技術士第一次試験 専門科目演習問題(港湾及び空港) 最終更新:2004.09.17

 次の30問について、それぞれ正しい記述であれば○、誤った記述であれば×を解答欄に記入せよ。

  1. 防波堤には傾斜堤、直立堤、混成堤などがある。このうち直立堤は前面が鉛直である壁体を海底に据えた構造で、ここでの砕波によって波のエネルギーを散逸させるものである。

  2. 混成堤は、台形の捨石上の直立壁を設置したもので、捨石天端が浅いときは傾斜堤、深いときは直立堤の機能に近くなる。

  3. 消波ブロック被覆堤は、直立堤や混成堤の前面に消波ブロックを積み、消波ブロックで波のエネルギーを散逸させるものであるが、消波ブロック天端高は、直立部天端高と等しくしなければならない。

  4. 防波堤は、波浪の侵入防止だけでなく、船舶航行、泊地・航路への反射波、地盤状況、船舶の接岸・荷役・停泊等に支障をきたさない水域確保などを総合的に勘案して配置決定する。

  5. 防波堤の配置は、砂浜海岸においては漂砂の港内侵入を防ぐ機能もあわせ持ったものとするよう求められている。

  6. 防波堤の配置計画が妥当であるかどうかを定量的に判断する基準として泊地の静穏度があり、原則として年間を通じて90%以上の停泊または係留日数を可能とする静穏度を確保する必要がある。

  7. 浮桟橋は、潮位差が大きいところに有利であるだけでなく、漂砂などに対する影響が少なく、また新設・移設が簡単であるという利点があるが、波や潮流の激しいところには不適である、良質地盤でなければ適応不可であるなどの短所もある。

  8. 陸地から独立して、海上に支柱を立て設置する形式の係船岸をポンツーンという。

  9. 係留施設の計画水深は、対象施設の設計水深に余裕水深を加えたものとするため、一般に設計水深と計画水深は一致しない。なお、余裕水深は、構造形式・現地地盤水深・施工方法等により異なるので、慎重に決定する必要がある。

  10. 係留施設の天端高の設計基準となる潮位は、東京湾中等潮位(TP)とする。

  11. 浚渫船にはポンプ浚渫船、ドラグサクション船、バケット船、グラブ浚渫船があるが、硬質地盤にはグラブ浚渫船が適している。

  12. 浚渫船にはポンプ浚渫船、ドラグサクション船、バケット船、グラブ浚渫船があるが、ドラグサクション船は、航路など長大な区域の大量浚渫に適している。

  13. 港湾物流は、コンテナ輸送を抜きに語ることはできない。コンテナ化率(コンテナ貨物量/全貨物量)は年々上昇しており、今後とも加速すると思われる。これは木材輸送についても同様であり、コンテナ化による半製品の輸入増大により、貯木場の遊休化が全国で進んでいる。

  14. 港湾施設は地震により破損すると復旧が困難である一方で、非常時において被災地に物資を搬入する重要な施設でもあるため、耐震設計にあたっては一般に地震応答解析を行うこととされている。

  15. 岸壁の施工では、裏込め・裏埋めの後上部工を施工し、最後に前面浚渫を行って竣工とするのが一般的である。

  16. 近年の港湾工事において、最も使用頻度の高い地盤改良工法はサンドコンパクションパイル工法であるが、深層混合処理工法も使用頻度が増えつつある。

  17. 臨港道路の計画に当たっては、予想される交通状況や使用車両にかかわらず、道路構造令を用いなければならない。

  18. 施設計画・構造物設計・工事施工などに際しては、平均水面から主要4分潮の半潮差の和に相当する水位分を下げた、基準水準面(CDL)を基準面とする。

  19. 基準水準面は、どの港湾でも東京湾中等潮位(TP)より高くはならない。

  20. 環境影響評価法では、一定規模以上の公有水面埋立事業を題一種事業として定めており、港湾分野ではこれ以外に環境影響評価法の対象となり得る事業・計画等はない。

  21. 港湾計画において、港内の静穏を保つことは重要である。港口を2箇所以上設けると、静穏度の確保がむずかしくなるので、一般に港口は1箇所か2箇所である。

  22. 船は横風に弱いので、航路は強風の恒風方向に対して30°以上の角度を持たないように法線を設定すべきである。

  23. 突堤間の泊地幅をスリップといい、1本の突堤が3バース以下の場合は対象船舶の船長の1.5倍、4バース以上の場合は対象船舶の船長以上を確保する必要がある。

  24. 船まわし場は、対象船舶の船長の1.5倍を半径とする円以上の円の面積を必要とするが、引船回頭の場合は対象船舶の船長を半径とする円以上の円の面積が確保されればよい。

  25. 灯台は、重要港湾では各航路の外防波堤・内防波堤の片舷側に設置することとなっているが、避難港では主港口の両舷側に置くことになっている。

  26. 空港の騒音については、EPNL、WECPNLといった評価値が用いられる、。

  27. 混成堤の一般的特徴として、耐波性の強い構造物ができる一方で、波力に対しては複雑な機構を生ずることがあげられる。

  28. 係船施設は大きく重量型・矢板型・脚注型・浮遊型がある。矢板型係船施設の長所としては、施工設備が簡単で、工費・工期が比較的少ないことがあげられる。

  29. 浮遊型係船施設は、深い海やまれにしか使われない場所に用いられ、大小こもごもの船が利用する所や漂砂のある所、地震力のある所に有利であるが、干満潮位差の大きいところには不向きである。

  30. 空港の過走帯とは、航空機が離陸の際のオーバーランや、着陸時に滑走路の手前に着地するアンダーシュートに対する安全補完区域で、滑走路の両端に、滑走路と同じ幅で60mの区間に設けるものである。

<正解>

  1. ×
    波のエネルギーを散逸させるのではなく、反射させるものである。


  2. そのとおり。


  3. そのとおり。


  4. そのとおり。


  5. そのとおり。
  6. ×
    年間を通じて97.5%以上の停泊または係留日数を可能とする静穏度の確保を要する。

  7. ×
    浮桟橋は比較的軟弱な地盤にも適している。その他は妥当な記述である。

  8. ×
    記述はドルフィンのことである。

  9. ×
    「設計水深」と「計画水深」が逆である。

  10. ×
    係留施設天端高の設計基準となる潮位は、朔望平均満潮位とする。


  11. そのとおり。


  12. そのとおり。他の船の航行を妨げないで浚渫できるので、航路や運河といった船舶の輻輳するところの浚渫に適している。


  13. そのとおり。わが国の製造拠点がアジアに移転するとともにコンテナ化が急速に進んだ。100円ショップ製品などはコンテナ輸送の代表的な製品である。

  14. ×
    一般には震度法が用いられている。

  15. ×
    裏込め・裏埋めの後前面浚渫を行い、変形が収まるのを待ってから上部工を施工する。


  16. そのとおり。

  17. ×
    港湾発生交通状況や使用車両といったものが特殊なものになると予想される場合には、道路構造令ではなく、適切な荷重を検討しなければならない。


  18. そのとおり。

  19. ×
    基準水準面は港湾により異なり、TPより高い港湾も低い港湾もある。

  20. ×
    港湾計画は特例的に法の対象となり得る。

  21. ×
    港口は主航路の他に2箇所以上設けたほうがよい。

  22. ×
    強風の恒風方向に対して30〜60°の航路法線がとれるようにする。

  23. ×
    3バース以下の場合と4バース以上の場合の幅が逆である。


  24. そのとおり。

  25. ×
    重要港湾では両舷側、避難港では片舷側に設置することとなっている。


  26. そのとおり。


  27. そのとおり。


  28. そのとおり。

  29. ×
    干満潮位差の大きいところに向いている。


  30. そのとおり。