My Note いさざ漁
2005.4.1

春らしい、いい天気が続くようになってきた。
春の風物詩、「いさざ漁」もそろそろ終盤である。
「いさざ」は地方名で、本当はシロウオというハゼ科の魚である。
体長2〜3cmほどで半透明のきれいな魚で、春になると産卵のため遡上してくる。
これを待ち受けて川辺にイカダ足場がずらっと並び、太い竹の先に網籠をつけた大きなタモが何本も差し入れられる。タモは下流に向けて口を広げ、いさざはタモに入る。
取れたいさざは「踊り食い」などの食べ方もあるが、やはり一番おいしいのはお吸い物であると私は思う。小さいころから大好きだった。

今はもう内水面漁業権を持った人しか取れなくなっているが、私が子どものころは誰でも取っていた。土手を挟んで小学校のグラウンドがあり、少年野球の休憩時間になるとわっとタモ(昆虫採取の網)を持って川辺に行き、いさざを取っては空き缶に入れていた。それを持って帰って吸い物にしてもらうのだ。
私の母校である小学校はいさざの遡上する南川という川に隣接しており、校歌にも「春は輝く南川 いさざは上るはるばると」と歌われており、最も身近な魚である。

冬の禅僧の寒修行、春のいさざ漁と菜の花がいっぱい咲いた土手道、これらは小さいころから目に焼きついた風物詩だ。こういった風景を持っていることを幸せに思う。
そして5月になれば「お城祭り」である。「かんばん」と呼ばれる黄色い着物を着た男衆が勇壮に太鼓を打ち鳴らす。祭りでハイになっている上に酒も入っているから、子供心に「すげーなー」と思うと同時に怖い存在でもあった。
そして今は自分がその風物詩の「出演者」になっている。風物詩どころか手は痛いわ足は痛いわ体力消耗でへろへろの状態である。それでも毎年4月になって稽古が始まると仕事そっちのけで夢中になってしまうのだが。


2005.4.1 ブログに掲載