平成22年度試験について 最終更新:2011.03.05 Top Page

試験日程
受験者数・合格率
新制度試験の内容
試験日程

22年度二次試験は、下記日程で行われました。
願書配布 平成22年4月1日(木)から・・・・窓口・郵送出願の場合のみ
出願期間 (インターネット出願)平成22年4月1日(木)から4月15日(木)
(窓口・郵送出願)平成22年4月16日(金)から5月6日(金)(土曜日・日曜日・祝日を除く。)
試験日 平成22年8月7日(土):総監部門の必須科目
平成22年8月8日(日):総監以外の部門・総監部門の選択科目
筆記発表 平成22年10月29日
技術体験
論文提出
平成22年11月11日まで(筆記試験合格者のみ)
口頭試験 平成22年12月上旬〜平成23年1月下旬
会場:渋谷フォーラム8(一部技術士会会議室)
合格発表 平成23年3月4日


受験者数・合格率

 部門別の受験率、合格率等を示します。全受験者数の56%を占める建設部門の合格率はかなり低いレベルです。また口頭試験合格率は平均82.3%ですが、60%台・70%台の部門も散見されます。
技術部門 受験
申込者
受験者
受験率 筆記
合格者
申込者に
対する
筆記
合格率
受験者に
対する
筆記
合格率
最終
合格者
口頭
合格率
申込者に
対する
最終
合格率
受験者に
対する
最終
合格率
機械 1,129 976 86.4 341 30.2 34.9 229 67.2 20.3 23.5
船舶海洋 10 10 100.0 3 30.0 30.0 3 100.0 30.0 30.0
航空宇宙 35 30 85.7 10 28.6 33.3 6 60.0 17.1 20.0
電気電子 1,821 1,472 80.8 235 12.9 16.0 213 90.6 11.7 14.5
化学 172 147 85.5 36 20.9 24.5 31 86.1 18.0 21.1
繊維 30 27 90.0 9 30.0 33.3 6 66.7 20.0 22.2
金属 151 132 87.4 65 43.0 49.2 40 61.5 26.5 30.3
資源工学 35 29 82.9 9 25.7 31.0 7 77.8 20.0 24.1
建設 20,425 15,304 74.9 2,305 11.3 15.1 1,927 83.6 9.4 12.6
上下水道 2,301 1,714 74.5 385 16.7 22.5 330 85.7 14.3 19.3
衛生工学 772 628 81.3 95 12.3 15.1 78 82.1 10.1 12.4
農業 1,172 878 74.9 231 19.7 26.3 189 81.8 16.1 21.5
森林 361 271 75.1 71 19.7 26.2 63 88.7 17.5 23.2
水産 168 136 81.0 31 18.5 22.8 30 96.8 17.9 22.1
経営工学 183 156 85.2 50 27.3 32.1 38 76.0 20.8 24.4
情報工学 721 618 85.7 95 13.2 15.4 63 66.3 8.7 10.2
応用理学 917 777 84.7 162 17.7 20.8 150 92.6 16.4 19.3
生物工学 91 78 85.7 19 20.9 24.4 15 78.9 16.5 19.2
環境 944 745 78.9 147 15.6 19.7 121 82.3 12.8 16.2
原子力放射線 189 164 86.8 45 23.8 27.4 38 84.4 20.1 23.2
合計
(総監以外)
31,627 24,292 76.8 4,344 13.7 17.9 3,577 82.3 11.3 14.7
総監 4,805 3,570 74.3 667 13.9 18.7 540 81.0 11.2 15.1
全体
合計
36,432 27,862 76.5 5,011 13.8 18.0 4,117 82.2 11.3 14.8

 昭和59年(1984年)以降の受験者数・合格者数・対受験者合格率の推移をグラフにしてみました。

 二次試験の受験者数は、長期的にもじわじわと増加を続けてきました。S59は技術士補制度が始まった年でもありますが、それには関係なく、それ以前、技術士制度そのものが始まったS33からずっと続いている傾向です。

 受験者の増加に反比例して合格率は低下します。試験の難度が上がったのか受験者のレベルが低下したのかはわかりません。しかし受験者の伸びが大きかったため、合格者数も増え続けてきました。
 これが、H11に技術士法改定に伴う新制度への移行が告知されると、増加率がいくぶんアップします。この時点では一次試験必須化があまり深刻に受け止められていなかったようです。そのこと自体を知らない人も多くいたことでしょう。

 そして技術士法が改正され、経験論文の枚数が減るとともに択一問題が導入されました。
 H13・14は一次試験合格が必須化されない暫定期間で、この時期にようやく一次試験必須化を深刻に受け止めたのか、受験者が殺到します。
 これに応じて合格者数も増加するのですが、合格率が一気に跳ね上がります。これは、合格ボーダーが下げられた(各科目60点というボーダーは変わらないが、トータル得点のボーダーが70点から60点に下げられた)ことが大きかったようです。

 H15に新制度に完全に移行し、一次合格が必須化されると、受験者数は激減します。当然合格者数も激減するのですが、ある意味「少数精鋭」的になったのでしょうか、合格率は25%に達します。

 H16以降、一次試験をクリアした受験生が再び受験をはじめ、受験者数は回復していきますが、逆に合格率は低下していきます。

 H19に試験内容が大幅に変更になりました。大きな変更点は、筆記試験から経験論文と択一問題が廃止され、経験論文は技術的体験論文となって口頭試験の一部になったことです。これにより当然予想されることは、筆記試験の合格率アップと口頭試験の合格率ダウンでしたが、それらは確かに実現したものの顕著ではありませんでした。そして合格率は横ばいでした。
 H20〜H22はH19の内容が踏襲されましたが、JABEE導入や筆記試験から経験論文が廃止されたことなどによる受験機運の高まり、景気の悪化に伴う危機感の高まりなどが原因と思われますが、受験者数は急激に伸び、25,000人を上回りました。しかしH22の合格者数は若干減少し、結果、合格率は15%を割り込み、新制度移行以来最低を記録しました。

 下図は、部門別の対受験者合格率です。
 合格率は最高の金属部門(30.3%)と最低の情報工学部門(10.2%)ではほぼ3倍の差があります。



新制度試験の内容

 19年度から始まった新しい内容の二次試験は、以下の3点に特徴があります。

  1. 筆記試験は知識問題から考える力を試す応用問題に変わった
    これまでと同じ部門一般記述問題と専門問題が出題されたため、「対策もこれまでと同じ」と思った人が多かったようですが、実は大きく変化しています。
    科目 確認される内容(採点対象)
    必須科目(部門一般) (H18)部門全般にわたる一般的専門知識
    (H19)部門全般にわたる論理的考察力と課題解決能力
    選択科目(専門問題) (H18)科目に関する一般的専門知識
    (H19)科目に関する専門知識と応用能力
    このように、部門全体、あるいは科目に関する知識があることを示せばよかったのですが、考える課程・応用力を試す問題に変わりました。
    こう書いても「それのどこがどう変わったのかピンと来ない」という人は多いでしょう。
    B評価答案に最もよく見られたのは、論理の飛躍・欠如(問題点と解決策の不一致)と問題点抽出の不十分です。
    論理の飛躍・欠如は、たとえば建設一般の少子高齢化社会の問題では、問題点として少子高齢化・財政逼迫をあげていながら解決策として脱モータリゼーションやコンパクトシティなど、問題点に対応していない方策を書くなどがあります。
    問題点抽出の不十分は、課題解決におけるボトルネックをきちんと抽出していないため、解決策も的を射ていると評価できないものが多く見られました。
    これでもまだピンと来ず、「じゃあどうしたらいいのかわからない」という人も多いでしょう。事例を示すのが一番ですが、長くなりますのでここでは省略します。事例を見たいという人はこちらの本に掲載しましたので、よろしければご覧になってください。
    言い換えれば、解決策が評価されるのではなく、解決策を導く過程が評価される試験になったわけです。これを認識せずに試験に臨むと、題意や与えられた条件から少々外れてもいいから暗記した答案を書くなどのことをしてしまい、解決策に至る過程(上記のような問題点の抽出やそれと解決策の対応など)が評価されずに不合格になったという人は少なくないものと思われます。

  2. 技術的体験論文はプレゼン資料的要素が強くなった
    当初から強調していたように、19年度からの口頭試験はプレゼンです。そして技術的体験論文はそのプレゼンで、自分の業務体験を試験官に理解してもらうための資料です。
    ですから、論文は読んで評価するのではなく、口頭試験の場でのプレゼン・質疑応答を踏まえて評価されます。
    このことは繰り返し申し上げてきましたが、にもかかわらず「いや、やはり論文は読んで評価されるだろう」という人が19年度にはいましたし、19年度の実績を踏まえてなおそのようなことを言っている人もいました。
    しかし、現実に19年度試験において試験官に配布されたマニュアルには、
    論文自体は採点の対象ではない。口答試験でのプレゼンテーションと、補足説明で試験官の疑問が解消されればいい
    ということが明記してあったそうです。
    プレゼン資料としての体験論文としてみるとき、重要なポイントは2つありました。
    1. 視覚的説明資料がふんだんにあること
      説明中に使えるような図表やフローを用意しておいて、「図-1をご覧ください」というようにこれを活用しながら説明することで、試験官の理解を助けるようなものが論文中にあれば、口頭試験の場で口だけで説明するよりずっと有利になります。
    2. 論文構成が理解しやすいこと
      この点は従来の経験論文でも大切で、私も「技術4割、読みやすさ6割」と言ってきましたが、読んで十分理解できなくても口頭試験の場で説明できるのですから、読みやすさはさほど大切ではなくなりました。
      それ以上に大切なのは構成です。特に
       情報整理→問題点(課題解決のためのボトルネック)抽出→それに応じた解決策提示
      というステップを明確に、また論理的つながりをもって表現できるかどうかです。
    これらを踏まえ、サイトでも理解しやすい図表類の多用と骨子法を奨励し、SUKIYAKI塾体験論文添削講座でも指導してきましたが、手書き→ワープロ、試験会場で作成→あらかじめ作成といった変化を有効に利用して、手書きでは到底作成不可能な図表などを駆使している人と、単に手書きがワープロに変わっただけで相変わらずのスタイルで論文を書く人と、かなり差がついたようです。
    そしてH22年度、体験論文について採点対象となるかのような「うわさ」が流れました。しかし体験論文の内容を踏まえて採点することは実は19年度から変わりません。採点項目に「技術的体験論文」という項目は相変わらずなく、また論文としての出来、すなわち試験官が論文を読んだときの評価のよしあしが口頭試験の採点に影響することも19年度からずっとあったことです。
    したがって、たとえば「図は少ないほうがいい」といった「論文・文章重視」に必要以上にこだわった体験論文対策は、かえって口頭試験での試験官理解を妨げる効果しかありません。
    論文として読んだときにも理解しやすく、また技術的に評価を受けなければなりませんが、そのために必要なのは上記の視覚的説明資料がふんだんにあることと、論文構成が理解しやすいことに他なりません。そして口頭試験本番でのプレゼンで力を発揮するのも、また上記2点なのです。

  3. 口頭試験は総監以外部門はマニュアル化し、総監部門はリテラシー確認化した
    総監以外部門の口頭試験内容は、ほぼ予想通りの傾向がありました。つまり、
     ●体験論文プレゼンが重要になる
     ●論文だけで評価されるのではなく口頭試験の場で評価される
     ●基礎知識確認が出て、これが意外と手ごわい

    の3点を予想していましたが、その通りとなりました。
    試験時間が従来の30分から45分に15分長くなりましたが、そのうち10分ほどを使って経歴や体験論文の説明をしろという例が多かったようです。従来と同様、簡単な説明の後試験官のほうから質問がどんどん出てくると思っていた受験生は時間が余ってしまったようです。10分使って濃密に説明した受験生との間には大きな差が開いたことと思います。
    また、試験官にはマニュアル・質問集が配布されていました。ここには、前述のような体験論文評価基準などが書かれていたようですし、また質問すべき内容と正解(キーワード)が書かれた分厚い冊子だったようです。
    つまり、口頭試験の内容(質問の内容や回答に対する評価)が試験官に一任されていたのが、マニュアル化が進んだといえるでしょう。このため、系統立てた準備が可能になりました。
    そして口頭試験で重視されたのは、結論ではなく過程です。すなわち課題解決プロセスの妥当性であり、これが不十分だと技術的体験論文の解決策の最適性に試験官が納得せず、「経歴および応用能力」項に×がついて不合格になっています。
    ひらめきに重きを置いた独創性を前面に出したり、結果を強調して過程を説明しないようなプレゼンをした人たちは過程や根拠の説明で突っ込まれて窮したようです。
    その後、20年度から22年度にかけて、試験官が新制度に慣れたのか、口頭試験の「自由度」が上がってきている傾向にあります。試験時間は45分にこだわらず、30分少々で終わることも珍しくなくなりましたし、専門知識に関する質問は「質問集」に頼らないものも増えました。
    また、特に技術者倫理については、3義務2責務を諳んじるだけでなく、その意味や意義などに言及した、深い理解を試す質問も多くなりました。
    一方、総監部門は私自身も19年度に受けましたが、いろいろな仮想事例やたとえ話を出して、総監の発想・総監的対応ができるかという総監リテラシーを確認しよう、付け焼刃の総監技術でないことを確認しようという意図が強く感じられるものでした。人によっては雑談のような、人によってはつかみどころのない、手ごたえの感じられない面接だったのではないかと思います。
    また、経歴票の重要性が増したことも特筆すべきでしょう。総監以外部門・総監部門とも、経歴票の中から任意の期間をピックアップして、あるいは「体験論文に書いた以外で」という指定で、技術士にふさわしい、あるいは総監技術士にふさわしい事例を示すことを求められたりしたという人が多くなっています。
    その後、20〜22年度と、自由度がさらに上がるとともに、質問のレベルが明らかに上がってきています。22年度は体験論文には触れず、経歴の中から総監の発想・判断力を確認する質問が多く出されました。

 こういった新制度試験に対応するためには、従来から挑戦を続けている人は、全科目について頭を切り替えることが大切です。筆記試験を想定問題+答案暗記で乗り切ろうとしたりキーワードを並べて点数を稼ごうとしたり、技術的体験論文を独創性だけで乗り切ろうとしたり結果主義で説明したり、これらは全て×です。
 また新たに挑戦しようという人は、上記のようなことを先輩に指導されたりしても鵜呑みにしないことが大事です。18年度以前の試験はなかったものとして、19〜22年度試験内容を参考に対策を進めてください。