総合技術管理部門対策 最終更新:2017.05.07 Top Page

総監とは?
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総監とは?

  1. 総監に求められるもの
     総監に求められる管理技術力とはどんなものでしょうか。それは、「技術士制度における総合技術管理部門の技術体系」(青本)第1章の冒頭部分をしっかり読めばわかります。
     科学技術が巨大化複雑化する現代社会において、1つの専門技術だけに限られた技術力では、プロジェクト遂行に伴って起こる様々な問題、たとえば個人情報が漏れてしまうとか事故が起こるとか環境負荷が発生するとかいったことに対して備えたり防いだりすることに限界があります。専門技術的に妥当な業務管理をするだけでなく、公益を損ねることがないように総合的に管理しながらプロジェクトを遂行することが求められる時代になっているため、総合技術監理が必要とされます。
    総合技術監理が必要とされる背景(青本第1章)
    科学技術の発達により人々が享受する恩恵は、日々の生活の中に浸透している。しかしその一方で、科学技術の巨大化・総合化・複雑化が進展しており、その発達を個別の技術開発や技術改善のみによって推進することは難しい状況になりつつある。つまり、科学技術の発達を推進する業務は一部の専門家のみによって完結するものではなく、さらに言えば科学技術は単独でその有効性や価値が生じている訳でもなく、企業などの組織活動が技術の有効性を発揮するための大きな基盤となっている。また、それに伴って事故や環境汚染などが発生した場合の社会への影響も、従来に比して遥かに大きなものとなっている。
    一例として、科学技術業務の結果として産み出される製造物・製品を考えてみる。近年の製造物・製品は、その概念が想起された段階で直ぐに具現化できるものではなく、具現化されてもその初期の段階では、高価であるとか、品質を保持できないとか、安全性に問題があるなど様々な不安定要素を内包するものである。しかし、その後に技術的な努力を積み上げることにより、一般の人々が広く利用できるものになる。その過程では、経済的に利用可能な製造物・製品とするべくコストの低減や品質の向上が図られるが、そのためには多くの技術者がそれぞれの能力を十分に発揮できる仕組みや、要素技術の知見などの様々な情報を結集するための仕組みが必要である。また、事故を未然に防止するための技術や事故時でも利用者の安全を確保するための技術も必要であり、騒音防止や有害排出物の抑制など周辺環境に与える負荷を抑える社会環境の保全も必要となる。
    このような状況の中で、社会の要求に応え、科学技術を管理し、組織活動を継続的に運用していくためには、業務全般を見渡した俯瞰的な把握・分析に基づいて、技術の改善及びより合理的なプロセスによる安全性の確保や外部環境負荷の低減などを実施する必要があり、そのための管理技術が強く求められる。このような管理活動は、それぞれの要求事項を個別に管理していくことのみで実現することは困難であり、複数の要求事項を総合的な判断により全体を監理していくことが必要である。
    また、科学技術がもはや一部の専門家が推進し一部の人がそれを利用するものではなく、地球的規模でその正負両面の影響を受ける状況になってきていることを踏まえる必要がある。そのような状況では、上述したような総合的な監理を行うことができ、そして自らが携わる技術業務が社会全体に与える影響を把握し、社会規範や組織倫理から定まる行動規範を自らの良心に基づいて遵守する高い倫理観を持った技術者が必要とされているのである。

     ですから総監技術士の資格保有者には、総合的な管理をするという視点が求められます。これが5つの管理ですね。そして業務においては、その重要度や優先順位は一定ではありませんし、互いに相関してきます。そして組織を存続させることが総監の目的です。そしてそのためには、QCDの最適化(経済性管理)とそれを支える人的リソースや情報を適切に管理する(人的資源管理・情報管理)だけでなく、公共の安全(安全管理)と環境の保全(社会環境管理)すなわち公共の利益の確保を両立させることが総監に求められることです。
    総合技術監理の範囲(青本第1章)
    技術士総合技術監理部門では、企業などの組織における技術業務全般を見渡し、安全性や経済性などに関する総合的な判断に基づいた監理を行うことが可能な技術者を育成、認定することを目的としている。
    総合技術監理の範囲としては、主として経済性管理、人的資源管理、情報管理、安全管理、社会環境管理があり、それに加えて社会的規範や国際的ルールを包括した倫理観や国際的視点なども含まれる。なお、この総合技術監理において「監理」という文字を使用しているのは、総合技術監理が上述した各管理やその他の内容を総合して監督する概念であることを明確にするためである。
    実社会において組織活動やプロジェクトの監理を行う場合、各管理の重要性や優先順位は、組織活動やプロジェクトの目的もしくは規模によっても異なってくるものであり、一意的に定まるものではない。例えば、過去に多くの類似経験を有するビル建設などのプロジェクトでは経済性管理が優先されるであろうし、規模が小さくとも特殊な危険物を扱う施設の建設では安全管理が優先されるであろう。従って、総合技術監理を実施する者は、その組織活動やプロジェクトの内容毎に、各管理の優先順位や実施手順などを検討し、必要にして十分な監理を実施することを必要とする。
    各管理はそれぞれが密接な関係を有しており、お互いに相関を有する場合がほとんどである。例えば環境被害が生じたとき、それが社会環境管理の失敗というよりは、事故という安全管理の失敗によりもたらされ、その背景には人的資源管理あるいは情報管理の抜け落ちがあった、ということも散見される。また、安全管理や社会環境管理を実施する場合、その対策に必要となる費用をどれだけかけるかという根本的な問題に対して、経済性管理としての判断が必要となる。
    先に挙げた5つの管理の関係を企業の生産活動を例として整理をすると、以下の通りとなる。企業などの組織が生産活動を行いながら組織を存続していくためには、品質・納期・コストなどを管理する経済性管理を行うだけではなく、主として自組織の構成員と設備の安全及び社会からの信頼性を守るための安全管理を行うとともに、主として外部環境を守るための社会環境管理を有効に機能させる必要がある。また、このような管理を行うに際して投入できるリソースには当然制限があり、組織内の重要なリソースである人的資源と情報を有効に活用する必要がある。つまり、前述したように総合的な判断に基づく監理を行うためには、経済性管理、人的資源管理、情報管理、安全管理、社会環境管理を総合的に行う必要が生じる。

     総監技術士に求められるのは、個別の管理技術(これは択一問題で主に確認されます)だけでなく、業務全体の総合的な管理(これが記述問題で確認されます)と、改善策の策定つまり個別業務の最適化にとどまらず、組織存続のため生産性向上・業務改善のための中長期的視野での管理もできることです。
    総合技術監理に要求される能力とその養成(青本第1章)
    総合技術監理を行う技術者に要求される技術的知識や能力は、その組織活動やプロジエクトにおける個々の作業や工程などの要素技術に対する管理技術のみではない。それに加えて、業務全体の俯瞰的な把握・分析に基づき、前述した5つの管理などの広範囲にわたる技術業務全般に対する総合的な判断を行うとともに改善策の策定を行える能力である。技術業務全般を総合的に判断するということは、各管理に対する個別の検討を行うことは当然のこととして、各管理の目的に照らして互いに相反する選択肢が発生した場合(例えば安全性向上のためのコスト増と生産性向上のためのコスト低減などの場合)、総合的な視点から検討を行い、それによって経営全般を勘案したマネジメントに資する判断を行うことである。
    このような総合技術監理能力は、個別の知識を積み上げることのみによって習得される訳ではない。前述した5つの管理技術などを個別に理解するとともに、それらを総合的に勘案して判断する技術洞察力を身に付ける必要がある。この能力は、企業などの組織活動や社会の要求を十分に理解しその技術を組織活動の中で発揮することが前提となっている。そのため技術者倫理に対する理解、科学技術の進歩への関与、社会環境の変化への対応、そして常に俯瞰的な立場で総合的に判断する習慣といったものを日々の組織活動やプロジェクトの中で実践しながら身に付けていくことが必要である。
    つまり、正しい知識の習得と日々の実践の両輪が、真の総合技術監理能力の養成のために要求されているのである。
    さらに、総合技術監理を行う技術士が対応すべき管理技術の広範さ、要求されるレベルを考えたとき、その技術力の向上を図る努力は常に継続されなくてはならない。

  2. 4段階のリテラシー
     総監に求められる能力を理解して使いこなせる力(リテラシー)を確認するのが総監試験です。そこで確認される資質は、以下の4つのことができることです。
    1. 専門技術者から管理技術者への切り替え
      たとえば工期短縮のために工法をどうするとかいったことは専門技術的対応です。管理技術的対応はリードタイムを短くするとかCPMで複線化するとかいったことになります。
      ・専門技術的対応だけでなく管理技術的対応を組み合わせて総合的に業務を最適化する
      ・専門技術的対応に伴う管理上の課題を見つけて対応する
      こういったことができていないと、口頭試験ではかなり厳しく評価されます。「一から出直してこい」みたいなけんもほろろの扱い、圧迫面接みたいになったりします。
    2. 5つの管理を正しく理解して使いこなせる(部分最適化)
      これが合否の境目になります。
      ・経済性管理は、QCDのバランスです。品質もコストも工程も、どれか1つだけのことを考えていては事業は失敗します。ちょうどうまく折り合いをつける最適化が重要です。
      ・人的資源管理は、人という能力が変動するリソースの、能力発揮と向上(教育)です。
      ・情報管理は、様々な管理において正しい意思決定を行うために必要な情報の収集整理が中心で、漏洩やハッキング等のセキュリティ、知の管理などもあります。
      ・安全管理は労働安全衛生管理と理解しておけば問題ありませんが、工場その他、事業に伴う事故等が社会に対して影響を与える場合はこれも含みます。土木事故なども拡大すれば含まれます。
      ・社会環境管理は、事業に伴う外部社会への環境負荷に対する管理です。
      これは試験ですから、小論文・筆記試験記述問題・口頭試験とも、あまり例外的なことではなく、スタンダードで5つの管理について知っていて使いこなせることをアピールしたほうがいいと思います。
    3. 限られたリソースを最適配分して全体を最適な状態に管理できる(全体最適化)
      5つの管理全部を同じように全力でできるわけがないので、どれか重要課題にリソースを集中し、他の管理は少々手を抜くことが必要になります。ところが「総監試験用の付け焼刃」だと、そのあたりのメリハリ、さじ加減がわからず、「全部一生懸命やりました」みたいになったり、たとえば「工期が逼迫」と言いながら「若手にベテランをつけてOJT」のような生産性が落ちることをやるなど、5つの管理分野それぞれの管理(部分最適化)同士が矛盾するようなことを書いたりしてしまいます。
      重要な管理項目にリソースを重点配分し、他は組織に備わっている管理などを活用して、メリハリある管理をすること、これが全体最適化の基本です。
    4. 中長期的視野で組織の生産性向上・持続性確保ができる
      個別の業務は比較的短期的な管理ですので、リソースの制限の中で対応していかねばなりませんが、中長期的に設備保全・投資や教育に取り組むことで、リソースの性能を上げる、つまり生産性を向上させることができるようになります。
      たとえば「工期がないけれどスタッフのスキルが足りずに間に合いそうもないから、今回はコストをかけてアウトソーシングして乗り切る」ということは、目の前の業務を乗り切るには最適な管理かもしれませんが、次回同様の業務に取り組むときにまた同じことをやっていたのではダメですね。そのために個別業務とは別に日頃からスキルアップしたり設備保全をしたりします。
      また、組織内外の環境は常に変化しています。内的には従業員の高齢化や生産機器の老朽化(インフラを維持管理している人はその老朽化も含まれます)、外的には法・倫理や国民意識などによる組織への社会要請、競合製品等、経済情勢、災害などがあります。また安全・環境に関する社会的責任(公益確保)をおろそかにはできません。組織が持続していくためには、こういった内外の変化をしっかりと情報把握し(情報管理)、たとえばこれまでの生産方式ではもう対応できなくなるとか、様々なリスクを予想して手を打たねばなりません。

      以上のように、専門技術者は技術的課題解決のことを考えますが、管理技術者は業務管理、さらに総監技術者は会社(あるいは任されている部署)の今後のために生産性の向上を考えています。
      つまり総監とは企業等の組織が継続的に活動を続けていくための管理技術なのです。




  3. 5つの管理を正しく理解しよう
    総監とは企業等の組織が継続的に活動を続けていくための管理技術です。
    そして組織が継続的に活動していくためには、
    ① 適正な(バランスのとれた)コスト・納期・品質管理
    ② 組織構成員の適切な管理(組織作り、モチベーションやインセンティブ付与、教育、評価など)
    ③ 意思決定のための情報活用システム構築と活用、セキュリティ、知財管理
    ④ 様々なリスクや災害・事故等に対する備え
    ⑤ 外部社会の環境に負荷を与えない仕組み
    といったものを適切に管理することが必要です。上記①~⑤が5 つの管理に他なりません。
    単なる管理技術者は、
    「この仕事はコストが厳しいからコスト管理を徹底しよう」
    「この仕事は危険だから安全管理をしっかりと」
    というように、その業務特有の重要事項に限定して管理をしがちですが、総監技術者は、「5 つの管理」を知っているので、
    「この仕事はコストが厳しいからコスト管理を徹底するけれど、品質や納期もバランスよく管理」するとともに、「管理のための情報」もしっかり管理し、また情報セキュリティや「人をやる気を出して働いてもらう」こと、さらに安全や環境負荷軽減などにも抜かりなく管理計画をたてます。つまり、常に5つの管理の視点を持ち、漏れのない管理ができるのが総監技術士です。
    このように、5つの管理の視点でそれぞれの課題を検討し、それぞれについて専門技術ではなく管理技術を使って的確に対応することが部分最適化です。


    1. 経済性管理
      経済性管理はQ(品質)、C(コスト)、D(工程)のバランスです。これは理解しやすいと思います。「品質を一番大事にします」というようなことを言うのはいいのですが、では工期はどんなに遅れてもいいのか、コストはいくらかかってもいいのかというとそんなことはありません。なお、公共事業系プロジェクトでは、ほとんどの場合QとDの確保がクライアントからの要望になりますので、まずはこれらに絞るといいでしょう。
      Q(品質管理)は、ミス防止に絞ったほうがシンプルになります。この場合の「ミス」はいわゆる「間違い」ではなく、「要求品質が充足できないこと」です。ミス防止は以下の方法で対処します。
      ミス防止の方法 ミス防止方法の解説 具体的管理手法
      ミス発生防止 そもそもミスを発生させない ①ルーチンワークは標準化する
      ②ブレインワークは教育でスキルアップする
      (これは人的資源管理になります)
      ミス見逃し防止 ミスを見つけ外に出さない 検査の高度化・多重化
      D(工程管理)は、公共事業に限らず、大部分のプロジェクトではバックワードスケジューリングが基本になります。すなわち、工期・納期から逆算して「いつまでにこれを終えておく」ということを決めていくのです。そしてその中で、工数÷リソース能力=所要日数として計算したとき、間に合わない作業(パス)が出てきます。そこでこの作業にリソースを追加投入して複線化し、工程短縮します。
      たとえば10人・日の作業を1人でやると10日かかりますが、これを5日で仕上げないと全体納期に間に合わなくなる場合、リソースを2人にして10人・日÷2人=5日とするわけです。

    2. 人的資源管理
      青本第1章に「組織内の重要なリソースである人的資源を有効に活用する」とありますが、人的資源管理は「頭数の確保」ではありません。それでは経済性管理の負荷計画です。
      生産の4MのひとつであるManは、人間であるがゆえに能力が変動します。つまり「今日は気が乗らない」日は能力が落ちたりします。組織としてはできるだけ持っている能力をいっぱいまで発揮してほしいし、できればその能力を向上させてほしいですよね。この能力の発揮と能力の向上を管理するのが人的資源管理の主要な部分です。
      1. 人の能力の発揮
        その人の持っている能力を最大限に発揮してもらうためには、インセンティブの付与などの方法があります。青本に掲載されているインセンティブをしっかり理解しましょう。
        ・物質的インセンティブ→お金などで人を動かす/即効性/人を選ばない/しかし短期効果
        ・評価的インセンティブ→ほめて動かすなど/公式・非公式/人間関係が必要/一律ではない
        ・人的インセンティブ→組織の帰属意識・まとまり/リーダーシップ/切羽詰まったとき
        ・理念的インセンティブ→技術者魂のようなもの/非常時に発揮
        ・自己実現インセンティブ→成長する喜び/気づきを与える/効果持続性大/中長期的取り組み
        インセンティブ付与によりモチベーションが上がりますから集中力がアップし、作業効率が上がります。すなわち生産性が向上します。
      2. 人の能力の向上
        教育は以下の点に注意してください。
        ・OJTとOFF-JTをうまく組み合わせる(OFF-JT→OJTという順にするなど)
        ・目標・プログラム・効果確認を明確に。(PDCAで実施、5W1Hを明確に)
        ・短期教育では教育にかけた時間 < それによる効果(たとえば日程短縮)であること

    3. 情報管理
      情報管理は、基本的に以下の3つのいずれかになります。
      1. 情報の収集整理
        青本情報管理の冒頭に意思決定のための情報収集整理といったことが書かれていますが、これが情報管理の基本です。日々の業務管理、中長期的な組織管理、いずれも同じことです。
        たとえば工事監督だったら、今日はどこまで工事が進んだのか、明日の作業員は誰と誰が動けるのか、重機類の稼動予定はどうか、資材は届いているのか、工事に影響するような地元行事などはないか、天候はどうか…などです。これらをきちんと把握せずに「明日の段取り」を決めてしまうと、当日になって「あれ?まだできてなかったの?」「あの資材届いてないの?」などとなって業務のスムーズな進行ができなくなります。
        組織の存続を考える時、市場動向や技術開発の状況、政治経済情勢、人口減少・少子高齢化の進展、国民意識・ニーズの変化、予想される災害、地球環境や地域環境の状況などの情報をしっかり把握しておかないと、市場や社会からの信頼を失ってしまうことがあるでしょう。逆にそこにはビジネスチャンスも潜んでいることでしょう。
        そしてこういった情報をもとに、業務管理であれば明日の段取りを決めたり(経済性管理管理)、業務の山場にあたり気合を入れたり(人的資源管理)、危険のある作業に備えた点検をしたり(安全管理)、多大な騒音を発生する作業の前に周辺住民への説明をしたり(社会環境管理)します。組織管理であれば、省人化作業のための設備投資をしたり(経済性管理)、新市場開拓のために社員を研修会に行かせたり(人的資源管理)、来るべき大地震に備えて事業継続の備えをしたり(安全管理)、周辺環境や地球環境への負荷を低減する投資をしたり(社会環境管理)します。
        このように、管理をするためには情報の収集整理がきちんとできるような体制が作ってないといけないわけですね。これは最もスタンダードな情報管理です。情報を収集することそのものや情報の活用(情報を踏まえた意思決定)は情報管理からは外れます。
      2. 技術情報の漏えい(個人情報等秘匿すべき情報の漏えいなど)
        「ファイアウォールで…」などということではなく、セキュリティレベルを利便性とのトレードオフの中で決定する(たとえば不便でもスタンドアロンにする/利便性を持ちつつパスワード管理/セキュリティリスクを承知しつつ利便性優先などのどのレベルにするかを決める)ことが管理技術者の判断すべき事項になります。
        秘匿性の高い情報を扱うような業務では取り上げてもいいですが、そのようなリスクがないような業務でオーバーに対応しないようにしましょう。
      3. 知の管理
        特許、著作権やナレッジマネジメントなどです。特許などは該当するものは取り上げてかまいませんが、ナレッジマネジメントは、1つのプロジェクトの中でできるようなタイムスパンのものではないことがほとんどなので、十分注意してください。
        なおナレッジマネジメントは教育訓練と同様、暗黙知と形式知をよく理解してください。また形式知化するのはいいのですが、その活用も人的資源管理(教育)と組み合わせて考えておくことも必要でしょう。なおナレッジマネジメントについては5W1Hの明確化が特に大切です。

    4. 安全管理
      青本第1章には「主として自組織の構成員と設備の安全及び社会からの信頼性を守るための安全管理を行う」とあります。つまり安全管理は、
      ①組織内における、労働安全衛生管理やメンタルヘルスといった事故・健康阻害を防ぐこと
      ②組織外に対する、工場の火災や爆発、土木事故などに関するリスク管理や危機管理
      から成ります。②は公益(公共の安全)確保という視点でもあります。
      組織外に対する事故は、特に公共事業ではそのことを要求品質に組み込んで委託発注することが一般的なので、公共事業の受託者にとっては安全管理ではなく品質管理になってきますから注意が必要です。
      事故対策は2段構えで行いといいでしょう。まずは安全対策マニュアルや安全教育などの事前の備え、そして作業中は定期点検、KY、ヒヤリハットなどの未然防止活動です。
      システム高信頼化技術の活用やシステム安全工学手法によるリスク解析などもありますが、現実にはいちいちFTAでリスク解析をしたりしないでしょうから、たとえば経験的にツリーを思い浮かべて原因となる事象の顕在化を抑制するなどの考察は行えるようにトレーニングするといいでしょう。
      そして安全管理もマネジメントですからPDCAサイクルを回すことが求められます。たとえば土木工事において、ある日のヒヤリハット報告事項は、翌日のKYに反映されてしかるべきでしょう。

    5. 社会環境管理
      青本第1章には「主として外部環境を守るための社会環境管理を有効に機能させる」とあります。つまり社会環境管理は、経済活動に伴う外部環境への負荷を軽減する仕組みであり、「社会」とは「外部社会」という意味だと思えばいいでしょう。
      そして「環境」とあるように、社会に対する事業インパクトの中で、環境負荷に関するインパクトに対する管理です。ですから、典型7公害や動植物景観、廃棄物などは対象となりますが、交通渋滞とか「社会に対する迷惑一般」にまで話を広げるのは好ましくありません。また地球温暖化対策(節電含む)も実質的な不可がどれだけあるかを考えると不自然になりますので避けたほうがいいでしょう。
      また環境は「法令順守」が基本にあり、それを大前提として住民理解等があります。たとえば土木工事による騒音を問題視するとき、騒音規制法等の法令を遵守することが第1で、そのうえで住民に理解を求める等に取り組みます。法令順守に触れもせず住民説得をしたり、法規制を守っているのに低騒音対策をし住民理解は求めなかったりするのは管理としては適切とはいえません。

  4. 全体最適化 ~限られたリソースの最適配分~
     たとえば災害復旧の土木工事をあげてみましょう。話をわかりやすくするために被災箇所の復旧ができるまでは孤立している集落があるとかして、一刻も早く復旧しないといけないとしましょう。
     この場合、工期厳守・迅速な施工が最優先になりますが、そのために他の管理レベルを落とすことがよくあります。たとえば検査は全数検査を抜き取り検査に変える(品質管理)とか、儲け抜きでリソースを投入する(コスト管理)とか、ホウ・レン・ソウをいつもより甘い管理にする(情報管理)とか、KY朝礼を省略してそれぞれの班ごとのTBMにする(安全管理)とか、短期間なので過重労働に目をつぶる(安全管理)とか、環境負荷も重大なもの以外は許容する(社会環境管理)とか、そういったことですね。そしてそれらの管理レベルダウンがあるからこそ、余裕のできたリソースを最重要管理項目(工程管理)に回せるということです。
     このように、最重要管理項目が何かを明確にし、それ以外の管理項目の管理レベルを、必要なレベルだけれどゼロではないというレベルに設定し(このあたりが管理技術力の発揮のしどころです)、そうすることで最優先管理項目の要求を満たすというのが全体最適化の基本です。
     ここで、たとえば工程管理と品質管理くらいにしか目がいかず、ホウレンソウがゼロになってしまって情報管理がうまくできず、結果として大きな手戻りが起こって、最優先のはずの工程管理の要求レベルが満たせなくなってしまうとか、あるいは環境保全に気が回らなくなって重大な環境事故を起こし、結果としてクライアントの要求を裏切ってしまうとか、最悪の場合は工事が中断してしまって、やはり最優先のはずの工程管理の要求レベルが満たせなくなってしまうとか、そういうことになってしまうわけですね。
     そこで総監技術者は、5つの管理という視点をしっかり持っており、なおかつ5つの管理の内容をきちんと理解していますから、そういった「見落とし」みたいなものがなく、かつ5つの管理の相互関係(つまり、たとえば工程管理に力を入れると品質管理レベルを落とさざるを得なくなるとか)を理解しているので、バランスよく、一番いいバランスで管理を遂行できるということが期待されるわけです。

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筆記試験対策について

  1. 択一問題対策
    択一式問題は知識問題です。ですから勉強する以外にありません。書いて覚える人、音読する人、単語帳のようなものを使って反復練習する人など様々ですが、自分に合った記憶術を身につけてください。

    1. 青本キーワードで「用語集」を作ろう
      これまでの出題をみると、「項目青本・内容青本以上」ということがいえます。すなわち、項目としてはおおむね青本から出題されている(後述のように管理項目によって異なりますが)のですが、その内容は青本に書いてある以上のことを求められるということです(こちら)。このことは、青本自体は陳腐化したが、青本キーワードは今後も出題に使うという意味ではないかとも思われます。
      そこで、青本各章の冒頭に掲載されているキーワードを活用して、「用語集」を作るといいでしょう。具体的には、本テキストの5つの管理の解説ページに掲載したような表をExcelで作ります。左欄に青本キーワード、右欄にその意味などを記入していきます。
      青本が手元にあれば、まずは青本を辞書代わりに使って右欄に基本的なことを入力します。青本に書いてあることはごく基本的・基礎的なことですので、最初に入力する内容としては適当でしょう。
      次に、ネットでさらに深く調べて右欄の入力内容をグレードアップしていきます。
      こうすることで「項目青本・内容青本以上」になります。

    2. 経済性管理、人的資源管理、安全管理は青本キーワードで十分
      経済性管理、人的資源管理、安全管理は、それなりに「枯れた」技術が多いため、「60点取ればいい」のであれば、「用語集」すなわち青本キーワードだけでも十分です。もちろん極めたければもっと勉強しなければなりませんが、合格のためのハードルを越えることを最優先にするのであれば、青本キーワードをしっかりやれば、60点どころか70点以上取れます。
      もししっかり勉強したいのであれば、経営工学関連書籍やオペレーティングリサーチに関する書籍等がお勧めです。

    3. 情報管理は青本キーワードでは若干不十分
      情報管理は、通常業務における情報管理(意思決定のための情報収集整理の部分やナレッジ)、緊急時の情報管理については、青本キーワードだけでも60点は十分取れますが、IT関連は、どんどん世の中が進んでいますので青本キーワードではカバーできていない部分が年々広がっています。フィッシングその他のリスク、SNSやクラウドなどの新しい分野といったものは、IT関連のHPなどで広く浅く勉強しておかれることをお勧めします。

    4. 社会環境管理は青本キーワードでは不十分
      環境分野は地球環境問題(温暖化問題)のクローズアップ、諸法令の整備が青本発刊後に著しく進んだことから、青本キーワードだけでは不足の部分が多くなっています。
      過去問題を見ると、青本に出ていない項目が出題される数がだんだん増えてきているため、青本キーワードをしっかりやって、かつ最新の関連知識をネットなど(特に環境省HP)から情報収集して補強しておけば、そこそこ得点はできるはずです。
      また過去問題を見ると法令関係の出題が多くなっています。基本的に環境保全は法令順守が第一歩という面がありますので、このあたりはしっかり押さえておきたいところです。そういう意味でも環境省HPで近年に整備された法令について押さえておくことは効果的と思われます。
      温暖化、再生可能エネルギー、循環型社会、生態系といった新しい視点と諸施策、カーボンオフセットなどの社会経済的指標についてしっかり勉強し、法令・補助制度・規制緩和などについて整理しておかれることをお勧めします。

    5. 狙い目は人的資源管理
      択一問題は全部で40問あり、これが5つの管理に均等に割り振られていますので、一管理分野あたり8問出題されます。
      ところで青本における5管理の割り当てページ数を見てみると、経済性管理46ページ、人的資源管理25ページ、情報管理37ページ、安全管理43ページ、社会環境管理39ページとなっており、人的資源管理が最も少なく、最も多い経済性管理の54%しかありません。
      さらに青本キーワードの数をみてみると、経済性管理131個、人的資源管理71個、情報管理75個、安全管理77個、社会環境管理91個と、やはり人的資源管理が最も少なく、最も多い経済性管理の54%です。
      つまり人的資源管理がページ数・キーワード数とも最少であり、「覚えるべきことが少ない」ということになります。覚えるべきことが少ないうえ、青本だけの勉強でも大丈夫ということですから、人的資源管理が最も点数が取りやすいということになります。
      もちろん記載内容との相性もありますからいちがいにはいえませんが、「どこを得点源にするか」ということは広く浅く出題される択一問題対策の基本ですので、参考にしてください。

    6. 過去問題を活用しよう
      総監部門の択一問題は、前述のように5つの管理に8問ずつ均等に割り振られており、なおかつ管理項目ごとの出題内容は例年似通っているものも少なくありません。
      技術士会HPで問題と正解が公表されていますし、私のHPでは過年度の択一問題の正解を語る掲示板もあって正解解説が書かれている問題も多くありますから、ぜひこれらを活用して、択一問題トレーニングを積んでください。

    7. 隙間時間を有効利用
      たとえば前述したキーワード集をプリントアウトしておき、ちょっとした隙間時間にこれを読んで頭に入れるなど、日常的なトレーニングは有効です。
      さらにこれをクイズ形式にしたのが100本ノックで、スマホがあればいつでもどこでも、少しの時間でもトレーニングができます。そして100本ノックをやりこむと、いつの間にかキーワード関係の知識を覚えてしまいます。つまり100本ノックは練習問題ではなく、記憶作業をやっているのです。

  1. 記述式問題対策
  • 出題傾向~記述問題の出題傾向は一定している
    過去問題のページを見ていただければいいのですが、平成19年度移行の問題は基本的に以下のような構成になっています。
    第1ブロック:問題のテーマ、視点の説明
    ここには、問題のテーマ説明が書かれています。ですからここが実は最も重要な段落で、ここをしっかり理解していないと得点できません。文章がちょっとむずかしいことがありますが、読み飛ばしてはいけません。平成20年度問題では「業務にはいろいろなリスクが潜んでいるが、それをしっかり抽出して、時にはリスク対策がトレードオフになったりもするが、それらをうまくさばいて、業務が最善の状態で遂行できるようにしないといけない。そのためには、業務の管理上の目標を決めて、それが損なわれるようなリスクを5つの管理で予測して対処する」といったことが書いてあります。
    第2ブロック:取り上げるプロジェクトの決定
    ここでは、どんなプロジェクトについて答案を書くかが指定されます。この平成20年度問題では「あなたの現在担当している、あるいは過去に担当した事業又はプロジェクト」、つまり体験業務を取り上げて答えろと指示しています。
    第3ブロック:プロジェクト内容や出題テーマに沿った基本条件の設定…設問(1)
    ここからが問題本体です。設問(1)では、取り上げるプロジェクトの概要、テーマでもある管理目標について書くよう指定されています。つまりプロジェクトの基本的な部分を設定しろというわけです。「その際、こういうことを重視せよ」とか「なお、事例はこんなものでもいい」などと細かい指定がありますが、まあすべて「なお」書きだと思ってもかまわないでしょう。
    第4ブロック:課題の抽出…設問(2)
    ここでは課題を抽出します。この問題では管理目標を達成できないリスクをあげます。また5つの管理のうちどれでも選んでいいわけではなく、ある程度の指定があります。
    「なお」書きでは、リスクの原因まで把握しなさいと指定されています。つまり、たとえば「ミス」というリスクであれば、その原因が「あせり」であったり「スキル不足」であったりするので、そこまで掘り下げなさいということですね。
    第5ブロック:解決策の提案…設問(3)
    第4ブロックであげた課題に対する解決策を述べます。「なお」書きはつまり全体最適化のことですね。
     

    過去問題における5つのブロック内容
    年度 ①テーマ ②業務 ③前提条件 ④課題 ⑤解決策
    19 事業継続のためBCPを立てる 携わっている(もしくは携わった)事業 BCP対象危機と重要事業継続目標 被害想定とボトルネック資源 ハード対策とソフト対策
    20 管理目標を設定してリスク管理 体験業務 管理目標 管理目標非達成リスク リスク顕在化防止策
    21 不測の事態を予測する 体験業務 不測の事態 不測事態を予想・対処できなかった原因 今ならどう対応するか
    22 外部環境の変化に対応する 仮想事例 変化内容 変化に伴いプロジェクトが頓挫する影響 デメリット防止・最小化策
    23 予期せぬ事態に対する事業継続 仮想事例 必要な外部資源・外部環境 事業モデルの存続を脅かすシナリオ シナリオに対する事前準備対策
    24 社会環境・要求事項変化への対応 仮想事例 社会環境・要求事項変化 変化が与える影響 影響への対応策
    25 事業ライフサイクルにわたるメンテナンスの考慮 自由設定(仮想事例でも体験業務でも可) 計画設計から施工製作、運転保守管理にわたる事業 計画設計・施工製作・運転保守管理それぞれにおけるメンテナンスの課題 各課題への対応策
    26 人口減少社会に対応したインフラ更新 自由設定(仮想事例でも体験業務でも可) 人口減少の影響が大きいと思われる更新計画 人口減少が及ぼす社会経済への影響による更新後維持管理の不具合 影響への対応策
    27 国際イベント関連プロジェクト推進 仮想事例 国際イベントを契機に社会の課題解決に貢献し、将来にわたり管理運営される プロジェクト推進上のリスク4つ(1つは国際イベント終了後) 主要2リスクへの対応策
    28 新技術導入によるより高度な業務の遂行 体験した、あるいはよく知っている事業 新技術導入により内容や形態が大きく変化した事業 新技術導入による事業内容・形態への影響とメリット・デメリット(残留リスク・二次リスク)の把握について、導入済み→近い将来→遠い将来と分けて考察
    上表のようにだいたい5ブロックに分けて問題文が整理できるのですが、28年度は単純な課題解決だけではなくなってきているようです。

  • 3年サイクルで出題傾向が変化
     題内容は3年周期で変化しており、出題内容が比較的同じした出題が3年程度続いてきているという傾向があります。
    試験年度 プロジェクト 出題内容
    19~21 体験業務・事業 <リスクへの対応>
    予想できるリスクに対して、あらかじめどう備えるか。H19が大規模災害時の
    BCP、H20が管理目標の達成できなくなるリスク、H21が不測の事態の発生。
    22~24 仮想事例
    (比較的短期事業が多い)
    <変化への対応>
    外部環境変化や予期せぬ事態発生等で、当初の管理計画を変更せざるを
    得なくなった場合の対応を問う。
    25~27 自由に設定
    (体験でも仮想でもよいが、長期にわたる事業)
    <条件への対応>
    プロジェクト実施にあたっての制約条件(H25はメンテナンス性考慮、H26は
    少子高齢化社会に対応したインフラ更新、H27はイベントを契機に社会の課
    題を解決すること)に対してどう対応するかを問う。
    このようなことから、平成28年度は出題傾向が変化する可能性が高くなると予想していたのですが、その通りになりました。プロジェクトは体験業務・事業となり、出題内容は新技術導入に伴う生産性向上・業務改善と、それに伴う残留リスク・二次リスク(後述)を見通せるかを問う、生産性向上に関するものになりました。おそらくp.5の図の中長期的組織管理(生産性向上・業務改善)にフォーカスしているのではないかと思います。これは、総監の本分である組織の存続のための業務最適化・生産性向上に関する意思決定が、特に中長期的視野でできるかどうかを確認しているといえ、29年度も同様の視点での出題が続くのではないかと予想されます。
  • 記述問題の解答手順
    総監の考え方、総監技術士に求められるスキルという原則に立ち返り、解答手順・方法を考えてみましょう。考察に当たっての前提は以下のとおりです。
    (前提①)総監に求められるスキルは、個別業務の最適化(短期的管理)、そして組織の生産性向上(中長期的管理)であり、これを試される。特に中長期的管理を重視する。
    (前提②)従来と同じく、5ブロックで問題文が構成される。(4・5ブロックは単純に課題と解決策のセットではない可能性も高い)
    前述のように平成28年度は出題傾向が変化したわけですが、以下のような視点での出題傾向が特に近年明確になってきています。
    ・短期業務管理だけでなく、長期的なプロジェクト管理(総括責任者としてのプロジェクト管理なので、組織管理といってもいい)を最適化する
    ・平成27年度問題にも取り上げられていたISO31000に代表されるリスクマネジメントが様々な管理に取り入れられており、基本的にISO31000に近い発想でのリスク管理としてプロジェクトの最適化を考える
    ・クライアントと自組織だけでなく、社会に対する安全・環境の確保、つまり公益確保の考え方、社会的責任を重視する試験官が増えている(口頭試験での傾向)
    このような傾向も踏まえ、以下のように4つのステップで記述問題対策を立てられるのがいいのではないかと思います。

    • 【ステップ1:第1ブロックをよく読んでテーマ・設定条件を理解する】
      第1ブロックには問題テーマはもちろん、様々な設定条件が書いてあります。これをちゃんと読まないと、そもそも題意から外れた話になってしまいます。近年の例を示します。
      試験年度 設定条件 よくある間違い
      H25 メンテナンス段階にまで配慮してインフラや製品を作る インフラや製品をどうやってメンテナンスするかというテーマと読み違える
      H26 将来の人口減少時代における供用維持管理を見越した更新(更新時点ではなく将来の人口減少を考える) 人口減少がすでに顕在化した中でどうやって更新するかというテーマと読み違える
      H27 国際イベントを契機とした課題解決(国際イベント自体ではなく、それに相乗りして従来からあった課題を解決する) 国際イベントあるいはその関連イベントそのものをいかにして遂行するかというテーマと読み違える
      H28 プロジェクトは仮想事例等ではなく実在事例であり、設問(2)での新技術導入は、あくまで過去形 25~27年度と同様、仮想事例でもなんでもいいというような頭で解いてしまう。また過去の話ではなくこれからの話になっている
      設問(1)ではプロジェクトの設定を答えるわけですが、上記のような間違いをしてしまうと、この答案部分を読んだだけで試験官は「題意に沿っていない」と判断しますから、ここで大きく減点です。

    • 【ステップ2:短期管理におけるリスクを抽出して対策を考える】
      短期管理とは、プロジェクトにおける設計計画から製作施工までのステージで、期間が短いために生産性向上(リソースの強化)はほとんど見込めず、手持ちリソースをやりくりして管理することになります。
      過去問題においてこのステージの管理が問題対象になっていなかったのは平成22年度くらいで、ほとんどの場合は短期管理ステージがあります。28年度問題は個別業務というより事業全体が問題視野ですので、短期業務の最適化がメインテーマではありませんが、それでも設問(1)(2)では短期業務の最適化の視点での技術導入(つまり技術導入が管理上の課題解決をもたらしている)といえますから、短期管理ステージがあるといえるでしょう。
      この短期管理は、以下の手順で考察していくといいでしょう。
      ①インプット条件から管理目標を設定する
      ②管理目標非達成リスクの抽出
      ③リスクの相関の考察
      ④目標非達成リスク対策の検討・提案
      ⑤トレードオフの考察
      ⑥残留リスク・二次リスクの考察

    • 【ステップ3:中長期におけるリスクを抽出する】
      製品やインフラの運転保守維持管理までを考える場合、多くはその製品やインフラのライフサイクル全体にわたるメンテナンスが必要になりますから、期間は極めて長期になります。
      この中長期管理は、以下の手順で考察していくといいでしょう。
      ①管理目標は組織・プロジェクトの存続~ISO31000と同じ
      ②組織・プロジェクトの存続の視点でリスクを抽出
      ③リスク源に着目して優先順位を決める

    • 【ステップ4:中長期におけるリスクは短期+中長期で対策する】
      中長期(製品やインフラの運転保守維持管理段階あるいは組織が継続的に生産活動を続けていく段階)におけるリスク(特にリスク源)が抽出できたら、これに関して対策を講じるわけですが、これは短期+中長期で考えます。
      1. 中長期的リスクを3つのタイプに分類する
        中長期的リスクへの対策は以下の3つから成ります。
        タイプ1:リスクが特定できており、設計計画段階にフィードバックして対策できるもの
        タイプ2:リスクが特定できており、そのための備えを中長期的に実行できるもの
        タイプ3:リスクが特定できておらず、それを敏感に察知し備える体制作りしかできないもの
      2. タイプ1は専門技術的対応+3H対策
        タイプ1は短期的管理に組み込みます。具体的にはまず専門技術的に考えます。たとえば労働力不足対策であれば、省人化(ミニマムメンテにしておく)、省力化(自動化を進めておく)などですが、これはまず専門技術的に考えます。こんな構造にしておこうとか、こういう回路を付けようなどですね。
        そしてその次に、どうやってその機能の発現を担保するか、つまり「それをどうやって管理するか」を考えます。いずれも慣れていない・経験がない作業になりますから、いわゆる3H(初めて・変更・久しぶり)の作業になり、ミスや事故等の原因になりやすいと予想されます。ですから設計製作段階での不慣れミス(経済性管理や情報管理、社会環境管理)や製作段階での不慣れ事故(安全管理)を考えなければならないでしょうし、それはそもそも不慣れであること、すなわちスキルが不足していることがリスク源なのですから、教育(時間がなければ短期教育)などで最小化する必要があるでしょう(人的資源管理)。つまり、品質ミス・環境負荷ミス・事故を防ぐために、マニュアル(作業手順・安全対策マニュアルを兼ねる)を用意し、それを使って教育(作業手順教育=短期教育と安全教育)を行うことが主にやるべきことになります。なお、この3Hリスクは、中長期的リスクに対して低減策をとったことに伴う二次リスクでもあります。
      3. タイプ2はリソース強化(特に人的リソース強化)
        タイプ2のリスクは、人的リソースのスキルアップ、資機材の能力アップや調達方法改善などによって解決されます。教育の具体的内容は、OJTとOFF-JTを組み合わせた教育システムを構築しておくといった程度の内容になります。またナレッジマネジメントは、まずノウハウ等暗黙知を形式知化して(すなわちノウハウ集のようなマニュアルを作成して)、そのマニュアルを組織の知的財産として、これを活用して上記教育システムを使って人材育成教育を実施するという手順で実施します。資機材の能力アップは平成28年度問題のように、導入がヨスされる技術のメリット・デメリットを考えて判断することになります。
      4. タイプ3は体制だけ作っておく
        リスクがまだ特定できないタイプ3は、あえてそこまで答案に書かなくてもいいでしょう。これまでの出題例をみると、中長期的取り組みにそれほど多くの紙面を割くことを求められているものはありません。もしタイプ3まで書かなければならなくなった場合は、ページ冒頭の4段階のリテラシーの解説図のような体制、すなわちクライアント・社会・組織に関する情報を常に収集整理して意思決定ができる管理体制を構築すると述べて終わりにするのが一番楽です。
      5. 残留リスク・二次リスクにも配慮する
        短期管理と同じく、リスク対策(低減策)を講じてもなお残る残留リスクと、対策を講じたがために新たに生じる二次リスクにもしっかり目配りしましょう。28年度問題では設問(3)の「遠からぬ将来における新技術導入によってなお解決されない部分」、および設問(4)の「将来技術が導入されたとしても残るであろう課題」が残留リスクですが、ここに二次リスクを書いてしまっている人が非常に多く見受けられました。

答案用紙フォーマット
総監記述問題
Wordファイルで、桁数・行数は合わせてあります。
記述が2枚目を超えた時点で3枚目以降が自動的に現われます。
SUKIYAKI塾沖縄のすごろくさんご提供。
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口頭試験対策

総監口頭試験に際して、ポイントを整理します。
  1. 総監口頭試験の内容
     口頭試験は次の2項目について試問されます。
      ①経歴及び応用能力(配点60点)
      ②体系的専門知識(配点40点)
     今年度からは、従来あった③技術に対する見識、④技術者倫理、⑤技術士法制度等がなくなりました。
     試験時間は20分(最大30分まで延長可能)ですが、もともと総監の口頭試験時間は30分でした。また実際は20分前後で終了する受験生が多かったので、25年度の試験方式変更で大きな変化があるというわけではないと思われます。
     試験内容ですが、従来は、一般部門が技術的体験論文の10分プレゼンと質疑応答や質問集を使った専門知識の基礎的・教科書的質問など、かなり平準化の進んだ口頭試験であったのに比べて、総監は
    • 技術的体験論文のプレゼンは基本的になし。簡単な説明を求められることもあればいきなり質問されることもあり、さらにはまったく取り上げられない場合もあり
    • 総監として発想できるか、様々な仮想事例その他で確認
    • 筆記試験答案についての質疑もあり
    といった内容でした。つまり最初に経歴説明があり、最後に倫理等についての質問がある以外は決まった形というのがないもので、「どこから弾が飛んでくるかわからない」という試験でした。
     25年度からは技術者倫理・法制度の質問もなくなるわけですから、経歴を説明した後はもう最後まで「どこから弾が飛んでくるかわからない」時間が続くのではないかと思われます。応用能力も知識も、全部総監リテラシー(知っていて、使いこなせる)の確認という点では包含されますから、もはや区別なくいろんな質問がされるものと予想されます。
     つまり総監の口頭試験は、
      ①経歴の説明を求められる
      ②様々な方法で総監リテラシーを確認する
    という構成になると予想されます。
     そこで以下、上記①と②について解説します。

  2. 経歴の説明
     一般部門と同様、経歴を説明します。
     ここでポイントは、専門技術力ではなく管理技術力を身につけてきた過程を説明するという視点です。
     たとえば組織に入ってすぐは、業務の一部だけを任されるので、その任された作業を、ミスなく、遅滞なくこなすことが管理でしょう。
     やがて仕事自体を任されるようになると、人に動いてもらわねばなりませんから、人的資源管理のうち能力発揮(インセンティブ付与など)に関わるようになりますし、品質管理も自分の分だけではなく、業務全体の品質や進捗を考えるし、チームの動きを知らないといけないし(情報管理)、けがをしてもらっては困るし…というように管理は広がっていきます。
     さらに組織の一部を管理する課長や部長などになると、管理の範囲が広がるのはもちろん、教育にせよナレッジの蓄積にせよ、長いタイムスパンで考えるようになります。
     このようにして管理する範囲が広がってくるので、そのために駆使する管理技術も発展してくるはずです。そのあたりを整理するといいでしょう。
     「平成○年から○年まではこんな業務に従事して、○○管理と○○管理をやっていました」という説明を経歴票に沿って繰り返すだけでは、管理技術力がどう向上してきたかはわかりませんよね。
     また受験動機は、総監技術を身に着けたい動機を言っている人がよくいます。以下のような回答は典型的な「よくない例」です。
     「総合的な管理技術を身に着けたいと思い、受験しました」
       …それは資格がほしい理由じゃなくて技術を身に着けたい理由ですね。
     「受検に向けた勉強が管理技術力アップになる」
       …じゃあ今日で終わりですね。

     これは資格試験なのですから、技術ではなく資格がほしい理由を言わないと受検動機としては不適切です。総監資格は、「この人は総合的・体系的にマネジメントができる人です」という証明書のようなものですから、それが組織内外での信頼性確保、ひいては組織のマネジメント力アップ・生産性アップ、クライアントに対する確実な事業遂行と信頼できる成果提供、さらにはそれを通↓社会貢献につながるのではないでしょうか。

  3. 総監リテラシーの確認
     総監リテラシー、すなわち総監技術を「知っていて使いこなせる」ことは、様々なものを「ネタ」にして質問がなされますが、これまでの口頭試験事例から、だいたい以下の6つに分類できると思います。
    1. 小論文
      経歴票とともに提出した「詳細例」です。従来の技術的体験論文の代わりですね。
    2. 経歴票の中の小論文以外の業務
      「経歴票の小論文を取り上げた以外の行から何か1例あげて総監として説明せよ」といった質問(指示)です。
    3. 筆記記述答案
      筆記試験の記述答案に関連した質問です。
      「あなたはこう書いてるけど、これはどういうことなの」といったズバリ質問から、試験官が気になった箇所について「○○についてどう思いますか」というように一般化した質問、さらには「筆記答案について何か細くすることはありますか」といった改善点まで受験生に委ねる質問、さらには5つの管理の中で指定していなかった管理項目(たとえば計画・設計段階における経済性管理)まで、様々なものが考えられます。
    4. 職務
      「あなたの職務を5つの管理で説明してください」といった質問です。業務以外の職務もたくさんあるはずです。部下を講習会に行かせたり社内マネジメントシステムの構築や維持管理に関すること(たとえばISO9000準拠TQMにおける内部監査)、安全教育やチームワーク作りなど、これらは業務ではありませんよね。こういったことは、用意していないとアドリブではなかなか答えられなかったりします。
    5. トピック
      事故トピックなどをとりあげて管理の視点で説明させます。事故を指定してくるときもありますが、「何か総監の視点で気になるトピックを上げて説明してください」というようにトピック選択も受験生に任せることもあります。
      反倫理的事例と混同しないようにすることが大切です。
      私は過去に、受験日の一週間ほど前に起きた下水道開削現場での酸欠事故を取り上げての説明を求められました。
    6. 仮想事例
      「もしあなたが○○になったらどのように管理をしますか」という仮想事例です。過去においても別業種、甲乙での逆の立場、はては「八百屋」、「口頭試験の試験官」など意表を突くものがいろいろと試問されています。
      また、小論文やそれ以外の業務、さらにはトピックなど、様々な事例に関して「工期が半年とのことですが、もしこれが1年あったらどうしますか」など条件を変えて応用力を問う質問もなされます。
     「5つの管理で説明」などすぐにできないようにみえるものもあると思いますが、3の筆記記述答案をのぞいて、他はすべて1つのパターンで組み立てれば何とかなります。それは以下の構成です。
    1. 業務・職務の概要を簡単に整理する
      ごく簡単に「こんな仕事です」みたいな感じで業務や職務の概要を整理します。
    2. 最重要管理項目を決める(管理目標を設定する)
      一番守らないといけないこと(最もやってはいけないこと)を決めます。それが管理目標であり、それによって最も重要な管理項目が決まります。
    3. 5つの管理ごとに管理目標非達成リスクを抽出して対応する
      たとえば管理目標が工期厳守(=最重要管理項目は経済性管理のうちの工程管理)であれば、工期遅延に至るようなリスクを5つの管理(できれば経済性管理を品質・コスト・工期に細分した7つの管理)ごとにあげます。「工期遅延に至るような重大なミス」とか「作業が中断するような大きな事故」などですね。
      そしてそれらに対して、管理技術を駆使して対応します。ここでいう管理技術は青本に出てくるような管理技術が望ましいといえます。
    4. 上記の対応に伴い発生するトレードオフを調整する
      よくあるパターンはやはりQCD相互のトレードオフです。品質アップはコストアップになり、工期遅延を呼びます。コストダウンは品質ダウン・工期遅延を呼びます。工期厳守は品質ダウン・コストアップを呼びます。
      教育(人的資源管理)や安全、環境保全に力を入れると、コストや工期と相反します。
      これを解消する方法は、中庸案が一番現実的です。このとき、優先順位をよく考えて中庸点を決めます。
     小論文や経歴各行の代表的業務は当然上記の構成でまとめられます。
     さらに職務も「その職務が最も求められているものは何だ」と考えることで上記の構成にあてはめられます。
     さらにトピックや仮想事例も、その職業・立場になったときに、一番重要なこと(一番やってはいけないこと)は何だと考えれば思考ストップにはなりません。たとえば「もしあなたが八百屋になったとしたらどう管理するか」と聞かれても、「八百屋が一番やってはいけないことは何だ」→「腐った野菜を売ることかな」→「じゃあこれは品質管理だ」(最重要管理項目=品質管理)→「じゃあ腐った野菜を売らないためにはどんな管理が必要だろう」→「腐りそうな野菜を見分けるスキルを店員に身に着けさせる(人的資源管理)、産地や生産日をしっかり管理する(情報管理)…」という具合ですね。
     筆記答案については。まず不適切な部分はフォローしておきましょう。
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平成14年度以降の過去問題です。択一問題は正解解説付き。

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