました(こちら)。ありがとうございます。

  1. アスファルト舗装の特性
    分類 舗装種別 使用材料 交通荷重の支持機構 注意事項等
    アスファルト舗装 たわみ性舗装 道路表面に瀝青材料を使用 荷重を均一に下層に伝達して支持
    コンクリート舗装 剛性舗装 道路表面にセメントコンクリート版を使用 主に舗装版の曲げ荷重で抵抗 地盤沈下等が予想される箇所では避ける

    役割:路盤の不陸を整正し、表層に加わる荷重を路盤に均一に伝達する。

  2. アスファルト舗装の構造
    名称 役割 材料・施工・その他
    舗装 表層 ・交通荷重を下層に分散伝達
    ・平坦ですべりにくく快適な走向ができる路面を確保
    ・雨水浸透防止
    加熱アスファルト混合物
    基層 ・路盤の不陸を整正
    ・荷重を路盤に均一に伝達
    加熱アスファルト混合物
    基層を2層以上設ける時、最下層を基層、それ以上は中間層

    交通量の少ない道路では基層を設けない場合あり
    路盤 上層路盤 ・上層から伝達された荷重をさらに分散して路床に伝達 砕石等強度の大きい良質な材料
    粒度調整・瀝青安定処理・セメント石灰安定処理工法により施工
    下層路盤 クラッシャラン・鉄鋼スラグ・砂など経済的に入手できる材料
    粒状路盤・セメント石灰安定処理工法により施工
    路床(約1m) ・舗装と一体となって交通荷重を支持
    ・路体に対して荷重を一定に分散
    ・舗装の施工基盤
    舗装作業に必要十分なトラフィカビリティ必要
    この部分の支持力が設計CBR
    路体

  3. アスファルト舗装の設計
    設計交通量と路床土の設計CBRなどにより設計する。
    (設計交通量の求め方)
     一般に1日1方向当たり大型車交通量(台/日・方向) ※舗装設計に使う交通量は大型車交通量
     特に大型車通行が多い場合は、走向車両の輪荷重による方法(設計期間における累積5トン換算輪荷重(輪/方向)
    支持力不足など構造上の問題があると、亀甲状のひびわれが路面にできる→オーバーレイ補修では対応不可。

  4. 排水性舗装
    表層・基層に排水性舗装用アスファルト混合物を使用し、路盤以下へ水が浸透しない構造にした舗装。
    路面より雨水がすみやかに排水されるため、雨天時の事故防止に効果がある。
    また、舗装内の空隙が吸音効果を持つため、道路交通騒音防止効果もある。

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道路線形

道路線形に関しては、過去の出題傾向から、次のようなことに関する問題が予想されます。

道路線形は、平面線形と縦断線形による立体的な組合せにより、視覚誘導・線形全体バランスを保つので、立体的に考えねばならない

よって・・・・
 ●凹型縦断曲線の底部に背向曲線の変曲点を入れると、排水困難・線形がねじれて見えるといった問題が出るので避ける。
 ●長い直線区間に凹型縦断曲線を入れると、道路が折れたような錯覚を起こすので避ける。
 ●凸型または凹型縦断曲線の頂部・底部に急な平面線形を入れるのは避ける。

といった、縦断曲線と平面線形の関係を確認する問題が考えられます。また、
 ●同方向に屈曲する曲線の間に短い直線を入れると、直線が逆屈曲曲線に見えるので避ける。
 ●半径の小さい曲線部では、複合曲線の使用はできるだけ避ける。

といった平面線形における注意点に関する問題例もあります。

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軟弱地盤対策

基本的には土質及び基礎分野の問題ですが、道路の計画設計施工にからんで検討されることが多いため、一応代表的な工法をあげておきます。
その他、道路構造物(支持層・裏込め・土圧など)、斜面・法面安定(斜面崩壊など)、仮設構造物(土圧・ヒービング・ボイリングなど)も考えられます。
これらは、基本的には土質及び基礎に関する事項として勉強していただくことにして、ここでは割愛します。

工法例 工法の効果
載荷盛土 荷重増により沈下促進
すべり破壊に注意
ドレーン 排水促進で圧密沈下促進
載荷盛土と組み合わせることが多い
サンドコンパクション 圧入した砂杭により沈下・すべり破壊抑止
排水効果もある
深層混合処理 改良杭を地中に作り、沈下・すべり破壊抑止
パイルスラブ 杭を多数打設して、沈下・すべり破壊抑止
軽量盛土 発砲スチロール等で盛土を築造し荷重軽減
沈下・すべり破壊とも抑制

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環境対策

道路に関する環境対策としては、大気汚染・騒音・振動といったものがありますが、基本的には道路計画そのもので環境対策に寄与できる事項に関する問題が過去に出ています。

環状道路・バイパス整備 通過交通を市街地から排除することが、環境改善に寄与
DPS ディーゼル微粒子除去装置の装着により大気汚染軽減に寄与
遮音壁・環境施設帯 道路交通騒音軽減に寄与
排水性舗装 騒音軽減効果あり。ヒートアイランド軽減効果もあるらしい

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新手法・トピックなど

比較的新しい手法、トピックなどについても出題が考えられます。
いくつか気のついたものをあげておきます。

ITS 高度道路交通システム。
情報通信技術を用いて高度な道路利用、運転・歩行負荷軽減により、安全性・輸送効率・快適性を向上させる。
ETC、AHS(走向支援道路システム)、歩行者ITS(注意喚起・周辺情報提供・経路案内など)、ASV(先進安全自動車)
ETC ノンストップ自動料金支払いシステム。
料金所渋滞解消・緩和策。ITSの1つ。
VICS 道路交通情報通信システム。
渋滞情報・交通規制情報等をリアルタイムでカーナビに提供するシステム。
デマンド交通システム GPSなどの情報通信技術を活用し、利用料金を抑えつつ利用者個人個人の移動ニーズに対応した効率的な運行を図る。
スマートプレート 電子ナンバープレート。
ナンバー情報や自動車登録情報を記録したチップをナンバープレート上に取り付けたもの。車両識別への活用など期待が高まっている。
TDM 交通需要マネジメント。
道路混雑緩和のため、道路利用者の時間・経路・手段の変更、自動車の効率的利用、発生源調整等により交通需要量を調整する手法。
交通セル方式 都心周辺に環状道路を整備、都心部をいくつかの地区に分割。セル協会には歩行者専用道路や駐車場を整備して自動車の進入を防ぐ。
セルからセルへの移動は、一旦都心の外へ出なければならない。これにより、通過交通を排除する。
オムニバスタウン バスを活用して渋滞の少ない快適な交通・生活の実現を目指す。ノンストップ・コミュニティバスなど。
デマンド交通システム GPSなどの情報通信技術を活用し、利用料金を抑えつつ利用者個人個人の移動ニーズに対応した効率的な運行を図る。
交通バリアフリー法 H12施行。音響信号機、幅の広い歩道、段差・隙間解消、車いすスペース、視覚・聴覚情報提供、身障者用トイレ、視覚障害者誘導ブロック、エレベーター・エスカレーターなど。

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