技術士第一次試験 平成16年度 基礎科目 (1)設計・計画に関するもの 1----------------------------------------------------------- 設計案A,B,C,D,Eがある。これらを製品化して市場に出した場合、消費者側の条件a,b,cにより、表1に示すような売上額(単位:億円)が予想される。また、消費者側の条件が生起する確率は、a=50%,b=20%,c=30%と予測される。期待される売上.額が最も大きくなる設計案は次のうちどれか。 表1 a b c A 5 5 6 B 4 6 8 C 6 4 5 D 3 7 7 E 5 4 7 (1) A   (2) B   (3) C   (4) D   (5) E 2----------------------------------------------------------- 次に示す設計技術者として負わなければならない責任のうち、最も不適当なものを選べ。 (1) 成果(設計した製品及び関連資料など)に対する責任 (2) 間違っていると思われる他人の指示や特定の規範に対し批判する責任 (3) 消費者に悪影響を与える情報でも、所属する組織に不利になる情報は守秘する責任 (4) 人間や環境に対し、安全を維持する責任 (5) 上司などの指示に無批判でプロジェクトに参加するのではなく、自らの考えも入れて判断を下し、自律的にかかわる責任 3----------------------------------------------------------- 下図に示される左端から右端に情報を伝達するシステムの設計を考える。図中の数値は、構成する各要素の信頼度を示す。また、要素が並列につながっている部分は、少なくともどちらか一方が正常であれば、その部分は正常に作動する。 システムBのシステム全体の信頼度を、システムAのシステム全体の信頼度と同じにするためには、システムBの各要素の信頼度Xをいくらにすれば良いか。次のうち最も近いものを選べ。なお、システムBを構成する各要素の信頼度は同じであるとする。   システムA zzz   システムB zzz (1) 0.87   (2) 0.90   (3) 0.93   (4) 0.96   (5) 0.99 4----------------------------------------------------------- 次の記述のうち、最も不適当と思われるものを答えよ。 (1) 規格や規準類に記載されている内容は、必ずしも完全なものではない。技術の進展や社会の二ーズ等に応じて改訂が定期的に行われる場合も少なくない。 (2) 規格や規準類を制定し皆が遵守することで、個々人や企業の生産活動が効率化、合理化される。一方で、新たな革新的な技術の展開を阻害する要因にもなり得るので、留意が必要である。 (3) 指針や示方書類は、設計や計画で達成しようとする目標を、設計者・計画者のみならず、第三者にも理解できるように記述されることが近年、求められている。 (4) 規格、規準類は制定される内容によって、国や地域レベルでの設計や製造の国際競争力を左右することがある。 (5) 規格や規準類は、製品・建造物などの設計や計画段階で選定する材料や工種、加工方法、構造強度の算定などに言及するものであり、製造・施工時の品質管理システムは対象外である。 ======================================== (2)情報・論理に関するもの 1----------------------------------------------------------- レジスタに正の整数値aを入れ、左に5ビットシフトしてから、aを引く。この結果、レジスタの数値はaの何倍の値となるか、次の中から選べ。 ただし、レジスタ内で数値は2進数として扱われ、上記の操作中であふれは生じないものとする。 (1) 4    (2) 5    (3) 15    (4) 31    (5) 33 2----------------------------------------------------------- 社員の給与システムなど慎重なセキュリティ管理が求められるシステムにおいて、パスワードを忘れたユーザに対してシステム管理者がとるべき最も適切な方策を次の中から選べ。なお、このシステムでは、パスワードファイルは暗号化されているものとする。 (1) このユーザの登録を取り消し、新規のユーザとして登録する。このユーザが以前に作成したファイルは消去する。 (2) そのような場合に備えて、パスワードー覧表を印刷して金庫に保管しておき、問合せがあったら、本人に直接一覧表を閲覧させる。 (3) 新たにパスワードを設定し、それを記した媒体を厳封して本人に直接手渡す。 (4) 一時的にシステムをパスワードなしでログイン可能な状態にして、本人にパスワード登録コマンドを実行させる。 (5) そのような場合に備えて、パスワードファイルを暗号化されたものと暗号化されていないものの2種類作成しておき、暗号化されていないファイルを調べて、本人に電子メールで知らせる。 3----------------------------------------------------------- ある日の天気が前日の天気によってのみ、図に示される確率で決まるものとする。即ち、ある日の天気が雨であれば次の日も雨である確率は1/2、次の日が晴の確率は1/4、次の日が曇りの確率は1/4である。このとき、次の記述の中から、誤ったものを選べ。 zzz (1) ある日の天気が雨であれば、2日後の天気も雨である確率は3/8である。 (2) ある日の天気が晴れであれば、2日後の天気が曇りである確率は5/16である。 (3) ある日の天気が曇りであれば、2日後の天気も曇りである確率は1/4である。 (4) ある日の天気が曇りであれば、2日後の天気が晴れである確率は5/16である。 (5) ある日の天気が晴れであった時、遠い将来の日の天気が晴である確率は1/3である。 4----------------------------------------------------------- あるプログラミング言語で使われる名前(変数名や関数名)は、次の構文図で規定されているものとする。この時、名前でないものを選べ。ただし、英字はa,b,・・・,z、A,B,・・・,Zのどれか、数字は0,1,・・・,9のどれかである。 zzz (1) A   (2) name   (3) B740   (4) C6H6   (5) 11PM 5----------------------------------------------------------- ファイルから整数データ(最後のデータは0又は負数とする)を読み込んで計算を行なう、以下のプログラムについて、間違った記述を次の中から選べ。 ・xの値を0とする ・aに整数データを読み込む ・aが正であれば以下のことを繰り返す   { ・ x<aならばxにaの値を代入する     ・ aに整数データを読み込む   } ・xの値を出力して終了する (1) 読み込まれた正整数の中から最大値を選んでその値を出力する。 (2) 0又は負の整数が読み込まれると、計算結果を出力してプログラムは終了する。 (3) 最大値を選ぶ対象の整数は何個あってもよい。 (4) 最初に読み込まれる整数が負の場合、出力は行なわれない。 (5) 0又は負数の後に正整数があっても、読み込まれない。 ======================================== (3)解析に関するもの 1----------------------------------------------------------- 下図に示すように、重力場中で質量gの質点がバネにつり下げられている系を考える。ここで、バネの上端は固定されており、バネ定数はλ(>0)、重力の加速度はg、質点の変位はaとする。次の記述の中から誤ったものを選べ。 zzz (1) 全ポテンシャルエネルギー(=内部ポテンシャルエネルギー+外力のポテンシャルエネルギー)Πpは、Πp≒1/2ku^2−mguと表すことができる。??? (2) 質点に作用する力の釣り合い方程式は、ku = mgと表すことができる。 (3) 質点に作用する力の釣り合い方程式は、全ポテンシャルエネルギーΠpの停留条件、dΠp/du=0から求めることができる。 (4) 質点の釣り合い位置において、全ポテンシャルエネルギーΠpは最大となる。 (5) 全ポテンシャルエネルギーΠpの極値問題として静力学問題を取り扱うことが、有限要素法の固体力学解析の基礎となっている。 2----------------------------------------------------------- 断面積0.2m2,長さ1mの弾性体の柱の両端が固定壁に固定されている。この弾性体のヤング率を2.0×10^5MPa、線膨張率を1.0×10^-5K^-1とする。柱の温度が100K上昇したとき、柱にはどれだけの応力が生じるか、次の中から選べ。ただし、温度上昇前の初期状態において柱の応力はゼロとする。 (1) 2.0×10^2MPaの引張り応力。 (2) 2.0×10^2MPaの圧縮応力。 (3) 2.0×10^1MPaの引張り応力。 (4) 2.0×10^1MPaの圧縮応力。 (5) 応力は発生しない。 3----------------------------------------------------------- 気体中の微小な球状粒子が自由落下するときの沈降速度は、粒子にかかる重力と粒子周囲の気流による抵抗力の釣り合いによって決まると考えられ、ストークス近似によれば抵抗力は3μDuと与えられる。ここで、気体の粘性係数μ、粒子直径D、粒子速度uである。なお、粒子材質の密度は気体密度よりも十分に大きく浮力の影響は無視できるものとする。このとき、同じ材質の粒子では直径が1/10になると沈降速度は[  ]倍となる。 [  ]に当てはまる数値を次の中から選べ。 (1) 100   (2) 10   (3) 1   (4) 1/10   (5) 1/100 4----------------------------------------------------------- 固有値解析に関する次の記述のうち、最も正しいものを選べ。 (1) 弾性変形する構造体の固有振動数は、構造体の材質のみによって定まる。 (2) 質点ばね系の共振周波数は、その運動方程式の固有値解析により求められる。 (3) 平板の弾性変形については、常に固有振動モードが一つだけ存在する。 (4) 管路の気柱振動の固有値は両端の境界条件に依存しない。 (5) 固有値解析では一般に全ての固有値が求められなければ、固有振動モードは推定できない。 5----------------------------------------------------------- 有限要素法において三角形要素の剛性マトリクスを求める際、しばしば面積座標が使用される。下図に示すように任意の点Pの面積座標は(A1/A,A2/A, A3/A)で表される。ただし、λは3点(1,2,3)を頂点とする三角形の面積である。同様にA1、A2、A3はそれぞれ(P,2,3)、(P,3,1),(P,1,2)を頂点とする三角形の面積である。Pを重心とするとPの面積座標は次のいずれか。 zzz (1) (1/2,1/2,1/2) (2) (1/3,1/3,1/3) (3) (1/3,1/3,2/3) (4) (1/2,1/2,0) (5) (1/3,1/3,0) 6----------------------------------------------------------- 領域0≦x≦lで微分方程式d^2u/dx^2=0(x=0でu=u0、x=lでu=ul)が与えられている。これを有限要素法で解きたい。 有限要素法では領域を下図のように有限の要素数Nヶに分割する。ここでは簡単のため等間隔で長さを1とする。 要素e内の有限要素解ueを要素eの両端x=xi、x=xi+1の値ui、ui+1で内挿して、ue(x) = Lieui+Lei+1ui+1で表現する。 Lei及びLei+1は次のいずれで表されるか。 zzz (1) Lei=xi+1−x、Lei+1=x−xi (2) Lei=x−xi、Lei+1=xi+1−x (3) Lei=x−xi+1、Lei+1=xi−x (4) Lei=x−(xi+xi+1)/2、Lei+1=(xi+xi+1)/2 (5) Lei=xi−x、Lei+1=x−xi+1 ======================================== (4)材料・化学・バイオに関するもの 1----------------------------------------------------------- 下記のA群の材料とB群の元素において、最も関係の深い(含まれるもの、必要なもの、有害なもの等)組合せを次の中から選べ。  A群 a.自動車用鋼板 b.電線用銅 c.耐光性プラスチック d.タイヤ用ゴム e.発光ダイオード  B群 イ.イオウ ロ、ヒ素 ハ.亜鉛 二.ガリウム ホ.チタン a b c d e (1) イ ロ ハ ニ ホ (2) ニ ホ ロ イ ハ (3) イ ホ ニ ハ ロ (4) ハ ロ ホ イ ニ (5) ホ ニ ハ ロ イ 2----------------------------------------------------------- 次の記述のうち最も適切なものはどれか。 (1) 日本では大和朝廷以前から水銀鉱山が発掘され、水銀が利用されていたと考えられ、その後、奈良の大仏を建造する時にも水銀が使われた。 (2) 人類で最初に合成プラスチックを作った研究者はアメリカのベークランドであったが、彼はドイツの有機合成化学の成果を応用して、次々と新しいプラスチックを生み出し、その一つのポリエチレンは第二次世界大戦で多く使用された。 (3) 地球が誕生した時からウラン235と238は同じ比率でウラン鉱石の中に閉じ込められていたので、自然界にあるウランが自然に核分裂したことはない。 (4) 古代エジプトは古王国時代から周辺の地域に比較して格段に技術が発達していたが、特に優れた鉄器を作り出し、鉄製の武器を使用してヒッタイトなどの周辺諸国を征服した。 (5) 「スズペスト」とは中世ヨーロッパで蔓延した疫病の名前で、スズが原因して疫病が蔓延し、数千万人の犠牲者をだしたことがある。 3----------------------------------------------------------- 次の物質のうち一種類の元素のみでできているといえるものはどれか。 (1) フラーレン   (2) 酸化チタン    (3) メタノール    (4) 石灰岩   (5) 石英ガラス 4----------------------------------------------------------- 水素原子、水素分子、又は水素イオン(水溶液中ではヒドロニウムイオン)いずれかについて説明した次の文章のうち、下線部分が最も不適切なものはどれか。 (1) [水素分子]は、常温常圧で無色無臭の気体である。 (2) [生息イオン]は、常温常圧の水中で平衡によって生じる。 (3) [水素原子]は、水分子の構成要素であり、酸素原子1個に対して2個結合している。 (4) [水素原子]には、質量数1、2,及び3のものが存在し、いずれも陽子1個を含む。 (5) 水溶液中の[水素分子]の濃度の指標として、pHが用いられる。 5----------------------------------------------------------- メンデルはエンドウを栽培することで現代の遺伝研究のもととなる種々の法則を発見した。一例として、優性形質である丸形の種子の遺伝子型RRをもつ親と、劣性形質であるしわ形の種子の遺伝子型rrをもつ親を交配すると、雑種第一代の種子の遺伝子型はRrとなり優性形質の丸形を示すことを見いだした。この遺伝様式は優性の法則とよばれる。メンデルはさらに、Rrの遺伝子型をもつ雑種第一代、RrとRrの親同士を交配させてRR, Rr, rrの3つの遺伝子型をもつ雑種第二代を作ってその種子の形の観察から分離の法則を発見した。このような分離の法則から得られる種子の形の分離比について次の項目の中から最も適切なものを選べ。 (1) 丸形:中間形:しわ形=1:2:1 (2) 丸形:中間形:しわ型=1:1:1 (3) 丸形:しわ形=3:1 (4) 丸形:しわ形=1:3 (5) 丸形:しわ型=1:1 6----------------------------------------------------------- エネルギー代謝を記述している次の文章につき、( )内に入る最もふさわしい語句の組合せを(1) 〜(5) の中から選べ。  細胞内の呼吸は有機物の分解、すなわち異化の過程で行われる。異化には酸素を必要とする場合としない場合かおり、したがって異化代謝は酸素を利用する好気的代謝と酸素を利用しない嫌気的代謝に大別される。好気的代謝においては有機物は酸素を消費しながら水と(1)に分解され、その過程で生体のエネルギー源アデノシン5’−三リン酸(ATP)が合成される。嫌気的代謝の代表例は(2)と大部分の(3)である。  微生物の働きによって糖分が分解され(4)や乳酸などに変化する現象を(3)という。(3)はいくつもの酵素によって進められる生体内反応である。(2)についてはグリコーゲンの成分である(5)がピルビン酸に分解する過程まで(3)と共通で酸素を必要としない。 (1) (2) (3) (4) (5) (1) 二酸化炭素 解糖 発酵 アルコール グルコース (2) 二酸化炭素 発酵 解糖 アルコール グルコース (3) アルコール 発酵 解糖 二酸化炭素 グルコース (4) グルコース 解糖 発酵 二酸化炭素 アルコール (5) グルコース 発酵 解糖 二酸化炭素 アルコール 7----------------------------------------------------------- ヒトの体温や血圧などは常に一定に保たれている。このように体内の環境を一定に保とうとする恒常性の維持はホメオスタシスとよばれ、自律神経系と内分泌系(ホルモン)がこの調節に重要な役目を果たしている。次のうち最も不適切なものを選べ。 (1) 動物の内部環境を形作るものは血液、リンパ液などの体液である。 (2) 腎臓は老廃物の排出や体液の水分調節の器官として重要な役割を果たしている。 (3) 心臓は血液を循環させているほか、グリコーゲンの合成と分解、解毒作用、尿素の合成など万能化学工場とよばれるほど、非常に多くの働きをしている。 (4) 自律神経系と内分泌系を統合する中枢は大脳とは独立して無意識のうちに働いている。 (5) 内分泌系は体液循環を伝達経路としホルモンを化学伝達物質とする細胞間の情報伝達系である。 ======================================== (5)技術関連 1----------------------------------------------------------- 石油(A)、石炭(B)、天然ガス(C)、乾燥木材(D)それぞれ1トンが完全燃焼した時の発熱エネルギーを大きい順に並べるとどのようになるか。次の中で最も適切なものを選べ。 (1) C>A>D>B (2) A>B>D>C (3) C>A>B>D (4) B>C>D>A (5) A>B>C>D 2----------------------------------------------------------- エネルギー資源に関して、A、B、C、D、Eの5人がそれぞれ以下のような主張をしている。 A:エネルギー資源量として、石炭の確認埋蔵量は石油の確認埋蔵量より大きい。 B:第一次石油危機当時と比べて石油の確認埋蔵量は増大している。 C:海水中にはウランが1億トン以上溶けている。 D:100km2の受光面積をもつ太陽電池の年間発電量は我が国の年間電力需要量より大きい。 E:地球上の全権物の光合成による太陽エネルギーの年間正味固定量は人類の年間エネルギー所要量より小さい。 次の中から、誤った主張をしている二人の組合せを選べ。 (1) AとD   (2) BとE   (3) BとC   (4) AとC   (5) DとE 3----------------------------------------------------------- 世界の環境問題に関する次の記述のうち、最も適切なものを選べ。 (1) 紙の原料である針葉樹を中心とした森林破壊の進行は著しく、そのため寒冷地に位置する先進国の主要な二酸化炭素排出源となっている。 (2) 生活排水に起因する水質汚濁は、とりわけ先進国の都市において深刻な環境問題である。 (3) 持続可能な発展とは、先進国と発展途上国のニーズを共に満たすような発展のことである。 (4) 人為起源の二酸化炭素は、排出される国や場所に関わらず、地球温暖化に対しては同程度の効果をもたらす。 (5) 化石燃料の燃焼に伴って酸素が消費されるため、地球大気中の酸素濃度の低下が著しくなってきている。 4----------------------------------------------------------- 環境は、許容範囲であれば、人間活動の影響を受け入れることができる。ある環境の場を考えた場合、重大な影響を生じることなく汚濁物質などの人間の負荷を受け入れることのできる量を環境容量と呼ぶ。水環境の環境容量について、次の記述の中から最も適切なものを選べ。 (1) 汚濁物質を分解する自浄能力を増大させることは環境容量の増加につながる。 (2) 汚濁物質を分解する排水処理は水環境の環境容量を増大させる。 (3) ある水環境の場が与えられると、全汚濁物質に共通の環境容量を求めることができる。 (4) 環境容量はそこで適用される排水処理の技術水準によって決まる。 (5) 異なる主体の間での水環境の環境容量の取引を排出権取引と呼ぶ。 5----------------------------------------------------------- 次の記述の中から最も適切なものを選べ。 (1) ミュラーが殺虫剤としての優れた特徴を見いだし、後のノーベル賞を受賞する業績になったDDT(1,1,1−トリクロロ−2,2−ビス(4−クロロフエニル)エタン)は、その後、環境を破壊する化合物として使用が厳しく制限されるようになった。DDTは人間に対して強い毒性を持ち、これまでに多くの死者を出している。 (2) 放射線で照射して殺菌する食物として日本ではジャガイモが実用化されているが、放射線を照射すると食品が放射能を持つようになるので、日本以外では食品を放射線殺菌することは認められていない。 (3) 極地では海水に巨大な氷山が浮いている状態が見られるが、氷山の下に陸地などが無く、単に氷山が浮いている場合には地球温暖化によってその氷山が溶けても海水面の高さには影響がない。 (4) 食品添加物は安全が第一なので、地上に生息しているあらゆる生物に任意の量を投与しても毒性を示さない元素や化合物だけが、認可の対象になる。 (5) 人間の生活に有用に使える状態にある鉱石や原油などは埋蔵資源、化石資源などと呼ばれる。元素は質量保存則が成立するので、人間が使用しても元素の質量は不変であるから、人間の生活に有用に使用できる資源は尽きることはない。 6----------------------------------------------------------- ISO 9001:2000 (JIS Q 9001:2000 品質マネージメントシステムー要求事項)では、(ア→イ→ウ→エ→オ)のサイクルによって計画と実施をモデル化し、必要な改善を計画にフィードバックし、継続的な改善が達成できる仕組みとなっている。上記( )内のサイクルを記述する言葉の組合せとして、最も適切なものを選べ。 ア イ ウ エ オ (1) Plan Act Check Do Plan (2) Plan Act Do Check Plan (3) Plan Check Act Do Plan (4) Plan Do Act Check Plan (5) Plan Do Check Act Plan 7----------------------------------------------------------- 信頼性・安全性解析手法に関する次の記述のうち、最も適切なものを選べ。 (1) 特性要因図(characteristic diagram)は、化学プロセスのようにフローシートで表されるものについて、操業条件の変化を定められた手引語に従って調べ、それぞれの変化の原因と結果、とるべき対策を表にまとめて検討する手法である。 (2) FTA(fault tree analysis)は、ある引金事象がどのような結果を引き起こし得るかを樹木の枝分かれ式に追求し、分析する帰納的解析手法である。 (3) ETA(event tree analysis)は、解析対象となるシステムに起こってはならない事故などを頂上事象として設定し、その事象を出現させる原因を機器・部品レベルまで次々に掘り下げ、洗い出していく演禅的解析手法である。 (4) FMEA(failure mode and effects analysis)は、評価対象の機器、システムを構成する部位に着目し、あらかじめ想定した故障モードを選択することにより、潜在危険を洗い出す、網羅性を有し、構造化された手法である。 (5) HAZOP(hazard and operability study)は、問題とする特性(問題点、事故など)とそれに影響していると思われる要因(原因)との関連を整理して、魚の骨のような図に体系的にまとめたものである。 8----------------------------------------------------------- 次の文章の(ア)(イ)(ウ)に入る用語の組合せのうち、最も適切なものを(1) 〜(5) の中から選べ。 人類の歴史を振り返ると、(ア)目的で開発された技術が、新たな技術革新を推進させることが、しばしばある。たとえば(イ)は、(ア)目的の自律分散型ネットワークの開発が発端だったし、カーナビなどに使われている(ウ)も(ア)用の衛星がその端緒である。最新技術は使い方次第でどのような目的にも使えるものであり、その使途が重要なのである。 ア イ ウ (1) 独裁 インターネット VICS* (2) 独裁 携帯電話 GPS** (3) 軍事 携帯電話 ETC*** (4) 軍事 インターネット GPS** (5) 軍事 インターネット VICS* ただし、 * VICS = Vehicle Information and Communication System ** GPS = Global Positioning System *** ETC = Electronic Toll Collection System ////////////////////////////////////////////////////////////////////// 技術士第一次試験 平成15年度 基礎科目 (1)設計・計画に関するもの 1----------------------------------------------------------- 設計に関連した次の記述の中から最も適切なものを選べ。 (1) 芸術家は自分の心象を自由に表現するのに対して、工学の設計者は独自の考えを設計に反映させることは許されない。 (2) 同じ設計仕様を与えられた2人の設計者が異なる設計案を提示したとする。この場合、2人の設計案が共に設計仕様を満たすことはありえない。 (3) 設計は科学的な判断に基づいて論理的に合理的に進めることが重要であって、設計案に冗長な機能や情緒的な価値を反映させてはならない。 (4) 企業の特色や姿勢を伝えるために、製品の意匠デザインに工夫を凝らしてもよいが、製品の構成や構造の設計に影響を与えてはならない。 (5) 数学の問題解答においては解を導いたときに作業は終わるが、一般には設計の作業は数学の場合のように終了が明確に定まるものではない。 2----------------------------------------------------------- 設計や計画において考慮する寿命やライフサイクルについて、最も不適切なものを選べ。 (1) 設計や計画で設定する設計寿命あるいは設計耐用期間等は、法律によって定められている資産の原価償却の期間と必ずしも一致するわけではない。 (2) 製品や構造物の耐用期間は強度や機能の低下だけではなく、美観や景観の劣化によっても左右される。 (3) 設計や計画当初に想定した寿命に至っても、維持管理や補修補強を行うことによって使用を継続することができる場合は少なくない。 (4) 最高速度や最大容量・強度などに代表される製品や建造物の最大性能は、設計や計画で最も重視される項目であり、耐用期間や寿命は専ら製造・施工過程で考慮される項目である。 (5) メンテナンスの計画をあらかじめ策定しておけば、製品や構造物における構成部品や部材個々の寿命は必ずしも同一である必要はない。 3----------------------------------------------------------- 製造や建設の過程において検査をX回行うと、不具合の発生する確率は1/X2と推定される。一方、総検査費用は20X万円と推定される。ここで、不具合が発生した場合の損失が1,000万円とすると、検査回数を何回に設定するのが最適かを下記より選べ。 (1) 2回  (2) 3回  (3) 4回  (4) 5回  (5) 6回 4----------------------------------------------------------- 設計や計画を行う際に設定する設計荷重や設計条件の不確実さに関する次の記述の中で、最も適切なものを選べ。 (1) 地震の強さをいずれの地域でも精度良く推定することは容易ではなく、設計に当たっては、かなりの安全の余裕を見なければならない。そのため、地震に耐える構造物や機器を経済的に設計することは不可能である。 (2) 極めて稀にしか発生しない事象や荷重に対して万全の設計や計画を施すと、とても経済的に実現できない場合もある。このような場合には、設計対象物の一部が万一損壊しても、最悪の結果を招かないように製品や建造物を設計することが重要である。 (3) 使い方を誤ると、極めて確率が小さくても人命が失われる恐れがあるのであれば、設計者は設計、計画を放棄するしかない。 (4) 一般に、製品や構造物は複数の部品や部材から構成されている。不慮の負荷に晒された場合にも、これらの部品や部材の一つでも損傷を受けないように設計しなければならない。 (5) 新規性の高い製品や構造物の設計荷重や設計条件、負荷を設定するときは、過去の事例や実績を最大限に重視するのがよい。 5----------------------------------------------------------- A、B、C国からD国内の各都市への物流ネットワークと物資輸送コストは次に示すとおりである。D国内の各都市は、最も輸送コストが低くなるように、輸入国を選定するものとする。ここで、A、B、Cのいずれか一箇所からの物資輸送がすべて停止する事態を想定しよう。各都市はいずれの国からの供給が停止しても、かならず代替国を選定するものとする。このときD国全体の総輸送コストの上昇について、正しいものはどれか。 zzz A国 B国 C国 都市1 5 25 33 都市2 25 10 15 都市3 30 20 12 (1) 上昇の最も低いのはA国からの供給停止のときで、最も高いのはC国からの供給停止のとき。 (2) 上昇の最も低いのはB国からの供給停止のときで、最も高いのはA国からの供給停止のとき。 (3) 上昇の最も低いのはB国からの供給停止のときで、最も高いのはC国からの供給停止のとき。 (4) 上昇の最も低いのはC国からの供給停止のときで、最も商いのはA国からの供給停止のとき。 (5) 上昇の最ら低いのはC国からの供給停止のときで、最も商いのはB国からの供給停止のとき。 ======================================== (2)情報・論理に関するもの 1----------------------------------------------------------- 浮動小数点演算においては、数値の表現が有限桁で行われる。この結果、浮動小数演算においては、丸め、桁落ち、情報落ちの3種類の誤差が生じる。丸めは、記憶装置に入りきらない桁を切り捨てたり,(io進数の場合の)四捨五入に当たる操作を行うことによって生じる。桁落ちは,100000.1から100000.0を引くと0.1となるように、大きさの近い数値を引き算することによって有効数字が大きく失われることをいう。 10進7桁の表現しか許されない場合を考えると、100000.0に0.01を加えても、100000.0と同じ値にしかならず、実効的には加算が行われない。これを情報落ちという。 ここで、“+”を丸めを伴う浮動小数点加算を表すものとすると、      1.0 + eps > 1.0 となる最小の正の浮動小数点数を計算機イプシロンと呼び、収束判定の許容誤差限界などに使用する。次のアルゴリズムで計算機イプシロンを求めることができる。[ ア ]に入る正しいものを選べ。 ステップ1 epsに1.0を代入する。 ステップ2 もし、1.0+epsが1.0に等しいければepsを[ ア ]倍したものを求める計算機イプシロンとしてアルゴリズムを終了する。 ステップ3 eps/2.0をepsに代人して、ステップ2へ。 (1) 0.1  (2) 0.2  (3) 1.0  (4) 2.0  (5) 10.0 2----------------------------------------------------------- 127個の数値が配列a[1], a[21、…、a[127]に入っており昇順に整列されているとする。このとき、与えられた数値xと同じ値がa[1], a[2],..., a[127]にあるか否かを調べ、ある場合はそのアドレス(1, 2,…, 127のどれか)を求めたい。種々の数値x、a[1], a[21,…、a[127]の組合せに対して、次のアルゴリズムを用いるとき、ステップ2が実行される回数の最大値を選べ。 アルゴリズム  ステップ1 Lの値を1、Uの値を127とする。  ステップ2 L>Uならば、「存在しない」というメッセージを出力して終了する。  ステップ3 Mの値を(L+U)/2とする(この除算では、端数は切り捨てる)。  ステップ4 a[M]<xならステップ5へ。a[M]>xならステップ6へ。さもなければステップ7ヘ  ステップ5 M+1の値をLの新しい値とし、ステップ2へ。  ステップ6 M−1の値をUの新しい値とし、ステップ2へ。  ステップ7 Mの値を出力し終了する。 (1)  7  (2)  8  (3)  9  (4) 64  (5) 127 3----------------------------------------------------------- 次の記述の中から誤ったものを選べ。 (1) 個人のパスワードをシステム内で、管理者にも解読できないように暗号化して記録することは、一見安全なようであるが、パスワードを忘れたユーザに正しいパスワードを教えることができないという不都合があるので、現実には用いられていない。 (2) 個人を認証する方法には、当該個人だけが知っている知識を用いるもの(パスワードなど)、当該個人だけが携帯しているもの(カードや印鑑など)、当該個人のバイオメトリックスによるもの(指紋、声紋、瞳孔など)、等があり、これらが併用されることもある。 (3) 電子化された情報の不正なコピーを防ぐために用いられる「電子透かし」は、一種のノイズを加える方式であるので、オリジナル情報をできるだけ損なわない技術を伴う必要がある。 (4) 信頼性が要求される通信システムでは、送信された情報に対して、「受信された」というメッセージを受信側から送信側に返す必要がある。 (5) 公開鍵暗号は、暗号化の鍵と復号化の鍵の一方から他方が容易には求められないという非対称暗号体系でのみ実現可能である。 4----------------------------------------------------------- 次の記述の中から誤ったものを選べ。 (1) ディジタルコンピュータにおいて、データや命令はすべて有限桁の数値として表される。数値かデータであるか命令であるかを判定する方法はない。その数値がデータとして用いられているか、命令として用いられているかは、プログラムの実行状況による。 (2) ワープロソフトで作成された文書ファイルの大きさ(バイト数など)は、用いられている文字フォントの大きさに依存しない。文字フォントを小さいものに指定しても、文書ファイルは必ずしも小さくなるわけではない。 (3) ディジタルコンピュータにおいて、数値計算が誤差を伴うのは、浮動小数点方式を用いる場合である。数値計算を固定小数点方式で行えば誤差は生じない。にもかかわらず、浮動小数点方式が広く用いられているのは、固定小数点方式では避けがたいオーバーフローやアンダーフローが浮動小数点方式ではまったく起こらないからである。 (4) ディジタルコンピュータにおいて、プログラムか有限時間で終了するか否かを判定するアルゴリズムは存在しない。 (5) 大量のデータを扱うプログラムでは、データの誤り検査が不可欠である。誤り検査は、データに冗長性があるときに可能である。データに冗長性がないときは、チェックディジットやパリティビットのようなチェック用の桁を付加するなどの方法が用いられる。 ======================================== (3)解析に関するもの 1----------------------------------------------------------- ある1自由度振動系に外部から力F=e^jwtを作用きせたとき、変位xの周波数応答は次のように示されるとする。   x=Ge^jwt, G=1/(1-w^2) w,tはそれぞれ角周波数、時間である。このとき、力を加速度で割った物理量 力/加速度 の周波数応答は次のいずれになるか。 (1) 1/G  (2) jwG  (3) −1/(w^2G)  (4) −w^2G  (5) −j/(wG) 2----------------------------------------------------------- 次の文章から常に正しいものを選べ。 (1) 有限要素法で得られる質量行列は非対称である。 (2) 流れ解析には差分法が用いられており有限要素法を適用することはできない。 (3) 熱伝導や過渡振動で用いられる時間方向の数値積分は陽解法である。 (4) 構造非線形問題には材料学的非線形問題と幾何学的非線形問題がある。 (5) 有限要素法の精度は同じ三角形要素ならその要素の大ききによるがその形状にはよらない。 3----------------------------------------------------------- 図に示す一様な円柱状の媒体において、熱はx軸方向にのみ流れるとする。 x=xの断面における温度をT(x)とすると、この断面より右側へ流入する熱量は  q(x)=−dT(x)/dt で表すことができるものとする。 x=xの断面とx=x+Δx(Δxは微小長さとする)の断面にはさまれた微小領域内に単位時間に蓄えられる熱量の近似式として次のどれが最も適切か。 zzz (1) dT(x)/dx・Δx (2) −dT(x)/dx・Δx (3) d^2T(x)/dx^2・Δx (4) −d^2T(x)/dx^2・Δx (5) dT(x)/dx・Δx−d^2T(x)/dx^2・Δx 4----------------------------------------------------------- 図の振動系の運動方程式を  Mx+Kx=0 ・・・・(1) で表す。 zzz 5----------------------------------------------------------- 断面積100mm2、長さ100mmの弾性体の円柱がある。円柱の長手方向に力を作用させたところ、応力108N/u、ひずみ10-3を生じた。 この円柱の長手方向に関するばね定数(単位はN/m)はいくらか。 (1) 10^5  (2) 10^6  (3) 10^7  (4) 10^8  (5) 10^9 ======================================== (4)材料・化学・バイオに関するもの 1----------------------------------------------------------- 自動車や電気製品、そして家屋などを作る材料は、ある「形」に成形することができ、用途に応じて求められる「強度」を満足することが重要である。このような性質に関する基本的な説明として、次の中から最も不適切なものを選ぺ。 (1) 民家の窓などに使われる透明なガラスはケイ素と酸素が強い結合で網目状に結びついていることが性質を決めている一つである。 (2) テレビやプリンターのキャビネットに使われるプラスチックは炭素同士の共有結合と高分子鎖の絡み合いで強さを保ち、ときにはゴム粒子で補強される。 (3) 鋼線に使用される高い純度の銅は、原子同士が金属結合で束縛されている。 (4) 橋梁などに用いられる鉄鋼材料は製造方法を研究し、微細な構造を制御して作られるが、鉄の作り方を工夫すれば性質の異なる鉄ができることは日本の江戸時代でも知られていた。 (5) 木材がプラスチックと異なり、年月を経るほど風格が出てくるのは、板材などに加工した後も、木の細胞が生きているからである。 2----------------------------------------------------------- 電子材料の構造と性質を理解しておくことは、材料を広い技術分野で活用するときには重要である。次のうち、最も適切な説明を選択せよ。 (1) 銅は電気をよく通すので電線材料として最適だが、温度が高くなると電気抵抗が大きくなる。 (2) 高分子材料は原子間の結合に寄与する電子が局在化していないので、絶縁材料として適当である。 (3) 液晶は電子部品に多く使用されるが、これは液状の結晶が綺麗な色を発色する性質を巧みに利用したものである。 (4) 高純度のシリコンやゲルマニウムは半導体として使用できるが、複数の異なった元素で構成されている化合物は一つの元素に着目すると純度が低いので半導体にはならない。 (5) 鉄は電子を放出しやすいので、サビが出やすいが、天然には錆びにくく鉄の状態のまま産出される鉱石が多い。 3----------------------------------------------------------- 次の組み合わせは、それぞれの物質を構成する元素の割合を重量%で比較した場合に、最も主要な元素を元素記号で示そうとしたものである。適切で無いいものを遠べ。 (1) 皮革 C (2) 空気 N (3) 青銅 Cu (4) 水蒸気 O (5) 堆積岩 C 4----------------------------------------------------------- 物質生産において、廃棄物を削減し、さらには、全く無くしてしまう技術や、毒性や危険性のある原料や溶媒の使用を避ける技術の間発が望まれている。化学合成による廃棄物の量を見積もる方法として、反応の収率以外に、原子効率(atom efficiency)という概念がある。原子効率は、化学量論反応式を考え、目的の製品の分子量を、生成する「すべての物質」の分子量の全合計で割算して求める。次の反応のうち、原子効率の観点から最も優れていると考えられるものを選べ。 (1) ブタジエン(CH2=CH-CH=CH2)とエチレン(CH2=CH2)からシクロヘキセン(C6H10)を得られる反応(Diels-Alder反応)。 (2) 塩化アセチル(CH3COCl)とエタノール(CH3CH2OH)から、トリエチルアミン(N(C2H5)3)存在下で、酢酸工チル(CH3COOCH2CH3)を得る反応。 (3) 臭化ブチルマグネシウム(C4H9MgBr)とホルムアルデヒド(HCHO)から1−ペンタノール(C5H11OH)を得る反応(Grignard反応)。 (4) ベンゼン(C6H6)と無水酢酸((CH3CO)2O)から、触媒を用いてアセトフェノン(C6H5COCH3)を得る反応(Friedel-Crafts反応)。 (5) シクロヘキサノン(C6H10(=O))とCH2=P(C6H5)3からメチレンシクロヘキサン(C6H10(=CH2))を得る反応(Wittig反応)。 5----------------------------------------------------------- 肺炎双球菌を形質転換きせてマウスに注射しDNAが遺伝子の本体であることを証明した実験について、次の結果から最も不適切なものを選べ。 (1) R型非病原性菌をマウスに注射したが発病しなかった。 (2) S型病原註菌をマウスに注射したところ発病した。 (3) S型病原性菌の成分を分画してその多糖類画分をR型非病原性菌に混ぜてマウスに注射したが発病しなかった。 (4) S型病原性菌の成分を分画してそのタンパク質画分をR型非病原性菌に混ぜてマウスに注射したところ発病した。 (5) S型病原性菌の成分を分画してそのDNA画分をR型非病原性菌に混ぜてマウスに注射したところ、発病した。 6----------------------------------------------------------- 酵素の働きについて説明している次の文章について、( )内に最もふさわしい語句が入る組み合わせを選べ。酵素は、化学反応の反応速度を(ア)させるが反応物と生成物の平衡状態に影響しない。これは化学反応の障壁となる(イ)を、非触媒反応に比べ(ウ)させることを意味している。酵素上に(エ)という一定の部位があって、そこに基質がすっぽりと包み込まれるように結合し(エ)の働きによって基質が分解される。酵素と基質との相互作用には(オ)があり、酵素はむやみに決められた反応以外は触媒効果を示さない。 (ア) (イ) (ウ) (エ) (オ) (1) 増加 活性化エネルギー 低下 活性中心 特異性 (2) 低下 活性化エネルギー 増加 調節部位 恒常性 (3) 増加 運動エネルギー 増加 活性中心 恒常性 (4) 低下 運動エネルギー 低下 調節部位 特異性 (5) 変化 化学エネルギー 増加 活性中心 恒常性 7----------------------------------------------------------- DNAの構成成分について次の記述から最も適切なものを選べ。 (1) DNAは塩基、糖、脂肪酸からなる。 (2) DNAは塩基、アミノ酸、脂肪酸からなる。 (3) DNAは塩基、糖、リン酸からなる。 (4) DNAは塩基、脂肪酸、リン酸からなる。 (5) DNAは塩基、糖、アミノ酸からなる。 ======================================== (5)技術関連 1----------------------------------------------------------- ウランやプルトニウムなどの核燃料物質1トンがすべて核分裂すると石油換算約200万トン分のエネルギーを発生する。現在実用化している軽水炉では、炉内で238Uがプルトニウムに変換されて核分裂するものも含めて、燃料として装荷する濃縮ウランの妁4%が核分裂した後炉外に取り出される。現在の軽水炉による利用では天然ウラン1トンは石油換算何トン分のエネルギーを発生しているか、次の中から正しいものを選べ。 ただし、天然ウランの235Uの濃縮度は0.7%、装荷する濃縮ウランの濃縮度は4.2%、ウラン濃縮におけるテールウラン(濃縮過程で生じる劣化ウラン)の濃縮度は0.2%とせよ。 (1) 1,000トン (2) 5,000トン (3) 1万トン (4) 2万トン (5) 8万トン 2----------------------------------------------------------- 電気と熱を同時に供給する熱電供給システム(コージェネレーション)が注目きれている。しかし、電気単独の供給では一般に系統電力の方が高効率であり、熱供給はボイラーやヒートポンプでも効率的に供給できる。電気と熱の需要構成が2:1の場合について、次の3つの供給システムを比較する。  A:コージェネレーション(発電効率40%、最大排熱利用率40%(一次エネルギー投入量に対する比率))  B:系統電力(発電効率50%)+ボイラー(効率80%)  C:系統電力(発電効率50%)+電動ヒートポンプ(成績係数(COP)3.0) 3つのシステムを一次エネルギー所要量の小さい順番に並べた場合、正しいものを選べ。 (1) ABC  (2) ACB  (3) BCA  (4) CAB  (5) CBA 3----------------------------------------------------------- 我が国の環境問題に間する次の記述のうち、最も適当でないものを選べ。 (1) 現在、我が国の大気中の浮遊粒子状物質と二酸化窒素は環境基準の達成率が不十分であり、いずれも自動車由来の汚染が問題となっている。 (2) 現在、我が国の大気汚染物質の中では二酸化硫黄の環境基準の達成状況は良好である。 (3) 水域の富栄養化とは環境ホルモン(内分泌撹乱物質)の汚染によってもたらされる現象で、藻類が大量に発生するなどの問題が生じる。 (4) 近年水循環の重要性が指摘されており、都市部では雨水浸透などの対策によって本来の水循環を復活させる試みが行われている。 (5) 我が国のダイオキシンの主たる排出源は廃棄物の焼却であるため、排出防止の対策が進められている。 4----------------------------------------------------------- 環境改善技術に関する次の記述のうち、最も遠切なものを選べ。 (1) 代表的な廃水処理法である活性汚泥法は、微生物の作用を用いて水中の汚濁物質を除去する方法である。 (2) 廃棄物焼却施設の運転に当たっては、焼却するごみの質を管理することにより窒素酸化物排出の抑制を行うことができる。 (3) 汚染土壌のバイオレメディエーションとは、植物などの生物が良好に成育するように汚染された土壌を除去することである。 (4) 自動車の排気ガスからの大気汚染を防止するためには、それぞれの自動車に排煙脱硫設備を設置することが有効である。 (5) 汚濁の遠んだ河川の浄化方法として、膜分離による浄化設備を河川内に設置する対策がその効果とコストの両面で有効である。 5----------------------------------------------------------- リスク(risk)、クライシス(crisis)、ハザード(hazard)という危険にかかわる言葉の意味として、最も不適切なものを選べ。 (1) リスクは危険事象の起き易さ(確率)と、その影響度の組合せである。 (2) りスクの概念の適用はマネージメント(企業経営)分野が先行しているが、産業と工学分野への適用も拡大しつつあり、例えばRBM(risk-based maintenance)などがある。 (3) クライシスは狭義のリスクであり、顕在化すれば企業活動の継続性を脅かすリスクなどに用いられる。 (4) ハザードは損失をもたらす偶然事故で、その影響度がリスクの大きさである。 (5) ハザードは危険事象の潜在的要因で、それによって事故などが発生する可能性がりスクである。 6----------------------------------------------------------- 20世紀後半の科学技術と社会の間係について述べた次の文章のうち、最も不適切なものを選べ。 (1) 生命科学の爆発的な進歩が見られ、遺伝子や脳の解明が進み、医療や製薬工業、食品工業などに大きな影響を及ぼした。 (2) 国家が大型プロジェクトを積極的にバックアップし、とくに冷戦期には国家の威信の象徴として、宇宙開発などが競争的に進んだ。 (3) 急速な工業化によって、水質汚染、大気汚染、生物種の絶滅などの環境問題が引き起こされたが、その多くは新しい技術関発で解決をみた。 (4) とくに最後の四半期に情報化の技術が発展し、経済や政治のあり方にも大きな影響を与えて、高度情報化社会が到来した。 (5) 気候変動や地震などの天変地異を予測する技術や理論が整備され、事前の予報精度は高くなったが、完全に災害を予防することはまだ不可能である。 7----------------------------------------------------------- 現代社会において技術に携わるとき、科学技術と人間や社会との適切な関係を常に考慮する必要がある。しかし現在の科学技術は、得てして人間や社会の問題を置き去りにして「暴走」してしまうことがある。このような状況を象倣するものとして、しばしば「ニつの文化の断裂」という表現が使われる。これは1950年代後半、ケンブリッジ大学で物理学を学んだ小説家のC. P.スノウ(C.P.Snow)が最初に使用した言葉だが、この「二つの文化」とは何を指しているのか。最も適切なものを選べ。 (1) 自然科学と人文・社会科学 (2) 科学(理学)と技術(工学) (3) 応用志向の学問と基礎研究志向の学問 (4) 資本主義諸国と社会主義諸国 (5) マスメディアと科学者・技術者 ////////////////////////////////////////////////////////////////////// 技術士第一次試験 平成14年度 基礎科目 (1)設計・計画に関するもの 1----------------------------------------------------------- あるコンビニエンスストアには、12:00〜13:00の間に90人の客が来店する。この店にはレジ1台が設置されており、会計処理に要する時間は客1人当たり平均0.5分である。このとき、客がレジに並んでから会計が終了するまでの平均の時間は何分か、次のうちから答えよ。ここでは、単位時間当たりに客が訪れる数の分布はポアソン分布に従い、会計処理に要する時間は指数分布に従うものとする。なお、本問題に関係した公式を次に示す。         平均応対時間(待ち時間+処理時間)=1/(1-ρ)・1/μ ここで、μ:単位時間当たりの平均処理人数、ρ:処理率(=λ/μ)、λ:単位時間当たりの平均到着者数である。 (1) 0.5(分) (2) 1.0(分) (3) 2.0(分) (4) 3.0(分) (5) 5.0(分) 2----------------------------------------------------------- 検査に関する次の記述で、もっとも適切なものを選択せよ。 (1) 検査で不合格となった製品や建造物でも、その後、何らかの追加措置や部分的な手直しをもって性能を確保できる場合もあるので、不合格品を直ちに廃棄するのは得策ではない。 (2) 最終成果物が設計で目標とした性能を満たしているか否か調べるには、数値でもって計測すること以外に検査の方法はない。 (3) 製造施工の途中のプロセスでいくつかの検査を実施しても、一般に、最終製品の不合格率を低下させることには寄与しない。 (4) 検査は極めて重要なので、常に部品や部材の全数検査をしなければならない。 (5) 検査を行う主体は、すべて製造や建設に直接関与しない第3者(機関)でなければならない。 3----------------------------------------------------------- A地点からB地点に物資を陸上輸送するものとする。この場合、輸送に要する時間(輸送時間)をX時間とすると、輸送に要する経費は5X万円になる。一方、輸送中の振動や揺れなどの影響を受けることによって物資の市場価値がより低下することが懸念される。ここで、市場価値の低下分は125/(1+X)万円と見積もられている。トータルコストを最小にすべく輸送計画を立てるとすると、輸送時間をどのくらいに設定するのが適当か。 (1) 1時間 (2) 2時間 (3) 3時間 (4) 4時間 (5) 5時間 4----------------------------------------------------------- 次の設計に関する記述の中で、もっとも不適切なものを選べ。 (1) 設計・計画段階で解明されていない事象(法則や自然現象等)が理由で、後に不具合が発生したとすれば、その場合は設計者の責任は問えない。 (2) 公共性の高い製品や構造物の設計において準拠しなければならない法律・通達・規準・示方書類は、一般には標準的なケースを想定している。特別な設計条件のためにこれらに従えない場合は、設計者は自己判断の許容される範囲を十分に確認した上で、責任を持って行動することが求められる。 (3) 製造や施工において発生することが予測される不具合やリスクを回避することは、製造や施工に従事する設計者の責務なので、せっけいしゃが設計や計画段階でこれらを考慮する必要性はない。 (4) 製品の販売や施工の現場を熟知していることは、より良い設計や計画を達成する上で大切な事である。 (5) 公共性の高い事業の計画では、受益者であり負担者である納税者の近隣・地域・国レベルでの得失を考え、事業プロセスの透明性を十分に確保しておくことが重要である。 5----------------------------------------------------------- 各種のリサイクルに関する法律について、次の記述の中で誤っているものを選ぺ。 (1) 特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)では、エアコン、テレビ、電子レンジ、掃除機、冷蔵庫、洗濯機なdのうち、一定サイズ以上のものを特定家庭用機器として指定し、小売業者及び製造業者に対して、引取りと再商品化等といったリサイクルを推進することを義務付けている。 (2) 容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)では、ガラス製容器、ペットボトル、紙製容器包装、プラスティック製容器包装の再商品化の義務を、容器包装を利用した中身メーカー、容器包装を生産・販売した容器包装メーカーなどの事業者に課している。 (3) 食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)では、食品関連事業者(食品の製造・販売事業者など)が、食品廃棄物の発生抑制、減量化、また、肥料・飼料等の原料として食品循環資源の再生利用に取り組まなければならないとしている。 (4) 建設工事にかかわる資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)では、一定規模以上の建設工事における、コンクリート、木材などの特定の建設資材について、その分別解体等及び再資源化等を対象建設工事受注者に対して義務付けている。 (5) 国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(グリーン購入法)では、再生資源などの環境への負荷の低減に資する環境物品等への需要の転換を促進するため、国や地方公共団体に対して、環境負荷の少ない製品の調達の推進や調達方針を作成・公表する努力義務などを規定している。 6----------------------------------------------------------- 次のうちから、誤っているものを選べ。 (1) 自然物は設計という行為を経ないで存在しているが、一般的に人工物は設計という行為を経て存在している。 (2) 設計された人工物が社会に及ぼす影響は、設計段階においては完全には把握できないものである。 (3) 設計の仕様は、厳密に言えばすべてが言葉によって明示的に与えられているわけではなく、設計者が自分の判断と責任で付加する部分がありうる。 (4) 設計物の使い方によっては、設計者が意図しない機能が発揮されることがある。 (5) 設計仕様を満たす設計解はただ1つだけ存在する。 ======================================== (2)情報・論理に関するもの 1----------------------------------------------------------- 一辺が2の正方形の中に、半径1の円が内接してあるとする。正方形の上から針の先端が正方形に入るように針をランダムに落とすと、針が円に入る確率はπ/4となる。この現象をシミュレートしてπを求める次のアルゴリズムの空欄[ア]に入る正しい選択肢を選べ。  ・nを0に、mを1000に初期化する。  ・乱数発生器を初期化する。  ・以下の括弧内の手順をm回繰り返す。    {・xに0から1の間の乱数を代入する。     ・yに0から1の間の乱数を代入する。     ・もし[ア]なら、nの値を1だけ増加する。}  ・n/mを4倍する。 (1) x+y<1 (2) x<1かつy<1 (3) x*x+y*y<1 (4) x*x+y+y>1 (5) x*x+y*y=1 2----------------------------------------------------------- ジョーカーを除くトランプカード52枚のうちから1枚を抜き取った。 ・このカードがハートであることを知った時の情報量は      log24=2bit  である。 ・このカードがキングであることを知った時の情報量は      log213=3.7bit  である。 このカードがハートのキングであることを知った時の情報量は次のどれか。 (1) 1.2 (2) 1.85 (3) 3.1 (4) 5.7 (5) 7.4 3----------------------------------------------------------- インターネットに関する次の記述の中から、誤っているものを選べ。 (1) インターネットはコンピュータ同士が接続されたローカル・エリア・ネットワーク(LAN)が相互に接続されて世界中に広がったネットワークである。 (2) インターネット上の電子メールでは、音声や画像のデータをバイナリデータの形式をそのまま送ることができる。 (3) インターネット上に接続されたコンピュータには、1台ごとにIPアドレスと呼ばれる識別名がついている。 (4) インターネット上の電子メールは、テキストデータ形式(7ビット文字符号系)でしか情報を送れない。 (5) インターネットの普及は、商取引にも影響を与えている。 4----------------------------------------------------------- 構文図を用いて文字列の集合を定義することができる。例えば、図1の構文図は整数の加減算式を定義している。この定義に従えば、1+2−3や1−2が整数の加減算式であることがわかるが、+1や-1は加減算式ではない。 図1.整数の加減算式を定義する構文図 図2.a,bの文字列を定義する構文図 zzz zzz 次の文字列のうち、図2の構文図では定義されていないものを選べ。 (1) a (2) b (3) ab (4) ba (5) aaa ======================================== (3)解析に関するもの 1----------------------------------------------------------- 次の記述の中で、誤っているものを選べ。 (1) 電磁界解析では磁場が空気領域を遠方まで伝わるので、境界要素法や特殊な有限要素法が用いられる。 (2) 物質のミクロな解析手法として知られる分子動力学法においては、解析のための時間ステップとしてしばしばフェムト法(10のマイナス15乗秒)程度のものが要求される。 (3) 並列計算を行う場合、計算機台数が増加するにつれて一般に並列効率は向上する。なお、計算機をn台用いたとき、1台のときと比べて計算時間が1/anとなった場合、aを計算機n台のときの並列効率と呼ぶ。 (4) ナビアストークス方程式において、レイノルズ数が大きくなると非線形性が増すために解を得ることが困難になる。 (5) 人体表面電位から心機能を推定したり、渦電流から物体中の欠陥の大きさを推定する方法を逆解析手法と呼ぶ。 2----------------------------------------------------------- 3次元直交座標系(x,y,z)におけるベクトルV(Vx,Vy,Vz)=V(x^3,xy+y^2+z,y^2+z^2)の点(1,1,2)における発散として、正しいものを次の中から選べ。ただし、ベクトルVの発散divVはdVx/dx+dVy/dy+dVz/dzで表される。 (1) (3x2,x+2y,2z) (2) (3,3,4) (3) (3,3,0) (4) 6 (5) 10 3----------------------------------------------------------- 重みつき残差法を用いて、次のような2次元定常熱伝導問題を解くことを考える。 ZZZ 上の説明をもとに次の中から誤っているものを選べ。 (1) 式(3)に用いるTjとしては、x,yのべき級数がしばしば用いられる。 (2) 式(3)においてnが大きくなるにつれて解の精度は向上する。 (3) ajは座標(x,y)には無関係である。 (4) 式(5)はajに関するn元連立方程式である。 (5) 重みつき残差法を非線形の微分方程式の近似解法として用いることはできない。 4----------------------------------------------------------- 流れ場の中にdx,dy,dzを各辺の長さとする下図のような微小直方体を考える。単位時間にこの直方体に流入する質量から、直方体よ流出する質量を差し引いたものが、この直方体内の質量の時間変化である。考えている流体中に沸き出し(source)も吸い込み(sink)もないものとし、流体速度をv=v(x,y,z;t)=(u, v,w)、密度をρ=ρ(x,y,z;t)とするとき、この時間変化に関する方程式として正しいものを次の中から選べ。 ZZZ 5----------------------------------------------------------- 下図に示すような質量のない2つのバネからなる系を考える。ここに、上端は固定されており、u1とu2はそれぞれ点A,Bにおける変位、fは点Bに働く外力、k1とk2はバネ定数を示す。この系の全ポテンシャルエネルギー(=内部ポテンシャルエネルギー+外力のポテンシャルエネルギー)として正しいものを選べ。 ZZZ ======================================== (4)材料・化学・バイオに関するもの 1----------------------------------------------------------- 材料は1つの原子や分子ではなく、それらの集合体である形になっているものとして使用されることが多い。例えば鉄で作られる鉄橋や、プラスチックでできた携帯電話のカバーなどを思い浮かべれば良い。それらのものは実用に耐えるための力学的強さを持っている必要がある。 このことを踏まえ、次の記述のうち、最も適したものを選べ。 (1) 材料の力学的応答には弾性的応答と粘性的応答があるが、力Fを受けるとそれに応じて材料が変形しひずみを生じ、弾性的応答のみによって応力σが生じるときは、応力は時間の経過とともに変化する。 (2) 材料の比重は自重による破壊などを考慮するときに大切な数値であるが、代表的な材料である鉄、チタン、鉛、ガラス(窓ガラスに使われる無機ガラス)、プラスチックの比重を比較すると、軽い方からプラスチック、チタン、ガラス、鉄、鉛の順である。 (3) 材料の強度を引っ張り試験で測定する場合、徐々にひずみを大きくしていくと最初はひずみに比例した応力が得られ、やがて破断に至る。このとき得られる荷重-変位曲線からひずみエネルギーを求めることができる。 (4) 材料の破壊は材料の種類によって多くの状態が知られているが、一般的にある材料を用いて作られた成形体が均一で傷がない場合に比較して、小さな傷があるとそこに応力集中がおこり破壊しにくくなる。 (5) 実用的な目的に使用される材料では、いつも何らかの荷重がかかっている場合があるが、時間とともに少しずつ変形して元に戻らなくなるのはプラスチックだけの特徴である。 2----------------------------------------------------------- 材料を製造するときは、できるだけ製造のときに消費されるエネルギーを少なくし、環境に悪影響を及ぼさないように配慮される。また、長く使えるように耐久性をあげる工夫もされている。 このことを踏まえ、次の記述のうち、最も適したものを選べ。 (1) 天然の木材は腐食されやすい構造をしているが、材料のうちでは比較的長く使えてひび割れなども起こりにくい。この理由は、木材は木から切り出して製材しても生きているので外的に対しても防御ができるからである。 (2) 自動車のバンパーなどの材料として大量に使用されるポリプロピレンは、石油を精製してプロピレンを取り出し、それを重合すれば得られる。このようにして大量に使用される汎用プラスチックの反応回数は、1回か2回に限定されている。 (3) 溶鉱炉や転炉で鉄を溶かすときには、1,000℃以上の高い温度が必要である。そのため、電気で加熱するので多くのエネルギーを必要とするが、高温で精錬するからこそ耐食性に優れた鉄ができる。 (4) 銅は、歴史的にも古くから使われてきた金属であるが、最近では日本の銅は輸入に頼っている。外国の銅山では地中から酸化銅の形で掘り出される。従って、精錬の時には酸素を除去すれば良いので、エネルギーは消費するが有害物質の発生は少ない。 (5) 石油や石炭は、化石時代の生物の死骸が堆積したものと考えられている。従って石油や石炭を燃焼させるとき、塩素などの存在には気をつけなければならないが、石油や石炭自体には生物に有害な毒性物質はあまり含まれていない。 3----------------------------------------------------------- ナノ(nと記す)は単位に用いる接頭語であり、近年、種々の分野で頻繁に用いられる。ある化合物1nmol/lの水溶液1nl中に含まれる化合物の分子数はおおよそ何個か。最も近い数値の番号を次から選べ。 (nmol:ナノモル、nl:ナノリットルを表す) (1) 10^3個 (2) 10^6個 (3) 10^9個 (4) 10^12個 (5) 10^15個 4----------------------------------------------------------- 触媒について述べたいかの文章のうち、正しいとはいえないものはどれか。 (1) 触媒は、反応の経路を変化させて活性化エネルギーを高くする。 (2) 触媒には、固体状態で使用するものと、溶解させて使用するものとがある。 (3) 触媒の性能を評価する場合、反応の転化率だけでなく、反応の選択性や耐久性も重要な要素となる。 (4) 触媒は、反応の過程で反応物と共有結合や非共有結合を形成する。 (5) 不斉触媒は、光学活性化合物を合成する反応に用いられる。 5----------------------------------------------------------- 化学反応と生体反応について述べた次の文章のうち、正しいとはいえないものはどれか。 (1) 物質生産においては、酵素反応と合成化学との組合せや、バクテリアの利用と合成化学との組合せが可能であり、いずれも実際に行われている。 (2) 水中で行う有機化合物合成が最近研究されているが、一方、酵素反応を有機溶媒中で行う試みもある。 (3) グリーンケミストリーとは、環境への低負荷をめざして化学合成の高効率化を図る試みである。 (4) 酵素の反応は、一般的に基質特異性が極めて高いが、天然には存在しない合成分子の反応にも利用することができる。 (5) 生体内反応は、自由エネルギーで議論することはできないが、化学反応の進行のしやすさは、自由エネルギーで議論することができる。 6----------------------------------------------------------- タンパク質を構成するアミノ酸は計20あるが、アミノ酸1個に対してDNAを構成する塩基3つが1組となって1つのコドンを形成して対応し、コドンの並び方、すなわちDNA塩基の並び方がアミノ酸の並び方を規定することにより、遺伝子がタンパク質の構造と機能を決定する。しかしながら、DNAの塩基はアデニン、チミン、グアニン、シトシンの4種類あることから、可能なコドンは4×4×4=64通りとなり、アミノ酸の数20をはるかに上回る。 この一見して矛盾しているような現象について、次の中からもっともふさわしい説明を選べ。 (1) アミノ酸の基本数は20個であるが、生体内では種々の修飾体が存在するので、64−20=44のコドンがそれらの修飾体に使われる。 (2) 64−20=44のコドンのほとんどは20個のアミノ酸に振分けられ、1つのアミノ酸に対していくつものコドンが存在する。 (3) 64のコドンは、DNAからRNAが合成される過程において配列が変化してアミノ酸1つに対して1種類のコドンに収斂する。 (4) 生物の進化に伴い、1つのアミノ酸に対して1つのコドンが対応するように64−20=44のコドンは、タンパク質合成の鋳型に使われる遺伝子には存在しなくなった。 (5) コドン塩基配列の1つめの塩基はタンパク質の合成の際にはほとんどの場合、遺伝情報としての意味をもたない。 7----------------------------------------------------------- 遺伝情報はDNAに記されているが、生体の機能はほとんどがタンパク質の働きに依存している。したがって、生物が同じ形質をもった子孫を作り出すためには同じ遺伝子から同じ機能をもったタンパク質を作り出すための規則的な流れが必要である。DNAからタンパク質への情報の流れの中間に位置する物質をRNAとし、DNA→RNA→タンパク質の一連の流れを提唱した人がDNA2重らせんを発見したワトソンとクリックである。中心主義と呼ばれるこの遺伝情報の流れは、その後の研究で次々と正しいことが証明され、現代生物学の基本となったが、例外も見つかった。この例外において、次の中からもっとも不適切な説明を選べ。 (1) RNAからDNAを合成する流れがみつかった。 (2) DNAやRNAを必要とせずに生体内でアミノ酸を合成させる酵素がみつかった。 (3) タンパク質の代表的機能である酵素作用をもつRNAがみつかった。 (4) RNAを必要としないでDNAから直接タンパク質が合成される流れがみつかった。 (5) DNAではなくRNAを最初の遺伝情報とする生物がみつかった。 8----------------------------------------------------------- 分子生物学の発展にともなって、いわゆるバイオと総称される一連の遺伝子工学的技術も大きな進展を遂げたが、現代社会は生命に関する倫理上の大きな問題に直面することにもなった。これに関連した次の文章につき、かっこ内に入る最もふさわしい語句の組合せを選べ。 クローン人間の作出が可能になるまでになった現代社会は、かつてないような厳しい倫理問題に直面しているが、その作出法と道の危険性を十分に理解することは人類の将来を考えるに当たってきわめて大切なことである。ヒトも含めてクローン動物の作出に必要な技術は体外受精と(ア)細胞の樹立である。(ア)は哺乳類の受精卵由来の初期胚からクローン化されたもので、分化できる全能性の細胞である。一方、(イ)細胞は生物体を構成している全細胞のうち(ウ)細胞以外のものを総称し、既に分化を終えこれ以上分化できないとされる細胞である。クローン動物の作出に当たっては、(イ)の核を、同種の核を不活性化した未受精卵に移植し、新たに(イ)の核に分化能力を与えて仮親で発生させる。このような技術で最初に作出されたクローン動物は(エ)であるが、(オ)が早まる危険性も生じている。 (ア) (イ) (ウ) (エ) (オ) (1) 胚(性)幹 体 生殖 羊 老化 (2) 体 胚(性)幹 脳 羊 成熟 (3) 胚(性)幹 体 脳 豚 成熟 (4) 体 胚(性)幹 生殖 豚 老化 (5) 胚(性)幹 体 脳 羊 成熟 ======================================== (5)技術関連 1----------------------------------------------------------- 環境問題に関する次の記述について、生後を正しく組み合わせているものを選べ。 ア) 大気に排出される硫黄酸化物及び窒素酸化物は、都市の規模での大気汚染問題の原因となると同時に、準地球規模で酸性降下物の問題をもたらす。 イ) 化石燃料に依存しない再生可能エネルギー源の中で代表的なものは水素ガスであり、燃料電池による発電の普及が期待されている。 ウ) 廃棄物への取り組みとして近年言われる3RとはRetain、Reuse、Recycleであり、これらを通じて処分する廃棄物の量を減らすことがねらいである。 エ) 同量のエネルギーを得るために化石燃料の燃焼によって発生する二酸化炭素の量を天然ガス、石油、石炭の中で比較すると、石炭が最も多い。 (ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 誤 正 正 誤 (2) 誤 誤 正 正 (3) 誤 正 誤 正 (4) 正 正 誤 誤 (5) 正 誤 誤 正 2----------------------------------------------------------- 地上に到達する太陽エネルギーは、真昼時に太陽光に直面する1平方メートルあたりにして、晴天時には最大パワー約1kWになるが、年間を通じての太陽エネルギー総量はわが国では1,000kW時/uである。電気への変換効率が約10%で受光面積50平方メートルの太陽電池システムを真昼に太陽に直面するように設置した場合、この太陽電池システムは石油火力発電所で使用する石油を年間何トン代替することができるか。石油火力発電所の効率を40%、石油1トンの発熱量を1,000万kcalとして、次の中から正しいものを選べ。なお、1calは約4.2Jである。 (1) 0.5トン (2) 1トン (3) 3トン (4) 5トン (5) 10トン 3----------------------------------------------------------- リスクは、次式で定義される。     リスク≡生起確率×影響度 リスク評価に際して、リスク・マトリックスを使用する。リスク・マトリックスの縦軸は生起確率、横軸は影響度を示すランク付けである。定性的に3ランク付け(縦軸:高・中・低、横軸:大・中・小)としたリスク・マトリックスを図に示す。リスクの判定基準を(高・中・低)の3ランクとした場合の正しいものを次から選べ。 影響度 大 中 小 生起 高 ? ? ? 確率 中 ? ? ? 低 ? ? ? 図 リスク・マトリックス(?:判定基準) (1) 生起確率が高であれば、影響度に関係なく、リスクは高。 (2) 生起確率が高、影響度が中であれば、リスクは高。 (3) 生起確率が中、影響度が中であれば、リスクは低。 (4) 生起確率が低、影響度が中であれば、リスクは中。 (5) 生起確率が低であれば、影響度に関係なく、リスクは低。 4----------------------------------------------------------- 18世紀後半からイギリスで産業革命を引き起こす原動力となり、現代工業社会の基盤を形成したのは、自動織機や蒸気機関などの新技術だった。これらの技術発展について、正しくないものを次の中から選べ。 (1) 一見新しく革命的に見える技術も、多くは既存の技術をもとにして改良を積み重ねることで達成されたものである。 (2) 新技術の発展により、手工業的な作業場は機械で重装備された大工場に置き換えられていった。 (3) 新しい技術のアイディアには、からくり人形や自動人形などの娯楽製品から転用されたものもある。 (4) 新技術の開発は、当時ヨーロッパ各地に広がっていた各大学の研究者が主導したものが多く、産学協同の格好の例といえる。 (5) 新しい技術は生産効率を高めたが、反面で安い労働力を求める産業資本が成長し、長時間労働や児童労働などが社会問題化した。 ////////////////////////////////////////////////////////////////////// 技術士第一次試験 平成13年度 基礎科目 (1)設計・計画に関するもの 1----------------------------------------------------------- 次の図に示されるシステムの設計を考える。各システムは、節点を連結する線要素から構成されており、節点から節点に進むことのできる可能性(要素の信頼性)は90%である。ここで、それぞれのシステムを用いて左端から右端の節点に進むことのできる可能性、すなわち、システム全体の信頼性が最も高いのはどれか。 zzz (1) A (2) B (3) C (4) D (5) E 2----------------------------------------------------------- ある人工物における安全率(強度/荷重)をXとする(ただし、X>1)。この人工物の破損による損害や不具合が発生する確率は1/(X+1)であり、損害や不具合が発生した時に被る経済的損害額は10億円である。一方、材料や資材の調達を含む製造コストは2X/5億円である。この場合、トータルコストを最適化するには安全率をいくらに設定したらよいか。 (1) 1.5 (2) 2.0 (3) 3.5 (4) 4.0 (5) 5.0 3----------------------------------------------------------- 製造物責任法に関する次の記述のなかで、正しいものを選べ。 (1) 製造物責任法では、利用者が製造物の欠陥によって傷害を被った場合は想定していない。 (2) 保証期間を超えた製造物に対しては、なんら責任を負わなくてもよい。 (3) 製品を外国で使っていて不具合が発生した場合には、製造業者の責任は問われない。 (4) 安全性に関わらない品質上の不具合についても、製造物責任法の賠償責任の根拠となる。 (5) 設計や製造によって完全に除去できないような危険については、製造業者は危険回避のための指示や警告を行う必要がある。 4----------------------------------------------------------- ビーバーは木を集めてダムを作る習性がある。この行為は「設計」と見なせる活動を含むかどうか、5人が議論を行った。以下に各人の「設計」についての見解を示すが、論理の展開が最も妥当と思われるものを選べ。 (1) 人間の行為でないならば、設計とは言えない。 (2) 図面を用いていないならぱ、設計とは言えない。 (3) 作ったものに経済的な価値がないならば、設計とは言えない。 (4) 目的を意識していないならば、設計とは言えない。 (5) ダム以外のものは作れないならば、設計とは言えない。     5----------------------------------------------------------- 次の文章中の(ア)、(イ)、(ウ)に挿入する用語について、正しい組合せを選ぺ。  設計から製造、流通、保守にわたる製品等のライフサイクル全般に関する技術情報や取引情報を、ネットワークを介して電子的に交換・共有する動きが活発になってきた。(ア)と呼ばれるシステムは、企業や機関の生産・調達・運用などの支援統合システムを指している。  ロナルド・メイス氏は1980年代に、障害の有無、年齢、性別、国籍、人種等にかかわらず、多様な人々が気持よく利用できるように製品、建物、空間、都市を設計、計画することを前提とした(イ)を提唱した。  人材、物資、製品、情報等が国境を越えて流動する国際社会において、ものづくりに関わる種々の規格を国際的に統一する活動が進められている。(ウ)は環境マネジメントシステムの構築について定めた国際規格である ア イ ウ (1) CALS ユニバーサルデザイン IS014001 (2) IS014001 CAD/CAM ユニバーサルデザイン (3) CAD/CAM CALS IS09001 (4) CAD/CAM ユニバーサルデザイン IS014001 (5) CALS CAD/CAM IS09001 6----------------------------------------------------------- ある製品の設計案を技術者がまとめた。しかし、その製品の利用者になると思われる人に設計案を説明したところ、その設計案には満足できないと言われた。この指摘に対する技術者の対応としてふさわしくないものを、次の中から選べ。 (1) 類似製品が過去において利用者に受け入れられた事実を説明する。 (2) 試作してみるまでは何も分からないと説明する。 (3) 満足できないという根拠が正しいかどうか詳しく聞いて確かめる。 (4) 市場調査や計画の過程に問題があったかどうか検討する。 (5) 利用者の価値意識が変化しているかどうか検討する。 ======================================== (2)情報・論理に関するもの 1----------------------------------------------------------- 次に示すアルゴリズムを実行した結果、表示される値はいくらか。 アルゴリズムE  ・整数変数xの値を70とする;整数変数yの値を50とする;  ・xをyで割り算し、余りを整数変数rに代入する;  ・r=0の条件が成立しない時は、以下の手順を繰り返す:(下の注を参照のこと)    {・yをxに代入する;     ・rをyに代入する;     ・xをyで割り算し、余りを整数変数rに代入する;}  ・yの値を表示する; 注)まず、r=0の条件が成立するか調べ、成立しなければ{ }内の命令文を実行し、その後r=0の条件が成立するかどうかを調べる。成立しなければ{ }内の命令文を実行する。これを繰り返し、条件が成立したら繰り返しを終了して、次の表示命令文を実行する。 (1) 0 (2) 5 (3) 10 (4) 20 (5) 50 2----------------------------------------------------------- ある地域で新聞購読の調査をしたところ、  A紙を購読している所帯   51%  B紙を購読している所帯   34%  C紙を購読している所帯   15%  A紙、B紙の両方を購読している所帯  6%  B紙、C紙の両方を購読している所帯  3%  C紙、A紙の両方を購読している所帯  2%  A、B、C紙の全部を購読している所帯  1% であった。A紙とB紙の両方を購読し、C紙を購読していない所帯の割合は次のどれか。 (1) 6% (2) 5% (3) 4% (4) 3% (5) 2% 3----------------------------------------------------------- 文字による情報を電子メール等の文字符号で送る場合と、FAX 等の文字画像で送る場合の情報量について比較する。ここで、情報量とは、どれだけのものを区別できるかを示す量であり、その単位の1ビットの情報とは、0 と1又は白と黒など、2つのうちどちらかであるかを示せることを意味している。2ピットの情報は、1ビットの情報を2つ組み合わせることにより、4つのものを区別することができる。FAXでは32×32=1024の白黒の点配列で漢字を含む日本語の1文字を表すものとすると、この点配列の持つ情報量は 1024ビットとなり、この点配列で表せる異なる画像の数は2**1024(注:**はべき乗を表す)となる。この情報を文字画像情報と呼ぼう。  実際に伝えたい文字の数は65536以下であるものとしよう。これらの文字のどれかということを示す情報は、16ビットあれば十分である。これを文字符号情報と呼ぼう。  1文字伝えるのに、点配列で表された文字画像情報の情報量は、文字符号情報の情報量の何倍になるか。 (1) 1倍 (2) 16倍 (3) 32倍 (4) 64倍 (5) 1024倍 4----------------------------------------------------------- インターネットに関する次の記述のうち、間違っているものを選べ。 (1) WWW(World Wide Web)は、世界にはりめぐらされた蜘蛛の巣という意味で名づけられた。 (2) クライアントサーバシステムでは、処理を要求するクライアントと要求された処理を実行するサーバが協力分担して情報処理を進める。 (3) インターネットに接続されるコンピュータの間では、TCP/IPと呼ばれるプロトコルが使われている。 (4) WWWサーバとブラウザーの間のデータのやりとりを定めたプロトコルをHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)と呼ぶ。 (5) インターネットにおける電子メールでは、発信元のコンピュータから受信先のコンピュータの間に通信線が確立されてから、情報が送られる。 ======================================== (3)解析に関するもの 1----------------------------------------------------------- 長さがL、直径がDの一様な材質の丸棒がある。丸棒の一端からの距離をxで表す。一端(x=0)の温度を20℃に、他端(x=L)の温度を40℃に保ち、定常状態に達したときに、x=(3/4)Lの位置における温度はいくらになるか。ただし、丸棒の円筒面から外部への熱の移動はないとし、また、内部における発熱はないとする。 (1) 10×L℃ (2) 20×L℃ (3) 25℃ (4) 30℃ (5) 35℃ 2----------------------------------------------------------- 導関数du/dxの点xiにおける差分表現として正しいものを以下の中から選べ。ただし、添え字iは格子点を表すインデックス、格子幅をhとする。 (1) (ui+1-ui)/h (2) (ui+1+ui)/h (3) (ui+1-2ui+ui-1)/h^2 (4) (ui+1-2ui+ui-1)/2h (5) (ui+1+2ui+ui-1)/2h zzz 3----------------------------------------------------------- 有限要素法に関する以下の記述の中で誤っているものを選べ。 (1) 要素を細かくすることによって、一般に解析精度は向上する。 (2) 不規則メッシュを用いることができるので、複雑形状問題に対応しやすい。 (3) 要素内における物理量の分布は内挿関数の分布に従う。 (4) 楕円型偏微分方程式のみを対象とした数値解法である。 (5) 節点や要素の配置の仕方は解析者の経験に負うところが大きい。 4----------------------------------------------------------- 材質は一定のままで形状を幾何学的相似形に保ちながら、ある構造体の大きさを変えたときに、その固有振動数は、表面積の1/4乗に比例し、質量の1/2乗に反比例して変わることが分かっている。  この構造体を小さくして質量を元の1/1000にしたとき、固有振動数は元の大きさの時と比べて何倍になるか。(1) 100倍 (2) 10倍 (3) 変化しない (4) 1/10倍 (5) 1/100倍 5----------------------------------------------------------- ψ=2x−x2yのとき、点(1,-1)での▽ψを求め、正しいものを以下の中から選べ。 ただし、▽ψ=(∂ψ/∂x,∂ψ/∂y)である。 (1) (1,-4) (2) (4,-1) (3) √17 (4) 3 (5) -3 ======================================== (4)材料・化学・バイオに関するもの 1----------------------------------------------------------- 金属はそれを構成する原子の周りを、「自由電子」が大きな運動の束縛を受けずに激しく動き回ることによって原子同士が結合している。このことが金属が有用な材料として使われる主要な理由である。このことをイメージしながら、次の記述の中で自由電子との関係が最も希薄なものを選べ。 (1) 温度が高い条件下では原子の運動が激しくなるので、自由電子は動きにくくなり電気伝導性が下がる。 (2) 多くの金属が不透明であるのは、金属材料を通過する光が自由電子と衝突するからである。 (3) 多くの金属が独特の表面光沢をもつのは、自由電子が金属の表面付近にも存在するからである。 (4) 金属は鉄、銅、鉛、水銀などのように、自由電子の性質が違う材料に富んでいる。 (5) 金属は叩けぱひろがる性質(展性)を持ち、金箔は金属の持つこの性質を利用してつくられる。この展性は自由電子が束縛されていないために原子がある程度自由に場所を移動できることによるものである。 2----------------------------------------------------------- プラスチックは異なった化学構造を持つ長い分子の鎖(高分子鎖という)が互いに絡み合っている。そのような構造を念頭において、プラスチックの性質などの説明として、次のうちから最も適切なものを選べ。 (1) 多くのプラスチックが簡単には壊れないのは分子間の結合力が強いからである。 (2) 種類の違うプラスチックでも、お互いに親油性(油と親和性があり、水にはなじみにくい性質)を持つので、プラスチック相互は混ざりやすい。 (3) プラスチックは化学構造の違いによって多様性のある材料になるが、材料の強度としては化学構造より高分子鎖の絡み合いの寄与が大きい。 (4) プラスチックも慎重に加工すれば、金属と同様にひろがる性質(展性)を持つ。 (5) プラスチックが金属材料や無機材料と比べて、一般的に軽いのはプラスチックを構成する元素自体が軽いことだけによっている。 3----------------------------------------------------------- 産業で使用されるエネルギーの種類を、  a.石油系燃料  b.非石油系燃料  c.購入電力 に大別して使用割合の大きさの順序を示すと、1997年の日本の化学工業では(ア)、鉄鋼業では(イ)である。  次のうちから、ア、イの組合せとして最も適当なものを選べ。 ア イ (1) abc abc (2) bac abc (3) cab bac (4) acb cab (5) abc bca 4----------------------------------------------------------- 人間の活動による大気汚染は、もともと大気中に多く存在しない化合物を作り出し、それを排出することに原因することが多い。内燃機関の排ガス中の窒素化合物を触媒で処理するとき、次の中で最も望ましいと考えられる生成物はどれか。 (1) N2 (2) NO (3) N2O (4) NO2 (5) N03 5----------------------------------------------------------- DNA を作っているヌクレオチドには4種類の塩基、すなわちアデニン、グアニン、シトシン、チミンが含まれている。これら4種類のヌクレオチドがいろいろな順序で一列に並んで結合して1本鎖となり、さらにこの1本鎖が2本絡まり合って2重らせんを形成する。4種類の塩基のうち、アデニンとチミンは2本の水素結合で、一方、グアニンとシトシンは3本の水素結合で結ぱれて互いに相補的な塩基対を形成する。このようなDNAの2重らせん構造は生物学的に大きな意味を持っているが、次の項目から最も不適切なものを選べ。 (1) 4種類の塩基はDNA2重らせんの内側に位置し相補的な塩基対を形成できるようになっている。 (2) 相補的な塩基対は頻繁に間違って形成され、そのときには3重らせんをもったDNAができる。 (3) DNAの複製のときには、2重らせんがほどけて1本鎖となり、各1本鎖の塩基配列を鋳型にして新しい1本鎖DNAが作られる。 (4) 相補的な塩基対の形成の原理からDNAは全く同一のものが複製され、塩基の並び方からもたらされる遺伝情報は親から子へと伝えられる。 (5) DNAを水溶液中で加熱すると水素結合が切れて1本鎖となるが、冷却すると相補的な塩基対が再び形成されて2本鎖となる。 6----------------------------------------------------------- クローン動物の作出が可能になったことで現代社会はこれまで経験したことのない厳しい倫理問題に直面しているが、その作出法を十分に理解することは生命科学の発達と人間社会の関係を考えるに当たって大切なことである。クローン動物の作出について、次の中から最も適切な説明を選べ。  なお、説明文のうち、胚性幹細胞は哺乳類の受精卵由来の初期胚からクローン化されたもので、分化できる全能性の細胞である。一方、体細胞は生物体を構成している全細胞のうち生殖細胞以外のものを総称し、既に分化を終え、これ以上分化できないとされる細胞である。 (1) 胚性幹細胞の核を、同種の核を不活性化した受精卵に移植し、仮親で発生させた個体をクローン動物と呼ぶ。 (2) 胚性幹細胞の核を、同種の核を不活性化した未受精卵に移植し、仮親で発生させた個体をクローン動物と呼ぶ。 (3) 体細胞の核を胚性幹細胞の核と一緒に、同種の核を不活性化した受精卵に移植し、新たに体細胞の核に分化能力を与えて仮親で発生させた個体をクローン動物と呼ぶ。 (4) 体細胞の核を、同種の核を不活牲化した未受精卵に移植し、体細胞の核に分化能力を与えて仮親で発生させた個体をクローン動物と呼ぶ。 (5) 体細胞の核を胚性幹細胞の核と一緒に、同種の核を不活性化した未受精卵に移植し、新たに体細胞の核に分化能力を与えて仮親で発生させた個体をクローン動物と呼ぶ。 7----------------------------------------------------------- 次の文章中におけるア、イ、ウ、工に入れる言葉として最も適切な組合せを選べ。 ほとんどの生物は酸素がなくては生存できない。しかしながら、地球上に初期に現れた原始の生物にとって酸素はむしろ有害であった。生物の進化に伴い、(ア) が出現して大気中に酸素が蓄積されると、この酸素は大部分の生物にとって大きな脅威となった。この危機を救ったのがミトコンドリアで、もともとは酸素を利用できる微生物が細胞内に入り込み、共生することによって構築された(イ)とされている。したがって、宿主のゲノムDNAとミトコンドリアのDNAでは (ウ)がわずかに異なっている。一方、現存する高等生物は動植物を問わずミトコンドリアをもっており、その優れたエネルギー代謝に大きな役割を果たしている。すなわち、ミトコンドリア内では酸素を利用して好気的代謝を行い、エネルギー通貨と呼ばれ、生体内の種々の代謝反応を支え、筋肉運動のエネルギー源となっている(エ)を大量に生産する。その生産効率は、生体内で酸素が存在しないときの数十倍にも及ぶ。ほとんどの生物は現在、酸素なしでは生存できない理由のひとつにはこのようなミトコンドリアのもつ効率的なエネルギー生産による。 ア イ ウ エ (1) 細胞小器官 遺伝暗号 ATP らん藻 (2) らん藻 細胞小器官 遣伝暗号 ATP (3) 細胞小器官 らん藻 ATP 遺伝暗号 (4) らん藻 遺伝暗号 細胞小器官 ATP (5) ATP らん藻 細胞小器官 遺伝暗号 ======================================== (5)技術関連 1----------------------------------------------------------- 人間の活動に起因する、いわゆる「地球温暖化」については、まだ現象や原因が不明な点もあるが、現時点で誤っているとして良いものはどれか。 (1) 1998年における中国の1人当たりの二酸化炭素の放出量は同年の日本の1人当たりの放出量の2分の1以下である。 (2) 石炭、石油、天然ガスなどの炭素系の資源を燃料として用いる場合、同じ発生熱量を基準とすると二酸化炭素の発生量はほとんど変わらない。 (3) 天然ガスの輸送パイプなどから漏れるメタンなどの炭化水素ガスも温暖化の原因になっている可能性が否定できない。 (4) フロン化合物の大気中濃度を抑制することは、オゾン層の破壊を防止するためにも温暖化を抑制することにも役立つ。 (5) 熱帯雨林が急激に消失していることは地球温暖化を促進する要因になりうる。 2----------------------------------------------------------- 環境問題に関係する説明で、次のうちから最も適切なものを選べ。 (1) 京都会議(The3rd Session of the Conference of the Parties to the United Nations Framework Convention on Climate Change)は最大の環境問題といわれるオゾン層の破壊についての国際的な取り決めを行った会議である。 (2) ローマクラブの「成長の限界」は「宇宙船地球号」という概念とは相反する内容を持っている。 (3) ダイオキシンは入体に対して猛毒であり、イタリアのセベソで起こった有名なダイオキシンを含む化学物質の放出事故では、事故発生直後に多くの死者を出した。 (4) 有害廃棄物の越境移動に関する国際的な取り決めは、スイスのバーゼルで調印されたことから"バーゼル条約"と呼ばれる。日本から廃棄物として外国に出るものの中に有害物質が含まれていることは条約で禁止されている。 (5) トキを始め絶滅が心配される動物が急激に増えてきたが、もし多くの生物が絶滅するようなことがあれば、それは地球の長い生物史上、初めてのことである。 3----------------------------------------------------------- エネルギー問題を考えるときには太陽から地球が受けているエネルギーと、石油・石炭・天然ガスなどのいわゆる化石燃料から人類が得ているエネルギーの比較が重要である。太陽のエネルギーは、1.2×10^34Jy^-1と計算されており、そのうち約44億分の1が地球表面に到達すると見積もられている。一方、地球上の生物が太陽の光を利用して行う光合成で固定されるエネルギーは3.0×10^21Jy^-1と推定され、人類が化石燃料から得ているエネルギーの約10倍とされている。これらのデータから一年間に人類が化石燃料から得ているエネルギーは、地球表面に到達する太陽のエネルギーに対してどの程度か。次の中から選べ。 (1) ほぼ同程度 (2) 約10分の1 (3) 約100分の1 (4) 約1000分の1 (5) 約10000分の1 4----------------------------------------------------------- 日本の一次エネルギー消費量は約5.5億kl(原油換算)であり、このうち電力の生産に使われる量は約2.1億kl(原油換算)である。一次エネルギー消費量に対する、発電される電力量のエネルギー比率について、以下から最も近いものを選べ。 (1) 約35% (2) 約25% (3) 約15% (4) 約5% (5) 約1% 5----------------------------------------------------------- 経営活動と生産活動にリスク・マネージメントの手法が適用されている。リスク・マネジメントにおけるリスクの定義として、正しいものはどれか。 (1) リスクは、顕在化すれぱ企業活動の継続性を脅かす危機(クライシス)である。 (2) リスクは、経済的不利益要因の起きやすさ(確率)である。 (3) リスクは、失敗に伴う経済的不利益の総額である。 (4) リスクは、事故又は故障の起きやすさ(確率)である。 (5) リスクは、危険事象の起きやすさ(確率)と、その影響の過酷度の組合せである。     6----------------------------------------------------------- 装置に異常又は故障が生じた場合、装置を安全な方両に停止させる機能として、正しいものはどれか。 (1) フール・プルーフ (2) フェール・セーフ (3) ダメージ・トレラント (4) 冗長システム (5) 警報システム 7----------------------------------------------------------- もともとヨーロッパの総合大学においては技術(工学)は知識の追求とは別のものとみなされ、工学部は大学に付置されていなかった。一方、やや遅れて近代化を始めた国家では、国力を高めるために、積極的に工学を大学教育に取り入れた。その中で次の国のうち総合大学に工学部(又はそれに相当する組織)を最初に備えたのはどの国か選べ。 (1) ドイツ (2) イタリア (3) 日本 (4) ロシア (5) ブラジル 8----------------------------------------------------------- 最先端の科学技術に対する人々の反応は、地域や時代を問わず、ある程度共通するものが見られる、アメリカのSF作家・科学啓蒙家、アイザック・アシモフは、このような傾向を19世紀に発表された有名な小説にちなんで「フランケンシュタイン・コンプレックス」と名づけた。その内容として適切なものは、次のどれか。 (1) 最先端科学技術は制御不可能であり、人類に危書を及ぼすものであるとして忌避する。 (2) 最先端科学技術は、一見不可能なことも実現すると受け取り、無批判に崇拝する。 (3) 最先端科学技術の成果とそれを造りだした科学技術者を混同し、科学技術者に嫌悪感をいだく。 (4) 最先端科学技術の成果はしばしぱ大変危険なものであるとし、現場の科学技術者に高い倫理意識を要求する。 (5) 最先端科学技術の適用範囲をわきまえず、倫理的・社会的に問題のある領域にまで適用してしまう。