技術士第一次試験 模擬試験 −専門科目No.2− 専門科目の模擬試験を作ってみましたので、挑戦してみてください。
やや難度は高めにしてあります。35問ありますから、ここから25問を選択し、90分で14問正解できればOKだと思います。

正解と解説へ


 次の35問から25問を選択して問いに答えよ。

1.間隙率37%の土の土粒子密度が2.65g/cm3であった。間隙比は次のうちどれに最も近いか

  (1) 0.4
  (2) 0.5
  (3) 0.6
  (4) 0.7
  (5) 0.8


2.土の性質に関する以下の記述のうち、誤っているものはどれか。

  (1) 砂以上の粒径の土からなる地盤は、一般に水を含んでもその性質はあまり変化しないが、シルト以下の細粒分からなる地盤は水を含むことによってその性質が大きく変化する。
  (2) コンシステンシーは、土が水を含んだときの粘り具合やせん断強さの変化を示す指標で、力学的性質との間に様々な相関性があることが知られている。
  (3) 粘着力の少ない砂のような土では、多量の水を含むものが乾燥しても、液体から塑性体に移ったりせず、ばらばらの粒状体になって土の塑性限界は求められない。このような場合を非塑性という。
  (4) 砂のような粗粒で粘着性のない土の締まり具合の指標として、相対密度がある。これは、土の間隙比をe、最も緩い状態における間隙比をemax、最も密な状態における間隙比をeminとしたとき、(emax−e)/(emax−emin)で表される。
  (5) 湖沼成地盤が脆弱である原因のひとつとして、淡水中で活性の高い粘土が堆積すると、間隙の大きな構造が形成されるが、海水中で堆積すれば、比較的間隙の小さい地盤が形成されるという性質があげられる。


3.土の透水係数とその試験に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。(ガチンコ模擬試験をアレンジ)

  (1) 自然地盤では、一般的に水平方向の透水係数のほうが鉛直方向の透水係数より大きい。
  (2) 粘土の透水係数は、圧密試験によって得られる圧縮指数Ccと圧密係数Cvから求めることができる。
  (3) ある井戸から揚水し、2つの井戸の水位を測定することによって透水係数を求める方法(Thiemの方法)は帯水層が被圧されているような地盤でも適用できる計算式がある。
  (4) 水温が上昇すると水の粘性係数が小さくなるため、透水係数も大きくなる。したがって透水試験では、水温を測定し、温度補正をする必要がある。
  (5) 緩い状態のかなり均質な砂の透水係数は、経験的に有効径D10から推定できる。


4.テルツァーギの一次元圧密理論の根拠を成す仮定に含まれないものは次のうちどれか。

  (1) 土は全く均質である。
  (2) 土粒子の間隙は常に完全に飽和されている。
  (3) 土中の水分は全方向に三軸的に排水され、ダルシーの法則が完全に成立する。
  (4) ある種の土の性質は、土の受ける圧力の大きさにかかわらず一定である。
  (5) 間隙比−圧力の関係は理想的に直線化できる。


5.飽和粘性土では、非排水状態において、拘束圧力を増加しても、それだけ間隙水圧が増加し、有効応力は変化しない。このような特性に起因する現象や土質試験上の留意点として、誤っているものはどれか。

  (1) 三軸圧縮試験時に間隙水圧を測定して有効応力に基づいてモールの応力円を描くと、同じ大きさの応力円が横に並ぶ。
  (2) 有効応力に基づく破壊線を求めるには、初期含水比を異にする供試体について圧密非排水三軸圧縮試験を行う必要がある。
  (3) 側圧を変化させて求めたモールの応力円は等しい大きさの円となり、見かけの粘着力・見かけの内部摩擦角が得られる。見かけの内部摩擦角は0となる。
  (4) 非排水試験では、破壊時の軸差応力が側圧の大きさに関係なく一定なので、一軸圧縮試験から得た圧縮強さの1/2を粘着力とする。
  (5) このような特性は、粘性土の透水性が低いために、試験試料中の自由水の移動速度がきわめて遅く、排水試験を行うことがむずかしいことによる。


6.次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  (1) 鋼材のねばり強さ・もろさを表す指標として、曲げに弱く、もろい性質をぜい性、逆にねばり強い性質をじん性という。
  (2) 高張力鋼には高炭素鋼と低合金鋼があり、このうち高炭素鋼は開発初期のころに用いられたが、材質が硬く延性が小さいため、あまり使用されなくなった。
  (3) グルーブ溶接のほうがすみ肉溶接よりも応力伝達に無理がなく、確実な溶接ができるので、なるべくグルーブ溶接を用いるべきである。
  (4) AE(アコースティックエミッション)法とは、材料の亀裂の発生や進展などの破壊に伴って発生する弾性波(振動、音波)を利用した検査方法で、応力集中に敏感に反応するので、欠陥検出や強度推定などの材料評価に、また、破壊の進展過程をモニタリングできるので稼働中の構造物の保守検査に、新しい非破壊検査法として実用化されている。
  (5) 応力を繰り返し加えても、材料あるいは構造物に疲労が起きない応力度の限度を疲労限度または疲労限界応力度と言うが、これは材料のせん断破壊強度に比例する。


7.次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  (1) 鋼構造物で問題になる破壊形態の1つに疲労破壊(高サイクル疲労破壊)がある。これは、降伏応力より小さい応力であっても、繰り返し載荷により生じることがある破壊である。
  (2) 破壊が、十分な変形を伴って生じる場合を「じん性が大きい」という。
  (3) 応力を繰り返し材料に作用させると、さほど変形していなくても破壊してしまう現象がある。これを「疲労破壊」といい、作用応力が、降伏応力<作用応力<極限(破壊)応力である場合にのみ生じる。
  (4) 一般構造用圧延鋼材(SS材)にはリムド鋼、溶接構造用圧延鋼材(SM材)にはキルド鋼やセミキルド鋼が使われる。
  (5) 鋼材の引張強度より低い荷重でも、その応力を多くの回数繰り返して作用させると破壊がおきる。


8.コンクリートに関する以下の記述のうち、誤っているものはどれか。

  (1) コンクリートの打設後に、材料の比重の違いにより、練り混ぜ水の一部が浮かび上がり、表面に不純物の層を作る。この層をブリーディングといい、強度低下や剥離の原因になるため、コンクリートを打ち継ぐ場合は撤去する。
  (2) 固まる前のコンクリート(フレッシュコンクリート)の、水の多少による軟らかさを示す指数をスランプという。スランプは、スランプコーンの中にコンクリートを入れ、定められた手順で突きならした後にコーンを引き上げ、そのときの頂部からの下がりをpで表わした値をいう。試験方法は、「コンクリートのスランプ試験方法」として、JIS A 1101に規定されている。
  (3) スランプコーンを引き上げた後の試料の直径の広がりも、フレッシュコンクリートの軟らかさの程度を示す指標である。これを「スランプフロー」といい、JIS A 1101「コンクリートのスランプ試験方法」に規定されている。
  (4) フィニッシャビリティーを表す尺度として、一定面積当りの舗装コンクリートを仕上げるのに必要なフィニッシャーの振動数を採用する方法がある。
  (5) コンクリートなどに特別の性質を与えるために練り混ぜの前、または練り混ぜ中に加えられるセメント、水、骨材以外の材料を混和材料という、混和材料には、次のものがある。


9.コンクリートに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  (1) 「細骨材」とは、骨材のうち、5mm網ふるいを通過する成分のことをいう。
  (2) AE剤とは、コンクリートのワーカビリティーおよび耐凍害性を向上させるため、コンクリートなどの中に発生する空気泡を消す作用のある混和剤である。
  (3) アルカリ骨材反応とは、アルカリとの反応性を持つ骨材(シリカ鉱物)が、セメント中のアルカリイオン成分と反応し、コンクリートの膨張ひび割れ、ポップアウト(コンクリート中の骨材が膨張しコンクリートが劣化する現象)を生じさせる現象をいう。反応がコンクリート打設後きわめて短期間で発生するのが特徴である。
  (4) アルカリ骨材反応は、その反応成分の違いからアルカリシリカ反応(アルカリシリケート反応も含む)・アルカリ炭酸塩反応の2種に分けられるが、我が国ではアルカリ炭酸塩反応による被害が主である。
  (5) アルカリ骨材反応対策として、アルカリ骨材反応に関して無害と判定された骨材を用いることの他に、セメントを適切に選択する方法がある。一般に、高炉セメント・フライアッシュセメントよりポルトランドセメントはアルカリ骨材反応を生じやすい。


10.コンクリートに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  (1) コンクリート中の水とセメントの体積比を水セメント比といい、この値が大きいほど圧縮強度は低下する。
  (2) プラスチシティーとは、容易に型に詰めることができ、型を取り去るとただちに形を変え、くずれたり材料が分離したりするフレッシュコンクリートの性質をいう。
  (3) コンクリート中に発生する空気泡には、混和剤を用いないコンクリートに、その練り混ぜ中に自然に取り込まれる空気泡(エントレインドエアー)と、AE剤又は空気連行作用がある混和剤を用いてコンクリート中に連行させた独立した微細な空気泡(エントラップトエアー)がある。
  (4) コンシステンシーとは、フレッシュコンクリート、フレッシュモルタルおよびフレッシュペーストのせん断に対する抵抗性を表す指標である。
  (5) 「かぶり」(または「かぶり厚さ」ともいう)とは、鋼材、シースなどの表面とそれらを覆うコンクリートの外側表面までの最短距離のことである。


11.都市計画法に関する以下の記述のうち、誤っているものはどれか。

  (1) 都市計画区域外であり、かつ準都市計画区域外であっても、開発行為を行う区域の面積が10,000 平方メートル以上のものについては、都道府県知事の許可を受けなければならない。
  (2) 市街地開発事業は、市街化区域および市街化調整区域において、一体的に開発し、又は整備する必要がある土地の区域について定めるものである。
  (3) 都市計画区域は、複数の市町村にまたがり、また都道府県境を越えて指定することもできる。後者の場合、指定は国土交通大臣が行い、関係都道府県の意見を聞く。
  (4) 都市計画区域外であっても、市町村が必要に応じて準都市計画区域を定めることができる。
  (5) 市町村が準都市計画区域を指定しようとするときは、あらかじめ、市町村都市計画審議会の意見を聴くとともに、都道府県知事と協議して同意を得なければならない。


12.都市計画法に関する以下の記述のうち、正しいものはどれか。

  (1) 都市計画は、商工業との健全な調和を図りつつ、健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべき」ことを基本理念として定めるものである。
  (2) 準都市計画区域についての都市計画では、必ず、用途地域、特別用途地区、特定用途制限地域、高度地区、美観地区、風致地区、伝統的建造物群保存地区を定めなければならない。
  (3) 都市計画区域は、都道府県が指定するが、この時、あらかじめ国土交通大臣の意見を聞くとともに、関係市町村および都市計画地方審議会と協議し、同意を得なければならない。
  (4) 三大都市圏等(首都圏整備法に規定する既成市街地又は近郊整備地帯、近畿圏整備法に規定する既成都市区域又は近郊整備区域、中部圏開発整備法に規定する都市整備区域および政令都市)では、都市計画区域内は、市街化区域か市街化調整区域のいずれかに必ず区分しなければならない。
  (5) 市街化区域とは、すでに市街地を形成している区域であり、市街化調整区域は、おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域をいう。


13.河川計画に関する以下の記述のうち、最も適当なのはどれか。

  (1) 河川法は、河川について、洪水、高潮等による災害の発生が防止され、河川が適正に利用され、流水の正常な機能が維持されるようにこれを総合的に管理することにより、国土の保全と開発に寄与し、もつて公共の安全を保持し、かつ、公共の福祉を増進することを目的とするものである。
  (2) 河川には一級河川・二級河川・準用河川があるが、河川法において「河川」として法の対象としているのは、一級河川と二級河川である。準用河川は、一級・二級河川以外の河川で市町村長が指定したものとして、二級河川に関する規定を準用することとされている。
  (3) 河川区域は、左右岸の堤防にはさまれた区域、すなわち低水路、高水式および堤防高水護岸からなる。
  (4) 河川管理者は、都市部など密集地域で河川拡幅などが困難であると判断される場合は、当該河川管理施設に係る河川区域を、地下に限って、一定の範囲を定めた立体的な区域として指定することができる。
  (5) 計画高水位の決定に際しては、既往の最高水位に割り増し分を加えたものとすることを原則とする。


14.河川整備に関する以下の記述のうち、誤っているものはどれか。

  (1) 低水護岸の設置目的は、高水敷河岸や堤内地の保護である。
  (2) 内水の排水を容易にするため、また計画高水位が上昇しないようにするため、護岸などの維持に困難が生じない限り、計画河床高はできるだけ低くすることが望ましい。
  (3) 霞堤は連続堤の一部を開放した不連続な堤防で、洪水を逆流させピーク流量を低減する効果があり、急流河川で多く作られる。
  (4) 水制には透過水制と不透過水制がある。後者は水制の中を流水が透過しないもので、非越流型と越流型に分けられる。越流型は流水が水制の上部を越えて流れるもので、杭打ち水制、砕水制、牛水制などがこれに属する。
  (5) 固定堰は高さが低いので、基礎は岩着させずに砂礫層上に置くのが通常で、このような堰をフローティングダムという。フローティングダムでは、浸透水によるパイピングやクイックサンドといった現象に注意しなければならない。


15.ダムに関する以下の記述のうち、誤っているものはどれか。

  (1) アーチ式コンクリートダムは、谷幅が狭く、強固な岩盤基礎が確保できる箇所に適しており、設計における基本的仮定は三次元弾性体として解析を行う。
  (2) 重力式コンクリートダムは、ダム堤体の自重により水圧などの外力に耐えるように設計されたものであるため、高角度の断層や弱層に注意が必要である。
  (3) フィルダムは、基礎強さの制約は少なく砂礫基礎などでもよいが、遮水性・せん断強さ・パイピング抵抗性が要求される。
  (4) フィルダムは、遮水構造によって、ゾーン型・均一型・表面遮水型に分けられる。
  (5) 有効貯水容量に堆砂容量を加えると総貯水容量になる。


16.土石流に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  (1) 土石流は、急勾配の谷において、水を含んだ土砂・岩石が大量に流出する現象である。
  (2) 土石流の発生要因は、地形・地質などを素因として、降雨・地震などを誘因とすることが多い。
  (3) 土石流には泥流型土石流と砂礫型土石流があり、移動速度は前者がより速い。
  (4) 我が国の土石流危険渓流(人家5戸以上)はおよそ9万箇所ほどとされている。
  (5) 土石流対策として砂防ダムがある。砂防ダムは、透過型ダム・不透過型ダムがあり、コンクリート製の透過型ダムが一般的に多く見られる。


17.地すべりに関する以下の記述のうち、最も適当なのはどれか。

  (1) 斜面において、地すべりクラックの可能性のあるクラックを発見した場合、地盤伸縮計による観測を行うことで、地すべりブロック中のどこに位置するクラックであるかを推定する資料となる。クラックが引張り変動を示せば地すべり頭部、圧縮変動を示せば地すべり末端部(舌部)に位置するクラックである可能性が高くなる。
  (2) 地すべりの滑動状況として、比較的若い地すべりはクリープ性の変動を示すのに対し、すべり面のせん断強度が低下した古い地すべりでは、突然大規模な変動を生じたかと思うと、長期にわたって停止するなど、複雑な変動形態を示すことが多い。
  (3) 地すべりと斜面崩壊(がけ崩れ)は似ているが、一般に地すべりのほうが移動速度が緩慢であるとともに、斜面勾配が緩く、また規模が小さいことが多い。
  (4) 地すべりの安定解析計算を行うにあたっては、すべり面より上部のすべり土塊について、できるだけ多くの土質試料を採取してせん断試験を行い、総合的にせん断強度を決定することが望ましい。
  (5) 地すべり対策は、まず杭やアンカーなどの構造物によって地すべりを止めることを考え、これでは効果が不十分である場合に、地下水を排除するなどの抑制工法を検討するという手順が一般的である。


18.海岸整備に関する以下の記述のうち、最も適当なのはどれか。

  (1) 津波対策計画の潮位は、東京湾平均潮位をとるのが一般的である。
  (2) 海岸侵食は、護岸整備の進行、埋立地の増加などに伴い、近年は沈静化する傾向にある。
  (3) 離岸堤は、消波・漂砂阻止・静穏域確保などの目的で作られるが、陸側に堆砂するので、海岸侵食対策には好適であるが、港湾区域内の船舶が航行する付近に設置することは不適当である。
  (4) 海浜における移動限界水深のうち、表層移動とは、海底表面に突き出したいくつかの粒子が動き出す状態をいう
  (5) 海岸堤防と護岸は元来海岸浸食防止工法であるが、波返しその他の付加構造物によって、高波・高潮対策工としての機能も期待されるようになった。


19.港湾整備に関わる事業の区分について、図の[ア]〜[ウ]に入る言葉の正しい組み合わせはどれか。
(1) 港湾機能施設整備 港湾設備 臨海部土地造成
(2) 港湾設備 港湾機能施設整備 臨海部土地造成
(3) 港湾機能施設整備 港湾設備 臨海土地開発
(4) 港湾設備 港湾機能施設整備 臨海土地開発
(5) 港湾設備 港湾管理施設整備 臨海土地開発


20.港湾計画においては、気象・海象・土象・環境といった自然条件が港湾に及ぼす影響の大きいものについて現況を把握し、将来を予測する必要がある。自然条件に関する以下の記述の中で、最も不適当なものを選べ。

  (1) 風向とは風の吹いてくる方向であり、風速とは単位時間に空気の移動した経路の長さである。風向は16方位で表し、風速はm/secの単位で示し、小数点以下1位までの値で示す。
  (2) 低気圧の中心における最大の風速が34ノット(17.2m/sec)以上になったものが台風である。台風の大きさ、進行経路も重要な検討条件となる。海岸堤防の高さなどを定めるとき、既往最大の台風が最もその港湾にとって危険な経路をたどるものとして潮位や波浪を推定することが多い。
  (3) 海面の昇降の要因となるものは、普通重力波といわれる風波をはじめとして、月や太陽の引力による天文潮、気圧や風等の異常気象によって生じる高波などの気象潮、さらに海底の地殻変動などによって引き起こされる津波、港内や湾内に発生する長周期水面振動である副振動(せいしゅともいう)などがある。
  (4) 水深が非常に大きくなり、水深hと波長Lの比h/Lが無限大に近くなると仮定すると、波長・波速は並みの周期のみによって算定される。この波を深海波あるいは沖波という。
  (5) 満潮面と干潮面の高さの差を潮差あるいは潮位差といい、潮差の最大は朔(新月)および望(満月)の1〜3日後に起こり、これを大潮という。


21.発電・電力土木に関する以下の記述の中で誤っているものはどれか。
  (1) 揚水式水力発電は、昼間の需要ピークに対応することを目的としている。
  (2) 火力発電所に置いて発生する二酸化炭素量は、石炭>石油>天然ガスである。
  (3) 我が国の原子力発電は軽水炉であるが、これは減速材や冷却材に普通の水を使用するものである。
  (4) コンバインドサイクルタイプ火力発電は、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた新しい発電方式で、熱効率に優れているものの、運転開始・停止に長時間かかることが欠点である。
  (5) 鉄塔基礎の設計に際しては、上部構造に作用する力により、基礎にかかる応力として、圧縮力だけでなく引揚力も検討する。


22.新エネルギーに関する次の記述の中で、誤っているものはどれか。

  (1) 資源エネルギー庁の定義によれば、「新エネルギー」とは、「技術的に実用化段階に達しつつあるが、経済性の面での制約から普及が十分でないもので、石油代替エネルギーの導入を図るために特に必要なもの」を指している。
  (2) 自然のエネルギーを利用した太陽光発電、風力発電は無尽蔵でクリーンというメリットをもっているが、エネルギー密度が低く、まとまった電力を得るには広大な面積を要すること、天候など自然条件に左右され、安定性に欠けるなどの問題点も抱えている。
  (3) 太陽光発電は、バッテリーを組み合わせて家庭用電力を賄えるレベルにまで達している商品もあり、辺境の地に設置される観測所など、送電線が届いていない場所での発電方法としても注目され、実用化を目指した研究開発が進められている。
  (4) 風力発電は運転時にCO2などを出さないクリーンな発電方法であり、製造時の環境負荷も少ないが、低周波や風切り音などの環境問題がある。今後は発電効率と、騒音や野鳥保護など新たな環境負荷に対応していくことが課題である。
  (5) 燃料電池は、発電効率が高く、騒音や振動もなく、発電時にCO2も発生しない。また電気とともに、発電の際に発生する熱を給湯や暖房に利用するコジェネレーション・システムに使うことも可能で、ビルの地下など都市での活用に適している。自動車や家庭用などの燃料電池は実用化されているが、大規模な燃料電池発電はまだ研究開発の段階である。


23.道路交通量に関する次の記述の中で、誤っているものはどれか。

  (1) 交通容量とはある断面を1時間に通過し得る乗用車台数のことであり、このうち基本交通容量は、道路条件・交通条件が基本的な条件を満たしている道路での交通容量のことで、日本の多車線道路では、一般に220pcu/時/車線を用いる。
  (2) 可能交通容量とは道路条件・交通条件が対象道路の現実の条件による交通容量であり、これに各計画における交通量・交通容量比を乗じたものが設計交通容量である。道路計画に際しては、基本交通容量→可能交通容量→設計交通容量と補正していく。
  (3) 計画交通量とは、計画設計を行う路線の、将来通行するであろう自動車の年平均日交通量であり、設計時間交通量は、計画交通量×K値/100×D値/100である。
  (4) K値は年平均交通量に対する30番目時間交通量の割合、D値は往復合計の交通量に対する重方向の割合であり、いずれも時間・方向のばらつきの目安であって、都市部より地方部のほうが高い値を示す。
  (5) 昼夜率とは、1日24時間交通量÷昼間12時間交通量のことであり、道路の混雑度とは、交通容量÷交通量である。


24.道路構造に関する次の記述の中で、誤っているものはいくつあるか答えよ。

(ア) 1級道路の幅員は、第1種・第2種・第3種とも3.5mであるが、第4種道路では3.25mをとる。

(イ) 中央帯の幅は、1種道路で3〜4.5m、2種道路で1.75〜2.25m、3種道路で1.75m、4種道路で1mを原則とする。

(ウ) 道路の建築限界は、設計車両の高さ3.8m+余裕高として4.5mとするが、オーバーレイやクリアランス減少が考えられる場合には4.7m確保が望ましい。

(エ) 自転車道の建築限界高さは2.5mであり、建築限界内には、橋台・照明施設・信号機・街路樹・電柱・防護柵などの施設は設置してはいけない。


  (1) 0個
  (2) 1個
  (3) 2個
  (4) 3個
  (5) 4個


25.交通システム等に関する以下の記述の中で、最も不適切なものはどれか。

  (1) VICSとは、道路交通情報通信システムであり、渋滞情報・交通規制情報等をリアルタイムでカーナビに提供するシステムをいう。
  (2) デマンド交通システムとは、ノンストップ・コミュニティバスなど、バスを活用して渋滞の少ない快適な交通・生活の実現を目指す交通システムである。
  (3) TDMとは、交通需要マネジメントのことであり、道路混雑緩和のため、道路利用者の時間・経路・手段の変更、自動車の効率的利用、発生源調整等により交通需要量を調整する手法である。
  (4) 交通セル方式とは、都心周辺に環状道路を整備し、都心部をいくつかの地区に分割するとともに、セル境界には歩行者専用道路や駐車場を整備して自動車の進入を防ぐ方式である。セルからセルへの移動は、一旦都心の外へ出なければならないので、これにより通過交通を排除する。
  (5) スマートプレートとは、ナンバー情報や自動車登録情報を記録したチップをナンバープレート上に取り付けた電子ナンバープレートで、車両識別への活用など期待が高まっている。


26.鉄道に関する次の記述の中で、誤っているものはどれか。

  (1) 緩和曲線とは、直線と曲線の間の移行をなめらかにするために入れる、曲率が連続的に変化する曲線のことで、一般に3次放物線が使われる。新幹線はサイン半波長逓減曲線を用いるが、こちらのほうが乗り心地が良いとされる。
  (2) カントとは、曲線走行時遠心力に抵抗するための内外軌道の高低差のことで、乗り心地確保・転倒防止のために設けられる。緩和曲線があればその全長について、なければ円曲線端からカント値の400倍以上の直線部において逓減する。
  (3) PC枕木は木枕木に比べて耐用年数が長く、保守が軽減できる。道床抵抗も大きいのでロングレールに対応できる。
  (4) 脱線には、飛び上がり脱線、乗り上がり脱線、すべり上がり脱線があり、低速で曲線を走っている時に車輪がせり上がって脱線する乗り上がり脱線が最も多い。
  (5) 曲線では、車輪がレールにある角度をもって走行する。この角度がアタック角で、車輪の先のフランジがレールに接触しながら走る。


27.写真は、パリのリヨン駅のプラットホームである。このホームの形式を何と言うか選べ。

(1) 単式ホーム

(2) 相対式ホーム

(3) 島式ホーム

(4) 頭端式ホーム

(5) 切欠式ホーム

28.トンネル掘削に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか答えよ。

(ア) トンネル掘削工法のうち全断面工法は、小断面のトンネルや安定地質の地山で採用される。断面が大きいと、掘削・支保工施工に大型機械が使用できて効率的であるとともに、地山条件の変化に強い。

(イ) トンネル掘削工法のうちベンチカット工法は、上半断面・下半断面に分割して掘削するのが一般的である。ベンチ長さによりロングベンチ(全断面ほどではないが地山が安定しているときに適用)・ショートベンチ(広範囲の地山条件に適用)に細分される。課題として、地山変化に順応性が悪く、途中で段取変更が困難であることがあげられる。

(ウ) トンネル掘削工法のうち導坑先進工法には、側壁導坑先進工法、底設導坑先進工法、TBM先進工法などがある。

(エ) TBM(トンネルボーリングマシン)は、全断面工法で使用する掘削機械で、回転カッタで岩石を連続的に切削あるいは破砕して掘進するもので、安全性が高く、掘進が速い、掘削に伴う岩盤のゆるみが少ない、支保工の低減が可能、作業人員が少なくてすむ等の利点がある。ユーロトンネルで施工されたほか、日本では導水路、上下水道トンネルへの適用が90%以上を占めている。


  (1) 0個
  (2) 1個
  (3) 2個
  (4) 3個
  (5) 4個


29.トンネルに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  (1) シールド工法とは、シールドと呼ばれる掘進機を地中に推進させて、その中で安全に掘削・覆工を行う工法で、土砂地盤に適用される。一次覆工として組み立てる部材をセグメントという。
  (2) 圧気シールドとは、地下水位より低い所をシールド工法で掘削し、湧水があるとき、圧縮空気で気圧を上げて、湧水のための土砂崩壊を防ぐ工法をいう。
  (3) NATM工法とは、ロックボルトと吹付けコンクリートで地山変形を制御する支保方式であり、トンネル周辺地山の支保機能を利用して安定を図るので、早期に支保を行い地山劣化を防ぐ効果がある。
  (4) NATM工法の施工順序は、切羽掘削→ずり搬出→一次吹付→支保工・金網取付→二次吹付→ロックボルト打設である。
  (5) ロックボルトの効果として、縫付け効果、はり形成効果、内圧効果、アーチ形成効果の4つの効果があるが、そのうちアーチ形成効果とは、層理面など剥離しやすい面を貫通し一体化させることでアーチが形成されることをいう。


30.仮設に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  (1) 土留め壁には、親杭横矢板壁・鋼矢板壁・鋼管矢板壁・柱列式連続壁・地中連続壁がある。
  (2) 親杭横矢板壁とは、H鋼を間隔をあけて立て、矢板横にしてH鋼間に渡した土留め壁をいう。地上仮設である。
  (3) 支保工とは、土留め壁を支える構造物をいい、切りばり(たとえば向かい合う土留め壁の間に突っ張り棒として入れたH鋼)が一般的であるが、グラウンドアンカーを切りばりのかわりにすることもある(土留めアンカー)。
  (4) 地中連続壁とは、原地盤を置換または改良して構築した連続土留め壁をいう。
  (5) 路面覆工とは、開削工事において、工事用・一般車両通行のため開口部を覆う覆工板・覆工受桁・桁受け部材からなる仮設構造物をいう。


31.根切り掘削時に地盤に生じる異常現象(ア)〜(ウ)と、その現象の解説(A)〜(D)の正しい組み合わせはどれか。

(ア)ボイリング、(イ)ヒービング、(ウ)盤ぶくれ

(A) 粘性土地盤で、土留め壁背面の土が掘削面側に回りこみ、掘削底面が隆起する現象。

(B) 砂質地盤で、掘削部と周囲(土留め壁背面)の水位差が大きい場合、掘削底面で砂粒子が沸騰したように湧き上がる現象。
   上向き浸透圧>土の重量となって、地盤が液状化していることによる。

(C) 掘削底面が難透水層で、その直下に被圧帯水層がある場合に、掘削底面が浮き上がる現象。被圧水圧>土の重量となっている。

(D) 土中の浸透流により水みちができて土粒子が移動する現象。


 
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)


32.次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  (1) ガントチャートは、タスクガントチャートとリソースガントチャートに分類できる。このうちタクスガントチャートは、タスク(作業)が日程にしたがってどのように消化されていくかを示したものである。
  (2) アローダイヤグラムにおいて、全体工程の中での余裕(トータルフロート)がゼロである経路を、クリティカルパスという。
  (3) 建設リサイクル法では、一定規模以上の工事において、分別解体等に伴って生じた特定建設資材廃棄物について、再資源化を実施しなければならないことが定められている。
すべての産業廃棄物はマニュフェストにより管理される。マニュフェストは、排出者から中間処理業者、運搬業者などを経て、最終処分まで受け渡され、最後に排出者に戻る。廃棄物に関する責任は、排出者にある。
  (4) PFIは、民間の資金・経営能力・技術的能力を活用し、公共施設などの建設・維持管理・運営などを行う事業方式で、国外ではユーロトンネルなどの実施例があるが、国内での実施例はまだない。
  (5) CM(コンストラクション・マネジメント)は、発注者の代理人として工事発注者と施工者の間に入り、工程・原価・品質などプロジェクト全般の運営管理を行う手法で、コンストラクションマネージャーは、設計者、施工者と同じように発注者と個別に契約し、発注者の利益を最優先する。設計、工事の結果に関する責任は基本的にない。


33.環境影響評価の手順について述べた以下の(1)〜(5)の内容について、最も不適当なものはどれか。

  (1) 第二種事業は環境影響評価対象とするかどうかの判定が行われる。これをスクリーニング手続という。
  (2) 環境影響評価の最初に、環境影響評価実施計画を策定して方法書にまとめて公表し、これに対して国民・地方公共団体は意見を述べる。これら意見をもとに事業者はアセス方法を決定することとなっている。これをスコーピング手続という。
  (3) 事業者は決定した方法で調査・予測・評価を行い、その結果を準備書にまとめる。
  (4) 準備書に書かれた環境影響評価結果に対して、国民・地方公共団体は意見を述べる。これら意見をもとに事業者は評価書を作成する。
  (5) 評価書に対して環境大臣・許認可者は意見を述べ、これら意見をもとに事業者は報告書を作成する。


34.環境測定評価に関する以下の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  (1) 大気汚染物質のうち、窒素酸化物は1時間値の1日平均値で評価するが、硫黄酸化物は1時間値の1日平均値と1時間値の最大値で評価する。
  (2) 水質汚濁物質のうち、CODは化学的酸素要求量で、海域湖沼に適用される。
  (3) 特定建設騒音・特定工場騒音に関する規制基準は騒音規制法により定められているが、この場合の騒音レベルの評価は等価騒音レベルで行う。
  (4) 振動レベルについては、特定建設振動・特定工場振動に関する規制基準等があるが、一般地域の環境基準は特に定められていない。
  (5) 悪臭については、悪臭防止法に基づき、アンモニア、硫化水素などの悪臭物質に関する規制基準が定められている。


35.生物多様性に関する以下の文章の中で、[ア]〜[ウ]に入る最も適切な言葉の組合せを選べ。

生物多様性保全上の危機は3つ大別されるとされている。
第1の危機とは、人間活動・開発が直接的にもたらす種の減少絶滅、生態系破壊・分断・劣化を通じた生息域の縮小・消失である。
第2の危機とは、
[ ア ]の変化や人口減少など社会経済変化に伴い、自然に対する[ イ ]が縮小撤退することによる里地里山等における環境の質の変化、種の減少ないし生息状況の変化である。
第3の危機とは、移入種等による生態系の
[ ウ ]であり、近年問題が顕在化している。

 
(1) 生活様式 人為的働きかけ 攪乱
(2) 社会構造 人為的働きかけ 混乱
(3) 社会構造 保全措置 攪乱
(4) 産業構造 環境保全 保全
(5) 生活様式 保全措置 攪乱