技術士第二次試験 平成17年度 総合技術監理

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※択一正解は、技術士会公表の正解について、臨時掲示板での情報から解説を作成しました。
 異論や情報などありましたら、掲示板あるいはメールにてお願いします。


問1 生産活動は、いわゆる生産の4Mを入力とし、PQCDSMの6項目を出力とする活動と考えることができる。PQCDSMについての記述で、誤っているものを次の中から選び答えよ。

(1) Pは、Productionのことである。
(2) Qは、Qualityのことである。
(3) Cは、Costのことである。
(4) Dは、Deliveryのことである。
(5) Sは、Serviceのことである。
正解は5
Sは安全(Safety)です。青本p.21

問2 将来のある時点の資金と等しい価値を持つ現在時点の資金のことを割引現在価値という。2年後の100万円の割引現在価値はおよそいくらか。最も近い金額を次の中から選び答えよ。ただし割引率は10%であるものとする。

(1) 90万円
(2) 85万円
(3) 83万円
(4) 81万円
(5) 80万円
正解は3
100万円÷(1+0.1)2≒83万円。

問3 下記の条件を持つ作業AからGの工事において、ネットワーク工程表の考え方を用いて、最短となる工事所要日数を次の中から選び答えよ。ただし()内は各作業の作業日数である。

(条件)
 作業A(4日)、B(5日)、C(6日)は最初の作業で同時に着工できる。
 作業D(5日)は、A、Bが完了後着工できる。
 作業E(3日)は、Bが完了後着工できる。
 作業F(9日)は、Eが完了後着工できる。
 作業G(4日)は、D、Fが完了後着工できる。

(1) 20日    (2) 21日    (3) 22日    (4) 23日    (5) 24日
正解は2
B+E+F+G=5+3+9+4=21日。

問4 品質管理の観点から、工程能力と工程能力指数についての記述で、最も不適切なものを次の中から選び答えよ。

(1) 工程能力は、工程が一定期間、統計的管理状態であるときの能力を指す。
(2) 工程能力は、工程能力指数で評価し、その値が一般的に1.33を超えていればよいといえる。
(3) 工程能力指数を大きくするために、規格幅を大きくすることは品質管理上望ましいことである。
(4) 工程能力指数を大きくするために、観測対象の品質特性の標準偏差を小さくすることは品質管理上望ましいことである。
(5) 工程能力は、設計品質と密接に関係しているので、設計部門とも連携をとることによって改善できる。
正解は3
規格幅を大きくすることは品質レベルを下げることになります。

問5 事業企画の際に行われるフィージビリテイ・スタディの項目として、誤っているものを次の中から選び答えよ。

(1) 事業フレームの具体化
(2) 予備的調査と需要予測
(3) 予備的な設計・試作
(4) 総合生産計画の立案
(5) 事業の収支予測と資金調達の検討
正解は4
フィージビリティ・スタディは、
1.事業内容の具体化
2.予備的調査と需要予測
3.予備的な設計・試作
4・事業の収支予測と資金調達
です。青本p.25。

問6 生産計画や生産管理、マネジメントの場において有用な計画・管理の手段として用いられるシミュレーションに関する記述で誤っているものを次の中から選び答えよ。

(1) 実際のシステムの模型としてのモデルを作成する必要がある。
(2) 差分方程式で表されるモデルのシミュレーションは、離散型シミュレーションである。
(3) 構築したモデルが解決すべき問題に相応しいかどうかの妥当性の検証が必要である。
(4) 微分方程式で表されるモデルの初期値問題を解くことに相当するシミュレーションは、連続型シミュレーションである。
(5) モデルから得られた解答を用いて現実の問題解決または意思決定を行うには、モデルの妥当性または正当性の検証を含め、慎重に行う必要がある。
正解は2
微分と差分のシミュレーションは連続型です。青本p.62。

問7 財団法人製品安全協会が、構造・材質・使い方などからみて、生命又は身体に対して危害を与えるおそれのある製品に対して定めた安全性認定基準に適合した製品に表示するマークはどれか。次の中から選び答えよ。

(1) Sマーク
(2) SFマーク
(3) SGマーク
(4) SIマーク
(5) STマーク
正解は3
Safety Goods(安全な製品)の略号です。青本p.37。

問8 生産方式に関する記述の中で、誤っているものを次の中から選び答えよ。

(1) オーダエントリー生産方式とは、生産工程にある製品に顧客のオーダを引き当て、製品の仕様の選択又は変更をする方式である。
(2) 生産座席予約方式とは、受注時に、製造設備の使用日程・資材の使用予定などにオーダを割り付け、顧客が要求する納期どおりに生産する方式である。
(3) 製番管理方式とは、製造命令書を発行するときに、その製品に関するすべての加工と組立の指示書を準備し、同一の製造番号をそれぞれに付けて管理を行う方式である。
(4) アジャイル生産方式とは、核となる固有技術(コアコンビタンス)をもつ複数の企業が連携して、特定の顧客のために高品質の製品をスピーディーに開発し、限られた量を生産する方式である。
(5) モジュール生産方式とは、個々の注文に応じて、その都度1回限りの生産を行う方式である
正解は5
モジュール生産方式:機能ごとのモジュール(複合)部品をあらかじめ組み上げておき、需要に応じて最終製品に組み立てる生産方式です。

問9 最近の人事制度には、「社内公募制度」、「社内FA制度」、「社内ベンチャー制度」といったものがある。これらの人事制度は、マズローの人間の欲求5段階説のどの欲求に働きかけることによって期待できるインセンティブを想定しているか。最も適切なものを次の中から選び答えよ。

(1) 物質的欲求
(2) 安定要求
(3) 連帯要求
(4) 周囲からの尊敬欲求
(5) 自己実現欲求
正解は5
内容から明らかです。

問10 次の組織形態の記述のうち、マトリックス型組織の特徴に関する説明として、最も適切なものを選び答えよ。

(1) 情報伝達が円滑で人材の有効活用が図られるが、複数の上司をを持つことで指揮命令系 統に混乱を生じるおそれがある。
(2) 権限委譲によって、より低いレベルでかなりの経営判断が出来るため意思決定が速い。
(3) 事業形態が単純で、製品の種類が少ないようなケースに有効な組織形態である。
(4) 管理職が幅の広い意思決定に参加できることから、全体最適の視点を持った経営幹部の育成に適している。
(5) 質の高い専門性をもたらし、業務の効率も高いが、一部署の権限や責任は限定されており、トップマネジメントの負荷が大きい。
正解は1
(1)マトリクス型組織
(2)事業部制組織
(3)職能別組織
(4)事業部制組織
(5)職能別組織
参考:
こちら

問11 我が国の民間企業における労使関係についての次の説明のうち、適切なものを選び答えよ。

(1) 職能別組合では、組合員資格を持っていることが従業員の地位を得るための前提となるユニオンショップ制をとっている。
(2) 正社員となれば強制的に企業別組合に加入しなければならないようになっているのがクローズドショップ制である。
(3) 労使の団体交渉における交渉事項には法的な規制がない。
(4) 争議調整において、労働委員会による調停は拘束力を持つ。
(5) 争議調整において、仲裁とは労働委員会が労使の自主交渉を促進するために非公式に仲介することである。
正解は3
青本p78より
「交渉事項には法的な規制がないので、交渉事項について労使が対立することもある」
(1)と(2)はクローズドショップ制とユニオンショップ制が逆
(4)は仲裁のこと
(5)はあっせんのこと

問12 人間関係管理に関する次の説明のうち、最も不適切なものを選び答えよ。

(1) ウェスタン・エレクトリック社のホーソン工場で行われた実験では、物理的・生理的・経済的な条件よりも、人々の感情や集団の雰囲気、集団規範などが作業能率に、より大きな影響を及ぼすことを示している。
(2) 人間関係管理において、企業などの組織は、物的・技術的メカニズムとしての技術的組織と、人間関係の複合体としての人的組織との二面性を持っているとしている。
(3) 人的組織は、公式組織と非公式組織からなるが、非公式組織は、職場の行動規範、組織の力関係、従業員の育成環境などの決定に影響を与える。
(4) 従業員のモラルを高め作業能率を向上させるためには、技術的組織、公式組織、非公式組織のうち、非公式組織の機能を他の機能より重視することが大切である。
(5) 作業能率が向上するためには、人間関係が円滑なだけでは十分ではなく、従業員が働こうという意欲を持つための動機付けも重視する行動科学的アプローチが重要である。
正解は4
青本p.83。

問13 次の人的資源開発プロセスの記述のうち、最も不適切なものを選び答えよ。

(1) 必要性の決定:組織形態や組織文化の分析、職務分析と個人分析により特定の教育や訓練の必要性を決定する。
(2) 目標設定:組織の目標と期待される成果目標などから人的資源開発目標を設定する。
(3) 開発手法選択:対象に応じて、開発に用いる様々な手法から適切なものを選択する。
(4) メディア選択:人的資源開発プログラムを効果的に実施するため各種のメディアを活用し、告知については迅速さを最も重視してメディアを選択する。
(5) プログラムの実施と評価:実際にプログラムを実施し、アンケートなどの効果測定により、プロセス全体および人的資源開発プログラムの評価を行う。
正解は4
「迅速さを重視」が間違いです。青本p.86.

問14 我が国の職務発明制度に関する次の記述の中で、最も不適切なものを選び答えよ。

(1) 従業員の発明が職務発明となるには、その発明が性質上当該企業の業務範囲に含まれている必要がある。
(2) 従業員の発明が職務発明となるには、その発明をなすに至った行為が本人の当該企業における現在または過去の職務に含まれている必要がある。
(3) 従業員の発明が職務発明となるには、その発明をなすに至った行為が当該企業の業務命令によるものでなければならない。
(4) 職務発明について、使用者である企業が特許を受ける権利を得るように社内規定などで定めた時には、発明者は相当の対価の支払いを受ける権利がある。
(5) 職務発明について、使用者である企業は通常実施権を無償で得ることが出来る。
正解は3
たとえばこちら、あるいはこちら

問15 次のリーダーシップに関連する記述の中で、最も不適切なものを選び答えよ。

(1) リーダーシップの機能の1つとして、その組織の代表として他の組織との交渉に当たる機能がある。
(2) 組織としての目標に優先順位をつけ、構成員に対して周知徹底する機能もリーダーシップ機能の1つである。
(3) 構成員が積極的に仕事に取り組むよう動機付けを行うのもリーダーの役割の1つである。
(4) 情報、知識、好ましい対人関係、優れた実績、公式の権限等がリーダーの影響力の源泉になる。
(5) 優れたリーダーの資質として、組織の目標達成や課題解決に対する能力を組織の維持を目的とする機能より重視するのがPM理論である。
正解は5
PとMはバランスよくなければなりません。

問16 労働基準法の定めや労働時間制度の説明として、最も不適切なものは次のうちどれか選び答えよ。

(1) 使用者が従業員に法定労働時間を超えて労働させる場合には、労使が協定を締結し労働基準監督署に届けることが義務づけられている。
(2) 使用者は、原則として、その雇い入れの日から起算して6ヶ月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。
(3) フレックス・タイム制度においては、残業手当は、3ヶ月以内を単位として総労働時間を算定し精算する。
(4) 変形労働時間制度においては、1ヶ月または数ヶ月で平均して、1週間当たりの労働時間が適法定労働時間を超えない範囲で、各自の労働時間を決めることができる。
(5) 研究開発など労働者の裁量にゆだねる必要のある労働については、労使の協定に基づいて決められるみなし労働時間が適用される。
正解は3
フレックスでは、3ヶ月ではなく1ヶ月以内を単位として総労働時間を算定します。青本p.76。

問17 次の情報処理関連用語の説明のうち、適切と思われるものを選び答えよ。

(1) 「グループウェア」とは、構内ネットワークを意味する。
(2) 「デジタルデバイド」とは、あるメモリの数値を別のメモリの数値で割った値のことである。
(3) 「ポータルサイト」とは、コンピュータをおくために設置した専用の施設の呼称である。
(4) 「ファイヤウォール」とは、外部からの不正侵入を防ぐセキュリティ対策のためのシステムである。
(5) 「公開鍵暗号」とは、暗号を解く鍵が公開されてセキュリティが脆弱化した暗号のことである。
正解は4
1は、構内ネットワークで共通して利用するソフトウェアのことで、ロータスノーツなどが有名です。
2は、青本p.120に書いてあります。
3のポータルサイトはインターネットの窓口のようなYahooなどのことです。
5の公開鍵は公開してあって意味があります。

問18 我が国の知的財産権の保護期間で、正しいのは次のうちどれか選び答えよ。

(1) 特許権は出願から10年、意匠権は登録から10年
(2) 特許権は出願から15年、意匠権は登録から10年
(3) 特許権は出願から15年、意匠権は登録から15年
(4) 特許権は出願から20年、意匠権は登録から15年
(5) 特許権は出願から20年、意匠権は登録から20年
正解は4
青本p.100。

問19 CRM(Customer Relationship Management)の一手段に用いられるインターネットを利用したマーケティング手法の要素技術として、一般的でないものは次のうちどれか選び答えよ。

(1) パーソナライゼーション技術
(2) カスタマイゼーション技術
(3) リコメンデーション技術
(4) データマイニング技術
(5) URLフィルタリング技術
正解は5
子どもに見せたくないサイトを設定したりするものですが、これはマーケティング手法とはあまりいいません。

問20 次の情報システム構築のプロジェクトマネジメントに関する記述の中で、最も不適切なものを選び答えよ。

(1) PMBOK(A Guide to the Project Management Body of Knowledge)はプロジェクトマネジメントの事実上の国際標準となっている。
(2) WBS(Work Breakdown Structure)はプロジエクトを遂行するのに必要な作業を所要のレベルまで分割し構成したツリー構造である。
(3) FP(Function Point)法は情報システムの規模を工数の積み上げにより見積る手法である。
(4) Contingency Planning はある特定されたリスク事象が起きた場合でも、プロジェクトを成功させるための代替戦略となる計画を策定することである。
(5) Concurrent Engineering はプロジェクトの要員配置方法の1つで、システム開発フェーズの実施担当者をシステム設計フェーズから参画させることなどである。
正解は3
FP法は、FPによりソフトウェアの規模を見積るための手法です。 

問21 個人の身体的特徴を利用したバイオメトリクス(身体的特徴)による個人認証の利用が普及してきている。次の中から各種窓口など、その場で実行する個人認証として現在最も不向きと考えられるものを選び答えよ。

(1) 顔    (2) 虹彩    (3) DNA    (4) 指紋    (5) 静脈
正解は3
DNA認証をその場で実行するのは無理です。

問22 2005年4月より個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律)が完全施行され、過去6ケ月継続して5000件以上の個人情報を保有する事業者は「個人情報取扱事業者」として、個人情報の適切な管理義務を負う。同法の個人情報データベース等の定義に照らして、管理すべき個人データには一般に該当しないものを次の中から選び答えよ。

(1) 電子メールソフトに格納されている個人名と住所
(2) 企業名順にファイルされた名刺
(3) ユーザ登録票で集めた顧客の住所氏名などのデータベース
(4) 展示会など種々の機会に集めた分類されていない多数の名刺
(5) パソコンの表計算ソフトを用いて整理した名刺帳
正解は4
分類されていない情報はデータベースとはいえません。

問23 緊急時対応に関する情報処理で注意すべきこととして、最も不適切なものを次の中から選び答えよ。

(1) 重要な問題はトップ層が係わる必要があるが、時間などの制約があるときは適切な役割分担か必要である。
(2) 情報収集が早期には困難であるので、判断基準は確実な情報を入手後に作成する。
(3) 判断の迷いや意見対立を極力さけるため、守るべきものの優先順位を明確にする。
(4) 判断すべき人間が判断不可能な場合(例:負傷、不在)の代替者や、情報伝達手段が利用不可能な場合の代替手段を明確にする。
(5) 緊急時における被害拡大防止と被害低減のためには、適切な初期対応が重要である。
正解は2
青本4.2.2(p.106)に、1の役割分担、2の判断基準、3の優先順位、4の伝達手段が明記されており、緊急時の情報処理が必要な事項にされています。

問24 TCO(Total Cost of ownership)とは情報システムのコストを、システムの導入、維持・管理などにかかる総経費として捉えようとする概念である。 TCOの考え方として、最も不適切なものを次の中から選び答えよ。

(1) ウィルス感染したパソコンからのウイルス駆除コストもTCOに含まれる。
(2) 社内の相談窓口での対処ノウハウの蓄積は運用管理コスト低減に効果的である。
(3) サーバーを統合し、システム構成を単純化するごとはシステム管理コスト低減に効果的である。
(4) マルチベンダーで機器を調達すると、一般的に導入コストの低減は困難になる。
(5) TCOは単に低けれぱよいのではなく、費用と効果が適切か、という視点で用いるべきである。
正解は4
参考:こちら

問25 次の説明が示すものとして適切なものを選び答えよ。

「災害などが発生した際に事業が中断した場合、極力短期間で事業を再開して影響を極小化するための計画」

(1) AHP    (2) BCP    (3) CPD    (4) TQM    (5) WTP
正解は2
BCP(ビジネス・コンティニュイティ・プランニング/事業継続計画):災害や事故等の発生に伴って通常の事業活動が中断した場合に、可能な限り短い期間(時間)で事業活動上最も重要な機能を再開できるように、事前に計画・準備し、継続的メンテナンスを行う1つのプロセス。

問26 システム安全工学手法に関する次の記述は、どの手法の説明か選び答えよ。

「ある初期事象から出発して、いろいろなシーケンスをとることにより、結果かどのような状態になるかを明らかにする手法」

(1) チェックリスト方式
(2) FMEA
(3) HAZOP手法
(4) イベントツリー手法
(5) フォールトツリー手法
正解は4
青本p.161。

問27 システムの設置目的を達成する機能を維持するための手法として、最も不適切なものを次の中から選び答えよ。

(1) フォールトアボイダンス
(2) フォールトトレランス
(3) フールプルーフ
(4) フェールソフト
(5) フェールセーフ
正解は5
青本p.154。

問28 労働安全衛生マネジメントシステムに開する規格は次のうちどれか選び答えよ。

(1) IEEE 1394
(2) IS0 9000シリーズ
(3) ISO 10006
(4) ISO/IEC 17799
(5) OHSAS 18000シリーズ
正解は5
青本p.218。

問29 リスク基準についての説明として、最も不適切なものを次の中から選び答えよ。

(1) リスク基準は、全てのリスクにおいて共通する1つのものでなければならない。
(2) リスク基準は、リスク対策を行うべきリスクを決定することに利用できる。
(3) リスク基準は、リスクの重要さを評価するときに参考となる条件のことである。
(4) 組織や社会におけるリスク基準は、当該組織や社会において設定する必躯がある。
(5) リスク基準は、リスクを発生させる側と受ける側とのコミュニケーションを基に決まる場合もある。
正解は1
青本p.137にあるように、ケースバイケースです。

問30 安全推進のためにヒヤリハット活動を実践する場合に、最も適切なものを次の中から選び答えよ。

(1) ヒヤリハット活動では、報告内容は各自が時間をかけて分析し、よ<吟味した上で報告するべきである。
(2) ヒヤリハット情報が上がってもすぐ対応するのでは無く、同様の報告が多く集まった時点で対策を検討し講じることが重要である。
(3) ヒヤリハット情報は、個人的なことや特定の環境での話であるので、情報共有に努める必要はない。
(4) ヒヤリハット情報は、安全活勧のみに使用し、責任追及に陥らないように注意することが重要である。
(5) ヒヤリハット活動では、早期の改善が重要であるから、根本原因の追究をする必要はない。
正解は4
報告内容によって責任追及を行うことをせず、安全活動のみに使用します。青本p.152。 

問31 危機管理に関する説明として、最も適切なものを選び答えよ。

(1) 危機管理とは、企業や社会に大きな影響を及ぼす事態の発生を低減する活動である。
(2) 危機管理では、再発防止に全力を注ぐことが重要である。
(3) 危機管理には、大別して、準備段階、事前作業段階、緊急事態対応段階、事後復旧段階の4つの段階がある。
(4) 危機管理では、リスクの大小にかかわらず、あらゆるリスクについても危機管理策を備えておく必要かおる。
(5) 危機管理では、組織のトップ層が強い意思をもって対応することが重要で、危機管理マニュアル等の整備は不要である。
正解は3
青本p.157。

問32 次の記述に示す考え方をあらわす用語として、最も適切なものを選び答えよ。

「リスクの不確実性が高く、必ずしも科学的に因果関係が証明できなくとも、将来の被害発生時に不可逆的で取り返しがつかないおそれがある場合に、リスク回避などの対応を優先させること」

(1) 未然防止(Preventive Principle)
(2) 予防原則(Precautionary Principle)
(3) 予防保全(Preventive Maintenance)
(4) リスクコミュニケーション(Risk Communication)
(5) レスポンシブルケア(Responsible Care)
正解は2
参考:こちら

問33 環境経営に関する次の記述のうち、最も不適切なものを選び答えよ。

(1) 企業等の組織が地球環境への負荷低減を積極的に経営に取り入れることを意味する。
(2) 環境問題への対応を、社会貢献と新たな競争力の源泉ととらえた企業活動を行う。
(3) 経済性の追求と環境負荷低減の両面を考慮したアプローチが重要となる。
(4) 具体的活動として環境マネジメントシステム構築、リサイクル促進、環境アカウンタビリティの実践などがある。
(5) 環境経営のパフォーマンスを組織が自己評価する方法の1つとして、エコファンドがある。
正解は5
自己評価ではなく、外部評価です。青本p.178。

問34 次の機器の中で、家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)の対象にならないものを選び答えよ。

(1) 電気洗濯機
(2) 電気冷蔵庫
(3) 電気冷凍庫
(4) パーソナルコンピュータ
(5) ユニット型エアコンディショナー
正解は4
参考:こちら

問35 環境の社会経済評価手法に関する次の記述のうち、不適切なものを選び答えよ。

(1) 池が消失することの外部不経済を把握するため、「受け入れ意志額」等のアンケートを行い、CVM(仮想評価法)により評価する。
(2) 様々な自然環境再生案の価値を把握するため、再生案ごとのプロファイルを作成してアンケートを行い、コンジョイント法により評価する。
(3) 整備した公園の経済価値を把握するため、公園までの移動経費(料金・所要時間)等を調査してトラベルコスト法により評価する。
(4) 沿道の並木整備による環境向上価値を把握するため、地価観察データを用いてヘドニック価格法により評価する。
(5) 日照阻害による外部不経済を把握するため、当該箇所の暖房費や照明費等を算定して便益移転法により評価する。
正解は5
便益移転:既に計測された類似事業の便益原単位等を活用して、計測対象となる財(事業の効果など)の便益を計測する手法です。

問36 環境影響評価における予測手法に関する次の記述のうち、最も不適切なものを選び答えよ。

(1) 一般的事項:予測は、既存事例の引用などの定性的方法を基本とし、大きな影響が危惧される場合には数理モデル計算や模型実験などの定量的方法が行われる。
(2) 大気汚染:窒素酸化物、硫黄酸化物、一酸化炭素などの予測では、主に拡散モデルを用いた定量的な方法が用いられる。
(3) 水質汚濁:発生負荷量から水質変化を評価する定性的な方法と水質拡散モデル等の定量的な方法が同程度利用されている。
(4) 植物:調査結果をもとに、土地の改変や土地利用状況の変化を重ね合わせるなどによる定性的な予測が主となっている。
(5) 動物:調査結果をもとに、生息地の分布や生息環境の改変の程度、食物連鎖の変化などによる定性的な予測が主となっている。
正解は1
「大きな影響が危惧される場合には」→「引用できる既存事例がない場合には」。他は青本p.197にあります。

問37 LCA(ライフサイクル・アセスメント)の重要な要素であるLCI(ライフサイクル・インベントリ分析)に関して、次の記述のうち不適切なものを選び答えよ。

(1) LCIの目的は、ある製品が製造から消費、廃棄にいたるまで各段階に発生する環境負荷を把握することである。
(2) LCIでは、各段階やサブシステムにおける環境負荷を定量的に把握・整理して表示する。
(3) リサイクルは、クローズドループ・リサイクルとオープンループ・リサイクルの2種類がある。
(4) 環境負荷を把握する場合、1つの工程から複数の生産物が生産される結合生産の場合は、環境負荷がどの製品に帰属するのか単純に分析するのは難しい。
(5) リサイクル工程がある場合には、環境負荷の帰属が比較的単純に分析できる。
正解は5
青本6.5.2(p.202)に、「リサイクル工程が関係している場合、は、……環境負荷の配分が問題となる。」とあります。

問38 環境マネジメントシステム規格ISO 14001:1996は、ISO 14001:2004として初めて改定された。この改定内容について不適切なものを次の中から選び答えよ。

(1) 改定の主旨は、品質マネジメントシステム規格との整合化と規格要求事項の表現の明確化である。
(2) 法的及びその他の要求事項の順守か強化された。
(3) 適用範囲内の全ての環境側面を考慮しなければならない。
(4) 組織内の全てのサイト(事業所)を審査しなければならない。
(5) 間接的な環境側面への対応が徹底された。
正解は4
適用範囲(サイト)を明確にし、除外する場合はその理由を付ける必要があります。つまり全てのサイトの審査不要。参考:こちら

問39 2005年4月1日に施行された、環境配慮促進法(環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に配慮した事業活動の促進に関する法律)に関する次の記述のうち、不適切なものを選び答えよ。なお、「特定事業者」とは本法の規定によるものを指す。

(1) 国には、その環境への配慮等の状況を毎年度公表することが義務付けられている。
(2) 本法に基づく「環境報告書の記載事項等」が定められている。
(3) 特定事業者とは、事業活動に伴う環境負荷が政令で定める値を超える事業者である。
(4) 特定事業者には、環境報告書を毎年度作成し公表することが義務付けられている。
(5) 大企業者(特定事業者を除く)には、自主的な環境報告書の公表等を促している。
正解は3
法によれば特定事業者とは、
「特別の法律によって設立された法人であって、その事業の運営のために必要な経費に関する国の交付金又は補助金の交付の状況その他からみたその事業の国の事務又は事業との関連性の程度、協同組織であるかどうかその他のその組織の態様、その事業活動に伴う環境への負荷の程度、その事業活動の規模その他の事情を勘案して政令で定めるものをいう。」
とあります。読みづらい条文ですが、Bの記述内容とは違います。

問40 京都議定書の特徴は、厳しい数値目標と多彩な柔軟性措置である。この柔軟性措置の主たるものが京都メカニズムであるが、この京都メカニズムの内容で正しい組合せのものを次の中から選び答えよ。

(1) 排出量取引、6ガスバスケット方式、共同実施
(2) 排出量取引、共同実施、クリーン開発メカニズム
(3) 排出量取引、6ガスバスケット方式、森林吸収源
(4) クリーン開発メカニズム、共同実施、森林吸収源
(5) 6ガスバスケット方式、森林吸収源、クリーン開発メカニズム
正解は2
参考:こちら

記述問題
 次の問題について解答せよ。(設問(1) については1〜2枚目の用紙を、設問(2) については3〜5枚目の答案用紙を使用してそれぞれ指定の枚数以内にまとめよ。)

 コストや安全等の諸管理は、トレードオフの関係にあるとの認識が定着しつつある。しかし、二律背反的なトレードオフという認識にとどまっている限り、どちらかの管理を優先させ他の管理目標を切り捨てればすむという安易な発想に陥ったり、掲げる方針と実態が乖離したりすることにより、本来求めるべき管理の最適化とはならない場合がある。今日の複雑化する社会においては、多くの管理技術について、総合的な関係の把握とそれらを踏まえての最適な技術的管理対応が求められる。

  1. 以上の観点を踏まえ、あなたが過去に従事した業務において、5つの管理分野(「経済性管理」、「安全管理」、「人的資源管理」、「情報管理」、「社会環境管理」)の個別管理の徹底だけでは解決できない状況となった具体的なケースを取り上げ、その課題を総合技術監理の視点から整理して答案用紙2枚以内で述べよ。なお、整理に際しては、3つ以上の管理分野に言及しつつ記述すること。また、1つの業務において3つ以上の管理分野にわたる課題が設定できない場合には、複数の業務に関して言及してもよい。
  2. 上記1においてあなたが述べた課題について、総合技術監理の立場から、あるべき判断と実施すべき対応を答案用紙3枚以内でまとめよ。