技術士第一次試験 専門科目演習問題(鉄道)
次の20問について、それぞれ正しい記述であれば○、誤った記述であれば×を解答欄に記入せよ。
- 建築限界内には、建物その他の建造物等を設けてはならない。また、トンネル内では照明設備等がこれを犯すことがないよう、余裕を持ってトンネル断面を設計する必要がある。
- 緩和曲線は、直線と曲線の間をなめらかに走行できるように挿入された曲線で、一般に3次放物線とサイン半波長逓減曲線がある。3次放物線は設定が容易でないが乗り心地が良いので、新幹線に使われている。
- 鉄道の輸送需要予測には、4段階推定法が用いられる。これは、発生・集中交通量、分布交通量、機関別交通量、路線別交通量(配分交通量)の4段階に分けて、順次予測していく手法である。
- レールには、定尺レール、長尺レール、ロングレールがある。定尺レールは25m、長尺レールは25〜100m、ロングレールは100m以上のレールをいう。
- 定尺レールをつないでロングレール化することにより、保守軽減・騒音振動軽減などのメリットがある。これは一般に、現場において定尺レールを溶接していくことでロングレール化することで実施する。
- PCまくらぎは木まくらぎに比較して耐用年数が長く、また強度的に優れるものの、弾力性に劣るため、事故発生確率は木まくらぎに比較して高い。
- 曲線部を列車が走行する時、外側へ向かって遠心力が働くため、転倒を防止し乗り心地を良くするため、外側レールを高くして列車を傾かせながら走行させる。この内外レール高低さをカントといい、遠心力をちょうど打ち消すだけの量を設定する。
- カントを設けるにあたり、緩和曲線があるときは、この全長にわたってカントを設定する。
- 列車が曲線を走行する際に、軸が固定された車輪が曲線内で方向を変えられるよう、外側レールを広げることをスラックという。
- 脱線にはいろいろな形態があるが、最も多く発生しているのは乗り上がり脱線である。
- 緩和曲線、縦曲線、無道床橋梁には分岐器を設けてはならない。
- 駅に駐車場を整備し、ここまで自家用車で送迎してもらい、そこから鉄道で移動する交通方式をキス&ライドという。
- 鉄道敷設を行ったあと、これを他事業者に譲渡したり運送させたりする事業を、第2種事業という。
- 鉄道経営を、公共団体等と民間企業等の合同出資による会社が経営する方式を「第三セクター方式」といい、旧国鉄のローカル線を引き継いだ地方鉄道にのみ見られる経営形態である。
- 駅ホームには、上下線を両側から挟んだ相対式ホーム、上下線にホームが挟まれた島式ホームなどがある。島式ホームは相対式ホームより用地幅が狭いという利点があるが、上下線が同時に発着すると混雑し、また乗客がホームを間違いやすいという欠点もある。
- 鉄道の軌道には、広軌鉄道、標準軌鉄道、狭軌鉄道があるが、日本では広軌鉄道は採用されていない。
- エレベーター、エスカレーター、スロープ、身障者用トイレ、さらに誘導・警告ブロックなどにより、高齢者だけでなく身障者も安心して鉄道を利用できる環境をユニバーサルデザインという。
- 複数の交通機関の連携を通じて、利用者のニーズに対応した効率的な交通環境が提供される体系のことをマルチモーダル交通体系という。
- ICカードを利用した乗車券は、従来の磁気式カードに比べ、より多くの情報を記憶でき、カード自体で情報処理が行え、かつ高度なセキュリティ機能を有するという特長を有しており、まだ実際に導入はされていないが、強い期待がかけられている。
- 近年の交通施策の特徴として、鉄道・バス・タクシーなどの各種公共交通機関の積極的活用と連携により、多様なニーズに応えた効率的なサービス提供がある。
<正解>
- ○
そのとおり。
- ×
後半の記述は3次放物線ではなくサイン半波長逓減曲線のものである。
- ○
そのとおり。
- ×
長尺レールとロングレールの境界は100mではなく200m。
- ×
ロングレール化は、工場で定尺レールを溶接してロングレール化し、これを現場でさらに溶接するのが一般的である。
ただし例外として、地下鉄などレールの搬入が困難な条件では、定尺レールを現場溶接してロングレール化する。
- ×
事故発生確率は木まくらぎの方が高い。これは木まくらぎがPCまくらぎより強度・焼損・腐朽などの点で劣るためである。その他の記述は正しい。
-
×
遠心力を打ち消すカント(均衡カント)まで確保しなければならないわけではなく、安全率4で60mm程度までの不足カントが許容されている。
- ○
そのとおり。
- ×
外側ではなく内側レールを広げる。
- ○
そのとおり。
- ○
そのとおり。
- ○
そのとおり。交通結節点まで自らマイカーを運転するとパーク&ライドになる。
- ×
記述は第3種鉄道事業である。
- ×
第三セクターは、北総開発鉄道や泉北高速鉄道などの都市近郊鉄道などでも見られる。
- ×
ホームを間違いやすいのは相対式ホーム。島式ホームは、上下線乗り場が隣り合って一覧できるので、間違いにくい(もし間違えかけても振り向けばすむ。相対式だとホームからホームへ移動しないといけない)。
- ○
そのとおり。新幹線や近鉄などの私鉄は標準軌鉄道、JR在来線は狭軌鉄道である。
- ×
記述はバリアフリー化である。ユニバーサルデザインは、高齢者・身障者だけでなく、たとえば日本語に不安のある外国人や、妊婦、子供、思い荷物を背負った人なども含む、すべての人に使いやすい施設を提供しようという概念である。
- ○
そのとおり。
- ×
東京臨海高速鉄道の「りんかいSuica」、東急の「せたまる」など、すでに導入がなされている。その他、バス、マルチモーダルにも導入がすでに始まっている。
- ○
そのとおり。