RCCM資格試験(H17年度)問題4−2 推定正解および解説は、臨時掲示板での議論を元に作成しました。
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問題と推定正解および解説 最終更新:2006.10.22

1. 道路トンネルの平面・縦断線形を計画する上で、誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 平面線形は、安全な視距を確保するために、直線または大きな曲線半径をとることが望ましい。
b. トンネル規模が大きい場合には、換気などを考慮して縦断勾配は5%程度以下にすることが望ましい。
c. トンネルの前後の明り区間で平面線形、縦断線形の急激な変化は避けなければならない。
d. トンネルが連続する場合には、換気対策や走行性などについて十分な検討が必要である。


推定正解:b
a. c. d. は、「道路トンネル技術基準(構造編)・同解説」の P11,12 に、記述があり、正解 b. は、「3%程度以下」


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2. 坑口位置の選定に関する記述のうち、誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 坑口部は地形・地質上不安定な箇所で気象などの影響を大きく受けるため十分な配慮を行う必要がある。
b. 大規模な地すべり地帯や急崖を形成する岩盤斜面下に坑口を選定することは避けなければならない。
c. 斜面斜交型のトンネル坑口は、トンネル軸線と斜面の位置関係において、最も理想的な計画である。
d. 尾根部進入型のトンネル坑口は、崖錐が侵食を受け凸型状に残っている場合もあるため、十分な地質調査を行う必要がある。


推定正解:c
a. b. d. は、「道路トンネル技術基準(構造編)・同解説」の P12,13 に記述があり、正解 c. は、「斜面直交型」の説明なので、誤り


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3. 地山性状に関する記述のうち、誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. トンネル内空への著しい押出しが発生する地山を、通常、膨張性地山という。
b. 膨張性を呈する岩石は、葉片状や粘土状の蛇紋岩、熱水や熱気により変質した温泉余土などの変質岩などがある。
c. 蛇紋岩の中でも、概して塊状のものは膨張性が大きい。
d. 未固結地山(土砂地山)は、自立する時間が短く、砂質地山や礫質地山では地下水の流路となり、崩壊が生じやすい。


推定正解:c
a. b. d. は、「道路トンネル技術基準(構造編)・同解説」の P41 に記述があり、正しい記述 c. は、「膨張性が小さい」が正しい記述


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4. 工事に伴う騒音・振動公害防止に関する記述のうち、誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 振動源は使用する建設機械および発破が考えられる。
b. 騒音規制法、振動規制法により特定作業の適用があり、その基準値が示されている。
c. 騒音、振動各々に指定地域があり、特定作業を行う場合には、労働基準監督署に届け出なければならない。
d. 工事現場周辺の事前計測としては、その場所での暗騒音、暗振動を計測する。


推定正解:c
a. b. c. は、「トンネル標準示方書[山岳工法編]・同解説」の P27 に記述があり、正しい c. は誤りで、「都道府県知事」に届け出


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5. ずり処理計画に関する記述のうち、誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. ずり処理計画は、トンネルの掘進速度を支配する大きな要素である。
b. ずり処理は、ずり積み、ずり捨てに分類できる。
c. ずり運搬方式には、タイヤ方式とレール方式が一般的である。
d. ずり運搬方式に応じて、換気容量・換気方式を決定する。


推定正解:b
a. c. d. は、「トンネル標準示方書[山岳工法編]・同解説」の P144 に記述があり、正しい b. は、「ずり処理は、ずり積み、ずり運搬、ずり捨てに分類できる。」が正しい記述で、「ずり運搬」が抜けている


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6. 膨張性地山の施工に関する記述のうち、誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 膨張性地山では、一般に切羽の自立性が悪く、地山の緩みは時間の経過とともに著しく増大し、大きな土圧が作用する。
b. 施工にあたっては、切羽の周辺および前方の地山を緩めないように掘削した断面を支保工や、場合によっては覆工で全周を閉合することが重要である。
c. 断面を分割して掘削すると、地山の応力配分が複雑になり、各断面が干渉し合い、先行する坑道が後続の切羽の接近に伴って偏圧を受ける場合もある。
d. 膨張性地山の施工では、切羽の自立性を考慮し、分割掘削を採用することが望ましい。


推定正解:d
a. b. c. は、「トンネル標準示方書[山岳工法編]・同解説」の P252 に記述があり、正しい記述 d. は、「膨張性地山の施工では、切羽の自立性を考慮し、断面の分割が最小限となるような掘削工法の採用を、検討しなければならない。」と、P253 に記述がある


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7. 施工中の緊急時の処置に関する記述のうち、誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 地山の急変等により落盤、切羽の崩壊、異常出水等および火災による急迫した危険が発生したときは、ただちに作業を中止し、作業員を安全な場所に退避させなければならない。
b. 可燃性ガス、有害ガスの湧出等によるガス爆発または中毒のおそれが発生したときは、ただちに作業を中止し、作業員を安全な場所に退避させなければならない。
c. 坑内において緊急の事態が発生した場合、避難その他の措置が遅れると重大災害となるおそれがあるので、迅速かつ的確な切羽の措置がなによりも肝要である。
d. 緊急時の避難用通路となるところは、材料等が通行の支障とならないよう整理、整頓に努めなければならない。


推定正解:c
a. b. d. は、「トンネル標準示方書[山岳工法編]・同解説」の、P126 に記述があり、正しい記述 c. は、P126 の記述によると、「迅速かつ的確な切り羽の措置」ではなく、「迅速かつ的確な情報伝達」


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8. 山岳トンネルの設計手法に関する記述のうち、誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 標準設計は、地山条件(地形、地質、土被り等)、断面積・形状、周辺への影響の制約等の条件が標準的である場合に適用する。
b. 覆工の設計については、覆工をはりで、地盤をばねでモデル化する骨組解析により行われることが多い。
c. 都市域等で、地表面沈下が問題となるような場合には、トンネル周辺地山の挙動が重要な判断要素となるため、境界要素法等の解析的手法により設計されることが多い。
d. 施工中には、当初設計の手法にかかわらず、実際の切羽および周辺の地山状況、計測結果により、適切な設計に修正することが重要である。


推定正解:c
a. b. d. は、「トンネル標準示方書[山岳工法編]・同解説」の、P56,57 に記述があり、正しい記述 c. は、P56 に「境界要素法」ではなく、「有限要素法(FEM)」との記述があり、誤り


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9. 山岳トンネルの支保部材の効果に関する記述のうち、誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. NATM の覆工コンクリートの設計の考え方は、力学的機能を付加させない場合と、力学的機能を付加させる場合とに別れる。
b. ロックボルトには、地山自身のせん断抵抗力が増大する内圧効果がある。
c. 吹付コンクリートには地山の凹みを埋め、弱層をまたいで接着することにより、応力集中を防ぎ弱層を補強する効果がある。
d. 鋼製支保工は、切羽の自立時間の短い土砂地山や割れ目の発達した地山においては、吹付コンクリートあるいはロックボルトの強度が発現される前に支保効果が発揮される。


推定正解:b
「トンネル標準示方書[山岳工法編]・同解説」によると、a. は P91 に、c. は P72 に、d. は P86 に記述がある b. は、「吹付コンクリートには、地山自身のせん断抵抗力が増大する内圧効果がある。」ならば正しい記述


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10. 山岳トンネルの計測結果の評価に関する記述のうち、誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 覆工打設時期の評価として、変位の収束は1〜3o/月程度の値が少なくとも2週間程度継続することを目安値(管理基準)とすることが多い。
b. 膨張性地山などで、土圧が強大で支保工だけでは土圧に対抗することが不利な場合は変位収束を待たずに、高強度の覆工コンクリートを打設する場合もある。
c. 観察・計測結果を設計・施工へ反映させる目的は、施工の安全性を確認し、経済的で安定したトンネル構造物を構築することにある。
d. 内空変位・天端沈下測定によるトンネル地山安定性評価にあたっては、危険な状態や不経済な状態に至る前の早い段階での計測結果から、地山の挙動・変化を予測する必要はない。


推定正解:d
a. b. c. は、「トンネル標準示方書[山岳工法編]・同解説」の P215 に記述 d. は、「予測することが重要である。」が正しい記述


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11. 道路トンネル技術基準における標準的な支保構造の組み合わせの記述のうち、誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 通常断面(内空幅8.5〜12.5m程度)の坑口部の覆工厚は35 pである。
b. 大断面(内空幅12.5〜14.0m程度)の坑口部には主筋としてD22 o以上の補強鉄筋を配筋する。
c. 通常断面(内空幅8.5〜12.5m程度)におけるCTパターンのロックボルトの施工範囲は上半のみである。
d. 小断面(内空幅3〜5m程度)の覆工厚は施工性から30 pである。


推定正解:d
a. は「道路トンネル技術基準(構造編)・同解説」 P145 の表-3.6.2 に、b. は P145 の文章に、c. は P126 の表-3.4.5 に記述がある d. は、「覆工厚は30cm」ではなく、「20cm」(P131 の表-3.4.7)


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12. 道路トンネルの換気設計に関する記述で、誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 設計速度60 q/h以下の煤煙の設計濃度(100m透過率)は50%を標準とする。
b. 基準換気量Q0 は標高400m以下で縦断勾配がないトンネルにおいて平均的な自動車の走行状態(円滑な走行速度40〜80 q/h)に対する換気量である。
c. ジェットファンは2車線トンネルの場合、2台並列配置を標準として路面のオーバーレイも考慮した建築限界の上方に取り付けることを原則とする。
d. 立坑集中排気方式は、立坑底を負圧にすることによって換気風を生み出そうとする方式である。


推定正解:a
b. c. d. は、「道路トンネル技術基準(換気編)・同解説」の、P56、P84、P89 に記述 a. は、P18 に、「60km/h 以下は、40%」と「80km/h 以上は、50%」の記述


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13. 道路トンネルの非常用施設設計の基本となるトンネル等級区分に関する記述のうち、誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. トンネル等級区分はトンネル延長と交通量(台/日:トンネル1本当たり)からAA、A、B、C、D の5つに分類される。
b. トンネル等級区分の交通量(台/日:トンネル1本当たり)のとり方は、一般に計画策定時から10 年後の計画交通量を原則とする。
c. 設計速度の高い(80 q/h以上)道路のトンネルで延長が長い(3000m以上)対面通行のトンネルについては、交通量が4000 台/日以上の場合は、トンネル等級区分を1階級上位とすることが望ましい。
d. トンネルの坑口間が非常に短いあるいは連続したトンネルにおいて、煙の影響が隣接トンネルに及ぶことが想定されるトンネルは、トンネル等級区分を1階級上位とすることが望ましい。


推定正解:b
a. c. d. は、「道路トンネル非常用施設設置基準・同解説 H13年10月」P9〜12 に記述 b. は、P11 に「一般に計画策定時から20年後の計画交通量(トンネル一本当たり)とする。」と、記述


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14. 山岳トンネル工法で用いられる用語のうち、誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 土被りとは、トンネル天端より上方の地山をいい、その厚さを土被り厚という。
b. 解析的手法とは、土圧理論や有限要素法解析等の計算に基づき支保工や覆工厚を設計する方法をいう。
c. 掘削方式とは、掘削断面の分割法によって決まる施工法で、分割掘削の場合の断面分割を加背割という。
d. 切羽とは、トンネルの掘削作業を行っている最前線近傍をいい、通常は切羽面(鏡)とその後方約20m程度の区域をいう。


推定正解:c
「トンネル標準示方書[山岳工法編]・同解説」の、P3,4 に、「用語の定義」の記述があり、a. b. d. は正しい記述 c. は、「掘削方式」のことではなく「掘削工法」のことを記述


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15. 吹付けコンクリートの作用効果について、誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 内圧効果
b. 外力の配分効果
c. 弱層の補強効果
d. 地山改良効果


推定正解:d
a. b. c. は、「トンネル標準示方書[山岳工法編]・同解説」P72、表-3.6 に記述 d. は、「地山改良効果」は、「吹付コンクリート」ではなく、「ロックボルト」の作用効果。P80 に記述


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16. ロックボルトの定着方式について、誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 全面定着方式は、硬岩地山から膨張性地山まで種々の地山に適用可能である。
b. 鋼管膨張型は、高圧水を注入して鋼管を膨張させる方式である。
c. スリットばね型は、湧水の多い土砂地山に適用される。
d. 地山の強度の低い未固結層では、自穿孔型ロックボルトが使用される場合がある。


推定正解:c
a. b. d. は、「トンネル標準示方書[山岳工法編]・同解説」」の P81、P82 、表3.10 に記述 c. は、P81、表3.10 に「湧水の多い土砂地山」ではなく、「湧水の多い硬岩地山に適用」と記述


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17. 山岳トンネルの補助工法と目的の組合せのうち、誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 長尺鋼管フォアパイリング-------- 近接構造物対策
b. 水平ジェットグラウト------------ 天端,鏡面の安定
c. ディープウエル------------------ 脚部の安定
d. 仮インバート-------------------- 脚部の安定


推定正解:c
「トンネル標準示方書[山岳工法編]・同解説」の P233 「表7.1 補助工法の分類表」があり、a. b. d. は正しく、c. が誤り。ディープウェルの目的は、「天端、鏡面の安定」、「湧水対策」となっており、「脚部の安定」は目的として該当していない


18. 道路トンネルで換気施設を必要性とする目安式として、正しいものをa〜d のなかから選びなさい。ただし、 L:トンネル延長(q)、N:時間交通量(台/h)

a. 対面通行トンネル---------------- L×N=600
b. 対面通行トンネル----------------N/L=2000
c. 一方通行トンネル----------------L/N=2000
d. 一方通行トンネル---------------- L×N=600


推定正解:a
「道路トンネル技術基準(換気編)・同解説 H13年10月」のP31〜32 に、「対面通行トンネルの場合 → L×N=600、一方通行トンネルの場合 → L×N=2000」と、記述


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19. 泥水式シールドシステムの構成として、誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. カッターにより切羽全断面を掘削しながら推進する掘削推進機構
b. 泥水の特性の調整を行い、これを切羽に送り泥水圧保持を可能とする機構
c. 掘削土の輸送設備
d. 掘削土と泥水を混合する設備


推定正解:d
a. b. c. は、「トンネル標準示方書[シールド工法編]・同解説」の P148 「泥水式シールドのシステム」に記述 d. は、「掘削土と泥水を混合する設備」ではなくて、「掘削土と泥水を分離する設備」が正しい記述


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20. シールド工法の現状と課題として、誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 密閉式シールドの増加とともに、2液型注入による同時裏込めが多くなっている。
b. 長距離掘進ではシールド機の耐久性,テールシールや土砂シールの耐久性と交換技術が課題である。
c. セグメントの製作費は、一般にシールド工事の15〜25%を占めるため、コスト低減が大きな課題である。
d. 土被り50m以上の条件下での施工は技術的に可能となっている。


推定正解:c
セグメントの製作費は、シールド工事の30%程度を占めるのが一般的