平成15年度 技術士第一次試験 合格基準等について Back
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一次試験の配点・合格基準・合否判定などについてまとめました。
INDEX
合格基準・配点
合否判断
出題ミスはあるか?
基礎科目で0点の分野があると不合格?
合格基準は信用できるのか
不安だが、どうすればいいの?

合格基準・配点

一次試験の合格基準は以下のとおりです。合格基準の発表資料はこちら、配点はこちら
わかりやすいように、共通科目をのぞいて考えましょう。
合格条件は、以下の4条件をすべて満たしていることです。
 (1) 基礎科目 15問×1問1点=15点 40%正解=6問6点以上
 (2) 専門科目 25問×1問2点=50点 40%正解=10問20点以上
 (3) 適性科目 15問×1問1点=15点 50%正解=8問8点以上
 (4) 基礎と専門の合計(15点+50点=65点)で50%正解=33点以上

上記のすべてを満たしていることが合格基準です。
なお、共通科目は平均点以上であることが合格基準です。

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合否判断

合否判断は、前記合格基準を満たしているかどうかで決まります。逆にいうと、
 ●基礎正解6問(6点)未満
 ●専門正解10問(20点)未満
 ●基礎と専門の合計得点が33点未満
 ●適性正解8問(8点)未満

のどれかに該当するとアウトです。
基礎と専門のところがわかりにくいかと思いますので、図表にしてみました。なお、図はNagaseさんに作成していただきました。ありがとうございます。

基礎科目正解数 専門科目正解数 判定 不合格根拠
5以下 (何問でも関係なし) × 基礎正解40%未満
6 13以下 × 基礎+専門で50%未満
6 14以上
7 12以下 × 基礎+専門で50%未満
7 13以上
8 12以下 × 基礎+専門で50%未満
8 13以上
9 11以下 × 基礎+専門で50%未満
9 12以上
10 11以下 × 基礎+専門で50%未満
10 12以上
11 10以下 × 基礎+専門で50%未満
11 11以上
12 10以下 × 基礎+専門で50%未満
12 11以上
13 10以上
(何問でも関係なし) 9以下 × 専門正解40%未満

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出題ミスはあるか?

臨時掲示板での議論の中で、「これは出題ミスじゃないか」という意見がところどころで出ています。実際、出題ミスはあるでしょうか。
出題ミスは、今年の二次試験で2つありました。

1つは総合技術監理部門で、産廃として定められている廃棄物が、法改正で19種類から20種類に増えたにもかかわらず、「19種類」という選択肢を「正しいものはどれか」問題の正答として用意してしまい、結果として正解がなくなってしまったというものです。これは全問解答択一の中の1問であり、受験者全員に得点を与える措置がとられました(こちら)。

もう1つは、環境部門で、国指定鳥獣保護区が52箇所だったものが54箇所に増えていたのに、「52箇所である」という選択肢を「誤りはどれか」問題の中に入れていたため、正解(誤りである選択肢)が2つになってしまったというものです。これは20問中15問選択の択一問題であり、受験者全員ではなく、この問題を選択した受験者のみに得点が与えられました。

以上のこれまでの対応から、基礎科目・専門科目は問題選択択一ですから、もし出題ミスを認めた場合には、当該問題を選んだ受験者のみに得点が与えられると予想されます。また全問必須の適性科目では受験者全員に、科目選択である共通科目では当該科目を選択した全受験者に得点が与えられると思われます。

では、出題ミスはあるでしょうか。
これまでの経緯から、数値が明らかに間違っていた場合以外はミスにはならないと予想されます。
すなわち、問題文や選択肢があいまいでわかりにくいとか、複数の解釈ができるといったことでは、なかなか出題ミスと認められないということです。
そういう点で、出題ミスになる可能性があるのは、基礎科目1−3−3(解析分野)だけになります。
これは、下記のような問題です。

図に示す一様な円柱状の媒体において、熱はx軸方向にのみ流れるとする。
x=xの断面における温度をT(x)とすると、この断面より右側へ流入する熱量は
 q(x)=−dT(x)/dt
で表すことができるものとする。
x=xの断面とx=x+Δx(Δxは微小長さとする)の断面にはさまれた微小領域内に単位時間に蓄えられる熱量の近似式として次のどれが最も適切か。

(1) dT(x)/dx・Δx
(2) −dT(x)/dx・Δx
(3) d2T(x)/dx2・Δx
(4) −d2T(x)/dx2・Δx
(5) dT(x)/dx・Δx−d2T(x)/dx2・Δx

ここで、問題文のq(x)=−dT(x)/dtがq(x)=−dT(x)/dxミスプリントになっていました。
ミスプリント自体は他にもあります。たとえば応用理学部門の専門科目の中には、次の選択肢の文章が丸ごと直前の選択肢文章の後半にくっついていたというものもあります。これらは、きちんと受験生に伝達してその場で訂正すれば、何ら問題はない類のミスです。
ただ、実際には試験場でミスプリント訂正の伝達をしたところと、これが遅れたところがあったようです。
また、このミスプリントは意味がわかりにくいとかいったものではなく、そのまま読めば正解がなくなってしまう重大なミスプリントです。無論、文章からみてdtのわけがなくdxであろうことは容易に想像できますが、理解が浅いと問題放棄にもつながります。
これらのこと、すなわち、解答に重大な影響を与えるミスプリントであったこと、それがミスプリントであることの伝達がスムーズでなかった試験場があることを主催者がどのように考えるかでしょうが、出題ミスというより運営上の問題もあるので、問題選択受験生全員に得点を与える措置をとるかというと、正直なところ疑問に思います。

二次試験の時は、8月3日試験の環境部門のミスが公表されたのは27日でしたから、今後の検討で、出題ミスと認めるものが出るかもしれませんが、上記のようなことから、可能性は低いと思っています。

※本日10/31、1-3-3と1-3-4が出題ミスと認められ、問題選択者全員正解の措置が取られました。正直なところ、私の予想を超える技術士会の対応でした。二次試験に引き続いてのこのミスは噴飯ものですが、そういう「カッコ悪い」ミスも、面子にこだわることなくミスとして認め、救済措置を講じられた技術士会の潔い態度に敬意を表したいと思います。なお、上のドキュメントを書いた時点では、1-3-4のミスプリが意識の外に飛んでいました。申し訳ありません。

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基礎科目で0点の分野があると不合格?

「基礎科目で0点の分野があると不合格」というウワサが流れています。これは某受験参考書にその旨の記載があったのが原因のようです。
これについては、技術士会に直製電話で問い合わせ、「技術士会としてはそのような基準は設けていない」との答えをいただいています。
ですから、そんなことはないと思います。正直に言えば、「ないと思います」としかいえません。参考書の会社も、同じことを「もしかしたらあるかもしれない」という捉え方をし、万一に備えるという意味で足切りに言及したのかもしれません。

結局、真実はわかりません

では「どう思うか」といわれれば、私はないと思います。理由は、文科省はそういうところだからです。
きっちりした基準で、例外なく、完全に客観的に、主観の入り込む余地なく判定していくのが、入試センター試験などにも見られる文科省の姿勢です。「これが基準だって言ってるんだからそれ以外にはないんだって!」という感じです。対して昔の科技庁はアカデミックなところがありました。
合格率や合格者数の調整は、文科省は好みません。たとえ結果が偏って批判が出ようとも、頑なに基準通り行きます。同様に、出題ミスがあっても公表して訂正する姿勢です。批判を恐れて不透明にすることは、基本的にありません(批判に慣れているともいえます)。不透明性は、長期的に見ればマイナスであることをよく知っているともいえましょう。おそらく、正解公表も近い将来始まると思います。

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合格基準は信用できるのか

以上のような合格基準は信用できるのでしょうか。
たとえば、合格者数とか合格率調整のために、合格基準より高くても切捨てられたり、逆に切り上げられたりしないのでしょうか。
また、上記@〜C以外にも何らかの基準を、審査委員や判定委員などが考えたりしないのでしょうか。
要は、上記@〜Cの合格基準に基づき、機械的に合否判定が行われているのでしょうか。
正直申し上げて、「絶対にそうだ」とはいえません。私はセンター職員でも判定委員でもないからです。

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不安だが、どうすればいいの?


ではどうすればいいでしょうか。技術士会に問い合わせしたい方はそのようにされればいいでしょう。しかし「本当はこうなんだよ」ということがわかることはありません。でもまあ、木休みにはなるかもしれません。

気持ちを切り換えましょう。
二次試験の勉強が間に合わない、不安が抑えられない、いろいろな気持ちは理解できます。
ならば、二次試験の勉強をすればいいではありませんか。
「一次試験に合格すれば、二次試験を目指すことはしない」という人はいないはずです。修習技術者、あるいは技術士補であることは、社会においてほとんど役に立たないはずです。二次試験に合格し、技術士となって初めて役に立ちます。
不安が抑えなれないなら、掲示板でそれを遠慮なく吐露すればどうでしょう。私にメールいただいても結構です。
中には手厳しい反応もあるかもしれません。しかし、箱入り娘じゃあるまいし、それに耐えられないでどうして技術士になどなれましょう。技術士は今後、プロジェクトの重要な立場として、多額の税金の使途や住民の便宜あるいは生命財産の保護に深くかかわることを、責任を持って決めていかねばなりません。技術者評価が定着すれば、会社の隠れ蓑などありません。下手な仕事をすれば、自分の評価が低くなって、それがずっと残ります。会社が受注しても、評価の低い技術士のところには仕事は回ってきません。それが嫌で、会社の庇護のもとで呑気にやりたいなら、技術士はあきらめたほうがいいでしょう。技術者ではなく技能者になるほうが幸せだと思います。

それよりも、仕事をしましょう。家庭や家族を守りましょう。地域の構成員としてまちづくりに参加しましょう。恋をしましょう。遊びましょう。

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