技術士第一次試験 専門科目演習問題(電力土木) |
最終更新:2004.09.19 |
次の30問について、それぞれ正しい記述であれば○、誤った記述であれば×を解答欄に記入せよ。
- 有効電力量とは、年間可能発電電力量から、発電所内ロスと送電ロスを差し引いたものである。
- 水力発電は、水の位置エネルギーを利用して、発電機を回転させて発電するが、このときの理論出力は、理論出力P(kW)=流量Q(m3/s)×落差H(m)で表される。
- 揚水式発電は、発電所の上流側と下流側にそれぞれ調整池を作り、夜間電力を利用して水を下流側調整池から上流側調整池に汲み上げておき、需要ピーク時に対応して昼間に発電する方法である。一定の水を繰り返し使用するのでエネルギー効率が良く、コストが低く抑えることを目的に選択される。
- ダム式の水力発電は、流れ込み式に比較して、豊水期や渇水期などにおける河川の流量変化に発電量が左右されることが少ない。
- 水力発電所の経済性評価には、C/V手法(代替電源法)を用いることが多い。これは、当該水力発電に係る経費Cと、これと同等の電力を代替電源(通常は火力発電)で発電した場合の経費Vを比較するものである。開発順位はC/Vの小さいものからとする。
- 水力発電所上流側の水路が圧力式の場合に、流れの不規則性を吸収するために使用される調圧用の水槽をヘッドタンクという。
- 汽力タイプ火力発電は、燃料をボイラーで燃やして発生させた高温高圧蒸気でタービンを回して発電するもので、火力発電の中では、発電能力・発電量ともに高い比率を占めている。
- 内燃力タイプ火力発電は、ディーゼルエンジンなどの内燃機関を回して発電するもので、島などでの小規模発電用として利用されている。
- ガスタービンタイプ火力発電は、灯油、軽油などの燃焼ガスでタービンを回して発電するもので、ピーク時の需要に対応する役割を担っている。
- コンバインドサイクルタイプ火力発電は、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた新しい発電方式で、熱効率に優れているものの、運転開始・停止に長時間かかることが欠点である。
- 火力発電所やコンビナートなどに設置される防油堤は、一つの屋外貯蔵タンクの周囲に設ける場合の容量は、当該タンク容量の110%以上が必要である。
- 軽水炉原子炉には、沸騰水型と加圧水型がある。沸騰水型は原子炉で水が沸騰し発生した蒸気の力でタービンを回すものである。一方、加圧水型は、加圧して沸騰を抑えた水を原子炉で熱し、別系統の水にこの熱を伝えて沸騰させ、この蒸気でタービンを回すものであり、沸騰する系統の水を一次冷却水、加圧され沸騰しない系統の水を二次冷却水という。
- 軽水炉型原子炉には沸騰水型と加圧水型があるが、日本では加圧水型が主流である。
- 高速増殖炉は、燃えないウラン-238を、プルトニウム-239に変換して利用するものである。
- 原子力発電や火力発電の冷却水の放水口として、水中放水口と表層放水口があるが、水中方式は海水の対流により温排水拡散範囲が広くなる傾向がある。
- 鉄塔基礎の設計に際しては、上部構造に作用する力により、基礎にかかる応力として、圧縮力だけでなく引揚力も検討する。
- 鉄塔基礎の設計に際しては、上部構造に作用する力として、一般には地震力を中心に検討し、地形と設置場所の関係によっては、風荷重も考慮する場合がある。
- 地中送電線は、架空送電線に比べてコストは高くつくが、送電容量は大きい。
- 地中送電専用洞道建設は、シールド工法が主流となっている。
- シールド工法の発信基地の用地面積は、泥水式のほうが土圧式より、一般に広い面積を必要とする。
- 火力発電所の煙突は、できるだけ低温で排煙することによって拡散を最小限にとどめるよう配慮している。
- 流量の多い河川ではダム貯水池の水の入れ替え頻度が高くなり、水の成層構造ができやすいため、冷濁水現象発生の確率が高くなる。
- ダム湖のような大きな貯水池では、水平方向の水質変化より、鉛直方向の水質変化のほうが水質問題に主体的な役割を果たす。
- わが国の火力発電所や原子力発電所では、冷却水に海水を使うことが多いが、取水口と放水口はできるだけ1箇所にまとめ、海域への環境影響を抑制するよう配慮すべきである。
- 太陽光発電は、エネルギー密度が低く、火力・原子力と同じ電力量を得るためには広大な面積を必要とし、悪天候の日や夜間は発電できないなど問題は多いが、エネルギー枯渇の心配がなく、発電時にCO2などを出さないクリーンエネルギーであり、日本の太陽光発電設備の導入量は世界一である。
- 風力発電は発電時にCO2などを出さないクリーンエネルギーであるが、太陽光発電にくらべればエネルギー変換効率が低くまた、風向風速や地形の影響を受けやすく発電が不安定で、風車の回転騒音などの問題がある。
- 燃料電池は天然ガス、ナフサなどの燃料ガスを分解して水素を製造し、これを空気中の酸素と化学反応させて電気を発生するもので、騒音や振動がなく、大気汚染の心配も少ないクリーンな発電システムである。
- 地熱発電は地下からの蒸気でタービンを回して発電するもので、燃料費がいらないうえ稼働率が高く、安価で安定したエネルギー源として商用化が期待されている。
- 石炭火力発電によって生成するフライアッシュなどの石炭灰は、ほとんど用途がなく廃棄する以外にない。
- コジェネレーションは、発電とともに発生する廃熱を有効に活用するシステムで、発生した熱をそのまま環境中に排出してしまう既存の火力発電所の熱効率は40%程度であるのに対して、コジェネレーションの場合は80%以上の熱効率を可能にする。
<正解>
- ×
送電ロスは差し引かず、点検等による停止を引くだけで、山元で計算する。
- ×
P=9.8×Q×Hである。重力加速度が抜けている。
- ×
揚水発電はコストという点では論外で、揚水に要するエネルギーに比較して発電エネルギーは30%も低くなっている。すなわち、全体としてはエネルギーを消費している。にもかかわらず揚水発電を行うのは、貯められない電気を水に替えてためておき、昼間の需要ピークに対応するためである。
- ○
そのとおり。
- ○
そのとおり。
- ×
調圧水槽はサージタンクという。ヘッドタンクは普通水槽で、上流の水路が無圧式の場合に設けられる。
-
○
そのとおり。
- ○
そのとおり。
- ○
そのとおり。
- ×
コンバイントサイクルタイプ火力発電は、運転・停止の切り替えが短時間で容易にできるため、需要の変化に即応した運転ができることが特長である。
- ○
そのとおり。
液状の危険物を貯蔵する屋外貯蔵タンクから危険物が漏えいあるいは流出したとき、その範囲を限定するために屋外貯蔵タンクの周囲に設置する堤で、鉄筋コンクリート構造、土盛り構造などのものがある。消防法令によっていろいろ規制されており、例えば、一つの屋外貯蔵タンクの周囲に設ける防油堤の容量は、当該タンクの容量の110%以上、二つ以上の屋外貯蔵タンクの周囲に設ける防油堤の容量は、その容量が最大であるタンク容量の110%以上、防油堤の高さは0.5m以上、一区画の防油堤の面積は80千m2以下などの規制がある。
- ×
一次冷却水と二次冷却水が逆である。その他の記述は正しい。
- ×
沸騰水型と加圧水型がほぼ半々である。
- ○
そのとおり。
- ×
水中放水のほうが、拡散範囲は狭くなる。
- ○
そのとおり。
- ×
一般には風荷重が支配的である。
- ×
地中送電線は、架空送電線に比較してコストが高くつく上に送電容量も小さい。しかし環境保全面で優れている。
- ○
そのとおり。
- ○
そのとおり。
- ×
高温で排煙することにより上昇速度を与え拡散を小さくするようにしている。
- ×
入れ替え頻度が少なくなる(つまり水が停滞する)と成層構造ができやすく、冷濁水現象が発生しやすくなる。
- ○
そのとおり。
- ×
放水口からの排水は、取水時に比べて5〜10℃程度温度が上昇しているため、取水口と放水口は500〜600m以上離して設置する。
- ○
そのとおり。
- ×
風力発電のエネルギー変換効率は約30%で、太陽光発電の約10%より高い。
- ○
そのとおり。
- ×
すでに商用化されている。
- ×
フライアッシュはセメント混和剤に使われている。また、アルカリ環境下でポゾラン反応により固化する性質があり、地盤改良などに活用されている。
- ○
そのとおり。