2.最後の一週間、何をする?
いよいよ最後の一週間、何をしたらいいのでしょう。答えは「人それぞれ」です。これまで勉強してきたかどうかや、人のタイプなどで、いろいろな状況に置かれていることと思います。
まず、自分の状況を客観的に見つめましょう。その上で、自分に足りないと思われるところを補強しましょう。参考になるかどうかわかりませんが、以下にちょっとまとめてみます。
●まず、知識が足りているか、それが使いこなせるか試してみましょう
建設一般や総監の択一問題(過去問でも参考書の演習問題でも何でもよい)を解いてみます。70%以上正解できますか?
●知識がOKなら反復復習
できるなら、知識は足りています。これから新たに知識を追加するより、これまでに得た知識を定着させることに力点をおきましょう。
具体的には、覚えたことを何度も書き出すとか、暗証するとかして、反復復習をして記憶に刷り込みます。たとえば、覚えた事項・語句などを一覧表にして、それを眺めて頭の中で「これは○○、これは○○」と唱えます。「本当に覚えてるか心配だから、並べる順番をランダムにを変えてみよう」などとせず、同じフォーマットの一覧表を、試験当日の択一問題直前まで、愚直にずっと使い続けます。
暗記したことが抜けていく早さは人によって違いますし、刷り込みの進行によっても違います。「あれ?何だっけ。覚えたはずなのに・・・・」と思うことがなくなる程度の周期で反復しましょう。
●知識不足ならとにかく用語を暗記
用語はいわば「素材」です。どんな腕のいい料理人も、素材なしには何の料理も作れません。素材があれば、それを組み合わせて何とかなる可能性もあります。そもそも用語を覚えていないのなら、とにかく暗記です。
方法はいろいろあります。書いて覚える人、口に出して覚える人、繰り返し聞いて覚える人・・・・中学生や高校生のころに使った「単語カード」などを使ってもいいでしょう。建設一般なら佐口さんのHPの建設新語集(こちら)、総監なら青本のキーワードを暗記しましょう。80%くらいを目標にします。
ここで大切なのは、書いてあることを丸暗記する必要はないということです。一度読んで理解して、自分の言葉で書き出してみて、それを記憶するのが一番早道です。
●知識はあるけど正解できない場合は事例で理解
用語は覚えているのに、問題が解けない。正解を見ると、「あーそうだ。何でわからなかったんだろう」といつも悔しい思いをする・・・・こういう人は、「丸暗記」になってしまっていて、言葉では覚えているけれど理解ができていません。だから使いこなせないのです。
理解は、自分の身近なことに置き換えることでしやすくなります。たとえば仕事の事例、自分のいろいろな体験、何かをしているイメージなどです。何かの事例などに置き換えて理解するようにしましょう。例を1つあげます。「土の締固め度は含水比と密接に関連している。含水比が低すぎても高すぎても土はうまく締め固まらない。」・・・・これではよく理解できません。これを、「砂場で何か(砂のお城など)を作る。乾いて白くなったサラサラの砂ではうまくつくれない。水が多すぎてトロトロになった砂でもうまく作れない。適当に黒く湿った砂が一番うまくできる。」と言えば理解しやすくなります。
●知識を深めるには「説明」が一番
培った知識を記述式問題(建設一般記述、選択記述、総監選択問題)で使いこなすには、知識を深めるとともに、様々な事項の相互関係、要は知識の有機的なつながりが理解把握できている必要があります。
このためには、「説明」が一番です。「その用語が何か」の説明ではなく、「その用語はどういうものか。今の社会の中でどういう意味・位置づけを持っているのか」を説明するのです。・・・・誰に?そんなことに付き合ってくれる人はめったにいませんから、仮想的な相手に説明するのが一番です。誰か(具体的に思い浮かべてもいい)に説明するつもりで、頭の中でしゃべってみましょう。車の中などで口に出してしゃべってもいいです。
最も効果的なのは、次のような方法です。まず講習会・勉強会などで、誰かを指名して何か用語をテーマとして与え、その語句説明と社会資本整備における位置づけなどを説明させます。そして他の受講生などに補足説明や事例、反論などを募ります。議論になれば言うことなしなので、講師はそういう方向に誘導します。議論をすると、相手を説き伏せることが目的になりますから、事例やたとえによる説明なども含め、その用語を多角的に見ることになり、大変理解が深まります。特に「公益」というような観念的な用語にこれをやると、暗黙知→形式知の知の移転も訓練できます。
●経験論文が覚えられない人は
経験論文(選択記述問題答案を用意している人はそちらも)はできたけど覚えられない・・・・という人は、まず「何が覚えられないのか」チェックしてみましょう。
ストーリーが覚えられないという人は、論文をフローにしてみるなど、図化してみましょう。
これは本来、経験論文を作る段階で作成してみるとよいもので、全体の流れをスムーズにするのに有効です。選択記述問題も、まずこういうフローで流れを決めて、各枠の中に記述すべきキーワードを入れていくと、効率的に質の高い文章が作成できます。
それはともかく、これでストーリーは最低覚えましょう。後の細かい言葉は何とかするとしても、ストーリーがあいまいなままでは良い経験論文は書けません。
用語などの単語が覚えられないという人は、やはりフローを使って、枠の中に用語などの単語をリストアップして、それを覚えましょう。
「文章の丸暗記ができない」という人は、そういうことはあきらめて、ストーリーを細かく覚えることにしてはどうでしょうか。右図のようなフローをさらに細分して、それを覚えるようにします。ただし、文法エラーなどが起こらないよう、本番では慎重に文章を作るようにします。
主語のねじれなどで文そのものが読みにくいのもいけませんが、それは「3行以上の文は書かない」とか、「箇条書きを多用する」ことで本番でもある程度防げます。これに対してストーリー展開がおかしく、何を言いたいのかわからない・論理展開が理解できないというのは致命的です。
ストーリーを覚える
→各論点のキーワードを覚える
→各論点ごとの細かいストーリーを覚える
→単語を全部覚える
→文を丸暗記する
という順で記憶作業を進めること、そしてそれを効率的に行うため、フローに整理することをお勧めします。
●不安が抑えられない人は
目前の試験に対する不安が抑えきれず、マイナス思考ばかり・・・・という人は、きっとこれまでもそういう経験を数多くしてこられたことでしょう。でも、乗り切ってここまでやってきたではありませんか。今度もきっと大丈夫ですから、これまでと同様、いろいろな方法で不安を和らげましょう。
まだ覚えていないことが山ほどある・・・・と思って焦ると、新しいことが覚えられないばかりか、せっかく覚えたことが抜けていきます。前述したような方法で、覚えてきたことをしっかり反復定着させましょう。
精神的リラックスのためには、熱いお風呂に短時間入るのがいいそうです(対して肉体的疲労にはぬるめのお風呂に長時間つかるのがいいそうです)。また、真っ暗で静かな外部と遮蔽された空間にじっと長時間いると、記憶が猛烈によみがえるという話もあります(集中力が高まるせいらしいです)。抹茶は頭の働きを活性化させるという話もあります(私は抹茶が好きですが、確かに頭がスカッとして勉強がはかどります)。
いろいろな方法がありますが、それらとの相性も人それぞれです。とにかく大切なのはメリハリです。一日中試験のことを考えているのではなく、試験のことを考えるときは集中して、それ以外は意識の隅に追いやって、日常生活を過ごしましょう。
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