技術士第一次試験 専門科目演習問題(都市及び地方計画) 最終更新:2004.09.12

 次の30問について、それぞれ正しい記述であれば○、誤った記述であれば×を解答欄に記入せよ。

  1. 都市計画区域は、都道府県が指定するが、この時、あらかじめ国土交通大臣の意見を聞くとともに、関係市町村および都市計画地方審議会と協議し、同意を得なければならない。

  2. 都市計画は、都市の無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため、すべての都市計画区域を区分し、市街化区域及び市街化調整区域を定めるものとする。

  3. 都道府県は、市または一定の要件に該当する町村の中心市街地を含み、かつ、自然的・社会的条件並びに土地利用等に関する現況からみて、一体の都市として総合的に整備・開発・保全する必要がある区域を都市計画区域として指定する。

  4. 都市計画区域は、複数の市町村にまたがり、また都道府県境を越えて指定することもできる。後者の場合、指定は国土交通大臣が行い、関係都道府県の意見を聞く。

  5. 都市計画区域外であっても、市町村が必要に応じて準都市計画区域を定めることができる。

  6. 市町村が準都市計画区域を指定しようとするときは、あらかじめ、市町村都市計画審議会の意見を聴くとともに、都道府県知事と協議して同意を得なければならない。

  7. 第一種住居地域は、主として住居の環境を保護するため定める地域である。

  8. 三大都市圏等(首都圏整備法に規定する既成市街地又は近郊整備地帯、近畿圏整備法に規定する既成都市区域又は近郊整備区域、中部圏開発整備法に規定する都市整備区域および政令都市)では、都市計画区域内は、市街化区域か市街化調整区域のいずれかに必ず区分しなければならない。

  9. 市街化区域とは、すでに市街地を形成している区域であり、市街化調整区域は、おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域を
    いう。

  10. 市街化区域については少なくとも用途地域を定めなければならないが、市街化調整区域については原則として用途地域を定めない。

  11. 都市施設には、道路交通施設、公園緑地、上下水道、電気ガス供給施設、学校図書館等、病院等があるが、この他に河川・運河その他の水路も都市施設である。

  12. 区域区分が定められていない都市計画区域(非線引き区域)についても、都市施設として少なくとも道路、及び下水道を定めなければならない。

  13. 都市施設は、円滑な都市活動の確保と良好な都市環境の保持を目的として、適切な規模で必要な位置に配置することとされている。都市計画区域の中で、市街化調整区域には都市施設を定めることができない。

  14. 市街地開発事業は、市街化区域または区域区分が定められていない都市計画区域内において一体的に開発・整備する必要がある土地の区域について定めるものであるが、必要に応じて市街化調整区域にも定めることができる。

  15. 市街地開発事業の施行区域内において建築物の建築をしようとする者は、例外なく都道府県知事の許可を受けなければならない。

  16. 市町村は、都市計画区域の整備、開発及び保全の方針に即した都市計画マスタープランを定めるが、このときこれを遅滞なく公表するとともに、都道府県知事の承認を得なければならない。
  17. 市町村が定めた都市計画が都道府県が定めた都市計画と抵触する時は、市町村長と都道府県の協議によって決定し、国土交通大臣の認可を受
    ける。この時、抵触部分については都道府県の都市計画が優先される。

  18. 準都市計画区域についての都市計画では、都市施設・市街地開発事業・地区計画については定めない。

  19. 用途地域に関する都市計画には、建築物の容積率(延べ面積の敷地面積に対する割合)を定めなければならない。

  20. 準住居地域は、道路の沿道としての地域の特性にふさわしい業務の利便の増進を図りつつ、これと調和した住居の環境を保護するため定める地域であるが、客席面積200m2未満のミニシアターや自動車修理工場、営業用車庫などは建設可能である。

  21. 都市交通計画は10年、20年といった長期を対象とすることが多いが、地区交通計画は短期を対象とすることが多い。

  22. パーソントリップ調査は、断面交通量観測の欠点を補うためトリップという概念が導入された調査方法である。トリップの1単位は、ある人がある交通目的を達成するために、出発地から目的地に到着するまでの徒歩を除く全交通過程であり、この過程において用いられる交通手段はトリップ内の属性として把握される。調査はアンケート方式で行い、全住民に対する抽出率は通常2〜10%程度である。

  23. 自動車起終点調査は、自動車を用いたトリップの起点と終点を地域別・目的別・交通事故区別に調査するもので、一般的にアンケート調査により行われる。我が国では、国土交通省が5年ごとに行う道路交通センサスへの導入が検討されている。

  24. 四段階推定法は、(1)発生・集中交通量の予測、(2)OD表を作成する分布交通量の予測、(3)OD交通量を各交通手段に分割する分担交通量の予測、(4)交通機関別の交通量を路線網に割り振る配分交通量の予測の順に行われる。

  25. 都市公園のうち住区基幹公園には、街区公園、近隣公園、地区公園および運動公園がある。

  26. 公共施設を美しい施設とする・地域の歴史文化に配慮するなどして、都市美を施設面から構成することをシビックデザインという。

  27. 土地区画整理事業は換地処分によって進められる。換地処分は、計画換地が決定した時点で、計画の内容を関係者に通知することにより行われ、公告してその効果が発生する。

  28. 市街地再開発事業には第1種事業と第2種事業がある。前者は権利変換手続きにより、また後者は用地買収方式により事業が進められる。

  29. 災害が発生した場合の迅速な救援・復旧を可能とする都市づくりが重要であり、そのためにインフラ施設やライフライン施設のリダンダンシー(冗長性・多重性)の解消が望まれる。

  30. ハザードマップ(危険予測図)は、各種災害によって想定される被害地域と被害規模を記した図面であるが、防災拠点や避難施設・避難経路などは通常記入しない。

<正解>

  1. ×
    「国土交通大臣」と「関係市町村および都市計画地方審議会」が逆である。大臣とは協議のうえ同意を得なければならないが、市町村は意見を聞くだけでよい。都市計画法は、国・都道府県といった上位機関の権限が強く、市町村の権限は非常に弱い(強制力はほとんどない)ことが特徴である。

  2. ×
    市街化区域・市街化調整区域のほかに、都市計画区域内であっても、発展が非活性な地域は非線引き区域とすることができる。


  3. そのとおり。都市計画区域として、どのような区域が対象となるかは、記述のとおり。
    「都市計画区域」に指定する場合の基準は以下のとおり。
     ア. 人口の規模・数
     イ. 産業分類別の就業人口の規模(地域・地区の指定に役立つ)
     ウ. 市街地の面積と土地利用の現状や可能性(区域の範囲の決定のため)
     エ. 交通量(道路や鉄道その他「都市施設」等の計画の資料となる)
     オ. その他の事項


  4. そのとおり。関係都道府県は、国土交通大臣に意見を述べるにあたっては、あらかじめ関係市町村・都市計画地方審議会の意見を聞かなければならない。


  5. そのとおり。準都市計画区域は都市計画区域外市町村が指定することを覚えるとよい。


  6. そのとおり。
    さらに市町村は、準都市計画区域について都市計画を決定しようとするときは、あらかじめ都道府県知事の意見を聴かなければならない。

  7. ×
    記述は第二種住居区域のものである。第一種住居区域は「住居の環境を保護するため定める地域」である。
    住居系の区域は、第一種の記述に「主として」が加わると第二種になると覚えておくとよい。


  8. そのとおり。都市計画法成立の背景であった三大都市圏等は、用途区域指定も都道府県が行うなど、無秩序開発に対して強い抑制が働いています。

  9. ×
    記述はいずれも市街地区域のものである。
    市街化区域は、すでに市街地を形成している区域は無論、さらに今後おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化した方がよい区域を加えるものである。市街化区域はこのように、積極的に建物を建てさせるべき区域である。
    これに対して市街地調整区域は、「市街化を抑制するべき区域とする。」とある。すなわち、原則的になるべく建物を建てさせない区域である。


  10. その通り。ただし、市街化調整区域では用途区域を「定めてはいけない」わけではない。


  11. そのとおり。都市施設には次のものがある。
     1.道路、都市高速鉄道、駐車場、自動車ターミナルその他の交通施設
     2.公園、緑地、広場、墓園その他の公共空地
     3.水道、電気供給施設、ガス供給施設、下水道、汚物処理場、ごみ焼却場その他の供給施設又は処理施設
     4.河川、運河その他の水路
     5.学校、図書館、研究施設その他の教育文化施設
     6.病院、保育所その他の医療施設又は社会福祉施設
     7.市場、と畜場又は火葬場(→建築基準法51条参照)
     8.一団地の住宅地設(一団地における50戸以上の集団住宅及びこれらに附帯する通路その他の施設をいう。)
     9.一団地の官公庁施設(一団地の国家機関又は地方公共団体の建築物及びこれらに附帯する通路その他の施設をいう。)
     10.流通業務団地
     11.その他政令で定める施設(施行令5条)
       ・・・・電気通信事業の用に供する施設又は防風、防火、防水、防雪、防砂若しくは防潮の施設

  12. ×
    道路・水道だけでなく、公園も定めねばならない。

  13. ×
    都市施設は都市計画区域内のどこでも定められる。

  14. ×
    市街化調整区域では市街地開発事業を定めることはできない。
    なお、市街地開発事業には、土地区画整理事業、新住宅市街地開発事業、工業団地造成事業、市街地再開発事業、新都市基盤整備事業、住宅街区整備事業の6つがある。


  15. そのとおり。

  16. ×
    承認は不要で、通知すればよい。


  17. そのとおり。


  18. そのとおり。準都市計画区域の都市計画に適用されないものとして、都市施設・市街地開発事業・地区計画、高度利用地区、特定街区、高層住居誘導地区などがある。


  19. そのとおり。各用途区域においては、容積率の他に、建ぺい率、高さの限度、敷地面積の最低限度、外壁後退距離の限度といったものが定められる。


  20. そのとおり。


  21. そのとおり。

  22. ×
    徒歩も調査対象交通手段に含める。

  23. ×
    道路交通センサスの一環としてすでに実施されている。


  24. そのとおり。

  25. ×
    運動公園は総合公園とともに都市基幹公園に分類される。その他、特殊公園として風致公園、動植物公園などがある。


  26. そのとおり。

  27. ×
    換地処分は、計画換地どおりに事業が施行され全工事が完了した後に、換地改革で定められた事項を関係者に通知することにより行われる。


  28. そのとおり。

  29. ×
    インフラ施設・ライフライン施設のリダンダンシーは災害に強い都市づくりに必要であり、リダンダンシーの確保が求められます。

  30. ×
    ハザードマップには通常、避難施設・避難経路なども記入される。