技術士第二次試験 平成14年度 建設一般

第二次試験過去問題Topへ


択一問題
 2-1 次の20問題のうち15問題を選んで解答せよ(解答欄に1つだけマークすること)。


2-1-1 わが国の社会資本整備に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)平成11年度末における都市計画道路の整備率(改良済み延長/都市計画決定延長)は、約7割である。
(2)平成11年度の建設工事の元請け完成工事高における新設工事高と維持・修繕工事高の比率は約6:4である。
(3)平成12年度末における人口1人当たりの都市公園面積(都市公園面積/都市計画区域内人□)は、約30m2/人である。
(4)平成12年度末における下水道普及率(下水道処理人口/総人口)は、約6割である。
(5)平成13年度の建設投資(名目値)の見通しは、約100兆円である。
解答案

2-1-2 「行政機関が行う政策の評価に関する法律」による政策評価に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)政策評価は、客観性を確保するため、すべての府省の政策について財務省が一元的に実施することとされている。
(2)政策評価を行うに当たっては、政策の特性に応じて、「事業評価方式」、「実績評価方式」、「総合評価方式」など適切な方式を用いることとされている。
(3)政策評価は、「必要性」、「効率性」または「有効性」の観点その他当該政策の特性に応じて必要な観点から行われなければならない。
(4)政策効果の把握に当たっては、できる限り定量的に把握することができる手法を用いるものとし、それが困難である場合等には、定性的に把握する手法を用いるものとされている。
(5)評価結果については、評価の結論だけではなく、評価の際に使用した仮定、評価の観点、政策効果の把握手法等評価の過程を含めてできる限り具体的に公表しなければならない。
解答案

2-1-3 公共工事の品質確保に向けての施策に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)「公共工事の入札・契約手続きの改善に関する行動計画」では、外国の資格を国内資格と差別無く評価することとしており、今後、具体的な評価方法の確立が急がれる。
(2)設計・施工の標準化の推進は、品質低下を防ぎ、コストを低減する上で効果が高いが、技術者が本来備えておくべき創造性、総合的判断能力を奪い取る危険性も含んでいる。
(3)建設工事は着手前に予測できない現場条件に遭遇することが多く、このような場合、適切な設計変更によって所定の品質を確保している。
(4)建設費を縮減できる有効な提案をした者に縮減額の一部を還元するDBは、民間の技術開発に対するインセンティブを与えることで長期的に品質確保・向上に結びつく効果を持っている。
(5)CMとは民間あるいは公共の建設工事において、発注者の代理人または補助者として発注者の利益を確保する立場から、品質管理、工程管理、費用管理等を行う方式である。
解答案

2-1-4 公共工事におけるコスト縮減に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)技術者、現場労働者、資機材の手配や調達の合理化を図るため、工事の平準化を図る。
(2)技術による競争を促し、民間の技術力を活用するため、技術提案を受け入れる入札・契約方式を適用する工事の拡大を図る。
(3)工事における建設副産物対策の推進や環境改善策による環境負荷の軽減、工事に伴う交通渋滞や事故の減少等を通じて社会的なコストの低減を図る。
(4)直接的な工事コストの低減だけでなく、工事の時間的コストの低減やライフサイクルコストの低減も含めて総合的なコスト縮減を図る。
(5)「より良いものを安く」という観点から、材料ミニマムとなる設計思想への転換を図る。
解答案

2-1-5 「都市再生特別措置法」に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)都市再生事業を行おうとする者は、市街地再開発事業や土地区画整理事業等の都市計画を決定することを提案できる。
(2)この法律は、近年における急速な情報化、国際化、少子高齢化等の社会経済情勢の変化に対応した都市機能の高度化および都市の居住環境の向上を図るために制定された。
(3)既存の用途地域等に基づく規制を適用除外とする都市再生特別地区を都市計画に定めることができる。
(4)市町村は、都市の再生の拠点として緊急かつ重点的に市街地の整備を推進すべき地域を、都市再生緊急地域として都市計画に定めることができる。
(5)都市再生事業を行おうとする民間事業者は、認定を受けて、無利子貸付け、出資、債務保証等の支援を受けることができる。
解答案

2-1-6 全国総合開発計画に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)昭和37年に策定された第一次の計画では、地域の均衡ある発展を図るため、拠点開発構想が提唱された。
(2)昭和44年に策定された第二次の計画では、新幹線、高速道路などのネットワーク整備と大規模プロジェクト高層が提唱された。
(3)昭和52年に策定された第三次の計画では、経済の安定成長を背景に、新産業都市構想が提唱された。
(4)昭和62年に策定された第四次の計画では、東京一極集中の是正のため、多極分散型国土の構築が提唱された。
(5)平成10年に策定された現行計画では、21世紀における国土のグランドデザインとして、多軸型国土構造計画の基礎づくりが提唱された。
解答案

2-1-7 環境影響評価法の規定に基づき定められた基本的事項に規定されている次の文章について、(ア)(イ)(ウ)の空欄を埋める組み合わせとして正しいものはどれか。
 環境保全措置の検討に当たっては、環境への影響を( ア )し、または( イ )することを優先するものとし、これらの検討結果を踏まえ、必要に応じ当該事業の実施により損なわれる環境要素と同種の環境要素を創出すること等により損なわれる環境要素の持つ環境の保全の観点からの価値を( ウ )するための措置(以下「( ウ )措置」という)の検討が行われるものとすること。

(ア) (イ) (ウ)
(1) 回避 低減 代償
(2) 低減 代償 矯正
(3) 代償 矯正 最大化
(4) 矯正 最小化 回避
(5) 最小化 回避 増加
解答案

2-1-8 企業の環境保全への取り組み活動に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)グリーン購入とは、市場に供給される製品・サービスの中から環境負荷が少ないものを優先的に購入することをいう。
(2)環境報告書とは、最高経営責任者の緒言、環境保全に関する方針・目標・行動計画、環境マネジメントに関する状況および環境負荷の低減に向けた取り組み等について取りまとめ、一般に公表するものをいう。
(3)環境会計とは、企業などが事業活動における環境保全対策のためのコストをその他の事業活動に要したコストと分離し、公表するための仕組みであり、環境保全対策により得られた効果の公表は含まれない。
(4)ISO14001とは、環境マネジメントに関する国際規格で、企業活動、製品およびサービスの環境負荷の低減など継続的な改善を図る仕組みを構築するための要求事項を規定したものである。
(5)ゼロエミッションとは、製造工程等から排出される廃棄物を別の産業の再生原料として利用するなどして、全体での「廃棄物ゼロ」を目指す生産システムのことをいう。
解答案

2-1-9 我が国の災害対策に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)被害地域の円滑かつ早期の復旧を図ることを目的として、激甚災害の指定基準等が平成12年度に引き下げられた。
(2)災害対策基本法については、平成7年の阪神・淡路大震災後に改正が行われ、政府の初動体制の強化、緊急車両の通行確保、防災ボランティアの活動環境整備などが盛り込まれた。
(3)災害対策基本法に基づき、指定行政機関(国の行政機関等)は防災業務計画を作成し、地方公共団体と指定公共機関(日本電信電話株式会社、日本赤十字社等)は共同して地域防災計画を作成している。
(4)地震防災対策強化地域では、域内の病院、鉄道事業者などの一部の民間事業者も地震防災応急計画を策定する。
(5)自然災害により生活基盤に著しい被害を受け、経済的理由等により自立して生活を再建することが困難な被災者に対しては、被災者生活再建支援法により支援金が支給される。
解答案

2-1-10 災害対策に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)概ね100〜200年に1度程度起こる大雨を対象として、洪水氾濫シミュレーションによる浸水危険区域をもとに作成される洪水ハザードマップは、社会的影響が小さい時期をみはからって公表すべきものである。
(2)早期に避難することが被害軽減の1つの方法であるが、災害弱者がいると避難を間始するタイミングが遅くなる場合がある。これに対しては、避難所の周知、情報伝達などに配慮する必要がある。
(3)地下施設における浸水被害の減災方策として、降雨・浸水情報の早期伝達や、出人口、隣接ビルとの連絡口における防水板、防水扉などの設置が有効である。
(4)近年の自然災害による死者・行方不明者を災害別にみると、平成5、7年を除くと、土砂災害を始めとした風水害によるものが最も大きな割合を占めている。
(5)災害が発生した際には、災害応急対策を迅速かつ円滑に実施するために、被害状況や応急対策に関する情報を的確に収集し、迅速に伝達する必要がある。
解答案

2-1-11 建設副産物に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)平成12年度における建設廃棄物の排出量は、全国で約5億トンである。
(2)平成11年度における全国の産業廃棄物の不法投棄状況を見ると、建設廃棄物が全体量の約3割を占めている。
(3)平成12年度におけるコンクリート塊及びアスファルト・コンクリート塊のリサイクル率は高く、いずれも9割以上である。
(4)平成12年度の海面埋立てを除く建設工事における土砂利用量のうち、建設発生土からの利用率は低く2割程度である。
(5)平成12年度における土木系廃棄物と建築系廃棄物のリサイクル率を比較すると、建築系の方が高い。
解答案

2-1-12 建設産業に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)平成13年度の建設投資額は、ピークであった平成4年度に比べ減少しているが、建設業許可業者数は連に増加している。
(2)建設業就業者は、専門的分野が細分化しており、特殊な技術・技能を持った就業者の占める割合が高いことから、転職する場合、他産業に比べ別の産業への転出率は概して高い。
(3)建設産業の売上高経常利益率は平成3年度以降、低下傾向にあり、平成12年度値は全産業の平均値を下回っている。
(4)建設業許可業者数のうち、資本金が1値円以上の業者数の構成率は1%程度である。
(5)建設工事における労働災害の死亡者数は、おおむね減少傾向にあるものの、平成13年における建設業死亡者数は全産業の約4割を占める。
解答案

2-1-13 わが国の国内輸送の機関別分担率を示した下図において、線(ア)と線(イ)を表す輸送機関の組み合わせで正しいものはどれか。

(ア) (イ)
(1) 鉄道 自動車
(2) バス 内航海運
(3) 自動車 内航海運
(4) バス 自動車
(5) 鉄道 内航海運
解答案

2-1-14 バリアフリーに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)ADA ( Americans with Disabilities Act : 障害のあるアメリカ人法)
  アメリカで施行された法律で、雇用、移動、コミュニケーションの各分野における障害者の差別を禁止するとともに、すべての人に恩恵が及ぶという考え方から公共施設全般にバリアフリーを義務付けている。
(2)移動制約者
  身体障害者や高齢者あるいは妊婦のように身体的な理由によって、常時または一時的にモビリティが制約されている人々のことを言い、体に不自由のない重たい荷物を持った人や日本語が分からない外国の人は含まない。
(3)インスタントシニア
  カナダのオンタリオ州が、高齢者や障害者にとって住みやすい社会をつくるために考案しだThrough Other Eyes” のことで、高齢者の身体機能の変化を体験することにより高齢者を取り巻く生活環境を理解するための体験学習プログラムである。
(4)ノーマライゼーション
  デンマークで提唱された考え方で、障害を持つ人も持たない人も一緒に等しく人間として普通の生活を送るため、共に暮らし、共に生き、共に活動していく社会の実現を目指す考え方である。
(5)ユニバーサルデザイン
  建築家や工業デザイナーが提唱した、障害のあるなしにかかわらず公平で使いやすく、安全でやさしいデザインとなるように、はじめからバリアを生じないようなモノづくりを行う考え方で、社会・環境のデザインまで含まれる。
解答案

2-1-15 建設CALS/ECに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)建設CALS/ECは建設事業の効率化、コスト縮減、品質の確保・向上のための有力な手段となる。
(2)建設CALS/ECにより、受注希望者は時間的・空間的に縛られることなく発注予定情報の入手と資格を有する工事への入札参加が可能となる。
(3)建設CALS/ECには電子納品も含まれる。
(4)建設CALS/ECには図面・文書の標準化も含まれる。
(5)建設CALS/ECはナノテクノロジーによって可能となったシステムである。
解答案

2-1-16 国際単位系(SI)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)SI単位としての長さの単位はm(メートル)、質量の単位はkg(キログラム)、時間の単位はs(秒)である。
(2)10-3を表す接頭語m(ミリ)を使用することができる。
(3)圧力の単位にはPa(パスカル)があり、他のSI単位の組み合わせではN/m2と表すことができ、1Pa=1N/m2の関係がある。
(4)単位体積重量に用いるkN/m3は重力単位系と1tf/m3≒98.06kN/m3の関係がある。
(5)SI単位系における加速度の単位は、重力単位系における加速度の単位と同じである。
解答案

2-1-17 設計・施工技術に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)日本において、トンネルでシールドエ法が初めて採用されたのは、東京の下水道工事である。
(2)配合が同じであれば、一般的に高炉セメントを用いたコンクリートの方が、普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートより初期強度が小さい。
(3)日本において、現在の柱列式地下連続壁の芯材はH形鋼が主流である。
(4)土木構造物の耐震設計に用いる設計地震動において、構造物の耐用期間内に発生する確率は極めて小さいが強い地震動をレベル2(またはL2)地震動という。
(5)ゲルバー橋は、道銃後の支間部の適当な箇所にヒンジを設けて静定構造にしたものである。
解答案

2-1-18 公共工事の入札・契約に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)「公共工事の入札および契約の適正化の促進に関する法律](以下、「入札・契約適正化法」という)は、国、特殊法人、地方公共団体等の発注者全体を通じて、入札・契約の適正化の促進により、公共工事に対する国民の信頼の確保と建設業の健全な発注を図ることを目的としている。
(2)公共工事は、「入札・契約適正化法」により、発注者の書面による事前承諾があった場合を除き、一括下請負か禁止されている。
(3)「公共工事の入札および契約の適正化を図るための措置に関する方針」には、情報の公表、第三者意見の反映、苦情処理の方策、入札・契約方法の改善など、発往者が取り組むべきガイドラインが示されている。
(4)公共工事の入札時における競争性向上に向けた実験的取り組みとして、公募型指名競争入札および工事希望型指名競争入札の対象範囲拡大、指名業者数の多様化などが国土交通省の直轄工事の一部で試行されている。
(5)公共工事から不良・不適格業者を排除するため、発注者支援データベースの活用、施工体制台帳や施工体系図による管理技術者の配置や下請け状況の確認などの取り組みが発注者に求められている。
解答案

2-1-19 環境に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)環境アセスメントの手続きにおけるスコーピングとは、個別の環境影響評価について、関係者の意見を聞き、事業特性および地域特性を勘案しながら、適切な環境影響評価の項目および手法を選定するプロセスのことである。
(2)リサイクル原則化ルールとは、建設資材の利用や建設副産物の処理において、費用が従来と同等であれば、再生資源の利用および再資源化施設の活用を原則とする措置のことである。
(3)モーダルシフトとは、環境負荷の少ない大量輸出機関である鉄道貨物輸送、内航海運の活用を図ることであり、これにより物流分野における二酸化炭素排出量の削減に寄与するものである。
(4)京都議定書とは、平成9年に京都で開催された「気候変動枠組条約第3回締約国会議」において採択されたもので、先進各国の温室効果ガスの排出削減目標を定めている。
(5)ヒートアイランド現象とは、都市において高密度のエネルギーが消費され、また、地面の大部分がアスファルト等で覆われていることなどにより、都市部の気温が郊外に比べ高くなる現象をいう。
解答案

2-1-20 国際協力に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)円借款とは、日本政府が相手国政府に対し円貨建てで貸付けを行うことを総称するものであり、開発途上国の社会インフラ整備などにあてられる。
(2)ODAとは開発途上国の経済や社会の発展に協力するために行われる政府開発援助のことであり、大別すると2国間贈与、2国間貸付け、国際機関への出資・拠出等から成る。
(3)プロジェクト方式技術協力とは、専門家の派遣、研修員の受け入れ、機材の供与の3つの協力形態を組み合わせ、1つのプロジェクトとして実施する協力形態をいう。
(4)フィージビリティ・スタディとは、経済・社会インフラなどのプロジェクト実施に先立って、そのプロジェクトの技術的、経済的、財政的な妥当性、投資効果について調査するものである。
(5)NGOとは、自国内または開発途上国で商業的利益を追求しながら開発問題に取り組む民間の営利団体のことである。
解答案

記述問題
 2-2 次の2問題のうち1問題を選んで建設部門全体の問題として解答せよ。

(1) 社会経済情勢が変化するなかで、これからの都市部と地方部の社会資本整備のあり方について、あなたの意見を述べよ。

(2) 地球温暖化や廃棄物処理等の環境問題に国民の関心が高まりつつあるなかで、建設分野がとるべき方策について、あなたの意見を述べよ。