平成16年度技術士第二次試験問題(農業部門)
 ●農業一般択一・問題および正解
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択一問題
 2-1 次の20問題のうち15問題を選んで解答せよ(解答欄に1つだけマークすること)。


2-1-1 我が国の米の生産と消費の現状に関する次の記述のうち、適切でないものを選べ。

(1) 我が国の農業生産額は年間約10兆円であるが、その約50%を米生産が占めている。
(2) 我が国の農地は現在約480万ヘクタールあるが、その約55%が水田である。
(3) 我が国の水田面積のうち、約40%で米の生産調整が行われている。
(4) 我が国の米の自給率(重量ベース)は、現在約95%である。
(5) 我が国の1人当たりの米消費量は、現在では昭和30年代中頃の115kg/年の約55%にまで減少した。
正解:1

2-1-2 我が国の食糧需給に関する次の記述のうち、適切でないものを選べ。

(1) 国産小麦は、日本めん用として輸入される小麦に比べめんの色や製粉性が劣る。品質にばらつきがある等の問題がある。
(2) 果実全体の消費量は、40kg/人・年程度とほぼ横ばいで推移しているが、生食用については、品目選択の多様化が進行している。
(3) 国産大豆は、ほぼ全量が豆腐、納豆等の食品用に仕向けられており、食品用原料大豆のうち国産大豆の割合は、平成14年産大豆で25%になっている。
(4) 野菜の消費量は、だいこん、はくさいなどの重量野菜は減少したが、緑黄色野菜が大幅に増加しているので全体の消費量は増加傾向にある。
(5) ばれいしょは近年、青果用、でん粉原料用の消費がほぼ横ばいで推移している一方、外食産業の進展等を背景に、加工食品用は増加傾向にある。
正解:4

2-1-3 世界の食糧需給に関する次の記述のうち、適切なものを選べ。

(1) 近年、砂漠化や塩類集積により世界の耕地面積と穀物収穫面積は急激に減少している。
(2) 世界の穀物輸入における開発途上国の割合が近年拡大する一方で、我が国は世界の農産物輸入額の約1割を占めている。
(3) ネリカ米(New Rice for Africa)等の新しい品種の開発により、近年では米を含む世界の穀物の平均単収の伸びは著しい。
(4) 中国は人口抑制政策の効果により、近年では人口増加圧力による食糧不足は解消され世界の食糧需給は緩和傾向にある。
(5) 開発途上国においては栄養不足人口の増加が著しく、2003年FAO統計によれば12億人が飢餓の状況にある。
正解:2

2-1-4 農林統計等において使われている農家、農業労働力に関する次の記述のうち、正しくないものを選べ。

(1) 農家とは、経営耕地面積が10a以上の農業を営む世帯又は農産物販売金額が年間15万円以上ある世帯をいう。
(2) 販売農家とは、経営耕地面積が30a以上又は農産物販売金額が年間50万以上の農家をいう。
(3) 主業農家とは、農業所得が主で、1年間に60日以上農業に従事している65歳未満の者がいる農家をいう。
(4) 農業従事者とは、15才以上の世帯員で年間60日以上農業に従事した者をいう。
(5) 農業就業人口とは、自営農業のみに従事した者又は自営農業以外の仕事に従事していても年間労働日数でみて自営農業の方が多い者をいう。
正解:4

2-1-5 農業経営基盤強化促進法に基づき、平成5年に認定農業者制度が創設された。認定農業者に関する次の記述のうち、適切でないものを選べ。

(1) 農業者は、農業経営改善計画を作成し、これを都道府県に提出して、当該農業経営改善計画が適当である旨の認定を受けることができる。
(2) 認定農業者とは、効率的かつ安定的な農業経営を目指す者であり、その数は、平成15年3月現在全国で約17万2千経営体となっている。
(3) 認定農業者には、農業経営基盤強化資金や農業経営改善促進資金等の融資面からの支援措置がある。
(4) 認定農業者には、一定の経営規模拡大等の要件を満たすと、機械、施設の減価償却費の割増計上等の税制上の優遇措置がある。
(5) 認定農業者には、農用地の利用集積や農作業の受託等の促進するための支援措置がある。
正解:1

2-1-6 次の(ア)〜(エ)は、地域別の農業農村開発協力のあり方について述べたものである。
     これらの記述と下の世界地図で示す該当する地域の位置a〜dの組合せ@〜Dのうち、最も適切なものを選べ。

(ア)ほとんどの地域が低所得国であり食糧供給のためのかんがい事業の推進や人づくり、砂漠化防止等を重視した協力が必要な地域である。
(イ)乾燥地域を一部含み、かんがい施設の整備や流通・生活基盤整備を伴った貧困の軽減のための総合的な農業農村開発が必要な地域である。
(ウ)貧困小農や土壌浸食の軽減が課題であり、土壌浸食防止対策と一体となった小農支援の天水農業技術の確立・普及が必要な地域である。
(エ)都市と農村の格差を始め多様な課題を有し、農村インフラの整備や農民参加型の水管理、作物多様化等を重視した協力が必要な地域である。
※(地図が掲載されているが個々では省略、以下に地図上のa〜dについて書いておきます)
  aは、サハラ砂漠付近
  bは、インド北部やアフガニスタン、ネパール付近
  cは、マレー半島やベトナム、インドネシア付近
  dは、南米赤道直下付近
(ア) (イ) (ウ) (エ)
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
正解:5

2-1-7 我が国のバイオマス(生物資源)に関する次の記述のうち、適切なものを選べ。

(1) 農業由来の廃棄物の大半を占めている家畜排せつ物の堆肥としての再生利用は、約2割に過ぎない。
(2) 食品廃棄物のうち、事業系廃棄物は食品リサイクル法の施行もあり、その約5割が再生利用されている。
(3) 家庭系食品廃棄物はほとんどが焼却処理であり、発生抑制等の徹底を前提としつつ、有効利用のためのシステムの構築が課題である。
(4) バイオマスの一種である稲わらの大部分は、堆肥・敷料、飼料等として利用されており、農地にすき込まれることはほとんどない。
(5) 我が国はアジアモンスーン地帯にあり、温暖・多雨なためバイオマスが豊富かつ広く存在しており、収集・利活用が容易である。
正解:3

2-1-8 発酵食品に関する次の記述のうち、正しくないものを選べ。

(1) 酒類には清酒、ワイン、ビールのような醸造酒、焼酎やウイスキーのような蒸留酒、リキュール、みりんのような混成酒がある。
(2) 米味噌は米麹、大豆、食塩、水を、麦味噌は麦麹、大豆、食塩、水を混合して仕込む。
(3) 納豆製造においては、雑菌の汚染を防ぐために室温よりも低温の環境下で納豆菌が添加される。
(4) チーズ製造において、凝固した固形物をカードと呼び、カードを分離して残った液体部分をホエー(乳清)と呼ぶ。
(5) 大豆を原料とする醤油には、濃口醤油、淡口醤油、溜醤油、再仕込醤油、白醤油などがある。
正解:3

2-1-9 水質汚濁に関する次の記述のうち、正しいものを選べ。

(1) 水質汚濁法による排出水規制は、有害物質による汚染状態にあっては総量規制基準で許容限度が定められている。
(2) 農業用水は生活排水等により汚染されることがあるが、窒素濃度が高くても窒素が肥料成分であるため、水稲の生産に被害を及ぼさない。
(3) 水田には浄化機能があり、流入水の窒素濃度にかかわらず、常に排出水の窒素負荷量は小さくなる。
(4) 富栄養化現象は植物プランクトンの異常増殖の結果生じるものであるが、植物プランクトンの増殖には無機態の栄養塩、光、水温が密接に関連する。
(5) 汚水の生物学的処理法は、BOD処理が主体であり、窒素やリンの除去はできない。
正解:4

2-1-10 我が国の水田のかんがい用水に関する次の記述のうち、正しいものを選べ。

(1) 水田からの1日当たりの蒸発散量と流出量の和を水深の単位で表したものを日減水深といい、水稲生育期間は通常100〜150mm/日程度である。
(2) 水田内に水を貯めた時の水深を湛水深といい、田植えから落水までの稲の生育期を通じて常時一定とする必要がある。
(3) 田植え前の代かきのために供給される用水を代かき用水といい、供給期間は短期間であるがピーク用水量となる場合が多い。
(4) 水田から流出した用水を上流側の他の水田へ揚水し繰り返し利用することを反復利用といい、用水管理費に軽減につながる。
(5) 水田に降る雨は水稲生育に有効であり、用水供給計画において全雨量をかんがい用水量から減じることができる。
正解:3

2-1-11 農業振興地域制度に関する次の記述のうち、正しくないものを選べ。

(1) 農業振興地域整備基本方針は、都道府県知事が定める。
(2) 農業振興地域の指定は、市町村長が行う。
(3) 農業振興地域整備計画には、生活環境施設の整備計画を定めることができる。
(4) 農用地区域には、農業用施設用地を含めることができる。
(5) 国の直轄、補助事業等による農業生産基盤整備事業は原則として農用地区域を対象として行われる。
正解:2

2-1-12 農村の自然環境又はその保全に関する次の記述のうち、適切なものを選べ。

(1) 農村の自然環境は、手を加えずに放置し、自然の遷移に任せることによってのみ維持保全される。
(2) 農村地域では水田や畑に作物が栽培されているので、野生生物間の食物連鎖や共生関係等の確保に配慮する必要がない。
(3) 水田生態系は、畑生態系と比較して季節毎に湛水状態と乾燥状態を繰り返しているため、生物相が貧弱で単純な生態系となっている。
(4) 農村地域の生態系を保全するためには、メダカ、ホタルなど人々が親しみやすい種のビオトープを地域環境と切り離し集落近傍に新たに設置することが有効で
ある。
(5) 魚類等の生息する水路の横断形状の検討で最も基本的事項は、魚類等の採餌条件の保持と必要な産卵場所の確保である。
正解:5

2-1-13 我が国のローカルエネルギーに関する次の記述のうち、適切でないものを選べ。

(1) 廃棄物エネルギーは化石エネルギーと比較して季節や日ごとの発生量が安定していることや単位容量当たりのエネルギー密度が高い特徴がある。
(2) ローカルエネルギーの大部分は古くから利用されてきたが、化石エネルギーが使われるようになってから急速に利用されなくなった。
(3) 水力発電の発生電力は落差と流量と発電効率の積で求められるが、発電効率は水車の種類にもよるが90パーセント程度である。
(4) バイオマスエネルギーには、そのまま燃料として用いるもの、分解や発酵などの手段により使用しやすい形に変換して用いるもの等がある。
(5) 太陽光発電及び風力発電による自家発電設備の場合は、600V以下で出力が20kw未満であれば一般用電気工作物とされる。
正解:1

2-1-14 家畜の疾病に関する次の記述において、(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして、適切なものを@〜Dより選べ。

 我が国では現在(ア)種類の疾病を家畜伝染病予防法で指定し、その発生の予防と蔓延防止に努めており、たとえば、平成12年に92年ぶりに宮崎と北海道で発生した(イ)もこの法律で指定された家畜伝染病である。
 また、ヒトと家畜の間を自然に行き来する
(ウ)のような疾病をズーノーシス(人畜共通感染性疾病)といい、現在約150種類以上の感染性疾病が知られているが、このうち(エ)はズーノーシスであると同時に家畜伝染病予防法で指定された疾病でもある。
(ア) (イ) (ウ) (エ)
(1) 26 口蹄疫 コイヘルペス 伝達性海綿状脳症
(2) 26 口蹄疫 狂犬病 伝達性海綿状脳症
(3) 26 炭疽 狂犬病 腸管出血性大腸菌病
(4) 52 炭疽 狂犬病 伝達性海綿状脳症
(5) 52 口蹄疫 コイヘルペス 腸管出血性大腸菌病
正解:2

2-1-15 世界の水資源に関する次の記述のうち、適切なものを選べ。

(1) 人間が使用しやすい河川水等の形で存在する淡水の量は、地球上の水の約0.8%である。
(2) 世界の平均年間降水量は約1700mmである。
(3) 世界の水使用量の約5割が農業用水で、そのうち約5割がアジアで使用されている。
(4) この約半世紀間、世界の農業用水の1人当たり年間使用量はほぼ横ばいで推移している。
(5) 世界の農業用水の年間使用量は、総量及び1人当たり水使用量ともアジアが最大である。
正解:4

2-1-16 家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律(家畜排せつ物法)に関する次の記述のうち、適切でないものを選べ。

(1) 家畜排せつ物の発生量は、産業廃棄物の中で汚泥に次いで2位であり、両者で全体の3分の2以上を占める。
(2) 環境保全の見地から飼養規模の大小を問わず全ての畜産農家について家畜排せつ物法の管理基準が適用される。
(3) 家畜排せつ物を有機資源として利用するために堆肥化施設等の整備の補助が行われている。
(4) 家畜排せつ物の堆肥は、肥料取締法で特殊肥料と規定され、化学肥料のような公定規格はない。
(5) 家畜排せつ物を浄化処理して河川等へ放流する場合には水質汚濁防止法の適用を受ける。
正解:2

2-1-17 甘味料に関する次の記述のうち、正しくないものを選べ。

(1) 異性化糖は、デンプンを分解したブドウ糖をグルコースイソメラーゼによりその一部を果糖に変えた糖で、清涼飲料水などの甘味源に用いられる。
(2) アスパルテームは、アミノ酸のアスパラギン酸とフェニールアラニンよりなるペプチド化合物の甘味料である。
(3) ブドウ糖は、デンプンを原料にαーアミラーゼ及びグルコアミラーゼにより処理して製造することができる。
(4) キシリトールなどの糖アルコールは、一般に低カロリーで虫歯予防効果がある。
(5) サッカリンは化学的に製造されるもので、現在我が国では食品添加物として使用が禁止されている。
正解:5

2-1-18 我が国の土地改良区に関する次の記述のうち、適切なものを選べ。

(1) 基幹的な農業用用排水路約4万kmのうち、土地改良区が約5割を管理している。
(2) 土地改良区には組合員への強制加入、経費の強制徴収権は認められていない。
(3) 土地改良区のかんがい管理方式は、アジアにおける農民参加型のかんがい管理方式のモデルとはならない。
(4) 我が国のかんがい施設の管理に要する費用の約7割を土地改良区が負担している。
(5) 土地改良区は小規模なものが多いが、ほとんどの土地改良区に専従職員がいる。
正解:4

2-1-19 施設園芸に関する次の記述において、(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを@〜Dより選べ。

 我が国で施設園芸が本格的に取り組まれるようになったのは、米の生産調整が始まった昭和(ア)年代頃からである。その後昭和50年代前半にかけてはガラス室、プラスチックハウスの面積が年間(イ)ha増加することも珍しくなかったが、平成7年頃から頭打ちとなり、近年では農業者の高齢化や輸入野菜の増大等により年々減少傾向が続いている。
  我が国では温室のほとんどがプラスチックハウスであり、ガラス温室は、
(ウ)%にすぎない。また、諸外国では、被覆資材として主にポリエチレンフィルムが使われているのに対し、我が国では温室全体の(エ)%が塩化ビニルフィルムで被覆されているのが大きな特徴である。
(ア) (イ) (ウ) (エ)
(1) 30 2,000 15 55
(2) 30 1,000 10 66
(3) 40 2,000  5 77
(4) 40 1,000 15 55
(5) 40 3,000 15 77
正解:3

2-1-20 特別栽培農産物に係る表示ガイドラインに関する次の記述のうち、適切でないものを選べ。

(1) 対象となる農産物は、化学合成農薬、化学肥料双方を慣行の3割以上減らして栽培された農産物である。
(2) 性フェロモン剤等誘引剤については、節減の対象としない。なお、使用した場合は使用した旨を表示すること。
(3) 天敵及び特定防除資材のみを使用している場合は「農薬:栽培期間中不使用」と表示すること。なお、この場合は使用した旨を表示すること。
(4) 化学合成農薬などの節減割合の比較基準となる慣行レベルは、地方公共団体が策定又は確認したものとする。
(5) 化学合成農薬及び化学肥料の使用状況に関する情報提供方法にインターネットなどの情報提供手段も可能である。
正解:1