技術士第一次試験 平成18年度 基礎科目

問題・正解・解説

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※技術士会公表の正解について、臨時掲示板での情報から解説を作成しました。
 異論や情報などありましたら、メールにてお願いします。


基礎科目正答一覧
第1群:設計・計画 第2群:情報・論理 第3群:解析 第4群:材料・化学・バイオ 第5群:技術連関
1-1-1 1-2-1 1-3-1 1-4-1 1-5-1
1-1-2 1-2-2 1-3-2 1-4-2 1-5-2
1-1-3 1-2-3 1-3-3 1-4-3 1-5-3
1-1-4 1-2-4 1-3-4 1-4-4 1-5-4
1-1-5 1-2-5 1-3-5 1-4-5 1-5-5

1群 設計・計画に問するもの (全5問題から3問題を選択解答)

1-1-1 n個の同じ機能の構成要素中m個以上が正常に動作している場合,系が正常に動作するように構成されているものをm/n冗長系という。各構成要素の信頼度が0.8である2/3冗長系の信頼度を求め,次の数値の中から最も近いものを選べ。


(1) 0.51  (2) 0.64  (3) 0.90  (4) 0.96  (5) 0.99

正解は3

2of 3の計算です。
3個が全て正常に動作する確率+3個のうち2個正常に動作し1個が正常に動作していない確率
=0.8
3+3×0.82(1-0.8)=0.512+3×0.123=0.896≒0.9

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1-1-2 計画・設計の問題では,合理的な案を選択するために,最適化の手法が用いられることがある。これについて述べた次の文章の[ア]〜[エ]に入る用語の組合せとして最も適切なものを(1)〜(5)の中から選べ。ただし,以下の文中で,「案」を記述するための変数を設計変数と坪ぶこととする。

 最適化問題の中で,目的関数や制約条件がすべて設計変数の線形関数で表現されている問題を線形計画問題といい,[ア]などの解法が知られている。設計変数,目的関数,制約条件の設定は必ずしも固定的なものでなく,主問題に対して[イ]が定義できる場合,制約条件と設計変数の関係を逆にして与えることができる。
 また,最適化にもとづく意思決定問題で,目的関数はただ1つとは限らない。複数の主体(利害関係者など)の目的関数が異なる場合に,これらを並列させることもあるし,また例えばリスクの制約のもとで利益の最大化を目的関数にする問題を,あらためて利益の最大化とリスクの最小化を並列させる問題としてとらえなおすことなどもできる。
こういう問題を多目的最適化という。 この問題では,設計変数を変化させたときに,ある目的関数は改良できても,他の目的関数は悪化する結果になることがある。 こういう対立状況を
[ウ]と呼び,この状況下にある解集合(どの方向に変化させても,すべての目的関数を同時は改善させることができない設計変数の領域)のことを[エ]という。

(ア) (イ) (ウ) (エ)
(1) シンプレックス法 逆問題 トレードオフ アクティブ解
(2) コンプレックス法 逆問題 トレードオン アクティブ解
(3) シンプレックス法 逆問題 トレードオン パレート解
(4) コンプレックス法 双対問題 トレードオン パレート解
(5) シンプレックス法 双対問題 トレードオフ パレート解

正解は5

【(ア)について】
様々な条件が与えられる中で、もっとも大きな効果を上げるための計画手法が最適化で、たとえば、工業立地について考えるとき、用地面積・供給可能用水量・輸送能力・誘致可能な工業の種類といった条件の中で、最大の生産額をあげるためにはどの工業をどれだけ誘致したらいいかということを考える場合などです。
この中で、制約条件式・藻ク的式ともに一次式で表すことが出来る場合、この方法を線形計画法といいます。この単純なものは図解法(
こちら)がありますが、要素が多くなるとシンプレックス法を使います。シンプレックス法は単体法ともいい、通常シンプレックス表という表により計算します。また、ここではスラック変数という特殊な変数を使用します。計算の詳細は出題される可能性は低いので覚えなくてもいいと思います。シンプレックス法についてさらに詳しく知りたければこちら
なお、「コンプレックス法」という解法はありません。

【(イ)について】
前述の工業立地における最適化手法としては、様々な条件をもっとも有効に活用して生産額を最大に持っていくというアプローチの他に、ある生産額を上げるのに必要な費用を最小化するというアプローチもできます。この費用最小にする問題は、生産額を最大にする問題を裏返しにしたもので、双対問題と呼ばれます。この場合、制約条件・設計変数の関係は逆になります。
逆問題とは、入力(原因)から出力(結果、観測)が求められる問題を順問題というのに対し、その逆に出力から入力を推定する問題のことで、たとえば医者の診断や地質調査による堆積過程推定のように、様々な観察結果から原因を推定することをいいます。

【(ウ)について】
こういった「あちら立てればこちら立たず」の二律相反をトレードオフいいます。
一方、たとえば経営と環境、顧客満足と企業利益のように、従来はトレードオフ(両立できない)のものとして考えられてきたものを、両立できるものとして考えるという発想がトレードオン(両立)で、企業経営の考え方として浸透しつつあります。すなわち、自分だけが儲ければいいという考え方から、「世のため、人のため、自分のため」という発想への転換により、全てのステークホルダーの利益をトレードオンにするというもので、Win-Winの関係と言われるものもトレードオンの発想になります。

【(エ)について】
たとえば試験時間内に余裕を持って解答しようと急いで問題を解けば勘違いイージーミスのリスクが上がって解答の精度が低下します。しかし確認を徹底すれば試験時間中に問題が終わらないかもしれません。このように、目的変数の1つを改善しようとすると他の変数が改悪になってしまうトレードオフの中では、早く解くのがいいのか、確認徹底がいいのか、優劣がつけられなくなります。「解」としては、確認を全くしないで一瀉千里に解いていくという極端なものから、1問解くたびにじっくり確認し、検算もするといったものまで、「早く解く」ことと「確認する」ことが様々な割合で混ざり合ったものがあるわけですが、どれが一番いいのか明確な優劣がつけられません。
あるいは数学と国語の試験の前日、数学ばかり勉強すれば数学のテストは100点取れるが国語は50点、逆に国語ばかり勉強すれば国語は100点だが数学は50点になるという場合も同じです。ここで、「数学を7、国語の3の割合で勉強すれば、数学も国語も100点取れる」というような解があれば、文句なくそれが優れているのですが、そんなことは起こらないとすれば、数学と国語の勉強時間配分の様々な組合せには優劣はつけられません。
このような、優劣がつけられない解の集合をパレート解(パレート最適解)といいます。
なお、「アクティブ解」というものはありません。

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1-1-3 次の記述の[ア]〜[オ]には,A:引張,B:圧縮,C:せん断のいずれ かが入る。その組合せとして最も適切なものを(1)〜(5)の中から選べ。

 慣れた人がマージャン牌を並べて手ではさんで持ち上げても牌は落ちない。
 これは牌を押し付けることで伝わる
[ア]力に,摩擦係数を乗じて評価できる摩擦カが[イ]力を発生させることで,牌の重さとつり合いを保つからである。石積みアーチ構造においても,特に石の間に接着剤などを用いなくとも,石の重さが同様のメカニズムで摩擦力による[イ]力の伝達を可能にするので,安定した形を保つことができる。ただし,このメカニズムを正常に機能させるためには,支点において水平方向の反カを得て[ウ]力を生じさせなければならないので,支点が動かないようなしっかりした施工が必要である。
 ボルトで何枚かの板をはさんで締め付けると,同様に,板の間には摩擦による
[エ]のメカニズムが生じるので,様々な力の伝達が可能となる。このとき締め付け力の反作用としてボルトの軸方向には[オ]力が発生する。


図−1 マージャン牌をはさんで
持ち上げる様子

図−2 石積みアーチ構造の例

(ア) (イ) (ウ) (エ) (オ)
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)

正解は2

(ア):押し付けるので圧縮・・・・B
(イ):これに摩擦係数を乗じて評価できる摩擦力はせん断力・・・・C これは、τ=σtanφのことを言っています。
この時点で(2)しかありません。

※牌であれ、橋であれ、一体となっているものが壊れるかどうかは、せん断力の問題です。
τ=c+σtanφの話ですね。設問の[ア]はσであり、これに摩擦係数tanφをかけたものがτになります。(麻雀牌も石橋も接着剤は使っていないのでc=0です)
物が壊れる(崩れる)ということはどういうことなのかということを理論的に理解しているか(そしてそれを定量的に表現できるか)ということ、またτ=c+σtanφみたいな基本式を、ちゃんと意味がわかって覚えているかということを確認している、良問だと思います。
実現象を理論的に整理できるか、技術的知識を暗記ではなく理解しているかということは、基礎理論を応用できるかということの評価尺度でもあります。
こういう問題は「基礎科目」にふさわしいと思います。
しかし、よく考えたら、なぜこの問題が設計・計画?技術連関じゃないのかなあ。

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1-1-4 国際標準化機構(ISO)は,あらゆる業種,形態及び規模の組織が効果的な品質マネジメントシステムを実施し,運用することを支援するために,ISO 9000ファミリー規格を開発した。 これに対応して我が国においてJIS Q 9000ファミリー規格として発行された品質マネジメントシステムに関する次の記述の[ア]〜[エ]の中に入る語句の組合せとして,最も適切なものを(1)〜(5)の中から選べ。

 品質マネジメントシステムとは,顧客満足を高めるために,品質に関して組織を指揮し,管理するためのマネジメントシステムである。そのアプローチの中では,顧客及びその他の利害関係者のニーズ,並びに期待を明確にし,組織の品質方針及び品質目標を設定する。品質目標の達成に必要なプロセス及び責任を明確にし,必要な資源を提供する。また,各プロセスの有効性及び効率を測定する方法を設定し,その判定指標を適用するニとにより,不適合を予防し,その原因を排除するための手段を決定する。
 
[ア]は,これらの意図を伝達し,行動に一貫性を持たせることを可能にし,顧客要求事項への適合の達成及び品質改善,教育・訓練の実施,再現性や客観的証拠の提供等に有用である。 さらに,その組織のプロセスの能力及びその製品の品質に対する信頼感を生み出し,顧客及びその他の利害関係者の満足度を高めることにつながる,[イ]するためのプロセスを確立し,適用することも重要である。
 組織が効果的に機能するためには,数多くの相互に関連し,作用し合うプロセスを明確にし,運営管理しなくてはならない。組織内でプロセス及び,特にそのプロセス間の相互作用を体系的に明確にし,運営管理することを
[ウ]と呼び,これを採用することを推奨している。[エ]は,そのリーダーシップ及び行動によって,人々を十分に参画させるような,また,品質マネジメントシステムを効果的に運営することが可能な環境を作り出すことができる重要な役割を担っている。

(ア) (イ) (ウ) (エ)
(1) 電子化 体系的に確認 プロセスアプローチ プロジェクトマネジメント
(2) 電子化 客観的に確認 プロセスアプローチ トップマネジメント
(3) 文書化 体系的に確認 パフォーマンスチェック プロジェクトマネジメント
(4) 文書化 継続的に改善 プロセスアプローチ トップマネジメント
(5) 体系化 継続的に改善 パフォーマンスチェック プロジェクトマネジメント

正解は4

(ア)文書化、(イ)体系的に確認、(ウ)プロセスアプローチ、(エ)トップマネジメントで答えは4です。
ISO9001に携わった人なら一発でしょうが、2000年版から「プロセス」など直感的にわかりにくい言葉が多用されているので、知らないと結構難しいかもしれませんね。
ISO9001に限らず、現在のワールドスタンダード的なものは、アメリカンスタンダードであるとも言えます。システムのあるべき形を規格化して、それに適合していれば認証していくという方法ですね。9000sや14000sなどのISOもそうですし、JABEEなんかもそうですね。
特徴としては、予断を許さぬ明確なシステム記録をしっかり取る、PDCAなどによる継続的な改善スパイラルアッププロセス管理(個々の点を管理するのではなく、流れを管理する)、経営者を重要視するトップダウン型といったところでしょうか。
ISO9001に限らず、近頃はやりのマネジメントシステムは、そういったイメージで捉えておくといいと思います。
しかしこの問題も、技術連関にあってもいいような問題ですね。

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1-1-5 人に優しい設計に関する次の記述の[ア]〜[ウ]に入る言葉の組合せとして,最も適切なものを(1)〜(5)の中から選べ。

 [ア]は,障害のある人々高齢者などが,社会生活をしていくうえで妨げとなる障壁がないように意図された設計をいう。
 
[イ]は,何らかの機能に制限がある人に焦点を合わせ,これまでの設計をそのような人々のニーズに合わせて拡張することによって,製品や建物やサービスをそのまま利用できる潜在顧客数を最大限まで増やそうとする設計をいう。
 
[ウ]は,特別な改造や特殊な設計をせずに,すべての人が,可能な限り最大限まで利用できるように配慮された製品や環境の設計をいう。

(ア) (イ) (ウ)
(1) ユニバーサルデザイン バリアフリーデザイン インクルーシブデザイン
(2) バリアフリーデザイン ユニバーサルデザイン アクセシブルデザイン
(3) アクセシブルデザイン ユニバーサルデザイン インクルーシブデザイン
(4) インクルーシブデザイン アクセシブルデザイン ユニバーサルデザイン
(5) バリアフリーデザイン アクセシブルデザイン ユニバーサルデザイン

正解は5

バリアフリーはしばしばアクセシブルと同義に語られますので、必ずしもバリアフリー<アクセシブル<ユニバーサルというわけではありませんが、バリアフリーよりも積極的な発想とはいえるかもしれません。

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2群 情報・論理に関するもの (全5問題から3問題を選択解答)

1-2-1 毎秒1ビットのデータを転送する速度を1bpsと表記する。また,1バイトは8ビットである。このとき,1Gパイトのデータを10Mbpsの転送速度で転送するために必要な時間を次の中から選べ。

(1) 10秒   (2) 12.5秒   (3) 100秒   (4) 800秒   (5)1,250秒

正解は4

単純に
 データ量:1Gバイト=1×10
9バイト×{1バイトは8ビット}=8×109ビット
 転送速度:10Mbps=1×107ビット/秒
 よって、8×109ビット ÷ 1×107ビット/秒 = 8×102
となります。

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1-2-2 100万件のデータベースから複数の条件で検索したところ,結果として次のデータ件数を得た。
  ・「計算機」という語を含む         30万件
  ・「機械」という語を含む          36万件
  ・「情報」および「計算機」という語を含む 10万件
  ・「情報」および「機械」という語を含む  11万件
  ・「計算機」および「機械」という語を含む 15万件
  ・「情報」,「計算機」,「機械」という語のいずれをも含まない 43万件
 「情報」という語を含み,「計算機」と「機械」という語のいずれをも含まないデータ件数を(1)〜(5)の中から選べ。

(1) 49万件  (2) 34万件  (3) 25万件  (4) 20万件  (5) 6万件

正解は5

ベン図を使って順を追って考えましょう。

  1. 計算機・・・・A、機械・・・・B、情報・・・Cとします。
  2. 設問の「「情報」という語を含み,「計算機」と「機械」という語のいずれをも含まない」というのは、Cの青いマルの中で、AにもBにも重なっていない部分、つまり「C」の部分です。これは、次のように考えます。
    1. 全体からAとBを差し引く。
      いずれも含まないのが43万件なので、実質57万件(下図の3つのマルの中は合計57万件)
      A=30万件、B=36万件
      よって、実質57万件−Aの30万件−Bの36万件=57-66=-9
    2. これでは、AとBの重なり部分(A and B・・・・図のAB、ABC部分)を2回差し引いたことになるので、この分を戻してやる。
      A(計算機) and B(機械)は15万件なので、これを戻す(加える)と、-9+15=6

よって、答えは6万件。
なお、情報and計算機が10万件(AとCの重なり部分、つまりACとABC)、情報and機械が11万件(BとCの重なり部分、つまりBCとABC)といった情報もあります。ベン図を描いて、列記されている内容を全部整理してもいいのですが、結果的にA and CやB and Cは答えを導くにあたって不要な情報が混じっています。
こう考えると、最初に与えられた情報を整理するのではなく、どうやって答えを導くかをベン図上で考え、そのために必要な情報だけをピックアップしていったほうが効率的といえるでしょう。

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1-2-3 次の構文図が与えられたとき,この構文図で表現できる文字列として誤っているものを(1)〜(5)の中から選べ。ただし,英字はa,b,・・・・,z,A,B,・・・・,Zのいずれか,数字は0,1,・・・・,9のいずれかである。



(1) 234B   (2) 4f65   (3) Y5   (4) 4   (5) 3M8

正解は1

3つ目の「数字」はスルーできない→最後は数字じゃないとダメということが読み取れれば楽勝です。
構文図の間違い探しは、「絶対にスルーできないモノ」を探すのが一番手っ取り早いようです。
H15年の構文図も、最初に絶対にスルーできない「英字」がある→1文字目は英字じゃないとダメで、選択肢に「11PM」というのがありました。

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1-2-4 作業A,B,C,D,E,F,Gから成るプロジェクトがある。作業C,Dは作業Aが終わらないと始めることはできない。作業E,Fは作業B,Cが終わらないと始めることはできない。作業Gは作業D,Eが終わらないと始めることはできない。各作業に要する時間は下図に示す通りである。しかし,作業Dの時間は余分にかかることが予想される。プロジェクトが完了する最短の日数に影響を与えない範囲で,作業Dに対する余裕時間の最大は何日か。正しいものを(1)〜(5)の中から選べ。



(1) 1日  (2) 2日  (3) 3日  (4) 4日  (5) 0日

正解は3

この問題は、トータルフロート(全体の工程を狂わさない余裕日数)を求める問題です。
トータルフロートは、それを求める作業について求めた最早開始日と最遅開始日の差であり、手順としては、最早開始日→最遅完了日→最遅開始日の順で求めていきます。

  1. まず最早開始日を求めます。Dの最早開始日は、単純にA終了後の4日です。
  2. 次に、最遅完了日を求めます。これは、最後の結合点(終了と書いてあるところ)に至る最長日数であり、ACF経路による12日になります。
    なお、この経路ACFがクリティカルパスです。
  3. 最後に最遅開始日を求めます。これは最終点に至る日数を最遅完了日から差し引いた日です。
    Dの次にGを通って終点に至るので、所要日数は2日+3日=5日。これを最遅完了日の12日から引けば7日。これがDの最遅開始日です。
    つまり、Dは4日後には開始できるけれど、7日後からの開始でもギリギリ間に合うということです。

よって、作業Dのトータルフロートは、最遅開始日の7日−最早開始日の4日=3日となります。

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1-2-5 ある村には住民A,B,C,D,Eの5名が住んでいる。ここでは,重要なことがらの決定には全員が会議に出席して決めることになっているが,他人の意見を見ながら自分の意見を次のように決める住民がいる。
  住民Cは住民AとBが共に議案に賛成のときに反対し,それ以外のときは議案に賛成する。
  住民Dは住民AとCが共に議案に賛成のときに反対し,それ以外のときは議案に賛成する。
  住民Eは住民BとCが共に議案に賛成のときに反対し,それ以外のときは議案に賛成する。
 このとき,次の記述の中から最も適切なものを選べ。なお,住民は,必ず賛成か反対のどちらかの決定をするものとする。

(1) 住民Dが議案に賛成するのは,住民Aと住民Bが賛成するときだけである
(2) 住民Dが議案に賛成するのは,住民Aと住民Bの賛否が異なるときだけである
(3) 住民Aと住民Bの賛否の組合せによっては,住民Eの賛否が決まらないことがある
(4) 住民Aが議案に賛成すれば,必ず住民Eも議案に賛成する
(5) 住民Bが議案に賛成すれば,必ず住民Eも議案に賛成する

正解は4

以下、臨時掲示板よりまさぱさんのレスを引用します。

今回の場合は以下の3段階で解きました。 ※(注)に注目して、(答)の列を作ってます。

[第1段階]
A、B共に賛成ならCは反対
×
×
×
× ×
(基本の表)
[第2段階]
A、C共に賛成ならDは反対
×
× ×
×
× ×
(Dを追加)
[第3段階]
B、C共に賛成ならEは反対
×
× ×
× ×
× ×
(Eを追加:完成)

私は、まさぱさんの整理の仕方が一番だと思うのですが、こういう問題の解決法セオリーをご存知の方がいらっしゃったら教えてください。

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3群 解析に関するもの (全5問題から3問題を選択解答)

1-3-1 次の記述のうち,数値解析の精度を向上する方法として誤っているものを選べ。

(1) 反復計算の反復回数が多い場合に収束判定条件を緩和した。
(2) 解の空間変化が大きい領域に要素分割を細かく,変化の小さい領域に粗く配置した。
(3) 丸め誤差を防ぐために計算機の浮動小数点演算を単精度から倍精度に変更した。
(4) 有限要素法において連続な関数の近似精度を高めるために高次要素を用いた。
(5) 非定常計算において時間積分の近似精度を高めるために時間刻みを小さくした。

正解は1

以下、臨時掲示板より解析得意さんのレスを引用します。

(1)計算時間は短縮されますが精度は落ちます。
(2)FEMでの要素の分割方法ではこの考え方が良しとされています。
 変化の小さいところにまで細かく区切って計算をするのは手間なだけなので。
(3)精度が倍になるんだから良いでしょう。
(4)例えば4角形要素の場合では4節点のものより8節点のもの(内部節点を考えることで形状関数が高次の式になります)にした方が(5)と同様に精度は上がります。
(5)積分というのは微小な幅のたんざくの面積の和ですから。たんざくの幅が小さければ小さいほど関数をなめらかに表せるので精度はあがります。

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1-3-2 連続な関数f(x)について定積分∫f(x)dxの近似式として誤っているものを次の中から選べ。

(1) 2f(0)
(2) f(-1)+f(1)
(3) 1/2f(-1)+f(0)+1/2f(1)
(4) 1/4f(-1)+f(0)+1/4f(1)
(5) 1/3f(-1)+4/3f(0)+1/3f(1)

正解は4

以下、臨時掲示板よりmackさんのレスを引用します。

(4)でしょう。
定積分で面積を求めるのだから、高さ×底辺、でしょう。
高さがf(x)、底辺が長さ2。
底辺が合わせて2にならないのは(4)だけです。

定積分の面積を、底辺×高さ、で表すのですよね。
(1)は底辺を2、高さをf(0)と近似しているわけです。
(2)は高さを(f(-1)+f(1))/2
(3)は高さを(1/2f(-1)+f(0)+1/2f(1))/2
とそれぞれ近似しているわけです。

どれも近似式、と言えるでしょう。

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1-3-3 直交座標系における垂直応力の3成分をσx・σy・σzとしたとき,x方向の垂直ひずみεxを与える式として正しいものを次の中から選べ。なお,材料はヤング率E,ポアソン比νの等方線形弾性体であるとする。

(1) εx=σxE
(2) εx={σx−ν(σy+σz)}E
(3) εx={σx−ν(σy+σz)}/E
(4) εx={σx+ν(σy+σz)}E
(5) εx={σx+ν(σy+σz)}/E

正解は3

以下、臨時掲示板よりNo Nameさんのレスを引用します。

フックの法則からx軸方向の引張応力σxと垂直ひずみεxの間には次の関係が成り立つ
εx=σx/E
さらにy軸、z軸についてもポワソン比を用いると次の関係が成り立つ
εx=-νεy=-νσy/E
εx=-νεz=-νσz/E
重ね合わせの原理から一般的な3次元の応力とひずみとの関係は
(3) εx={σx−ν(σy+σz)}/E
になる。
と手元の「有光隆:図解でわかるはじめての材料力学」にありました。

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1-3-4 有限要素法により二次元線形弾性問題を解くときに用いられる三角形3節点要素に関する次の記述のうち,誤っているものを選べ。

(1) この要素の要素内変位は座標の一次式で変化する。
(2) この要素の要素内ひずみは座標の一次式で変化する。
(3) この要素の応力は要案内で一定である。
(4) 要素剛性行列は6行6列である。
(5) 一般に,隣接要素間で応力値は不連続となっている。

正解は2

以下、臨時掲示板より解析得意さんのレスを引用します。

(1)正しい。
変位をu=Ax+By+Cとでも表しましょう。
3角形3節点の要素はこう考えるのです。
(2)ひずみは変位の位置による微分です。
だからx方向だと
εx=∂u/∂x=A(一定)
となるのでこれが間違い!
(3)応力は当然フックの法則からσ=Eεですが、εが一定なのでσも一定。正しい。
(4)節点1つにつき、x方向とy方向の変位および節点力を考えるので6*6行列で正しい。
(5)要素内では一定ですが隣の要素とまで一定だったら全部一定になってしまい、細かく区切って解析する意味がなくなります。隣接要素間で応力値は不連続で正しい。

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1-3-5 半径r,板厚tの薄肉円筒容器(rがtこ比べて非常に大きい)に内圧pが作用している。この容器の両端にはふたがついて密閉されている。ふたから十分離れたところでの円周方向応力σθと円筒軸方向応力σzを与える式として正しいものを次の中から選べ。

(1) σθ=pr/t , σz=pr/2t
(2)σθ=pr/2t , σz=pr/2t
(3)σθ=pr/t , σz=pr/t
(4)σθ=pr/2t , σz=pr/t
(5)σθ=pr/t , σz=0

正解は3

以下、臨時掲示板よりしんさんのレスを引用します。

【軸方向】
蓋にかかる圧力=p*A=p*π*r^2
これが円周全体L=2πrにかかるので
圧力÷面積=p*π*r^2/(2πr*t)=pr/2t
【円周方向】
円筒を半分に切ると
圧力の合計=p*直径(2r)
片側で1/2となり
p*2r÷2÷t=pr/tで(1)

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4群 材料・化学・バイオに関するもの (全5問題から3問題を選択解答)

1-4-1 周期表上の元素の一般的な性質に関する次の記述のうち,最も適切なものを選べ。

(1) 原子番号が1つ増すと,原子量も同様に1つ増える。
(2) 最も左の列に属するアルカリ金属には,イオン化エネルギーが大きなものが多い。
(3) 原子番号が近接している非金属元素同士は,その化学的性質が類似している。
(4) 縦の列が同じ元素同士は価電子数が等しく,化学的性質が類似しているものが多い。
(5) 常温において固体の元素は,原子番号が大きくなるほど,密度が増大する傾向にある。

正解は4

(1)・・・・× だいたい第4周期ぐらいまでは、水素→ヘリウム除き、ざっと2ずつ増える。
(2)・・・・× アルカリ金属のイオン化エネルギーは、他の元素に比べて著しく小さい。
(3)・・・・× 非金属元素(周期律表の右上のほう)に限らず、同一周期の元素の性質は原子番号が上がるにつれ変化するが、特に一番右の非金属元素あたりになると、イオン化エネルギーがぐぐっと上がる。
(4)・・・・○ たとえば第7族のハロゲンは7価、第1族のアルカリ金属は1価というようになっており、化学性質も類似。
(5)・・・・× たとえば第4周期の遷移元素に着目すると、原子番号はFe→Co→Ni→Cu→Znだが、密度はCu>Co>Ni>Fe>Znだったりする。

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1-4-2 アンモニアの合成反応の速さと平衡に関する次の記述の[ア]〜[エ]の中に入る語句の組合せとして,最も適切なものを(1)〜(5)の中から選べ。

 アンモニア合成は以下の反応式により表される。
    N
2+3H2 = 2NH3 + 92.2kJ
 この反応は
[ア]であり,圧力を[イ],温度を[ウ]と平衡は右に移動し,アンモニアをより多く合成することができる。また,四酸化三鉄を主成分とする触媒を用いると,平衡は[エ],反応速度は速くなる。

(ア) (イ) (ウ) (エ)
(1) 可逆的 高くし 低くする 変化しないが
(2) 可逆的 低くし 高くする 変化しないが
(3) 可逆的 高くし 高くする 右に進み
(4) 不可逆的 高くし 低くする 右に進み
(5) 不可逆的 低くし 高くする 右に進み

正解は1

ハーバーボッシュ法と呼ばれる方法です。(臨時掲示板よりzeckさんの情報)
『触媒は平衡を変化させない』ことを知っていれば(1)or(2)に絞り込めます。
反応式の右側に「+92.2kJ」とあるので、これは発熱反応ですから、温度は低い方が反応しやすくなると考えることができれば、(1)or(4)に絞り込めます。

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1-4-3 下記の製品,部品および材料とそれらに含まれる主な元素の組合せとして最も適切なものを(1)〜(5)の中から選べ。

(永久磁石) (乾電池) (光ファイバー) (ジュラルミン)
(1) Fe Zn Si Cu
(2) Zn Si Fe Cu
(3) Fe Zn Cu Si
(4) Zn Cu Fe Si
(5) Zn Cu Si Fe

正解は1

【永久磁石】
磁石は、フェライト磁石、アルニコ磁石、KS鋼、MK鋼等がありますが、いずれも鉄が主成分です。その他いろいろな成分が含まれますが、選択肢にはありません。

【乾電池】
マンガン乾電池は、正極に二酸化マンガン、負極に亜鉛を用います。アルカリ電池になると、負極に正極に黒鉛の粉末、負極に水酸化カリウムの電解液に塩化亜鉛が加わります。よって、選択肢の中では亜鉛が該当します。

【光ファイバー】
ガラスやプラスチックの細い繊維でできている光を通す通信ケーブルで、非常に高い純度のガラスやプラスチックが使われており、光をスムーズに通せる構造になっています。ということで、ガラスは珪素であり、その他の選択肢は全部金属ですから、珪素になります。
なお、似たものにグラスファイバーがあります。グラスファイバーとは、無機ガラスを溶融、牽引して繊維状にしたもので、主な用途はファイバー強化プラスチック(FRP)があります。

【ジュラルミン】
ジュラルミンは、アルミニウムと銅、マグネシウムなどとの合金で、軽量であるが強度が大きくないという純アルミニウムの問題点を、これに銅などを加えて熱処理(溶体化処理)を加えることにより、軽量でありながら十分な強度を持たせて解決したものです。

全部知っている必要はありませんが、どれも専門家でなくとも知っている人は多いという雑学レベルの内容です。

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1-4-4 高分子化合物の性質や,それらを用いた材料について述べた次の文章のうち,下線部が正しいものを(1)〜(5)の中から選べ。

(1) 生ゴムは,ゴムノキの樹液からとれる乳液(ラテックス)に分散する高分子化合物を凝集させた柔らかい固体である。生ゴムを加硫すると安定で弾性の大きいゴムになるが,加硫する硫黄の量を減らすと,より硬いゴムになる。

(2) 合成ゴムは,イソプレンやイソプレンに似た構造のジエンから,天然ゴムに似た性質の物質を
縮合重合してつくられている。ブタジエンとアクリロニトリルの共重合体であるNBRは,他のゴムよりも耐油性に優れている。

(3) セルロースなどの天然高分子を化学的に処理して溶液状態にしてから,再び繊維状にしたものを再生繊維という。再生繊維にはビスコースレーヨンなどがあり,分子式はセルロースと同じでも,分子量(重合度)は
セルロースより大きい

(4) 6-ナイロン(ナイロン6)は,ε-カプロラククムの開環重合で得られる合成繊維である。縮合重合によって得られる6.6-ナイロン(ナイロン6, 6)と反応は異なるが,いずれも熱可塑性の
ポリエステルである。

(5) フェノール樹脂には,フェノールとホルムアルデヒドを原料に,酸触媒の存在下で縮合重合させて得られるノボラックとよばれる熱可塑性樹脂を硬化剤とともに加熱して合成される
熱硬化性樹脂があり,絶縁材や接着剤として用いられる。

正解は5

(1)・・・・× 生ゴムは、加硫すると硬くなっていきます。加硫は生ゴムと硫黄を混ぜ合わせたものを加熱しますが、硫黄の量を増やすとより硬いゴムが得られます。よって記述は逆で、より硬いゴムを作るときに減らすのは原料ゴムの量です。
(2)・・・・× 縮合重合ではなく付加重合です。
(3)・・・・× 逆。セルロースより小さくまります。
(4)・・・・× ポリエステルではなくポリアミドです。
(5)・・・・○ Wikipediaより『フェノール樹脂(フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ベークライト、石炭酸樹脂)は、フェノールとホルムアルデヒドを原料とした熱硬化性樹脂の一つで、世界で初めて植物以外の原料より、人工的に合成されたプラスチックである。』とあります。(
こちら

あまり知らない知識が多いと思いますが、たとえば
 ・柔らかい生ゴムに加硫すると弾性ゴムになる→さらに増やすと硬くなるだろう
 ・一度溶液にして再生したものが元より大きくなるかな?
 ・硬化剤を加えて加熱するのだから、熱硬化ではないか
といったことは考えられるのではないかと思います。

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1-4-5 ホルモンに関する次の記述のうち,最も適切なものを選べ。

(1) エストロゲンは精巣から分泌されるペプチドホルモンで,男性の第二次性徴の発現やタンパク質の合成促進などに関与する。
(2) カテコールアミンは副腎皮質から分泌されるステロイドホルモンで,血圧降下,グリコーゲン分解の抑制などに関与する。
(3) インスリンは膠臓ランゲルハンス島β細胞から分泌されるペプチドホルモンで,筋肉や肝臓においてグリコーゲン合成酵素の活性化に関与する。
(4) チロキシンは甲状腺から分泌されるステロイドホルモンでフッ素を含み,脂肪分解や糖新生の抑制などに関与する。
(5) パラトルモンは脳下垂体中葉から分泌されるアミノ酵誘導体ホルモンで,腸からのナトリウム吸収の促進に関与する。

正解は3

以下、臨時掲示板より薬さんのレスを引用します。

3にしました。
1:エストロゲン→テストステロン
2:カテコールアミン→糖質コルチコイド
4:フッ素→ヨウ素
5:ナトリウム→カルシウム
だと思います。

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5群 技術連関 (全5問題から3問題を選択解答)

1-5-1 「地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)」の目的および内容について,下線部が誤っているものを選べ。

(1) 温室効果ガスとして二酸化炭素,メタン,一酸化二窒素,ハイドロフルオロカーボン及びパーフルオロカーボンのうち政令で定められるもの,六フッ化硫黄を対象としている。

(2) 国民が行う温暖化防止のための行動を効果的に進めるため,都道府県知事は,
地球温暖化防止活動推進センターを指定したり,地球温暖化防止活動推進貢を委嘱することができる。

(3) 事業活動に伴う温室効果ガス排出量が相当程度多いものは,
事業所ごとの温室効果ガス算定排出量に関し,定められる事項を事業所管大臣に報告しなければならない。

(4) 政府は京都議定書目標達成計画を定め,平成19年において,温室効果ガスの排出及び吸収の量の状況その他の事情を勘案して定められた目標及び施策について検討し,
必要と認めるときは連々かに計画を変更しなければならない。

(5) 地球温暖化を防止することが人類共通の課題であることに鑑み,温室効果ガスの排出抑制を促進するための措置を講ずることなどを定めたものであり,
森林などによる吸収作用の保全には言及していない。

正解は5

温体法 28 条に「森林等による吸収作用の保全等」の記述があります。感覚的にもわかりますね。

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1-5-2 環境問題に関する次の記述の正誤について,最も適切な組合せを(1)〜(5)の中から選べ。

a)欧州で森林が枯れるなどの被害が報告された酸性雨の主な原因は,廃棄物処理施設で塩化ビニルが焼却される際に発生する塩化水素である。
b)我が国の公共用水域の水質汚濁に係る環境基準のうち,有機汚濁の代表的な水質指標であるBOD又はCODについては,湖沼,内湾,内海などの閉鎖性水域における2000年現在の基準達成率は河川など他の水域における同年の基準達成率よりも低い。
c)住宅建材に合まれるアスベストによって発生する呼吸器への急性の影響を,シックハウス症候群と呼ぶ。
d)成田国際空港や大阪国際空港(通称「伊丹空港」)では,航空機騒音の防止のため,緊急時等を除き夜間に時間帯を設け,航空機の発着を禁止している。

(1)
(2)
(3)
(4)
(5)

正解は3

a・・・・× 工場や自動車等から排出されるNOx、SOxが原因です。

b・・・・○ 閉鎖性水域の富栄養化は進行しています。
c・・・・× シックハウスはホルムアルデヒドです。アスベストが原因となる疾患は中皮種です。
d・・・・○ そのとおり。

上記のうちaとcは常識的知識ですから、これだけ知っていれば正解に到達できます。サービス問題ですね。

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1-5-3 次の事業者が行う環境に関連する活動に関する用語の説明のうち,最も適切なものを選べ。

(1) グリーン購入とは,製品の原材料や事業活動に必要な資材を購入する際に,バイオマス(木材などの生物資源)から作られたものを優先的に購入することをいう。

(2) 環境会計とは,事業活動における環境保全のためのコストやそれによって得られた効果を金額や物量で表す仕組みをいう。

(3) 環境監査とは,事業活動において環境保全のために投資した経費が,税法上適切に処理されているかどうかについて,公認会計士が監査することをいう。

(4) 環境報告書とは,大気汚染物質や水質汚濁物質を発生させる一定規模以上の装置の設置状況を,事業者が毎年地方自治体に届け出る報告書をいう。

(5) ライフサイクルアセスメントとは,企業の生産設備の周期的な更新の機会をとらえて,その設備の環境への影響の評価を行うことをいう。

正解は2

(1)・・・・× グリーン購入とは、環境への負荷ができるだけ小さい商品やサービスなどを優先的に購入することです。
(2)・・・・○ その通り。
(3)・・・・× 環境監査にはいろいろなものがありますが、ISO14001における環境監査は、「計画がシステムにのっとって実行しチェックされ、チェックにもとづいて改善がなされているか」をチェックするシステム監査です。経費うんぬんではありません。
(4)・・・・× 環境報告書とは、企業等が、環境アカウンタビリティの一環として、環境会計情報を外部に公表するものです。
(5)・・・・× ライフサイクルアセスメント(LCA)は、製品・サービスにおけライフサイクル全般にわたっての総合的な環境負荷を客観的に評価する手法です。


(1)と(5)は常識的知識として、(2)〜(4)は環境経営(地球環境への付加軽減とともに、環境保全への取り組みを経営戦略の一つとすることで、社会的評価を得て競争力を確保しようというもの。環境マネジメントシステム、グリーン購入、リサイクル、環境会計、環境報告書などがキーワード)に関する知識です。
このような、お金に関する健全性のみならず、社会貢献、環境配慮を加えた3つの会計によって企業を評価してもらおうというトリプルボトムラインの発想は、徐々に浸透しつつあります。
余談ですが、このトリプルボトムラインや環境経営、トレードオンなどの経営理念は、しばしばライブドアなどの経営方針と対極にあるものとして(この場合、ライブドアは拝金主義や株主至上主義(ステークホルダーの一部だけを優先)などの代表として)語られます。

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1-5-4 製品の品質検査の方法として全数検査と抜取検査がある。次の記述のうち,最も適切なものを選べ。

(1) 全数検査を行っても不適合品が合格する可能性が残り,検査の信頼性を高めるためには検査結果をチェックする必要がある。
(2) 抜取検査には生産者危険が伴う。生産者危険とは,合格にできない不適合品率のロットを合格にしてしまう確率を表す。
(3) 抜取検査には消費者危険が伴う。消費者危険とは,消費者が購入した製品のロットあたりの不適合品率を表す。
(4) 抜取検査においては,ロットからサンプルをランダムにとることにより,生産者危険と消費者危険をゼロにすることができる。
(5) 全数検査に比べて,検査時間が短く検査費用も安いことから,製品の種類にかかわらず抜取検査が選択される。

正解は1

(1)・・・・○ 要は管理状態にあることが必要です。単に全数検査して不良品はないのでOKとはなりません。
(2)・・・・× 生産者危険は、生産者にとって不利になる危険性です。つまり、合格になるのに不合格にしてしまう確率です。
(3)・・・・× 記述は消費者危険ではなく、消費者危険品質です。消費者危険は、消費者にとって不利になる危険性です。つまり、抜き取り検査のロットが不適合品なのに適合品と判定してしまう確率です。また、その時の不適合品率を「消費者危険品質」と呼びます。これらは別物で、抜き取り検査のサンプルサイズによって変化します。
(4)・・・・× 生産者危険・消費者危険ともゼロになったりはしません。
(5)・・・・× 常に抜き取り検査というわけではありません。

(1)は感覚的に正しいかな?と考えられると思います。紛らわしいのは(3)ですね。消費者危険と消費者危険品質が別物であり、それぞれが何かということを知っていないと陥りやすい引っ掛けです。

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1-5-5 次の文章は「知的財産基本法」からの引用である。文章の[ア]〜[ウ]に入る用語の組合せのうち,最も適切なものを(1)〜(5)の中から選べ。

 この法律で「知的財産」とは,発明,考案,検物の新品種,意匠,著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの(発見又は解明がされた[ア]又は現象であって,産業上の利用可能性があるものを合む。),商標,商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な[イ]上又は営業上の情報をいう。
 この法律で「知的財産権」とは,特許権,実用新案権,
[ウ]権,意匠権,著作権,商標権その他の知的財産に関して法令により定められた権利又は法律上保護される利益に係る権利をいう。

(ア) (イ) (ウ)
(1) 事物 技術 作成者
(2) 事物 科学 保護者
(3) 自然の法則 技術 育成者
(4) 自然の法則 科学 作成者
(5) 事物 技術 育成者

正解は3

知的財産基本法
(定義)
第二条 この法律で「知的財産」とは、発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの(発見又は解明がされた【自然の法則】又は現象であって、産業上の利用可能性があるものを含む。)、商標、商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な【技術】上又は営業上の情報をいう。

2 この法律で「知的財産権」とは、特許権、実用新案権、【育成者】権、意匠権、著作権、商標権その他の知的財産に関して法令により定められた権利又は法律上保護される利益に係る権利をいう。

(ア)「自然の法則を利用する」のが原則です。知的財産権の根幹的な基礎知識部分です。
(イ)「事業活動に必要な」ということ、営業上の情報と並んで書かれていることから、技術のほうが適切であると想像できるのではないかと思います。
(ウ)これは知らないとなかなか答えられないと思いますが、(ア)と(イ)で正解には到達できます。

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