平成16年度技術士第一次試験専門科目問題(応用理学部門)   各部門の部屋Topへ
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W 次の30問題のうち25問題を選択して解答せよ。(専門科目解答欄に1つマークすること。)


4−1 質量0.1kgのおもりとばね定数0.4N/mのぱねから成る質点系がある。この質点系の自由振動の周期に関する次の記述のうち正しいものを選べ。
(1) この振動の周期は0.5秒である,
(2) この振動の周期は約1.57秒である。
(3) この振動の周期は2秒である。
(4) この振動の周期は約3.14秒である。
(5) この振動の周期は約12.56秒である。

正解は4

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4−2 熱の法則に関する次の記述のうち誤っているものを選べ。
(1) 熱力学の第2法則によれば,熱エネルギーは自然に低温側の物体から高温側の物体に移動することはない。
(2) フーリエの法則によれば,固体中の単位面積を単位時間に移動する熱量は温度勾配に比例して生じ、その物質の熱伝導率に依存する。
(3) ニュートンの冷却則によれば,物体が放射によって失う熱量は、その物体と周囲との温度差に比例する。
(4) シュテファン−ボルツマンの法則によれば,黒体の幅射熱量はその黒体の絶対温度の2乗に比例する。
(5) ウィーンの変位則によれば,黒体が放射する赤外線のピーク波長はその黒体の絶対温度とともに小さくなる。

正解は4

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4−3 流体に関する次の記述のうち誤っているものを選べ。
(1) 非圧縮性完全流体の定常な流れでは,単位体積あたりの運動エネルギー,位置エネルギーおよび圧カエネルギーの和が一つの流線に沿って一定である。
(2) 非圧縮性流体にさらされた物体が受ける抵抗は,レイノルズ数が小さいときには流体の速さに比例し,レイノルズ数が大きい時には流体の速さの2乗に比例する、
(3) 容器に人れた液体が、容器の壁に開けた小さい孔から流れ出るとき,粘性の影響がなければその流出速度は孔から液面までの高さに比例する。
(4) 風の強い日に電線や木の枝が音を発するのは,気流によってカルマン渦が生じることにより電線や木の枝が振動するためである。
(5) 高回転数で回る水中のスクリューの後方に気泡が発生するのは、キャビテーションのためである。

正解は3

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4−4 波動の伝播に関する次の記述のうち誤っているものを選べ。
(1) あらゆる方向に均質な無限にひろがる弾性体中では縦波と横波が生じ、横波よりも縦波の方が速く伝播する。
(2) 気体や液体はせん断的な変形に対する弾性をもたないので,その中を伝播する音波は縦波である。
(3) 媒質中の音速は媒質の体積弾性率と密度によって決まり,空気中の音速よりも水中の音速の方が速い。
(4) 弾性体が空気など異なる媒質と接している場合に生じる表面波は深さ方向にはあまり伝播せず,表面に沿って平面的に伝播する性質をもつ。そのため、平面内での減衰が小さい。
(5) 波長に比べて水深の浅い水面に生じる波の速度は波長の平方根に比例する。

正解は5

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4−5 音に関する次の記述のうち誤っているものを選べ。
(1) 無指向性点音源から3次元空間に音が放射される場合,音源から受音点までの距離が2倍になると音圧レベルは3dB小さくなる。
(2) 冬の快晴の夜間など,温度が上空ほど高い場合には,音波の屈折によって遠くの音がよく聞こえることがある。
(3) 高い周波数ほど空気による音響吸収率が大きいため,遠くを飛ぶ航空機騒音は近くを飛ぶ航空機騒音に比べて低周波数帯域が優勢である。
(4) 音源と受音点の間に塀がある場合でも,回折によって音は聞こえる。塀の高さを高くすると高周波数の音ほど減衰量が大きく,低い周波数の音ほど減衰量が小さい。
(5) 波長に比べて小さな径の直管の一端を測定試料により封じ,他端に取り付けたスピーカーから純音を放射すると,管内に定在波が生じる。この定在波の最大音圧、最小音圧およびそれらの位置を計測することにより,試料の音響インピーダンスがわかる。

正解は1

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4−6 気体の性質に関する次の記述で正しいものはどれか。
(1) 1気圧付近の圧力領域では,気体の熱伝導率は圧力に比例する。
(2) 気体の粘性率は,温度が上昇すると低下する。
(3) 気体分子速度のマックスウェル・ボルツマン分布において,最大確率速度は平均速度よりも小さい。
(4) 気体の入った容器を回転させても中の気体には遠心力の影響は生じない。
(5) 気体の定積比熱容量(定積比熱)は,定圧比熱容量(定圧比熱)よりも常に大きい。

正解は3

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4−7 異種金属を接触させると,電子の移動がおこり,両者の(A)が等しくなったところで平衡に達し、各々の金属の(B)の差が,接触電位差となる。この記述の(A)、(B)の中に入れる用語の組合せで正しいものは,次のどれか。
    (A)    (B)
(1) フェルミ準位  熱起電力
(2) 拡散電位   イオン化ポテンシャル
(3) 電子密度   電子親和力
(4) フェルミ準位  仕事関数
(5) 電子密度   電気陰性度

正解は4

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4−8 晴れた空が青く見えるのは,光の(A)のためであり,エアロゾルによる光の散乱は(B)と呼ばれる。この記述の(A),(B)に入る光散乱過程として最も正しいものは、次のどれか
    (A)    (B)
(1) トムソン散乱  コンプトン散乱
(2) コンプトン散乱 トムソン散乱
(3) ブリユアン散乱 レイリー散乱
(4) レイリー散乱  ミー散乱
(5) ミー散乱   ブリユアン散乱

正解は4

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4−9 次の記述のうち,正しいものはどねか。
(1) 抵抗体の熱雑音起電力の二乗平均値は,温度と抵抗値に比例する。
(2) 表面に入射した電子に励起されて表面から放出される二次電子の強度は、入射電子の強度を越えることはない。
(3) 半導体のpn接合のp領域側に正電圧を加えると、接合界面に空乏層ができる。
(4) 空間電荷制御領域で動作している熱電子源の放射電流は,印加電圧に比例する。
(5) 熱電子放出陰極表面に、BaOやThO2などの酸化物皮膜を形成することにより,陰極表面の仕事関数を高めることができる。

正解は1

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4−10 X線構造解析に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
(1) 体心立法構造の逆格子は,面心立方構造である。
(2) X線源の単性が高くなると、可干渉距離は短くなる。
(3) シリコンやゲルマニウムは、ダイアモンド型結晶構造をとる。
(4) 放射光光源から放射される光は,時間的には連続光源ではなく,パルス光源である。
(5) 二次元周期構造の逆格子は,二次元面に垂直な針状(ロッド)である。

正解は2

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4−11電磁波と物質との相互作用に関する次の記述で,誤りのあるものはどれか。
(1) 物質に紫外線を照射すると,基底電子状態から励起電子状態への遷移に対応する吸収スペクトルを示す。また紫外線のエネルギーを吸収して励起された分子が,三重項励起電子状態を経て失活する際に放出される光を蛍光という。
(2) 物質に入射した光が散乱されるとき,物質中の原子や分子の振動準位間の遷移により、入射光とは周波数が少しずれた散乱光が観測される。これをラマン散乱という。
(3) 光学活性物質では,その光学活性吸収帯の波長領域で左右の円偏光に対するモル吸光度が異なるため,直線偏光が光学活性物質を透過すると楕円偏光となる。この現象に基づく円偏光二色性スペクトルは,タンパク質をはじめとする光学活性物質の立体化学の研究に利用されている。
(4) 磁気モーメントを持つ粒子に外部から静磁場を印加すると,磁気モーメントの配向に基づくエネルギー準位の分裂が起き,準位間のエネルギー差に対応した電磁波吸収が起きる。このとき印加する磁場が強いほど,吸収される電磁波の波長も短くなる。
(5) 原子や分子にX線を照射すると,光電子が放出されるが,その運動エネルギ一分布から、その電子が占めていた軌道のイオン化エネルギーを知ることができる。光電子分光法の一つとして利用されている。

正解は1

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4−12 フッ素およびフッ素化合物に関する記述がある。(1) 〜(5) に示したA,B,Cの記述の組合せで,正しいものはどれか。
 A1.原子番号9のフッ素はハロゲン元素の一つで,存在比の最も高い同位体は核スピンを持たない。
 A2.フッ素は電気陰性度の高い元素である。
 B1.フッ素分子は二原子分子であり,沸点が常温付近であるため,常温常圧では気体もしくは液体として存在する。
 B2.フッ化水素の水溶液は,弱酸性を示す。
 C1.オゾン層破壊との関連が指摘されているフロンは、有機フッ素化合物である。
 C2.フッ素樹脂は、一般に低い表面エネルギーを示すことから,はっ水剤などに使用される。
(1) A1,B1,C1 (2) A1,B2,C2 (3) A2,B1,C1 (4) A2,B2,C1 (5) A2,B1,C2

正解は4

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4−13 界面活性剤に関する次の記述で,誤りがあるのはどれか。
(1) 界面活性剤は両親媒性の分子構造を持ち,陽イオンや陰イオンなどの親水部分とアルキル基のような疎水部分とで構成されている。
(2) 油脂のけん化で得られる石鹸は,酸化水溶液中で高い洗浄作用を示す。
(3) 水平で平滑なポリエチレンの板上にある液滴の接触角は,液滴が純水である場合より界面活性剤水溶液である場合の方が小さい。
(4) 石鹸は脂肪酸塩であり,水中では疎水部同士が会合して球状のミセルを形成する。
(5) 界面活性剤は,洗剤、シャンプー,クリームだけでなく,帯電防止剤や潤滑剤などをはじめとする数多くの製品に使用されている。

正解は2

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4−14 A〜Dに示す水溶液には、沈殿が生成しているものがある。沈殿が生じている水溶液の正しい組合せは次の(1) 〜(5) のどれか。なお、以下に示すモル濃度で表したこの条件での溶解度積の値を参考にせよ。
  PbSO4:2×10^-8, PbCl2:1.6×10^-5, AgCl: 1.7×10^-10
 A.0.01mol dm^-3 Pb(NO3)2と0.01mol dm^-3 Na2SO4を含む水溶液。
 B.0.01mol dm^-3 Pb(NO3)2と0.01mol dm^-3 HClを含む水溶液。
 C.0.01mol dm^-3 AgNO3と0.01mol dm^-3 HClを含む水溶液。
 D.0.01mol dm^-3 AgClと1mol dm^-3 NH3を含む水溶液。
(1) A,B  (2) A,C  (3) B,D  (4) A,B  (5) B,C,D

正解は2

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4−15 核種に関する次の記述で正しいのはどれか。
(1) 質量数2の2D(重水素,デューテリウム),質量数3の3T(トリチウム)はいずれも水素の放射性同位元素であり,トレーサーとして体内の代謝経路研究などに使用される。
(2) 出土した木炭の14C/12C比は,生きている生物中の14C/12C比の1/8であった。14Cの半減期が6,000年であるとき,この木炭は約24,000年前のものである。
(3) 放射性核種からでるβ線は,波長の短い電磁波で,物質透過性が高い。生体組織に照射すると、生成するラジカル種などにより大きな損傷を与えるが,この特性を利用してガン治療などに用いられている。
(4) 1H,13C,31Pなどの核種は,いずれも核スピン1/2を持ち存在比がほぼ100%と高いため,核磁気共鳴スペクトル測定に適した核種である。
(5) 放射化分析とは,中性子などの高エネルギー粒子を照射することにより放射性核種を生成させ、これから放出される核種に特有な放射線エネルギーと半減期を測定することにより,核種の同定,定量をおこなう分析法である。

正解は5

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4−16 次の語句のうち、屈折法地震探査に関して関係のないものはどれか。
(1) ダイナマイト (2) 原点走時 (3) 地層・岩石層の硬軟 (4) ブラインド層 (5) 標準曲線

正解は5

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4−17 次の語句のうち、浅層反射法地震探査のデータ処理,解析において関係のないものはどれか。
(1) 利得補正 (2) フィルタ処理 (3) タイムターム (4) CMP重合 (5) マイグレーション

正解は3

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4−18 次の語句のうち,電気探査の測定,解析に最も関係の薄いものはどれか。
(1) 電極配置   (2) ウェンナー配置 (3) 滞水層の分布  (4) 断層破砕帯の分布 (5) 地盤の力学的性質

正解は5

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4−19次の語句のうち,速度検層に関して最も関係の薄いものはどれか。
(1) ダウンホール法  (2) 区間速度   (3) 低速度層  (4) 薄い挟み層  (5) 動的弾性常数

正解は3

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4−20 次の語句のうち,電磁探査に関して最も関係の薄いものはどれか。
(1) TEM法   (2) CSAMT法   (3) VES曲線  (4) 受信コイル  (5) 地盤の比抵抗

正解は3

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4−21 大陸棚に関連して述べた次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1) 大陸棚は沿岸から沖合250kmまでの海底を指し,傾斜角1°未満の緩やかな傾斜をもつ。
(2) 大陸棚は,水深100〜1,000mくらいまでの間に広がる傾斜が緩やかな(1°未満)海底面である。
(3) 大陸棚の先,水深約2,000mまでで,傾斜が3°〜6°とやや急になっているところが大陸斜面である。
(4) 大陸斜面の外側(外洋側)には、ほぼ水深8,000mに達する大洋底が広がり,これが海洋底の面積の大半を占める。
(5) 大陸棚は,第四紀の氷期には大部分が陸上に現れていたところであるが、当時の地形を一切残していないのが特徴である。

正解は3

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4-22 日本列島の地質現象について述べた次の記述のうち,正しいものはどれか,
(1) 日本列島で見られる地質現象の多くは海洋プレートの沈み込みの過程と関連付けられ、安山岩質マグマを主体とする火山活動は日本島弧に特徴的なものである。
(2) 安山岩質マグマ活動に比べ、花岡岩質マグマの活動は日本島弧においては稀で,沈み込み帯における大陸性地殻の形成過程のひとつとしては考えられない。
(3) 花南岩質マグマが島弧地殻の上部に貫入することにより接触変成作用が生じ、周囲の岩石が変成され構成鉱物の分布や配列に方向性が見られる。
(4) 海洋プレートが海溝やトラフから沈み込んでいく陸側の下方では,水を含んだ冷たいプレートの沈み込みにより低温で低圧のもとでの変成作用が起きる。
(5) プレート活動に関連する地質現象として,地震に関連する活断層がある。日本島弧における活断層は九州,四国,北海道に特に多く,近畿,中部,関東には少ない。

正解は1

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4−23人間にとって有用な鉱物やエネルギー資源が濃集している部分を鉱床という。鉱床の生成は地殻の地質作用と密接に関連し,鉱床の種類も地質作用に関連して分類される。鉱床に関する次の記述のうち正しいものはどれか。
(1) 正マグマ成鉱床は、マグマの冷却に伴い生成する鉱床で,塩基性岩(斑レイ岩など)や超塩基性岩の活動と密接に関連して生成する。主として鉄、金,鉛,亜鉛などを大量に産出する。
(2) ペグマタイト鉱床は,花崗岩中や花崗岩などから派生するペグマタイト脈に関連して生成する鉱床で,リチウム、錫,タングステン,ベリリウム、ウランなどを主として産する。
(3) スカルン型鉱床は,炭酸塩岩および炭酸塩質岩と密接に関連し,大量の柘榴石や単斜輝石などからなるスカルン鉱物に伴って産する。規模は小さく主として鉄を産し,他の鉱種はほとんど見られない。
(4) 斑岩型銅鉱床は,熱水成鉱床に属し,主としてアルカリ岩に関連する鉱床である。鉱床の銅品位は高く,規模も大きく,世界の銅の産出量の大半を占めることで知られている。
(5) 地質時代の生物遺骸に由来する化石燃料のうち石油や天然ガスは,地層に含まれる有機物質が酸素を含む酸化環境のもとで,バクテリアによる分解や熱および圧力の影響を受けて生成されたものである。

正解は2

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4−24 地球上の流体物質とその運動に関連する次の記述のうち,正しいものはどれか。
(1) 地球にはおよそ1.36×10^18トンの水が存在する。現在地球上に存在する水の量は一定であるといわれており,地球表面積の70.8%を占める海洋を満たす水の量は99.5%であり,地球がまさに「水の惑星」といわれるゆえんである。
(2) 海面の風や波,海面付近の温度変化による密度の変化は,海水の鉛直混合を引き起こす。特に水深1,000mまでの領域においては鉛直混合が盛んに行われる。黒潮と親潮の水温と塩分は水深1,000m以下ではそれぞれ年間を通じてほぽ同じである。
(3) 貿易風は赤道付近海水の表層水を西から東へ動かす。コリオリの力は、海流の向きを北半球では左へ,南半球では右へかえる。この働きにより,北半球では反時計回り、南半球では時計回りの海水の表面循環が生じる。
(4) 海水1kg中には約35gの塩分が存在している。世界の海洋における表面水のpHはほぼ8であり,弱塩基性である。また,種々の成分は河川水の流入、蒸発,降水、凍結によって地域的,時間的に多少の変化はあるが、海水の組成はほぼ一定している。
(5) 地球上の水の一部は気圏と水圏を循環し,水収支の釣り合いを保っている。地球全体の年平均蒸発量と年平均降水量はともに約860mmである。また,全海洋での年平均蒸発量と年平均降水量はそれぞれ1,020mm,940mm、全大陸ではそれぞれ680mm、480mmである。

正解は4

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4−25 気候および気候変動,気温変動に関する次の記述のうち,ILしいものはどれか。
(1) 5月から7月にかけて現れる梅雨期の地上天気図を見ると、南方海上に広がる亜熱帯高気圧(北太平洋気団)からの暖かく湿った空気と、オホーツク海付近に現れる高気圧(オホーツク海気団)からの冷たく湿った空気との間に梅雨前線が停滞していることが多い。
(2) 梅雨末期には、長江(揚子江)流域や西日本でしばしば積乱雲が発達して集中豪雨を降らせる。なお,オホーツク海高気圧が弱い年は,東日本や北日本では冷害を起こし,亜熱帯高気圧が弱いと梅雨がなく(からつゆ),干ばつになることがある。
(3) 統計的に見て稀にしか起こらないと考えられる気象現象を異常気象という。気候値として平均値を用いる場合、60年に一度しか起こらないと考えられる現象を異常気象として扱う。
(4) エル二ーニョは熱帯東部太平洋の海面水温が数℃高くなる現象で,10〜15年に1度現れ,熱帯太平洋で積雲対流の活発に起こる海域が西に移り,大気の循環の様子が変わって世界の気象に影響を与える。
(5) 過去100年あまりにおける全地球平均の地上気温の毎年の変化を調べてみると、年毎に多少の上下はあるものの全体としてこの100年間に3℃ほど上昇していることが報告されている。化石燃料の消費に起因するCO2の増加に由来すると考えられている地球温暖化現象である。

正解は1

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4−26 次の水質測定項目に関する記述のうち,誤っているものはどれか。
(1) pHが水素イオン濃度であり,酸性・アルカリ性の尺度となる。純水のpHは7である。外洋水は弱いアルカリ性である。また,多くの場合に,人間活動の影響を受けなくても,降水のpHは7以下である。
(2) プランクトンはクロロフィルaを含有するから,クロロフィルaが動植物プランクトン量の指標となる。
(3) 窒素とリンは生物の主要な構成元素であるので,その量が少なければプランクトンの増殖の制限因子となる。
(4) 水中に含まれる酸素を溶存酸素と呼ぶ。水質汚濁が進行すると,有機物が酸素を消費するため,溶存酸素が減少し貧酸素化が発生しやすい。
(5) WHOに定められた水質基準によると,トリクロロエチレンおよびテトラクロロエチレン濃度の基準値がそれぞれ0.03mg/L以下と0.01mg/L以下である。

正解は2

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4−27 次の記述のうち,誤っているものはどれか。
(1) 富栄養化に関わるリン酸やアンモニアは堆積物によく吸着するが酸化還元状態の変化などによって再び脱着して水中に回帰する。
(2) 吸着も多くの反応と同様に一方通行ではなく,吸着した物質が常に一定の割合で脱着する。よって,時間が十分経過すれば吸着速度と脱着速度とが等しくなり、平衡状態となる。
(3) 土壌は、CO2が水分にとけ、H2CO3の電離でいったん酸性になるが,加水分解を受けやすい鉱物が共存するとH2CO3が使われてしまう。そういう状況では,陸水はほぽ中性に近く,CO3^2-イオンが溶けた陰イオンの主成分になる。
(4) 一般的に,年平均気温20℃の熱帯では、12℃の温帯に比べるとほぼ倍ぐらいの速さで風化が進む。
(5) 2価の金属イオンM^2+が組み込まれたシリケートはM^2SiO4の組成をもち,その溶解速度が金属イオンのサイズによって異なる。例えば、Ca2SiO4>Mg2SiO4>Be2SiO4となる。

正解は3

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4−28 水素,酸素同位体に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
(1) 液体の水から水蒸気が発生するとき、水蒸気は水素,酸素どちらの同位体に関しても軽くなる。
(2) 降水中のδ18Oが負の値をとっている。これらの絶対値は高緯度地方の降水ほど大きくなる。極地の氷は地球上で最も軽い水である。
(3) 世界の降水中のδDとδ18Oの間にはδD=8δ18O+10という関係が見出される。
(4) 有孔虫化石の酸素同位体比は,間氷期と比較すると、氷期において小さくなっている。
(5) 沈み込み帯の高温火山ガスの酸素,水素同位体比はその地域の天水の同位体比に関係なく、δD=−10〜−30‰、δ18O=の+5.5〜10.0‰である。

正解は3

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4−29 次の記述のうち,誤っているものはどれか。
(1) 放射性廃棄物の地層処分は,人エバリアと天然バリアからなる多重バリアによって放射性核種の移行速度が抑えられる。
(2) 放射能の単位として二つの基本的単位が用いられている。一つは放射線を発生する能力そのものを表すベクレル(Bq)で、もう一つは生体組織によって吸収される放射線量を表すグレイ(Gy)またはシーベルト(Sv)である。
(3) 放射性核種は温度や圧力などの外的条件によらず,以下の関係に従って,一定の速度で壊変する。
    dN/dt=−λN^2
 ここで,Nは放射性核種の数,λは壊変定数とよぱれる定数である。
(4) 海水のSrとNdの主要な究極的な供給源はマントル由来物質と大陸地殻由来の物質と考えられるので,海水のSrとNd同位体比は,海水へ流人するマントル由来物質と大陸地殻由来物質との相対的な割合を反映している。
(5) Re-Os法は、187Reのβ−壊変に基づく、187Os存在度の変動を利用した同位体年代測定法である。

正解は4

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4-30 次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 脱窒過程は系内に酸素がなくなると,硝酸が酸素の代わりに電子受容体として使われる反応である。この反応の生成物は通常N2であるが,NO2-、N2Oが最終生成物となる微生物も存在する。
(2) 土壌中の無機態窒素は脱窒などによって15Nが濃縮され、重い値を示す。
(3) 降雨や潅漑によって降下浸透が起これば,硝酸イオンは地下水に入り,水系の富栄養化や硝酸汚染につながる。そのため,WHOでは飲料水中の硝酸性窒素濃度の基準をNO3-−Nとして10mg/L以下と定めている。
(4) 自然浄化能力をもつ湿地,水田,河畔域では.流入したNO3-のかなりの部分が希釈で除かれるという。
(5) 海洋の湧昇域では表層に窒素などの栄養塩が十分供給されるため,植物プランクトンの増殖が活発となる。

正解は4

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