まさかの一発合格〜kenittiさん

<建設・河川砂防>

≪技術士第二次試験 建設部門 平成24年度≫

【自己紹介】30代後半の技術系公務員。工業高校の土木科を出て、最終は大学夜間部(経済学部)卒。

【第1次試験合格まで】
 私の第1次試験の歴史は長く、平成15年度に初挑戦して以降敗退の繰り返し。
 8年目の平成23年度にようやく合格し、その勢いを駆って翌年の平成24年度に第二次試験にチャレンジしました。

【12〜2月】
 技術士二次試験への挑戦は、1次試験の合格発表間もない12月に開始。
 まず、国交省のHPから国土交通白書をダウンロードし、この読み込みから始まりました。

【3〜4月】
 1次試験の長い経験から、独学ではなかなか合格できる気がしませんでしたので、4月に開催されるSUKIYAKI塾北海道の出願支援セミナーに応募し、経歴票の添削からお願いしました。

 経歴票の作成と並行してノートへの取りまとめも始めました。
 まず初めに、国土交通白書のキモ(予算不足の中でいかに国土整備を図るか)をコピーして貼り付け、自分なりの解説をメモ書き。
 次に過去問の解答案を作成しては貼り付ける作業の繰り返しが続きました。

【5〜7月】
 5月中旬に開催された筆記試験セミナーに応募して参加。
 7月にはさらに個別添削をしていただき、模擬問題の解答内容を厳しい目でみていただくことによって、自分の足りない部分を確認できました。
 もちろん、この指摘結果を踏まえて、再度解答案を作成しました(その間のプロセスはすべてノートに貼り付け)。

 また、本番半月くらい前から手書きに切り替えて意識を集中。解答用紙を何枚もコピーし、ひたすら手書きで訓練の繰り返しでした。自宅での勉強ばかりでは気が滅入るので、気分転換に近所の喫茶店でも勉強していました。

【8月〜筆記試験】
 そして試験本番当日。
 開場時間より早く試験会場を開放してくれたことが大変ありがたかったです(8時半過ぎには入れた)。
 いざ試験が始まり、建設一般問題はU−1の東日本大震災を踏まえた今後の社会基盤整備のあり方について答える問題を選択。
 予想通りの出題でサクサク書けると思いきや、緊張でなかなか書き出しの文章が思い浮かびませんでした。

 午前中の2時間半の試験時間のうち、1時間を骨子作成に費やし、実際に答案用紙に文章を書き始めたのは試験終了1時間前。原稿用紙3枚を埋めたのは、試験終了10分前でけっこう焦りました。

 これでホッとしたのもつかの間、午後の専門試験2問を3時間半の試験時間で解くにはけっこうきつかったです。
 まず1問目を解くのに、今まで勉強していた内容とは違うことに当初の10分間は固まっていました。
 ここでは、まずT−1を選択しましたが、河川管理施設の維持管理に焦点が絞られた問題であったため、骨子作成はうまくいったものの、答案を埋めるのに苦労しました。

 そのため、1問目は想定していた時間を30分もオーバーし、2問目に取りかかったのは試験終了1時間前。

 2問目はT−4の流量観測に関する問題を選択。

 実は、問題群(Bグループ)に今まで勉強した項目が全くなかったため、どれを選択していいのか困ってしまい、最終的に過去に経験した流量観測の問題を選びました。

 ここで幸いだったのは、経験をもとに文章を組み立てられたので、答案用紙3枚を埋めることができました(経験は捨てるな、と言われた意味が今になってようやくわかる)。
 時間があまりなかったので、骨子作成はそこそこに、骨子の前半部分が完成した時点で即論文作成にとりかかり、後半はほぼ思いつきで文章を作成するという失態。

 そして、書き上げた文章が微妙に気に入らず、さらに半分くらい消して書き直すという愚挙もやらかしてしまいましたが、何とか試験終了5分前くらいに書き上げました。

 初めての試験でしたので、手ごたえは全くなく、脱力感だけが残りました。

【筆記試験後〜10月】
 口頭試験に備えて、合格に自信が持てないながらも技術的体験論文の骨子を作成(その後、筆記試験の合格発表まで放置)。

 筆記試験の合格発表前日はなかなか寝付けず、うとうとしながら10月25日の午前3時頃にHPで確認し、結果はまさかの合格!

 一次試験に引き続き、またも近所の神社のご利益が!

 何はともあれ、今度は口頭試験の準備をしなくてはいけません。

 あらかじめ作成していた骨子から論文を起こし、筆記試験セミナーでお世話になった講師の方に添削を依頼。
 お忙しい中、快く引き受けてくださった講師の方には大感謝だったのでした。
 それとあわせて、11月下旬に開催されるSUKIYAKI塾北海道の口頭試験セミナーを申し込みました。

【11月】
 11月6日の技術的体験論文の提出期限には何とか間に合い、今度はAPECさんの著書「技術士試験を応援する第二次試験合格法 口頭試験編」を購入して内容を読み漁りました。

 まず、ノートに口頭試験対策の内容を書き込み。
 次に、技術的体験論文の最終版を縮小して貼り付け、プレゼンの内容を練りながら喋る内容についてカンペを作成し、車通勤の合間に喋る練習を繰り返しました。
 それと並行して今回の筆記試験で選択しなかった河川砂防分野の問題の骨子回答案を作成(口頭試験で訊かれた時の対策)。

 また、SUKIYAKI塾北海道などの口頭模擬試験で指摘された内容をもとに、試験本番をにらんだ想定問答集も作成。

【12月〜口頭試験合格まで】
 そして、試験本番を迎えました。
 何かあったときのために前日に上京を計画していましたが、北海道が吹雪による悪天候で、飛行機の欠航が頭に浮かびヒヤヒヤしましたが、何とか羽田にたどり着くことができました。
 その夜はカンペや技術的体験論文、想定問答集を何度も読み込み、23時前には寝ました。

 翌朝は8時半起床。やはり落ち着きません。
 口頭試験時間は午後の2番目、13:45からでしたので11時前にホテルを出発。
 渋谷到着が早すぎたので、気を落ち着かせるために明治神宮に参拝し、合格御守も買いました。
 それでもまだ時間があったので、昼食を軽く取ろうと道玄坂上のガストで待機。
 Q&A集や、カンペを何度も読み返して本番に備えた最終確認を行いました。

 口頭試験本番は厳しい質問が飛んできて、「こりゃ落ちるかも」と覚悟を決めた試験だったのでした。

 試験終了後は敗北感と脱力感に見舞われ、嫁に「だめかもー」と思わず電話。
 嫁からは「最後まで結果はわからないから待ちましょう」との一言で救われました。

 そして、悪天候で帰りの飛行機が欠航し、翌朝の振り替え便で北海道に無事帰還。
 3月の結果を待つばかりとなりました。

 そして、口頭試験結果発表日はやはり寝付けず、うとうとしながら布団の中でスマホをチェックして合格を確認。

【終わりに】
 技術士を目指すと決意して9年になりますが、1次試験で8年も掛かってしまったのでまさか1回目の受験で第2次試験に合格するとは思いませんでした。
 これも、SUKIYAKI塾北海道でご指導いただいた講師のみなさまのおかげです。

 これから技術士として一層の技術研鑽に励んでいきたいと思っています。
 本当にありがとうございました。
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Π型技術士を目指して〜すーさん

<環境・環境保全計画>

環境部門(環境保全計画)に合格しました。上下水道部門、総合技術監理部門とあわせ今回で3部門となります。

さて、なぜ複数部門を目指すのか。この答えはこれまでいろいろなものがあったと思います。例えば第一に、顧客の一層の信頼を得るため、第二に、CPD・自己研鑽のため、第三に、仕事の内容が変わり現在の専門分野の取得のため、といったものがあると思います。平成23年度の受験当時、私自身も、これだという明確なものなく、ぼんやりとそのように考えていました。

平成25年度の試験制度改正にあたり、文部科学省の技術士分科会に「今後の技術士制度の在り方に関する論点整理(平成25年1月31日、科学技術・学術審議会技術士分科会) 」というものが掲載されています。おそらく平成25年度の受験にあたって目を通したほうがよい資料と思います。これを読むと今回の制度改正の背景が分かるように思います。

内容を端的に言えば、1部門の技術士になっても、それはゴールではなく、ようやく仮免許から本免許に立った程度と思って、より研鑽を積むことを産業社会が求めているということが書いてあります。 そして、これからの一般経済社会が求めているのは、当たり前に複数部門技術士であるような、複数の専門を研鑽することで、その専門の間にあるニッチな新分野の社会的ニーズを満たせる高度な技術者となることが求められているということになると思います。これをΠ型といった表現をしていると思います。

この資料では、総合技術監理部門は必須の取得と置き、現在の取得者数を整理しています。
総監+1部門 万人レベル
総監+2部門 千人レベル
総監+3部門 百人レベル
総監+4部門 十人レベル
総監+5部門以上 数人レベル

この内容は、今後の新規受験生以上に、複数部門を目指す受験生に必須の考え方と思います。 つまり、口頭試験の際に、「なぜ複数部門をめざしたのですか」の答えは、これからは、「それはΠ型技術士をめざすためです」ということになると思います。

合格時点は、同時に次の合格への出発時点であるという思いを新たに、「総監+3部門」をめざし、さらなる研鑽を積んでいきたいと思います。

ゴールである合格が、次へ合格への出発点になる国家資格試験である技術士です。この意味を改めて思い、今回の合格体験記とさせていただきました。

【参考】
今後の技術士制度の在り方に関する論点整理(平成25年1月31日、科学技術・学術審議会技術士分科会)
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