技術士第一次試験 専門科目演習問題(施工計画) 最終更新:2004.09.19

 次の30問について、それぞれ正しい記述であれば○、誤った記述であれば×を解答欄に記入せよ。

  1. アースドリル工法では、スタンドパイプを立てて地下水位面より2m程度高い孔内水位で孔壁崩壊を抑制するとともにマッドケーキでも孔壁を保護するため、深い杭の掘削が可能である。

  2. 打ち込み杭と場所打ち杭を比較した場合、場所打ち杭は廃泥水処理が困難であること、スライム処理が複雑であること、騒音・振動が大きいことなどから、市街地での施工には打ち込み杭を採用するのが一般的である。

  3. シールド工法は、都市トンネル施工方法の代表的なものである。地下水位の高い場所での掘削には、密閉型シールドを用いるとともに、圧気シールドにより湧水のための土砂崩壊を防ぐ。この時の気圧は、原則として掘削地点における静水圧に等しい圧力とする。

  4. 法面保護工には多くの種類があるが、そのどれもが法面背後の土圧に耐えられる構造を有しているわけではない。

  5. 法面保護工の1つである植生工は、法面表面に種子散布・客土吹付、張芝などを行い、侵食防止、景観形成を図るものであり、切土・盛土完了後速やかに施工するとともに、施工時期にも注意が必要である。

  6. モルタル吹付工は、法面表面にモルタルを吹きつけ、風化・浸食・表面水浸透防止を図るとともに、法面崩壊を抑止する。

  7. 切ばり式土留めは、現場状況に応じて支保工の数や配置の変更が柔軟にできるが、機械掘削には支保工が障害となりやすい。これに対してアンカー式土留めは、掘削面内に切ばりがないので機械掘削が容易である。

  8. 掘削底面が粘性土地盤である場合、土留め壁背後の土荷重による下向き応力が掘削面側への横向き応力、さらに掘削底面への上向き応力となり、掘削底面が隆起する現象を盤ぶくれという。

  9. 掘削底面が砂質地盤で、土留め壁背後との水位差が大きい場合に、多量の地下水が掘削底面から湧き出し、排水が追いつかないことがある。これをボイリングといい、何らかの止水措置が必要となる。

  10. 仮桟橋は、港湾工事において施工船舶の接岸等の用に供するため、H鋼や鋼板などで仮設した桟橋をいう。

  11. 弾塑性法とは、土留め設計手法の一つで、土留め壁および支保工を弾性体、地盤を弾塑性体として計算するものである。

  12. 流動化処理工法とは、流動状態にある浚渫泥などに固化材を混合して、埋立処分ができる程度に強固な土とする工法である。

  13. 廃棄物は一般廃棄物と産業廃棄物に分けられ、さらに一般廃棄物は特別管理一般廃棄物・管理型一般廃棄物・安定型一般廃棄物に細分される。

  14. 安定型産業廃棄物として処分できるのは、廃ブラスチック類、金属くず、ゴムくず、ガラス・陶器くず、木くずの5品目であり、これらは「安定5品目」と呼ばれている。

  15. 産業廃棄物はマニュフェストにより管理される。マニュフェストは産業廃棄物の排出者が発行し、最終処分まで受け渡された後に排出者に戻る。このマニュフェスト制度はすべての産業廃棄物に適用される。

  16. 会社事務所で残業の時に食べたカップラーメンの容器は、産業廃棄物として処理しなければならない。

  17. 建設リサイクル法により、一定規模以上の建築物等の解体等に伴って生じた特定建設資材廃棄物について、再資源化を実施することが義務付けられた。ここで特定建設資材とは、コンクリート塊・アスファルト塊・建設発生木材であり、これらの分別回収のため、分別解体を行う必要がある。

  18. 建設リサイクル法では、コンクリート塊を再生処理した再生クラッシャーランや再生骨材、アスファルト塊を再生処理した再生過熱アスファルト混合物などは、現場から一定距離(あるいは一定運搬時間)以内で入手できる場合には、用途・品質および経済性について検討した後に利用することとされている。

  19. 埋設物が想定される道路の掘削に際しては、施工者の責任において埋設物調査を行うが、埋設物管理者には調査後に書類をもって報告すればよい。

  20. くい打機など多大な騒音を発生する建設機械を使用する作業は、騒音規制法により「特定建設作業」として指定されており、これを行う場合には市町村長への届け出と、騒音レベル・作業時間帯・連続作業時間などの制約を受ける。このような規制が適当されるのは、知事が指定した区域に限られる。

  21. 騒音規制法・振動規制法により、特定建設作業には騒音・振動レベルの制限がかけられる。具体的には、騒音レベルについては最近接民家等において85デシベル以下、振動レベルは同じく75デシベル以下である。

  22. 工程管理表には様々なものがあるが、表形式で横軸に日程、縦軸に作業項目をとって、横棒グラフで工程管理を行うものをバーチャート、各作業の流れと関係を矢印と結節点で示し、相互関係を重視して工程管理を行うものをアローダイアグラムという。

  23. ネットワーク工程表において、所要日数が最短となる経路をクリティカルパスという。

  24. 工事費のうち一般管理費は、企業が運営を維持していくための必要経費であり、直接工事費・共通仮設費などとともに工事原価の中に含まれる。

  25. PFIとは、個別契約により発注者の代理人としてプロジェクト全体の品質・環境・コスト・工程・リスクなど、プロジェクトに関わる多くの要素をトータルにマネジメントし、限られたコスト・人員等で効果的・効率的に事業を推進しようとする管理手法である。

  26. バーチャート式工程表の短所として、工期に直接影響する作業を明示することができない点がある。

  27. 座標式工程表は工事区間毎に予定工程が座標で示されるので、これに施工実績を記入していけば区間毎の進捗状況が把握できる。

  28. ネットワーク式工程表は、作業が多様で複雑な工事には不向きである。

  29. 土木工事における品質管理手法として、ヒストグラムにより品質変動を判定することがあげられる。

  30. 管理図による品質管理において、規格限界線外に出るデータがあった場合でも、その点が2点以内で、かつ点の並び方に特に傾向がない場合は、その工程はひとまず安定状態にあると判断してよい。

<正解>

  1. ×
    記述はリバースサーキュレーション工法である。

  2. ×
    打ち込み杭は騒音・振動が多大であるため、市街地施工には向かない。場所打ち杭は廃泥水処理困難などは確かであるが、騒音・振動が比較的少ないため、市街地での施工に向いている。
  3. ×
    シールド上端からD/2〜D/3(Dはトンネル直径)の位置の地下水圧に等しい圧力とすることが多い。


  4. そのとおり。


  5. そのとおり。

  6. ×
    ごく小規模な抜け落ち型崩壊や落石に対しては、全体としてこれを抑える程度の効果はあるようだが、その構造上、土圧にはほとんど対抗できない。


  7. そのとおり。

  8. ×
    記述内容は盤ぶくれでなくヒービングである。

  9. ×
    ボイリングは、湧水量の多少ではなく、上向き浸透圧が掘削底面の土の重量を上回って土粒子が浮き上がってしまう、液状化現象を起こす状態をいう。対策としては、土留め壁の根入れ長を増やす、ウェルポイント等により地下水位を下げるといったことが考えられる。

  10. ×
    仮桟橋とは、工事車両通行・作業に供する作業構台・仮橋のことである。


  11. そのとおり。

  12. ×
    現場発生土に調整泥水と固化材を混合し、いったん流動化させて埋め戻しや裏込めに用いた後に固化させる工法である。

  13. ×
    特別管理・管理型・安定型に細分されるのは一般廃棄物ではなく産業廃棄物である。

  14. ×
    木くずではなく建設廃材。


  15. そのとおり。

  16. ×
    事業所本来の仕事に伴って出る廃棄物ではないので、一般廃棄物として処理する。廃棄書類なども同様である。


  17. そのとおり。

  18. ×
    用途・品質について検討し、問題がなければ、経済性にかかわらず利用することとされている。

  19. ×
    現場立会い等により、管理図面と現場を照合するべきである。


  20. そのとおり。ただし、指定区域外で騒音等により争議に至った場合は、周囲の現況から、指定区域内の同様の地域区分の規制を準用して判断が下されることが、騒音規制法の理念に照らして考えられる。「田舎は騒音規制法が適用されないから野放図にやっていい」というわけでは決してない。

  21. ×
    最近接民家ではなく、敷地境界での規制値である。


  22. そのとおり。

  23. ×
    最短でなく、最長となる経路がクリティカルパスである。

  24. ×
    一般管理費は工事原価には含まれない。

  25. ×
    記述の内容はPM(プロジェクト・マネジメント)である。PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)は民間資金・経営能力・技術的能力を活用して公共施設などの建設・維持管理・運営などを行う事業形式である。


  26. そのとおり。


  27. そのとおり。

  28. ×
    作業が多様で複雑な工事でも直接工期に関係する作業を把握することが可能なので、大規模で各種作業が複雑に関連する工事において活用されている。


  29. そのとおり。


  30. そのとおり。