技術士第一次試験 平成10年度 専門科目《建設部門》

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(2−1)択一問題
次の10問題を解答せよ(専門科目解答欄にマークすること。)

  1. 土質及び基礎に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    (1) ある砂の最大間隙比と最小間隙比がそれぞれ1.20、0.90のとき、間隙比1.0の状態の相対密度は約33%である。

    (2) 圧密試験により求められるe〜logP曲線、体積圧縮係数mvは、圧密量を算出するためのものであり、庄密係数Cvは庄密時間を算出するためのものである。

    (3) 地盤の動的有効応力解析とは、一般に地震動の繰り返し荷重により発生する水圧の影響を考慮したものである。

    (4) ヒービングとは地盤開削時に根切り底が盛り上がる現象をいうが、発生要因は地盤のせん断強度不足である。

    (5) ランキン土圧は擁璧の壁面の粗度の影響を考慮していない。


    解答案:1

    (1)・・・・× 相対密度D=(emax-e)/(emax-emin)=(1.20-1.00)/(1.20-0.90)=0.2/0.3=0.66=66%
    (2)・・・・○ そのとおり。
    (3)・・・・○ そのとおり。
    (4)・・・・○ そのとおり。
    (5)・・・・○ そのとおり。垂直圧は壁に関係なくγ・z、壁に働く水平圧はKo・γ・z。【参考例:こちら
    ※相対密度は砂質土のもっとも基本的な性質の1つなので、この式は覚えておきたいところです。大きいほど締まっていること、0〜1の値であることが基本的性質です。
     
  2. 鋼部材の破壊に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    (1) 常温で静的荷重により破壊する現象を延性破壊といい、低温で衝撃的な荷重により破壊する現象は脆性破壊という。

    (2) 部材に応力が繰り返し作用して破壊する現象を疲労破壊というが、降伏応力以下の小さな応力では疲労破壊は生じない。

    (3) 荷重が負荷されてからある時間が経過した後に、突然、脆性的に破壊する現象を遅れ破壊という。

    (4) 腐食による破壊は、電気化学的反応により鋼材に錆が生じて腐食が進行し、部材が減厚して強度を失って破壊するものである。

    (5) 座屈による破壊現象は、プレートガーターのような薄肉板構造によく見られる現象である。


    解答案:2

    **********皆様からの情報・ご指摘*****nomuさんに情報をいただきました。ありがとうございます。
    (1)延性破壊は、大きな変形(伸びや絞り)などが起きてから破壊する現象を言います。鋼材の応力〜ひずみ曲線で示される破壊です。また、脆性破壊は変形を伴わない破壊現象を言います。ガラスなどは、延性現象を見せずに脆性破壊しますが、金属材料では、温度やひずみ速度などが、脆性破壊の因子となる様です。従って、低温で衝撃的な荷重によって、脆性破壊が起きやすくなることから、問題の記述は正しいと思われます。
    (2)疲労破壊は、降伏応力以下の応力が繰り返し発生することで起きることから、問題になるのであって、そのため、設計荷重に近い荷重が繰り返し、作用する構造物(鉄道橋など)では、疲労破壊を考慮して、許容応力度を低減しています。
    従って、正解は(2)です。
    **********

    ※延性破壊とはグニャッと曲がるような破壊形態、脆性破壊はバキッといきなり壊れる(もろい)破壊のことです。延性破壊の「グニャッ」が塑性変形です。
     
  3. 土地区画整理事業に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    (1) 減歩には、公共減歩と保留地減歩がある。

    (2) 土地区画整理事業後の宅地の総価額は上昇する。

    (3) 保留地がなくても土地区画整理事業は実施できる。

    (4) 土地区画整理事業は、都市計画区域内で実施する。

    (5) 換地は基本的には照応の原則によって行っており、飛び換地も可能である。


    解答案:2

    (1)・・・・○ そのとおり。
    (2)・・・・? 一般にはそのとおり。
    (3)・・・・? 保留地が出ないなんてあるの?財源はどうするの?
    (4)・・・・○ そのとおり。
    (5)・・・・○ インターネットで「飛び換地」で検索するといっぱい出てくる。
    **********皆様からの情報・ご指摘*****伏龍さんに情報をいただきました。ありがとうございます。
    A一般的には,事業後の宅地総価格は上昇するが,公共施設の新設・拡張が大きく,宅地単価の上昇が少ない場合,宅地地積が大きく減少するため宅地総価格が減少することがあるらしい.
    BAの場合に,減価補償金を交付することで埋め合わせされることから,保留地なしでも事業は可能
    (解答はA)
    **********

    **********皆様からの情報・ご指摘*****ライアンさんに情報をいただきました。ありがとうございます。
    減価補償地区では、保留地をとることができません。
    詳しくは、土地区画整理法第96条第2項および109条をご参照ください。
    区画整理事業後の宅地総価額と事業前の宅地総価額の差額範囲内でしか保留地をとることができません。(もちろん、事業後の宅地総価額が高い場合のみです。)

    **********

    ※土地区画整理の問題はH11年度以降は出ていません。都計法を勉強すればいいと思いますが、「念のため」という人は土地区画整理法法もチェックされるといいでしょう。 
  4. 河川・砂防等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    (1) 洪水防御計画における計画の基本となる基本高水の算定に当たっては、既存の発電ダム、洪水調節ダム、遊水池等は操作規程に従って洪水時の操作が行われるものとする。

    (2) トンネル構造による河川の断面は、設計流量の流下に必要な断面積のほかに、原則として十分な空面積を確保するものとする。

    (3) フィルダムの堤体には、放流設備その他の水路構造物を設けてはならないものとする。

    (4) 土石流の一般的特性としては、岩塊、大礫、流木などを伴うものが多く、巨礫が先頭に集中しているため、大きな破壊力を有していることである。

    (5) 地すべり対策として排土工を行う場合、対象すべりのみに注目して排土を行ったため、その上方部に地すべりを誘発せしめることもあるので、特に地すべり地外の状況も調査して実施する必要がある。


    解答案:1

    **********皆様からの情報・ご指摘*****伏龍さんに情報をいただきました。ありがとうございます。
    A洪水調節ダムや遊水池等の洪水調節施設は存在しないものとして算出するのが基本高水で,施設の能力も含めて算出するものが計画高水.
    C土石流が大きな破壊力を持っているのは,泥流に押し流されるようにして巨石などが先頭部にあるからなのでは?
    (解答は@)
    **********

    **********皆様からの情報・ご指摘*****三連星さんに情報をいただきました。ありがとうございます。
    (1)計画高水と基本高水
    これは用語の定義のみでケリ。伏龍さんの書いたとおり。
    こちら
    (2)トンネル河川
    トンネルが満流になると流下能力が低下するのが普通の河川と異なる。よって、余裕を大きく取る必要がある。
    (直径の8割くらいのときに最大流量になる。)
    (3)フィルダム堤体上の水路構造物
    堤体が不動沈下すると構造上の弱点となるため、沈下のおそれが無いよう、
    地山に取り付けるのが原則。
    (4)土石流
    土石流とは、水を含むかゆ状の土砂が土砂自身の力で移動する現象のこと。
    そして、土石流の先頭部分に巨礫が集中しているのは本当です。
    (5)地滑り防止のための排土
    滑り面の下部の土砂は抵抗力として働く。その土砂が除かれるので、
    かえって危険となる。そのような滑り面の存在がありうる。
    **********

    ※通常は礫が泥より先に流下することはありませんが、土石流は混濁流で水(泥水)と礫の密度差がさほどないため、礫も泥流とともに運ばれ、流れの先頭にも礫が混在します。
     礫は混濁流の中でぶつかりあう反発が大きいため流れの上部(表面)に集まります。こういう性質のため先頭に礫が集中しているように見えるようです。
     したがって、(4)の記載は、厳密に言えばどうかとは思いますが、誤りでもないと思われます。
     
  5. 港湾・空港施設の設計・施工に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    (1) 我が国の典型的な防波堤である混成堤の直立部に作用する波力は、合田式を用いて算定するのが一般的である。

    (2) 港湾の施設の岸壁などで地震時の安定を検討する場合は、震度法を用いるのが一般的である。

    (3) 最近の港湾工事で最も使用頻度の多い地盤改良工法は深層混合処理工法である。

    (4) 空港アスファルト舗装の基準舗装厚は、通常、路床の設計CBR、設計荷重の区分及び設計反復作用回数の区分に基づき決められる。

    (5) 湿潤状態の滑走路では、航空機の高速走行時にハイドロプレーニング現象が起きやすいため、通常、滑走路面の横断方向にグルービンクと呼ばれる幅の狭い排水用の溝を設ける。


    解答案:3

    **********皆様からの情報・ご指摘*****伏龍さんに情報をいただきました。ありがとうございます。
    @混成堤の直立壁に作用する波力は合田式を用いるのが一般的らしい.(港湾工学より)
    B港湾工事において,砂質土系,粘性土系いずれにも適用可能なサンドコンパクションパイル工法が最も多用され,深層混合処理工法は徐々に使用例が増えているらしい.
    (解答はB)
    **********

    ※深層混合処理は確かに増えています。
     
  6. 電力土木設備に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    (1) 発電所の設備利用率とは、ある期間内の発電所の平均負荷をその発電所の設備容量で除した値をいう。

    (2) 第五次包蔵水力調査によれば、日本の未開発包蔵水力(混合揚水自流分を含む)は約500憶kWh/年で、この量は平成8年度総需要電力量(卸・自家発分を含む)の約6%に当たる。

    (3) 自流式の無圧導水路と水圧管路との接合点に設ける水槽をヘッドタンクと呼び、サージタンクとは機能、構造の面で著しく異なる。

    (4) 火力発電所の油タンクやLNG地上タンクでは、万が一の流出に備え、防油堤や防液堤を設けることが必要であるが、その容量はタンク容量の80%以上でなければならない(防油堤で囲まれるタンクが2基以上の場合は、容量が最大のタンクの80%以上)。

    (5) 鉄塔基礎の設計は、上部横道(鉄塔、電線、がいしなど)に作用した荷重によって基礎に発生する圧縮力、引揚力、水平力をもとに、土圧、水圧、場合により車両荷重等の外部荷重を考慮し、所定の安全率を得るように行う。


    解答案:4

    **********皆様からの情報・ご指摘*****三連星さんに情報をいただきました。ありがとうございます。
    (1) 発電所の設備利用率とは、ある期間内の発電所の平均負荷をその発電所の設備容量で除した値をいう。
    負荷と発生電力(発電電力)、設備容量と最大出力は同義語。
    平均負荷÷設備容量の分子、分母に時間(365日×24時間)を掛けると
    可能発電電力量÷フル運転したときの発電電力量となるので、正しい。
    (2) 第五次包蔵水力調査によれば、日本の未開発包蔵水力(混合揚水自流分を含む)は約500億kWh/年で、この量は
    平成8年度総需要電力量(卸・自家発分を含む)の約6%に当たる。
    5次調の結果をリンクします。但し、既開発/工事中分については、最新データに更新されているので、
    5次調当時の未開発包蔵水力は若干大きい値です。
    こちら
    なお、未開発+工事中の発電所を本当に全部作ると、既設発電所の減電(取水の流域変更、ダムによる発電所水没など)
    が生じるものがありますが、この表には現れていません。但し5次調の報告書には記載されており、工事中+未開発で90億kWh/年。
    減電を考えないものとして、500億kWh/年は正しい。
    また、平成8年の電力需要は8700億kWhであるので、包蔵水力は、その6%になります。
    こちら
    (3) 自流式の無圧導水路と水圧管路との接合点に設ける水槽をヘッドタンクと呼び、サージタンクとは機能、構造の面で著しく
    異なる。ヘッドタンクは問題文の定義どおり。サージタンクは、圧力管路の途中に設け、水車の起動/停止時に発生する水撃を緩和するもの。
    よって、
    サージタンク:タンクより上流にも、水撃圧は伝達する。
    ヘッドタンク:タンクより上流には、水撃圧は発生しない。(そもそも、タンクより上流は開水路。)
    ので、この2つは機能が異なる。
    (4) 火力発電所の油タンクやLNG地上タンクでは、万が一の流出に備え、防油堤や防液堤を設けることが必要であるが、その容
    量はタンク容量の80%以上でなければならない(防油堤で囲まれるタンクが2基以上の場合は、容量が最大のタンクの80%以上)
    。これはわかりません。全然、やったこと無い。でも、満タン時に漏れたら外部に溢れる可能性がありますが、いいのか?
    (5) 鉄塔基礎の設計は、上部横道(鉄塔、無線、がいしなど)に作用した荷重によって基礎に発生する圧縮力、引揚力、水平力
    をもとに、土圧、水圧、場合により車両荷重等の外部荷重を考慮し、所定の安全率を得るように行う。
    圧縮力、引揚力(引張力?)、水平力 というのはどこか変。
    座標を基準にすれば、鉛直力、水平力、モーメント。
    部材を基準にすれば、軸力、せん断力、モーメント。
    このどちらかの記述になる筈です。
    結局、(4)(5)のどちらかを選ぶことになりますが、
    (4)は私が基準を知らないだけ。(5)としておくのが無難のようです。

    **********
    **********防液堤に関する私のレス
    「ガス工作物技術基準の解釈例」【参考:
    こちら】に、以下のようにあります。
    ------------
    第95条 省令第38条第1項に規定する『適切な防液堤』とは以下の各号に掲げる規定に適合する防液堤をいう。 ただし、第三号及び第四号イ(3)、(4)の規定は、液化ガス用貯槽(以下この条において「貯槽」という。)の外槽と防液堤が一体となった構造(内槽と防液堤が強度的に独立したものに限る。)の貯槽にあってはこの限りでない。
    一 1の貯槽に対し1の防液堤を設置する場合の当該防液堤の容量は、貯槽内の液化ガスが瞬時に流出した場合に液体として残留する量(以下「貯蔵能力相当容量」という。)を全量収容できるものであること。
    二 2以上の貯槽に対し1の防液堤を設置する場合(貯槽ごとに間仕切りを設けた場合に限る。)の当該防液堤の容量は、当該防液堤内の貯槽のうち最大貯槽の貯蔵能力相当容量に他の貯槽の貯蔵能力相当容量の合計の10%を加えて得られた容量以上を全量収容できるものであること。
    ------------
    これから見ると、選択肢の容量では不足だと思われます。
    ということで、(4)が解答ではないかと思います。

    **********
    **********皆様からの情報・ご指摘*****nomuさんに情報をいただきました。ありがとうございます。

    「危険物の規制に関する規則」によると防油堤の容量は屋外貯蔵タンクの場合、タンク容量の110%が正解となります。複数のタンクの場合、最大タンク1基分の110%となり、設問の記述では、80%が誤りとなります。
    **********
    防油堤・防液堤に関しては、製造所・発電所など施設によって容量の規定が異なっているのでしょうか?

     
  7. 道路に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    (1) 高規格幹線道路は、自動車の高速交通の確保を図るため必要な道路で、全国的な自動車交通網を構成する自動車専用道路であり、約14,000kmが計画されている。

    (2) 計画交通量とは、計画設計を行う路線の将来通行するであろう自動車の1年間の平均日交通量のことである。

    (3) アスファルト舗装は、表層、基層、路盤で構成される剛性舗装である。

    (4) 道路環境対策のうち道路自体の改善による対策としては、(a)環状道路・バイパスの整備等による道路機能の分化、(b)遮音壁・環境施設帯の設置等による道路構造の改善、(c)舗装の維持水準等の向上などがある。

    (5) 道路の線形設計において、凹型縦断曲線の底部に背向曲線の変曲点を配すること、同方向に屈曲する曲線の間に短い直線を入れることは避けるのが望ましい。


    解答案:3

    (1)・・・・○ そのとおり。
    (2)・・・・○ そのとおりだと思う。
    (3)・・・・× 構成は良いが、剛性舗装ではなくてたわみ性舗装。剛性舗装はコンクリート舗装など。
    (4)・・・・○ そのとおり。
    (5)・・・・○ そのとおり。
    ※「剛性」というイメージとやわらかいアスファルトのイメージでだいたいわかります。
     
  8. 鉄道に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    (1) 曲線郡においては、その半径に応じて建築限界を拡大しなければならない。

    (2) ロングレール区間は定尺レール区間に仕べて列車走行に伴う振動が大きいので、厳格な管理が必要になる。

    (3) 駅構内において隣接する線路を列車が支障なく通過できるよう、安全に車両を収容できる長さを、線路の有効長という。

    (4) 本線における直線と円曲線の間には、列車が滑らかに走行できるよう緩和曲線を挿入する。

    (5) 曲線の外側レールは内側レールに仕べて摩耗しやすいので、熱処理レールを使用する場合が多い。


    解答案:2

    1)・・・・○ そのとおり。
    (2)・・・・× ロングレールは継ぎ目の「ガタコン」が少なく振動は少ない。
    (3)・・・・○ そのとおり。
    (4)・・・・○ そのとおり。緩和曲線のそもそもの目的。
    (5)・・・・○ そのとおり。
    ※知識ではなく常識感覚で解いてみました。
     
  9. シールド工事の圧気工法に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

    (1) 一般に圧気圧は、切羽安定の効果を向上させるには高いほどよく、作業能率と健康管理の点では低いほど好ましい。

    (2) 圧気圧のとり方は、土被りや地山の性質によって異なるが、一般にシールド下端の地下水圧に等しい圧力とする。

    (3) 粘性土層の場合は、透水性が低く圧気効果がかなり期待でき、圧気圧は小さくてすむので作業能率は高い。

    (4) 砂礫層の場合は、基本的には圧気工法が不適な地盤であり、圧気圧を高くすると漏気が多くなり圧気効果は大幅に低下する。

    (5) 一般に圧気設備容量は、想定した空気消費量に1.5〜2.0の安全率を見込んで決められる。


    解答案:2か5

    (1)・・・・○ そんな気がする。
    (2)・・・・? わからない。
    (3)・・・・○ そのとおりっぽい。
    (4)・・・・○ そのとおりっぽい。(3)の記載と合致するから、もしこれが違えば(3)と共倒れだから、きっと違わないんだろう。
    (5)・・・・? わからないが、安全率はとると思う。1.5〜2.0でいいかどうか。
    ※調べれば分かるのでしょうが、時間が取れません。どなたか助けてください。
     
  10. 土木構造物の施工計画に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

    (1) 細粒分合有率が高い砂地盤にサンドコンパクションパイルを適用する場合、改良効果が不足することがあるので注意を要する。

    (2) 鋼管ぐいの施工で、試験ぐいで決定された支持層の手前であっても、くい軸方向支持力が得られれば、打ち止めとしてよい。

    (3) 場所打ちコンクリートぐいのコンクリート打設に当たっては、トレミー管の先端を常にコンクリート内に2m以上貫入して施工する。

    (4) PC桁製作時の底型枠は、桁自重、死荷重、活荷重、プレストレスト、クリープや型枠設置地盤の沈下量、たわみ量などを考慮し、その都度計算して定める。

    (5) 現場溶接に当たっては、溶接材料の保管に留意するとともに、作業しやすい足場や風除けなどの諸設備を備える必要がある。


    解答案:2

    (1)・・・・○ 細粒分が多いと、締固め効果が落ちる。
    (2)・・・・× 下位に軟弱層があったりするので適当でない。打設時の支持力は動的荷重で測定するが、施工後にかかるのは静的荷重。
    (3)・・・・○ そのとおり。
    (4)・・・・○ そのとおり。
    (5)・・・・○ そのとおり。
    **********皆様からの情報・ご指摘*****nomuさんに情報をいただきました。ありがとうございます。
    (1)SCP工法は、液状化対策における緩い砂地盤の改良工法として最も代表的な工法です。低改良率(15〜30%)で砂杭を打設し、砂杭間の地盤を圧縮と振動で締め固める方法で、細粒分含有率の少ない地盤であれば、N値10以下の緩い地盤でも換算N値15以上(液状化しない地盤)にすることができます。
    ところが、設問の様に細粒分含有率が高い砂地盤では、締固め効果が少なく、SCPの設計では、細粒分含有率が大きなファクターとなります。
    また、液状化対策において、砂層とシルト・粘性土の互層になっている地盤では、SCPによる効果は非常に少ないと考えていいと思われます。
    (2)の設問の解説は、「解答例」が的を得た解説となっていますので、概要だけ説明すると「杭の支持力は、軸方向と軸直角方向で必要となるが、軸方向支持力だけ確認できても軸直角方向の支持力が得られたことにはならないことから、設問の記述は適当ではない。」
    **********

    ※nomuさん、ご指摘ありがとうございました。

(2−2)記述問題
 次の11問題のうち3問題を選んで簡明に解答せよ。(3枚綴りの答案用紙を使用し、問題ごとに用紙を替え、解答問題番号を明記し、それぞれ1枚以内にまとめよ。)

 

  1. 静的な土の三軸圧縮試験の試験条件を3つ挙げ、それぞれの試験方法及び結果の利用について述べよ。
     
  2. コンクリート構造物の耐久性を確保するために、設計、施工及び維持管理の面から留意すべき事項について5つ述べよ。
     
  3. 都市計画法第12条の4に定める地区計画等の種類とそれぞれの特徴を述べよ。
     
  4. 河川、砂防、海岸の中から1つを選び、護岸の設計の際に考慮すべき事項について述べよ。
     
  5. 港湾におけるケーソン式混成堤(防波堤)の標準的な断面を簡単な図で示し、各部分の名称を記するとともに、完成するまでに要する主な工事種別を最低5件列挙し、その解説をせよ。
     
  6. 火力・原子力発電所の冷却水の取・放水口設備を設計するに当たって、考慮すべき事項について述べよ。
     
  7. 道路の横断面の構成要素を記述し、道路の横断面の構成を定めるに当たっての留意事項を述べよ。
     
  8. 大都市圏の通勤・通学を主体とする鉄道路線において、輸送力を増強するための方策及びそれを行おうとする場合の課題について述べよ。
     
  9. 山岳トンネルの坑口部(坑門を除く。)で予想される設計・施工上の問題点を述べよ。
     
  10. 設計段階と施工段階でのVE(バリュー・エンジニアリング)の考え方と具体的実施手法について述べよ。
     
  11. 平成9年12月に開かれた地球温暖化防止京都会議で議決された事項について、建設分野における対策の考え方と課題について述べよ。