技術士第二次試験 平成15年度 総合技術監理

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※択一解答は、臨時掲示板での情報から作成しました。
 異論や情報などありましたら、掲示板あるいはメールにてお願いします。


択一問題

 次の40問題をすべて解答せよ。


問1 QC7つ道具として使われるもので,次に説明する道具は@〜Dのうちどれか答えよ。

  「不良や欠陥などを項目別に層別して出現頻度を大きさの順に並べるとともに,累積和を示した図」

(1) PERT図   (2) 特性要因図   (3) ヒストグラム   (4) パレート図   (5) チェックリスト

解答は4
青本p.24


問2 設備保全に関する次の文章は,(1) 〜(5) のどの用語の説明か答えよ。

  「設備の劣化傾向を設備診断技術によって管理し保全の時期や修理方法を決める方式」

(1) 定期保全   (2) 日常保全   (3) 保全予防   (4) 改良保全   (5) 予知保全

解答は5
青本p.42


問3 生産者は,製品の購入者が製品の欠陥により身体的・財産的損失を披らないよう努めなければならない。
   以下の項目は,製造物責任を果たすための活動であるが,それに該当しないものを選び答えよ。

(1) 消費者の思いがけない使用を想定した安全性評価
(2) 消費者の誤った使い方への警告表示や,わかり易い取扱説明書の整備
(3) 消費者がリサイクルし易くするための材料名の表示
(4) 製品安全にかかわる事故予測や故障メカニズムの解析
(5) 製品が使われる環境や使われ方の検討・予測

解答は3
青本p.28のPL法。3以外の記述があります。


問4 設備管理について説明した以下の文章で最もふさわしくない表現を選び答えよ。

(1) 設備管理では,企業の生産性を高めることが重要である。
(2) 設備管理では,経済性を技術的活動より常に優先させることが重要である。
(3) 設備管理では,設備が故障しないよう常に信頼性を高めることが重要である。
(4) 設備管理では,故障した時の修理が短時間でできる保全性を常に保つことが重要である。
(5) 設備管理では,出来るだけ少ない費用で信頼性や保全性が確保されるよう経済性を考えることが重要である。

解答は2
青本p.40に2以外の記述があります。


問5 ファクトリーオートメーション(FA)とオフィスオートメーション(OA)を比較した次の文章のうち,間違った説明はどれか答えよ。

(1) FAは一般に,生産の多様化,生産組織の変化に対応しようとする。OAは一般に,仕事の変化,意思決定の変化に対応しようとする。
(2) FAは一般に,工業生産の自動化・無人化を目的とする。OAは一般に,事務作業・機能の自動化を目的とする。
(3) FAは通常,有形の物を対象とする。OAは通常,情報を対象とする。
(4) FAは一般に,管理部門に適用される。OAは一般に,生産部門に適用される。
(5) FAのハードウェアとしてはNC工作機,CAD/CAMなどがある。OAのハードウェアとしては画像入力装置,ワープロなどがある。

解答は4
FAは生産部門、OAは管理部門です。


問6 次の中でISO 9000:2000 における「品質の定義」に最も近いと思われるものはどれか答えよ。

(1) 品質は,規格との適合の程度
(2) 品質は,品物又はサービスが使用目的を満たしているかどうかを決定するための評価の対象となる固有の性質・性能の全体
(3) 品質は,使用者に与える損失の程度
(4) 品質は,顧客の満足度
(5) 品質は,本来備わっている特性の集まりが要求事項を満たす程度

解答は5
JIS Q 9000:2000(ISO9000:2000)のp8 3.1.1項に、品質の定義として「製品、プロセス、またはシステムに本来備わっている特性が顧客の要求を満たしている度合い」とあります。


問7 次のPERTについての説明文の中の(ア)と(イ)に入る言葉の組合せで適当と思われるものを(1) 〜(5) の中から選び答えよ。

「PERTは,プロジェクトの作業一覧,各作業の所要時間,各作業の(ア)を入力とし,プロジェクト全体を最短の時間で仕上げるために,各作業を開始すべき時刻を求める日程計画法である。そこでは(イ)がゼロである作業からなるクリティカルパスが重要で,このパス上の作業については特にしっかりとした日程管理が必要である。」

    (ア)      (イ)
(1) 並行作業 追加費用
(2) 先行作業 自由余裕時間(フリーフロート)
(3) 先行作業 総余裕時間(トータルフロート)
(4) 並行作業 自由余裕時間(フリーフロート)
(5) 並行作業 短縮可能性

解答は3(または2)

正解について議論があった問題です。
クリティカルパスはトータルフロートがゼロのもの(青本p.46の表2-8)であるというのが根拠です。
一方、「(イ)がゼロである作業からなる」とあるので、経路(パス)ではなく個々の作業を指している。だから(イ)に入るのはトータルフロートではなく、フリーフロート(後続作業に影響を与えない余裕時間)ではないかという意見がありました。フリーフロートがゼロである作業が集合した経路は、トータルフロートが当然ゼロであり、クリティカルパス以外にならないということです。
日本語の表現の問題のようになってしまい、やや不適当な問題だと思います。


問8 シミュレーションに関する以下の説明のうち,適切でないものを選び答えよ。

(1) シミュレーションは対象とするシステムの挙動を主としてコンピュータ上で模倣するための手法である。
(2) シミュレーションは数学的ないしは論理的なモデルに基づいて行われる。
(3) 乱数を用いたシミュレーションでは,結果の解釈に統計的考察が必要である。
(4) 確定的な数値を用いたシミュレーションを一般にモンテカルロシミュレーションと呼ぶ。
(5) シミュレーションの結果の妥当性は慎重に検討する必要がある。

解答は4
モンテカルロシミュレーションが扱うのは乱数です。


問9 リーダーがその集団の協働を促進するため,構成員に影響を与える影響力の源泉として最もふさわしくないものは次のうちどれか答えよ。

(1) 幅広い情報・知識・経験,優れた実績
(2) 好ましい対人関係,共感を生む表現力・対話力
(3) 構成員のどんな異論に対しても自分の考えを貫徹する姿勢
(4) 必要な諸資源を集めることかできるネットワーク
(5) 高い評判,組織から公式に与えられた権限る。

解答は3
常識感覚の問題です。


問10 企業等の組織は技術的組織と人的組織との二面性があり,さらに人的組織には公式組織と非公式組織とがある。この非公式組織に関する記述として最も適切でないものは次のうちどれか答えよ。

(1) 従業員がどの程度働き,どの程度規律を守るかなどは非公式組織内で決まることが多い。
(2) 非公式組織は1つの単位となって同じ動きをするので,それがパワーの源泉となる。
(3) 従業員が非公式組織に受け入れられなければ,その人は職場で気持ちよく働くことが出来ない。
(4) 職場での真似の対象や刺激の源泉は,非公式組織内の尊敬できる人,互いに切磋琢磨しあう人であることが多い。
(5) 組織管理者側は,非公式組織の活動に対し一切関与してはならない。

解答は5
@〜Cは青本p.67に記載されているままです。
Dは青本p.63に「非公式組織への管理からの積極的なアプローチなどが求められる」とあります。


問11 労働関係法のうち,次を目的とする法律は(1) 〜(5) のうちどれか答えよ。

「労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進することにより労働者の地位を向上させること,労働者がその労働条件について交渉するために自ら代表者を選出することその他の団体行動を行うために自主的に労働組合を組織し,団結することを擁護すること並びに使用者と労働者との関係を規制する労働協約を締結するための団体交渉をすること及びその手続を助成すること」

(1) 労働基準法
(2) 労働安全衛生法
(3) 労働組合法
(4) 地方公営企業労働関係法
(5) 労働関係調整法

解答は3
労働組合法第1条です。 


問12 次の労働基準法についての説明文の中の(ア)及び(イ)に入る正しい祖合せは(1) 〜(5) のうちどれか答えよ。

「労働基準法では,使用者が時間外又は休日に労働させた場合においては,通常の労働時間又は労働日の賃金の(ア)以上(イ)以下の範囲内で,政令の定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなけれぱならないことが規定されている。」

    (ア)   (イ)
(1) 二割五分 四割
(2) 二割五分 五割
(3) 二割五分 六割
(4) 三割五分 五割
(5) 三割五分 六割

解答は2
労働基準法第37条です。 


問13 労使紛争において,「あっせん」,「調停」,「仲裁」という3段階の争議調整を行う機関は,次のうちどれか答えよ。

(1) 裁判所
(2) 労働基準監督署
(3) 都道府県労働局
(4) 労働委員会
(5) 職業安定所

解答は4
青本p.62に労働委員会が行うことが明記されています。 


問14 日本企業の代表的な「組織文化の型」に関する次の説明は(1) 〜(5) のどの例かを答えよ。

「変化に対しては消極的で,皆の知恵を集めながら協働を行う」
(1) チャレンジャー型  (2) リーダー型  (3) ガリバー型  (4) トップ主導型  (5) イノベーション型

解答は3
青本p.55に明記されています。 


問15 次に示す労動力の体系の(  )に入る用語として(1) 〜(5) のうち最も適切なものを答えよ。

(1) 完全失業者  (2) 雇用者  (3) 自発的失業者  (4) 求職意欲喪失者  (5) 非自発的失業者

解答は1


問16 従業員の労働意欲を引き出すため,組織として与えられるインセンティブに関する次の記述のうち,最も適切でないものはどれか答えよ。

(1) 物質的インセンティブ:モノ・カネによる物質的な欲求を満たす方法
(2) 評価的インセンティブ:組織内での行動を何らかの形で評価する方法
(3) 人的インセンティブ:上司等の人間的魅力,居心地の良さ,グループヘの所属意識向上による方法
(4) 理念的インセンティブ:組織の思想や価値観を達成意欲の源泉とする方法
(5) 自己実現インセンティブ:各個人が自らの欲求に従い,目標を持ち努力していく方法

解答は5
青本p.54の内容と異なるのは(5)です。 


問17 インターネットで,電子メールやホームページを利用する場合に,安全性を確保するための方法として,ふさわしくないものは次のうちどれか。

(1) 暗号化  (2) パスワード  (3) ファイアウォール  (4) クラッキング  (5) ワクチン

解答は4
クラッキングとは、「他人のコンピュータのデータやプログラムを盗み見たり、改ざんや破壊などを行なったりする行為」です。
よって安全確保のための方法とは逆なので×。 


問18 次の中から情報セキュリティ対策として適当でないものを選び答えよ。

(1) 第三者に情報が漏れないようにアクセス権をコントロールする。
(2) なりすましにより第三者がシステムを利用することを防ぐ。
(3) システム利用に関する各種ログデータを適切に保存,管理する。
(4) 提供する情報の身元が正当であることを保証する。
(5) 提供する情報内容の正確さを保証する。

解答は5
情報の正確さはセキュリティとは別問題です。 


問19 次のうち,インターネットビジネスに関連する用語の説明として適切でないものを選び答えよ。

(1) インターネット上で商品の売買を行うことが可能なサイトのことをインターネットショップという。
(2) インターネット上で商品の売買を行う商店を集めたサイトのことを電子モールという。
(3) 本店と支店を専用通信回線で結び業務の効率化を図っている銀行をネットバンクという。
(4) 金銭的な価値を電子情報化し,ネットワーク上で決済するために使用される仮想的なお金のことを電子マネーという。
(5) 電子商取引において電子的な情報によって相手を確認したり,通信内容が正しいことを確認・証明することを電子認証という。

解答は3
そのようなことは普通の銀行でもやっており、またネットバンクは支店を持ちません。 


問20 知的財産権について述べた次の文章のうち,誤った記述を選び答えよ。

(1) 特許法や実用新案法では,人間の知的創造活動の成果である発明や考案を保護している。
(2) 半導体集積回路の回路配置は,半導体集積回路の回路配置に関する法律により保護されている。
(3) 工業所有権の最大の保護期間は,特許権20年であり,実用新案権,意匠権,商標権はすべて10年である。
(4) 不正競争防止法では,営業秘密の不正な取得・使用,商品の品質・内容を偽る表示などの不正な競争行為を規制している。
(5) 意匠法では,物品の形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合であって視覚を通じて美観を起こさせるものを保護の対象とする。

解答は3
実用新案6年、意匠15年です。 


問21 以下に述べる用語の説明の中で最も不適切と思われるものを選び答えよ。

(1) デジタルデバイド:コンピュータを使いこなす能力の有無によって生じる上方格差
(2) ナレッジマネジメント:知的財産権を守るために,主要製品の関連特許を戦略的に取得していくマネジメント手法
(3) ビジネスモデル特許:主としてインターネット上におけるビジネス方法に関連する特許
(4) データマイニング:コンピュータを利用し,膨大なデータの中から役に立つ情報パターンを発見する予法
(5) デファクトスタンダード:市場の競争の結果として定まる事実上の標準

解答は2
ナレッジマネジメントとは、ビジネス目的達成のため、知(知識)を共有・活用できるようにする知の管理システム手法です(青本p.86)。  


問22 インターネットで最近よく用いられる次の用語の説明のうち,最もふさわしくないものを選び答えよ。

(1) VoIP:画像などを送るデータ通信回線と同じ回線に電話などの音声データの送信を統合するネット技術
(2) ブラウザ:ホームページを閲覧するソフトウェア
(3) TCP/IP:現在最も普及しているインターネットのプロトコル
(4) ポータルサイト:WWWブラウザを利用する場合,入り口となるWebサイト
(5) スパムメール:電子掲示板への書き込みメール

解答は5
ネットで調べました。
-------------
スパムメールとは、無差別に送信される大量のメールの事で、不特定多数に送信され、ダイレクトメールや怪しい勧誘など、詐欺まがいの情報、「不幸の手紙」や善意を装ったチェーンメールなど、迷惑とされる電子メールのこと。
メール送受信料は受信者の負担になるため、読む価値がなく、頼んでもいないのに受信者の都合を考慮せず一方的に送られてくるこうしたスパムメールは、悪質な迷惑行為とされている。たとえ常時接続の時代がきても迷惑である。 


問23 「あなたが使用しているパーソナルコンピュータ(PC)から発信されたウィルス付メールを受信した。」という連絡を受けた。このとき,まず最初に行うべき処置を次の中から選び答えよ。

(1) ウィルス駆除ソフトを使って疑わしいPCからウィルスを駆除する。
(2) 疑わしいPCの電源を落とす。
(3) ウィルス付メールを受け取った相手に詳細を問い合わせる。
(4) 疑わしいPCをネットワークから切り離す。
(5) 疑わしいPCに保存された重要なファイルのバックアップをとる。

解答は4
2か4が考えられますが、たとえば(財)日本データ通信協会/ウィルスコンサルティングセンターに「コンピュータの電源を切る、使用中のプログラムを終了する、また何か文字を入力するといった行動は避けてください。ウイルスの中には、ハードディスクのFAT(ファイルアロケーション・テーブル)の内容をメモリにコピーした後、本体の方を削除してしまうものがあります。このようなウイルスに感染している場合、コンピュータの電源を切ってしまうとハードディスクのデータは永遠に失われてしまいます。」とあります。(こちら) 


問24 人間の心理的な隙をついてコンピュータを不正に利用しようとする技術をソーシャルエンジニアリングと呼んでいる。ソーシャルエンジニアリングによる例として最も近いものを(1) 〜(5) の中から選び答えよ。

(1) 基本ソフトウェアに存在する不具合を攻撃されて,システムに侵入された。
(2) パスワードを書き留めたメモをゴミ箱に捨てたところ,これを使ってシステムに不正アクセスされた。
(3) ネットワークサーバで誤った操作を実行したため,サーバ内の機密情報が漏洩した。
(4) サービス拒否攻撃を受け,ネットワークシステムが機能を停止した。
(5) ネットワーク回線を盗聴され,通信内容が漏洩した。

解答は2
セキュリティ用語辞典によれば、正解は2です(こちら)。 


問25 システムの安全に関する次の記述のうち、誤りと思われるものはどれか答えよ。

(1) 人間の過失などが原因で信頼性や安全性を損なわないように工夫することは、フールプルーフの考え方である。
(2) 信頼性の高い部品の使用やバグのないソフトウェアの開発などにより、設計や製造などにおいて、構成要素の故障が発生しないようにする方法をフォールトアボイダンスと呼ぶ。
(3) フォールトトレランスとは、システムを構成している一部に不具合が生じても、他の部分がそれをカバーして、システムを正常に機能するようにすることをいう。
(4) 2 out of 3とは、3つの系で冗長化システムを構成し、常時は2つの系で動作させ、1つの系に故障が発生したら、残りの系と入れ替えて、システムを継続運転するシステムのことをいう。
(5) 故障が存在しても機能又は性能を縮退しながら要求する機能を遂行し続ける設計上の性質をフェールソフトという。

解答は4
消去法でわかります。なお、2 out of 3は、3つのスイッチのうち2つ以上がオンされないと作動しないようにした多数決システムによる安全制御方法だとのことです。 


問26 労働安全衛生法の安全管理者についてのア〜オの記述のうち,誤っているものがいくつあるか,その数を答えよ。

ア.建設業,運送業,製造業では,常時25人以上の労働者を使用する場合は,安全管理者を選任しなければならない。
イ.労働基準監督署長は,労働災害を防止するため必要があると認めた時は,事業者に対して,安全管理者の増員,又は解任を求めることが出来る。
ウ.安全管理者は,選任すべき事項が発生した日から,14日以内に選任する必要がある。
エ.すべての安全管理者は,その事業場で専属の者でなければならない。
オ.建設業では,常時300人以上の労働者を使用する事業場においては,安全管理者のうち少なくとも一人は,専任の安全管理者でなければならない。
(1) 1個  (2) 2個  (3) 3個  (4) 4個  (5) 5個

解答は2
正解はイ、ウ、オです。イは労働安全衛生法第11条、ウとオはこちら。アは「50人以上」で×。エは規則4条2項により×。よって誤りは2個。 


問27 リスクを特定(identify)する方法として不適切なものを次の中から選び答えよ。

(1) 組織活動・機能の点検及び分析
(2) 事例調査
(3) 組織内における討論
(4) 組織外からの助言
(5) リスク対応原価調査

解答は5
(1)〜(4)は青本にあります。 


問28 ア〜オに示す用語の中で、OHSAS 18001:1999 (労働安全衛生マネジメントシステム)で定義されているものはいくつあるか,その数を答えよ。

ア.安全   イ.事故   ウ.リスク   エ.危険源   オ.環境
(1) 1個  (2) 2個  (3) 3個  (4) 4個  (5) 5個

解答は4
こちらに安全・事故・リスク・危険源の定義があります。 


問29 リスクの対策には一般に4つの方法がある。次の中から最もふさわしくないものを選び答えよ。

(1) 保有  (2) 削減  (3) 監視  (4) 移転  (5) 回避

解答は3
これはサービス問題。青本p.8など。 


問30 発生確率が低いが被害規模の大きなリスクに関わる説明として,次の中から適切でないと思われるものを選び答えよ。

(1) リスクの該当例として,大規模な自然災害などがある。
(2) しばしば,低減対策が実施困難な場合あるいは費用対効果が小さい場合がある。
(3) 移転対策が取られることも多いが,民間の損害保険が存在しないリスクもある。
(4) リスクを保有し,緊急時対応計画を充実させる対策も選択肢の1つである。
(5) 効果的な削減対策として,日常的な労働安全活動があげられる。

解答は5
日常的な労働安全活動で減らせるのは、事故などの発生確率であって、確率低・被害規模大のリスクには効果ありません。 


問31 米国ニューヨークでは、1994年から警察官5,000人を採用し,徹底した徒歩パトロールと軽微な犯罪の取り締まりを行ったところ,殺人や強盗など重大犯罪を減らすことができた。ビルの割られた窓ガラスを直していくことから始められたため,「割られた窓理論」と呼ばれている。この理論の考え方と最も近い考えにあるものを次の中から選び答えよ。

(1) 階層分析法  (2) ハインリッヒの法則  (3) HAZOP  (4) THERP  (5) ジッブの法則

解答は2
(1)階層分析法は、AHPとも呼ばれ、何かの問題に対していろいろな評価基準でいろいろな案を検討し、代替案にいたるというもので、これを使うと人間が何を買うかなどが予想できるという手法(こちら)
(2)はヒヤリハットの1:29:300で、軽微犯罪が300のヒヤリ、重大犯罪が1の重大事故に相当し、ヒヤリをなくすことが重大事故撲滅につながるという考えが共通しています。
(3)はシステム安全工学で、設計からズレている箇所・原因を特定して問題点を抽出する手法です。
(4)はヒューマンエラーをイベントツリーで解析する手法
(5)は人の嗜好(?)などの法則性のようです。
「割られた窓理論」は、小さな犯罪の芽を摘み取っていくことで重大犯罪を減らせるということですから、Aが近いです。 


問32 フェールセーフ設計の考え方として適切なものを次の中から選び答えよ。

(1) 想定以上の負荷が加わっても破壊や停止しないよう,システム全体に強度を持たせる。
(2) 部材の耐久時間や回数を予め評価しておき,破壊や停止に至る前に定期的に交換する。
(3) 人間の判断・行動の特徴を踏まえ,間違いを起こさないような簡潔な操作系統とする。
(4) 1つの部材が破壊しても,その破壊がシステム全体に大きな影響を与えないようにする。
(5) 高度な定期点検により部材の小さな損傷を発見し,システム全体に影響が及ぶ前に交換する。

解答は4
掲示板で議論となりました。
(1)はフォールトアボイダンス(故障しにくいというより耐久性のような力技的表現ですが)、(2)は予防保全(予知保全)、(3)はフールプルーフ、(5)は予防保全(定期保全)であり、いずれもシステムの信頼性に関するものです。フェールセーフは故障時の対策なので、これに言及しているのは(4)だけです。 


問33 次のいわゆるリサイクル法の中で,平成15年7月現在でまだ施行されていないものはどれか答えよ。

(1) 自動車リサイクル法
(2) 家電リサイクル法
(3) 建設リサイクル法
(4) 容器包装リサイクル法
(5) 食品リサイクル法

解答は1
自動車リサイクル法は、2004年施行をめざしています。それ以外は施行済みです。(こちら) 


問34 次の各選択肢に示す2つの項目について,両方とも法令に基づく「環境基準」が定められているものはどれか答えよ。

(1) 悪臭,大気汚染
(2) 騒音,貴重生物
(3) 地盤沈下,景観
(4) 土壌汚染,水質汚濁
(5) 振動,日照阻害

解答は4
悪臭は要監視項目・指針、貴重生物・地盤沈下・景観・振動・日照阻害には環境基準はありません(振動は規制基準)。
土壌汚染と水質汚濁は環境基準があります。 


問35 ISO 14001について説明した以下の文章のうち正しいものはどれか答えよ。

(1) ISO 14001にとって,利害関係者は顧客である。
(2) 国際的に活動する企業にはISO 14001取得が義務づけられている。
(3) ISO 14001はJIS規格化されている。
(4) ISO 14001では,緊急事態への対応は重要ではない。
(5) ISO 14001の認証は,それを受けた企業の製品は環境によいことを保証している。

解答は3
JIS Q14001〜14050がISO14000シリーズの環境マネジメントに関する規格です。 


問36 いわゆる廃棄物処理法に関する以下の説明の中から正しいものを選び答えよ。

(1) オフィスから出る廃棄物はすべて産業廃棄物である。
(2) 廃棄物は大きく分けて,一般廃棄物と産業廃棄物と特別管理廃棄物の3種に分類される。
(3) 事業活動に伴って出た廃棄物は全て産業廃棄物である。
(4) 19種類の産業廃棄物が定められている。
(5) 原子力発電所から出る放射性物質を特に厳しく規制している。

解答はなし(全員正解)
技術士会の出題ミスです。(4)を正解にするつもりが、20種類に増えていたことを見逃していたようです。 


問37 有害廃棄物の国境を越える移動を規制する国際条約は次のうちどれか答えよ。

(1) ワシントン条約
(2) バーゼル条約
(3) ヨハネスブルク条約
(4) リオデジャネイロ条約
(5) パリ条約

解答は2
青本p.168 


問38 環境基本法についての次の記述のうち誤りはどれか答えよ。

(1) 基本理念の1つに国際的協調による地球環境保全の積極的推進がある。
(2) 国民の環境の保全に係る責務を明らかにしている。
(3) 環境負荷の少ない持続的発展の可能な社会の構築が規定されている。
(4) 世代を超えた環境権規定は導入されていない。
(5) 環境NGO,環境NPOの参加の権利が確立されている。

解答は4
第3条に「将来の世代の人間が健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受するとともに人類の存続の基盤である環境が将来にわたって維持されるように適切に行われなければならない」とあります。 


問39 ライフサイクルアセスメント(LCA)に関する次の記述のうち誤っているものはどれか答えよ。

(1) 環境影響評価を定量的に行う手法の1つである。
(2) 資源採取から製造・輸送・使用・廃棄などといったすべての工程を扱う。
(3) リサイクル工程を対象として含む場合もある。
(4) 製品については適用できるか,サービスには適用できない。
(5) ISO 14040によって定義付けられている。

解答は4
(1)はその通り。
(2)はまさにそれがLCAです。
(3)もその通り。
(5)もその通り。ちなみに、14040が原則・枠組み、14041が目的・調査範囲とインベントリ分析、14042が影響評価、14043が解釈、14049がJIS Q 14041に関する適用事例です。
(4)は明らかに誤りです。 


問40 次の言葉はISO 14001で定義されている用語であるが,その用語の説明が最も適切なものはどれか答えよ。

(1) 環境:大気,水質,土地のこと
(2) 環境影響:組織の活動,製品又はサービスから生じる,環境に対するあらゆる変化
(3) 環境方針:環境改善に向けて,環境パフォーマンスに関連した具体的な内容を現場が定めた文書
(4) 利害関係者:環境政策で被害を受けたすべての個人
(5) 環境マネジメントシステム:環境方針を作成するシステム

解答は2
(1)は明らかに間違い(少なすぎる)。
(3)は現場ではなく経営者。
(4)は「政策」、「個人」が誤り。
(5)は作成だけではない。
よって消去法で(2)。 


記述問題
 次の2問題について解答せよ。(問題番号を明記し,問題ごとに用紙を替えて,それぞれ指定枚数以内にまとめよ。)

1.あなたが現在従事している又は過去従事した業務・職務から1つを選び,総合技術監理上の課題を3つ挙げ,それぞれあるべき方向について答案用紙2枚以内で述べよ。
 取り上げる課題のうち2つは「経済性管理」と「人的資源管理」とし,残りの1つは「情報管理」,「安全管理」,「社会環境管理」の中から選べ。

2.次に示す3つの危機の発生に対して1つを選び,実施すべき危機管理の事項に関して答案用紙3枚以内で述べよ。(選択した問題記号を答案用紙の「問題番号欄」に必ず記入すること。)
 なお,考察に当たって,必要に応じ具体的な設定を自分で行い,その設定した事項も記載せよ。ここでいう危機管理とは,緊急時対応としての初動から再発防止までの範囲をいうものとする。

A.地震の発生に伴い大きな建物被害が予想される地域で,完成後は多数の人々か継続的に利用する建築物を建設中である。この工事において,内部検査により耐震性能が基準を満たさないことが明らかとなった。その建築物の落成が1ヵ月優に追っており,落成直後のイベントも決定されている。このような状況において,施工会社の総合技術監理の技術士として実施すべき事項を記載せよ。

B.化学工場において,深夜,火災が発生し,停電により工場内の消火装置がほとんど機能しない状態となっている。この工場には健康に有毒な液体が貯蔵されており,敷地外への影響も心配される。このような状況において,化学工場の危機管理に携わる総合技術監理の技術士として実施すべき事項を記載せよ。

C.会社のコンピュータシステムに保管されていた顧客の個人情報が漏洩し,インターネット上で公開されてしまった。このような状況において,会社の危機管理に携わる総合技術監理の技術士として実施すべき事項を記載せよ。