技術士一次試験専門科目(鉄道) 資料 ※この資料は、伏龍さんにご提供いただきました。

CONTENTS
1.鉄道技術基準
2.調査・計画
3.保線
4.施設整備

1.鉄道技術基準


1.1軌間
□軌間

広軌(1668mmスペイン),標準軌間(1435mm新幹線),狭軌(1067mm在来線)がある.

日本では,普通鉄道構造規則第9条より,762mm1067mm1372mm1435mmがあり,広軌はない.

1.2曲線
□曲線半径

普通鉄道構造規則第10条より,最小曲線半径は設計最高速度の区分に応じ定められている.


設計最高速度 V>110(km/h) 110V>90 90V>70 70V
本線路 600m 400m 250m 160m
分岐器付帯曲線 160m 100m
ホームに沿う曲線 400m

□緩和曲線

普通鉄道構造規則第12条より,本線における直線と円曲線および二つの円曲線の間における曲率を漸次変化させるために挿入する曲線.ただし,分岐附帯曲線はこの限りではない.

運転保安上,緩和曲線中に縦曲線を挿入することは避けなければならない.

普通鉄道構造規則第13条より,本線における連続する緩和曲線の間には,最大車両長さ以上の直線を挿入しなければならない.


□円曲線

普通鉄道構造規則第14条より,本線における円曲線の長さは,最大車両長さ以上としなければならない.ただし,分岐器附帯曲線はこの限りではない.


□スラック

車両には固定軸があるため,曲線軌道では方向を変えることが困難であり,これを容易にするために内方レールを広げること.(道路でいう拡幅)(関連:普通鉄道構造規則第15条)


□カント

曲線上を走行する場合に生じる遠心力に抵抗するために設けられる内外軌道の高低差で,乗り心地を良くし列車の転等を防止する目的がある.(道路で言う片勾配)

普通鉄道構造規則第16条より,カントは,緩和曲線の全長において逓減しなければならない.

CGV^2127R

(語呂合わせ)カントさんはいつにな(127)ってもレール(R)の上で(分母)バリバリ(V2)頑張って(G)いる人


1.3勾配
□本線の勾配

普通鉄道構造規則第17条より,本線の最急勾配は設計けん引重量の区分に応じ定められる.

ただし,停車場の分岐器及び列車の停止区域における本線の最急勾配は5‰(1000分の5)とする.

ただし,車両の留置または解結をしない区域における本線については,10‰とすることができる.


設計けん引重量 1,200t以上 1,000t1,200t 500t1,000t 500t未満
本線路 15 20 25 35
電車専用の本線路 35
本線路停車場 分岐器および列車の停止区域  5
側線停車場 車両の留置または解結する区域 5

□側線の勾配

普通鉄道構造規則第18条より,車両の留置または解結をする区域における側線の最急勾配は5‰とする.


□縦曲線

縦断方向に勾配が変化する地点において,車両の通行を円滑にするために挿入する曲線.(関連:普通鉄道構造規則第19条)


1.4建築限界
□建築限界

普通鉄道構造規則第20条より,建築限界内には,建物その他の建造物等を設けてはならない.

普通鉄道構造規則第21条より,曲線における建築限界は,車両の偏りに応じ,建築限界の片側に相当の数値を加え,かつ,カントに伴い傾斜させたものとする.なお,トンネルには,建築限界内に電灯・電線等の設置に必要な余裕を設けなければならない.

車両の偏移量W=23100/R


1.5施工基面幅および軌道中心間隔

□施工基面幅

普通鉄道構造規則第22条より,本線の盛土区間及び切取区間における施行基面の幅(軌道中心線から外縁までの長さをいう)は,軌間1067mm1372mm及び1435mmの鉄道にあつっては1830mm,軌間762mmの鉄道にあっては1520mmとしなければならない.ただし,曲線の場合等は相当量拡大しなければならない.


□軌道中心間隔

普通鉄道構造規則第23条より,直線における軌道中心間隔(側線相互間の軌道中心間隔を除く)は,車両限界の基礎限界の最大幅に600mmを加えた数値以上としなければならない.ただし,旅客が窓から身体を出すことのできない構造の車両のみが走行する区間にあっては,車両限界の基礎限界の最大幅に400mmを加えた数値以上とすることができる.また,曲線における軌道中心間隔は,車両の偏いに応じ,軌道中心間隔に相当の数値を加えたものとしなければならない.


1.6線路構造

□レール

直接車輪荷重を支え,まくら木・道床を経て広く路盤に分散させている.また,一定の軌間を保持するとともに,平滑な平面性を保って車両を円滑に誘導する役割を持ち,定尺レール(25~200m)・ロングレール(200m以上)や50kgレール・60kgレールがある.


□まくら木

締結装置を介して軌間を保持し,レールから伝達される列車荷重を広く道床に分散させる役割を持っているほか,軌道の座屈抵抗力を有している.


□道床

まくら木を所定の高さに保ち,まくら木の受けた列車荷重をさらに広く分散し路盤に伝える.また,適度な弾力性を持つことで列車の衝撃を吸収緩和する役割がある.有道床は,軌道狂い等の補修作業が容易にできる反面,定期的な道床補充や突き固め等の保守作業を必要とする.

道床の砕石をバラストといい,普通道床(バラストを用いた一般的な道床)とコンクリート道床(トンネルや踏切など)がある.


□軌道

軌道を支持するために天然地盤を加工してつくった人工地盤で,施工基面は路盤の高さを示す基準である.


 

□分岐器

普通鉄道構造規則第27条より,分岐器は,車両の走行に支障を及ぼすおそれのない構造でなければならない.また,緩和曲線及び縦曲線には,分岐器を設けてはならない.さらに,無道床橋りょうには,分岐器を設けてはならない.橋台背面等は,一般的に軌道の沈下が他に比較して大きくなるため,原則として橋台から20mの範囲に分岐器を設けない.

 N1/2cot(θ/2)

分岐器番数(N)と分岐角度(θ)との関係より,分岐角度が小さいほど分岐器番数が大きい.


 1.7停車場

□本線の有効長

普通鉄道構造規則第31条より,停車場において待避の用に供される本線の有効長は,当該本線に待避する最長の列車に対し十分な長さとしなければならない.


□駅の設備

普通鉄道構造規則第32条より,駅には,旅客又は貨物の取扱量等に応じ,プラットホーム,貨物積卸場その他の旅客又は貨物の取扱いに必要な相当の設備を設けなければならない.


□プラットホーム

普通鉄道構造規則第33条より,プラットホームの縁端と旅客車の床面又は踏み段の縁端との間隔は,車両の走行に支障を及ぼすおそれのない範囲において,できる限り小さくしなければならない.また,プラットホームの長さは,当該駅停車する最大列車長に見合う長さを確保することになっている.

 ホームの長さ=車両長×編成両数+過走余裕長(普通鉄道で5m以上)


□旅客ホーム(単式)

基本的に,単線区間に設けられるホーム


□旅客ホーム(相対式:22線型)

〔利点〕ホームや本線路が直線で用地幅が少ない.将来的拡張が容易.線形の変更なくホーム拡幅が可能.

〔欠点〕旅客案内に明確なサインが必要.ホーム要員が増える.

一般に,線路を挟んで設けられるホーム


□旅客ホーム(島式:12線型)

〔利点〕旅客がホームを間違えにくい.ホーム要員が少なくて済む.

〔欠点〕駅両端の線路に反向曲線が入るなど線形が悪い.列車の同時発着時の混雑が激しい.将来の拡張が困難.

一般に,線路に挟まれるホーム


1.8分岐及び平面交差

□本線の分岐

普通鉄道構造規則第41条より,本線は,停車場外で分岐してはならない.


□他の線路との交差

普通鉄道構造規則第42条より,本線は,他の線路と平面交差してはならない.ただし,停車場内であって相当の保安設備を設けた場合は,この限りでない.


□道路との交差

普通鉄道構造規則第43条より,線路は,道路(一般公衆の用に供する道をいう)と平面交差してはならない.ただし,鉄道及び道路の交通量が少ない場合又は地形上等のためやむを得ない場合は,この限りでない.


□踏切道

普通鉄道構造規則第44条より,鉄道と道路の交差角を45度未満としない.警標及び踏切遮断機を設けること.


1.9安全設備

□転てつ器の鎖錠

普通鉄道構造規則第45条より,本線及び重要な側線における転てつ器は,鎖錠することができるものでなければならない.ただし,発条転てつ器にあっては,この限りでない.


□車止装置

普通鉄道構造規則第46条より,軌道の終端には,車止装置を設けなければならない.


□車両の逸走等の防止

普通鉄道構造規則第47条より,車両が逸走し,又は列車が過走して危害を生ずるおそれのある箇所には,保安設備を設けなければならない.


□ガードレール

普通鉄道構造規則第48条より,本線における曲線半径の小さい曲線その他車両の走行の安全に特に支障を及ぼすおそれのある箇所には,脱線防止レールその他のガードレールを設けなければならない.


□橋梁下等の防護

普通鉄道構造規則第49条より,交通の頻繁な道路・線路又は河川に架設する橋りょうであって橋りょうの下を通行するものに危害を及ぼすおそれのあるものには,物件の落下を防止するための相当の防護設備を設けなければならない.


□線路の防護

普通鉄道構造規則第50条より,人が線路に立ち入るおそれのある場所には,相当の防護設備を設けなければならない.また,物件の落下等により線路に支障を及ぼすおそれのある切取区間・トンネル口等には,線路の支障を防ぐための設備又は落下物を検知するための設備を設けなければならない.


□待避所

普通鉄道構造規則第51条より,列車を避けることが困難な橋りょう・トンネル等には,少なくとも50mごとに待避所を設けなければならない.


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2.調査・計画

2.1整備手法

□便益計測

 

2.2需要予測

□四段階推定法

交通量予測法の1つで,計画された交通量推計を4つの段階(@生成・発生集中交通量A分布交通量B機関分担交通量C配分交通量)ごとに分けて実施する


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3.保線

3.1軌道構造

□直結軌道

木まくら木またはコンクリートまくら木を直接コンクリート路盤に定着したもの.


□スラブ軌道

まくら木と道床が一体となったもので,鉄道の高速走行性と保守費節減に優れているため,高速鉄道の標準軌道として新幹線等のトンネル内および高架橋上に敷設が進められている.


3.2軌道管理

□ふく進

勾配区間などで軌道が軸方向に(長手方向)に力を受けてズレること.ふく進防止を図るためアンチクリーパが用いられてきたが,より締結力の強い外国製のパンドロールやナブラ型締結装置が採用されている.


□遊間

レールは,温度変化に伴って伸縮を繰り返しており,この伸縮を吸収するために継目部に設ける隙間のこと.



4.施設整備


4.1
表定速度

□表定速度

対象とする運転区間の距離を,途中駅の停車時分を含めた到達時間で除した数値をいう.

4.2新幹線鉄道
□新幹線鉄道

全国新幹線鉄道整備法第2条より,新幹線鉄道とは,その主たる区間を列車が200km毎時以上の高速度で走行できる幹線鉄道

4.3磁気浮上方式鉄道(リニアモーターカー)
□リニアモーターカー(磁気浮上方式鉄道)

低騒音・低振動で直線運動するリニアモーターカーを利用した新しい手段.

4.4トランジットモール
□トランジットモール

一般車の通行を制限し,公共交通機関(バス・タクシー・路面電車等)のみ通行できる歩行者専用道.

4.5LRT
□LRT(ライト・レール・トランジット)

路面電車が進化したもので,欧米で発達した次世代路面電車を導入した都市交通の新しいシステム.

4.6列車制御設備
□自動列車停止装置(ATS)

列車が停止信号の手前の一定距離に達すると車両の警報ベルが鳴り,乗務員に注意し必要な制御装置を知らせる装置.


□自動列車制御装置(ATC)

先行列車と後続列車の間隔および進路条件に応じて自動的に列車を減速し,所定速度になったら自動的にブレーキを解除する装置.


□列車集中制御装置(CTC)

中央制御室で各駅から送られてくる列車運転情報をもとに指令判断を行い,多数駅での列車運行を1ヵ所で遠隔制御する.


□新幹線列車運転管理システム(COMTRAC)

列車間隔制御(ATS・ATC)と運行管理・進路設定などの自動化・集中化(COMTRAC)を進め自動化したもの.(自動進路制御・運転管理・車両運用・情報伝達・旅客案内情報など)


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