平成13年度技術士第二次試験問題(環境部門)
 ●環境保全計画・環境測定
提供:SC30さん

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環境保全計画
 経験論文 1−1
 選択科目 1−2

環境測定
 経験論文 1−1
 選択科目 1−2

環境一般 2−1

環境一般 2−2

【環境保全計画】

T-1 次の問題について解答せよ。(答案用紙5以内にまとめよ。)

あなたが経験した環境保全計画に関する業務について、次の設問に答えよ。

(1)あなたが経験した国内外の業務事例の内,技術士業務として適当と思われる事例を2つ挙げ,それぞれの業務の背景,技術的内容,留意点について述べよ。

(2)(1)項で挙げた事例の中から1つを選び,業務開始時点での技術的問題点,それに対する対応策を簡潔に述べ,業務の評価と今後の課題について現状を踏まえて詳述せよ。


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T-2 次の8問題のうち2問題を選んで解答せよ。ただし,ADグループの同一グループから2問題を選んではならない。(緑色の答案用紙を使用し,問題ごとに用紙を替えて解答問題番号を明記し,それぞれ5枚以内にまとめよ。)

 

(Aグループ)

T-2-1(A) 200012月に閣議決定された新たな環境基本計画では,理念から実行への展開を図り,実効性のある計画とすることに留意が払われたといわれる。国の場合だけではなく地方自治体の場合にも,「環境の保全に関する施策の総合的な推進を図るための計画」を作成する際に,その実効性を確保実現していくことは重要な課題である。地方自治体におけるこのような計画の作成に際して,その実行性を確保実現するために重要と思われる事項を,計画の作成の過程,計画の内容,計画の公表とフォローアップの過程に分けて提案し,その理由を述べよ。

T-2-2(A) 日本では1999年から環境影響評価法に基づく環境影響評価制度が施行されることとなったが,本制度の意義や狙いについて述べよ。さらに,近年,戦略的環境アセスメントの必要性が主張されているが,環境問題の背景的事項や質の変化,あるいは現行の環境影響評価制度の限界点等を踏まえながら戦略的環境アセスメントの制度に期待される役割について述べよ。

(Bグループ)

T-2-3(B) 日本における光化学オキシダントの環境基準の達成率は極めて低い状況が続いている。工場・事業場から排出される窒素酸化物,炭化水素類をあわせて効果的に抑制する新しい制度(環境税,排出権取引なども含めて)を複数提案し,それぞれの長所,欠点を論ぜよ。

T-2-4(B) 大気汚染防止,道路交通騒音防止の観点から,日本の大都市における自動車走行量を抑制する方策を体系的に整理せよ。そして,その中で今後力を注ぐべきと考える施策を1つ選び,その理由,実現へ向けての手順,解決すべき問題点を述べよ。

(Cグループ)

T-2-5(C) 地下水の汚染対策手法について具体例を複数挙げ,技術的な課題を述べると共に,今後の地下水の水質保全のための効果的なあり方について述べよ。

T-2-6(C) 望ましい水環境の要件(例えば,「水質が清浄であること」など)35件列挙し,それぞれの要件が望ましい水環境にとって必要である理由を簡潔に述べよ。

(Dグループ)

T-2-7(D) 各自治体で,地域の自然環境の保全に係る独自の制度を設けているケースがしばしばみられる。そうしたケースを1つ挙げて,その内容を述べると共に,その意義と今後の課題について論ぜよ。

T-2-8(D) 人と自然のふれあいを評価するための基礎情報の収集・整理について論ぜよ。


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【環境測定】

 
T-1次の問題について解答せよ。(答案用紙5枚以内にまとめよ。)

あなたが受験申込書に記入した「専門とする事項」についてあなたが技術的責任者として実際に行った業務のうち,環境測定の技術士としてふさわしいもの2例挙げて,下記の項目に従って論述せよ。

(1)業務内容及びあなたの役割

(2)業務当時における技術的課題・留意点とその解決方法・成果

(3)現在の技術水準からみた問題点及び今後の技術的課題


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T-2 次の6問題のうち2問題を選んで解答せよ。ただし,1問題はAグループのうちから,他の1問題はBグループのうちから選ぶこと。(緑色の答案用紙を使用し,問題ごとに用紙を替えて解答問題番号を明記し,それぞれ5枚以内にまとめよ。)

 

(Aグループ)

T-2-1(A) 環境測定における分析精度管理の必要性を明記し,具体的な環境媒体を挙げて問題点について論述せよ。

T-2-2(A) 公的効力を有する環境測定業務において,誤った分析値を報告した場合の対応について,技術面を中心に例を挙げて述べよ。

(Bグループ)

T-2-3(B) ダイオキシン類の種類について明記し,環境測定における分析技術面の問題について論述せよ。

T-2-4(B) 環境大気中の汚染物質測定における測定値の時間代表性及び空間代表性について述べよ。

T-2-5(B) 環境測定に係わる技術的側面を中心として士壌環境(地下水も含む)における揮発性有機化合物について論述せよ。

T-2-6(B) 屋外における音響伝搬に関与する要因を挙げ,伝搬音に対する影響と音波の測定・評価上の留意点を述べよ。伝搬距離は数10メートルから数キロメートルの範囲まで考えよ。


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 【環境一般】


U-1 次の15問題を解答せよ。(必須項目U-1の解答欄に1つだけマークすること)

 

U-1-1 日本産希少野生動植物種に現在,57種が指定されているが,次のうち指定されていない種を選べ。
@ ヤマネ A タンチョウ B ミヤコタナゴ
C アベサンショウウオ D キクザトサワヘビ

U-1-2 次の数値は日本における各種の保護地域の箇所数と面積を表したものであるが,ラムサール条約の登録湿地はどれに該当するか選べ。(数値は平成12年8月現在)
@ 2ヶ所 27,718ha
A 5ヶ所 5,631ha
B 11ヶ所 83,725ha
C 28ヶ所 2,046,508ha
D 54ヶ所 493,454ha

U-1-3 次の国際条約の説明について,正しいものを選べ。
@ 世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約の目的は,世界的に重要な遺産を維持するためにそれらをリストアップし,各国が行う保護活動の中でもNGOやNPOの市民活動を支援するものである。
A ラムサール条約の目的は,特に水鳥の生息地等として国際的に重要な湿地及びそこに生息・生育する動植物の保全を保護することにより,湿地で展開される様々な人間活動を規制することである。
B 生物の多様性に関する条約の目的は,生物多様性の保全,地球的規模での生物多様性保護区の設定,その構成要素の持続可能な利用,遺伝資源からの利用から生ずる利益の公正で公平な配分である。
C 絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約の目的は,野生動植物の国際取引を規制し,採取・捕獲を抑制することにより野生動植物の輸出国である発展途上国の野生動植物の保護を図ることである。
D 環境保護に関する南極条約議定書の目的は,南極地域を平和と科学に貢献する自然保護地域と位置づけ,鉱物資源活動の禁止,動植物相の保護,廃棄物の適正な処分等の禁止・制限処置を定めたものであるが,環境への著しい悪影響を回避すること等,事前の環境評価までは求めていない。

U-1-4 国立公園計画についての次の記述のうちから正しいものを選べ。
@ 国立公園計画策定のための調査は,「国立公園基本調査標準」に準拠して行われるが,諸権利制限関係,産業関係等の実体を把握していない。
A 公園区域が指定され,その区域について保護及び利用計画が定められる。この計画に基づき,色々な地域・地区の指定がなされ,あるいは公園事業の決定が行われる。
B 自然公園の場合,はじめにある区域に対して,いかなる地域づくりを目指すかという目標が必要であり,その達成は利用計画によってなされる。
C 自然公園における利用とは,自然の許容する範囲での利用を意味しており,この限界性を如何に守るかというのが保護のための施設計画である。
D 保護のための規制計画に基づき特別地域等が指定されることにより,公園毎の種々の行為に対しては公用制限が働き,すべて許可を受ける必要がある。

U-1-5 環境水中のダイオキシン類の分析における操作として適切なものは次のうちどれか。
@ 河川水1リットルを採取し,テフロン製のフィルターでろ過し,ろ液をポリタンクに入れ,サンプリングスパイクを添加,密栓し持ち帰り,冷暗所で保存する。
A 現場で河川水1リットルを正確に採取し,ポリタンクに入れ,サンプリングスパイクを添加,密栓し持ち帰り,冷暗所で保存する。
B 現場で湖沼水約30リットルを採取し,小分けしてガラス製の3リットル容器7本に入れて密栓し持ち帰り,冷暗所で保存する。
C 現場で河川水約20リットルを採取し,サンプリングスパイクを添加,小分けにしてガラス製の3リットル容器7本に入れて密栓し持ち帰り,冷暗所で保存する。
D バンドーン採水器を用いて湖沼水20リットルを採取し,2個のポリタンクに入れ,サンプリングスパイクを添加,密栓し持ち帰り,冷暗所で保存する。

U-1-6 環境大気中の粒子状物質の捕集・測定に関する次の記述のうち,正しいものを選べ。
@ 大気中のダイオキシン類の測定では,測定精度を上げるために可能な限り大流量で試料大気を捕集するのが望ましい。
A 浮遊粒子状物質等小粒径の粒子の測定では,試料大気の導入経路の形状は,測定結果にはほとんど影響を与えない。
B 大気中の粒子状物質中の硝酸イオンを正確に測定するための試料採取では,炭酸ナトリウムを用いたデニューダーを通した後,四フッ化エチレン製ろ紙で粒子状物質を捕集すればよい。
C 大気試料の採取において吸引流量を正しく測定するためには,流量計と吸引ポンプは一般的に可能な限り経路を短縮した方がよい。
D 通常の光散乱方式で測定できる大気中の微粒子の大きさは0.3μm程度までである。

U-1-7 次の記述は水質汚染物質について,又はそれらの測定法に関する文章である。正しい文章を選べ。
@ 日本工業規格JIS K0102(1998年)に採用されている重金属分析法の定量範囲(単位)は,吸光光度計,キレート滴定法及びガスクロマトグラフ(GC法)は濃度(μg/L),その他の方法では絶対量(μg)で表示されている。
A 日本工業規格JIS K0312(1999年)のダイオキシン類分析法におけるGC/MSの検出下限は,四塩素化合物及び五塩素化合物で0.1pg,六塩素化合物及び七塩素化合物で0.2pg,八塩素化合物で0.5pg及びコプラナーPCBで0.2pg以下としている。
B 世界保健機構(WHO)による有機化合物の沸点による分類では,高揮発性有機化合物は50℃以下,揮発性有機化合物は50〜260℃,中揮発性有機化合物は250〜400℃となっている。
C 日本工業規格JIS K0102(1998年)に採用されている農薬分析法では,有機リン化合物はGC-FTD又はGC-FPD法,1,3-ジクロロプロペンとチウラムはGC/質量分析法(GC/MS法),シマジンとチオペンカルブは高速液体クロマトグラフ法(HPLC法)で定量する。
D 選択イオンモニタリング(SIM,m/z=149)手法を用いたフタル酸エステル類のGC/MS分析で,最も感度の高い化合物はフタル酸ジ-2-エチルヘキシルである。

U-1-8 有害大気汚染物質に関する次の記述のうち,誤っているものを選べ。
@ 有害大気汚染物質とは,国際的には硫黄酸化物,窒素酸化物,浮遊粒子状物質等の従来問題となっていた大気汚染物質以外の多種多様な大気汚染物質一般を指す。
A 日本の大気環境中から検出される多種多様な有害大気汚染物質は200種類前後に達するが,多くのものは,その大気濃度は低く,急性毒性の観点からは必ずしも直ちに健康影響が生じるレベルではない。
B 有害汚染物質の発生源は従来の大気汚染物質が工場の煙突,自動車排気ガス等ある程度明らかな発生源から排出されていた。これに対し多種多様な有害汚染物質は,物の生産,流通,消費,廃棄等の様々な過程から排出される。
C 大気汚染防止法では有害大気汚染物質の定義「長期毒性を有する大気汚染物質であって,法に基づく工場・事業所に対する規制処置が講じられていないもの」とされている。
D 有害大気汚染物質は長期的な暴露により発ガン等の健康影響を及ぼす恐れがあるため,従来の硫黄酸化物等のモニタリングと同じように常時監視として,通常自動連続測定装置による1時間の形で測定する。

U-1-9 道路交通騒音の評価測定値は次のうちどれか。
@ 騒音レベルの平均値
A 騒音レベル中央値
B 等価騒音レベル
C 騒音レベル最大値
D 単発騒音暴露レベル

U-1-10 農用地の土壌の汚染防止等に関する法律における特定有害物質で,政令で定められたものの下記の組合せのうち正しいものはどれか。
@ カドミウム及びその化合物, 砒素及びその化合物, 水銀及びその化合物
A カドミウム及びその化合物, 銅及びその化合物, 砒素及びその化合物
B カドミウム及びその化合物, 砒素及びその化合物, 鉛及びその化合物
C 銅及びその化合物, 砒素及びその化合物, 水銀及びその化合物
D 砒素及びその化合物, 水銀及びその化合物, 有機燐及びその化合物

U-1-11 自治体がいわゆる「環境管理計画」を策定するに当たっては,各種の環境保全に関連する法定計画との整合性を図らねばならない。それらの法定計画に関する次の記述のうち正しいものはどれか。
@ 環境基本法に基づく「環境基本計画」は1990年の閣議で決定され,2000年に改訂された。
A 国土利用計画法の「土地利用基本計画」では5地域を定めることとされている。そのうち「自然保全地域」は自然環境保全法による3種類の保全地域に対応するものとして運用されている。
B 改正された海岸法において,沿岸市町村が定める「海岸保全基本計画」は,住民の意見等を反映するものとされている。
C 「緑地の保全及び緑地の推進に関する基本計画」は,都市計画法に基づき,市町村が定めるものとされている。
D 瀬戸内海環境保全特別処置法「瀬戸内海の環境の保全に関する府県計画」を定めることとされているのは,瀬戸内海に面した9府県である。

U-1-12 環境影響評価等に際し,配慮しなければならない各種保護地域に関する次の記述のうち,最もふさわしいものを選べ。
@ 原生自然環境保全地域は数が少ないので,関係する都道府県はわずかである。
A 国立公園は傑出した自然の風景地に指定されるため,関係する都道府県の数は全国の5分の1程度である。
B 都道府県立自然公園は,数は多いが平均面積は狭く,国土に占める面積割合は国立公園の10分の1程度である。
C 鳥獣保護区は,国土面積の中に自然環境保全地域と同程度の面積を占める重要な保護地域である。
D ラムサール条約による登録湿地は,国際的に重要な水鳥生息地であり,日本の登録湿地の大部分は海岸の干潟である。

U-1-13 2000年12月に閣議決定された環境基本計画では,第2部「21世紀初頭における環境政策の展開の方向」の第2節「持続可能な杜会の構築に向けた環境政策」の「基本的な考え方」において今後の環境政策の指針となる4つの考え方を指摘している。正しいのは次のうちどの組合せか。
@ 拡大生産者責任, 環境効率性, 予防的な方策, 費用便益評価
A 環境リスク, 汚染者負担の原則, 環境効率性, 予防的な方策
B 費用便益評価, 汚染者負担の原則, 環境リスク, 環境効率性
C 拡大生産者責任, 費用便益評価, 環境リスク, 予防的方策
D 環境効率性, 汚染者負担の原則, 費用便益評価, 拡大生産者責任

U-1-14 大気汚染・騒音対策に関する次の記述のうち適切でないのはどれか。
@ 大気汚染防止法で届けられたばい煙発生施設のうち,最も数が多いのはボイラーである。
A 日本に設置されている排煙脱硫装置は,鉱煙発生施設分を除くと平成10年で2,300基を超えているが,その大部分は湿式法である。
B ディーゼル自動車からの窒素酸化物排出を一層低減するためには軽油中の硫黄含有量を抑制する必要がある。
C 新幹線鉄道の音源・振動対策としては,防音壁のかさあげ,改良型防音壁の設置,レール削正の深度化,バラストマットの敷設,低騒音型車両の開発等が行われている。
D 自動車騒音に係る環境基準が平成10年に改訂されたこともあり,平成11年度の全国の測定結果では,昼夜ともに環境基準を達成した地点は60%を超えた。

U-1-15 次の水質汚濁に関する記述の中から正しいものを選べ。
@ 上乗せ排水基準は,水質汚濁防止法に根拠規定がない。
A 日本の湖沼の環境基準がBODで定められているのは,内部生産を反映しやすいためである。
B トリクロロエチレンなどによる地下水汚染は,パルプ工場や食品製造業が主たる原因である。
C 赤潮もアオコもプランクトンの大量発生によって生ずる現象である。
D 地方の比較的清浄な大河川のBODは5〜10mg/L程度である。

  


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U-2 次の問題について解答せよ。(茶色の答案用紙を使用し,2枚以内にまとめよ。)

日本及び日本を取り巻く環境の現状を踏まえ,環境低負荷・循環型社会形成を図る上での重要な課題と解決のための方向性・展望と技術士としての貢献の可能性について,あなたの意見を述べよ。


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