技術士第二次試験 平成27年度 総合技術監理

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※択一正解は、技術士会の公表正解に関して、臨時掲示板での議論を参考に解説を加えたものです。
 異論や情報などありましたら、掲示板あるいはメールにてお願いします。


択一問題

2-1 次の40問題を解答せよ。(解答欄に1つだけマークすること。)
なお、法令及び制度については、特に記載のあるものを除き、平成27年4月1日時点のものとする。


【経済性管理】

 

1-1-1 プロジェクトマネジメント及びPMBOKに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、 PMBOK (A Guide to the Project Management Body of Knowledge)とは、米国プロジェクトマネジメント協会により作成されたプロジェクトマネジメントのガイドブックであり、事実上の国際標準である。

 

① プロジェクトは、一連の調整管理された、開始日と終了日のある活動からなる。

② プロジェクトは、時間、コスト及び経営資源の制約を含む、特定の要求事項に適合するために実施される特有のプロセスである。

③ PMBOKのプロジェクトマネジメントには、 Work Break down Structureの思想に基づき、プロジェクト全体を小さな部分的な仕事に分割していくという特徴がある。

④ 個々の仕事に対する時間やコストの管理には、過程決定計画図が用いられる。

⑤ プロジェクトマネジメントでは、スコープ・マネジメント、品質マネジメント、人的資源マネジメント、リスクマネジメントなども考慮される。

 

【正解は④】

過程計画決定図では時間とコストの管理はできない

 

 


 

1-1-2 ある職場では、負荷と能力の調整のために来月の工数の計算を行い、残業の予定を見積もっている。以下に示す来月の<条件>のもとで、負荷工数(時間)から能力工数(時間)を引いた値(総残業時間)として最も近いものはどれか。

 

<条件>

職場の情報: 25名の作業者がおり、そのうち2名は間接作業を行う。定時では1日8時聞の就業時間である。

作業の情報:作業日数20日で平均出勤率は95%である。総段取り時間として200時間を計画している。

製品の情報: 1個を生産するための標準時間は3.6時間であり、1,000個の良品を生産する予定である。なお、不良率は0%とする。

 

① 200時間  ② 0時間  ③ 100時間  ④ 120時間  ⑤ 300時間

 

【正解は⑤】

負荷=3.6時間×1000個+200時間=3800時間

能力 (25名-2名)×0.95×20日×8時間=3496≒3500時間

残業 負荷-能力=300時間

 

 

1-1-3 PFI法(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

 

① PFI法では、民間の資金、経営能力及び技術的能力の3つを活用しようとしている。

② PFI法で対象とする公共施設等には、船舶、航空機等の輸送施設は含まれていない。

③ 公共施設等の整備等に関する事業を国又は地方公共団体が民間事業者へ委ねる際には、当該事業により生ずる収益が考慮されることはない。

④ 民間事業者に委ねた事業に対して、国及び地方公共団体は民間事業者への関与を最大限行うことを旨とする。

⑤ PFI法に基づいて、公共施設等の管理者等が委ねる事業を実施する民間事業者の募集に対しては、法人でない者でも応じることができる。

 

【正解は①】

②船舶、航空機等も平成23年に追加された。③収益が考慮されることもある。④関与を控える。

⑤法人でなければならない

 


 

1-1-4 JIS Q 9001 「品質マネジメントシステム要求事項」におけるプロセスアプローチでは、プロセスにおけるPDCAの適用を考慮、し、下図に示す「プロセスを基礎とした品質マネジメントシステムのモデル」によりプロセスのつながりを説明している。図中の(ア)~(オ)には以下の記述のいずれかが入るが、(ア)に入る記述として最も適切なものはどれか。

 

① 製品

② 経営者の責任

③ 測定、分析及び改善

④ 製品実現

⑤ 資源の運用管理


 

【正解は②】

 ①はエ、②はア、③はオ、④はウ、⑤はイ

 


 

1-1-5 製造物責任法(PL法)に関する次の(ア)~(オ)の記述のうち、適切なものの数はどれか。

 

(ア)製造業者等が製造、加工を行い、引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、過失の状況により、損害を賠償する責任の有無が判断される。

(イ)この法律では製造物を、製造又は加工された動産と定義しており、単体のソフトウェアは該当しない。

(ウ)安全性にかかわらない単なる品質上の不具合は、この法律で賠償責任の根拠とされる欠陥には該当しない。

(エ)欠陥による被害がその製造物自体の損害にとどまった場合も、この法律の対象となる。

(オ)この法律に基づいて損害賠償を受けるために消費者は「製造物に欠陥が存在していたこと」、「その欠陥によって損失を受けたこと」を証明すればよい。

 

① 1  ② 2  ③ 3  ④ 4  ⑤ 5

 

【正解は③】

(ア)過失の状況ではなく引き渡したものの欠陥により

(エ)製造物自体の損害にとどまった場合は適用されない

 

 

1-1-6 品質管理活動をする際、現場で覚えやすい標語がしばしば利用される。現場で徹底すべき基本的な内容を表現したものに「5S」がある。「5S」の内容として最も適切なものはどれか。

 

① 整頓、清潔、整備、集中、相談

② 整理、整頓、清掃、再確認、しつけ

③ 整頓、清掃、正確、作法、推進

④ 整理、清掃、清潔、正確、相談

⑤ 整理、整頓、清掃、清潔、しつけ

 

【正解は⑤】

青本p.33

 

 


 

1-1-7 原価計算に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

 

① 原価計算とは企業などにおける組織活動で消費される経営資源の消費額を計算することである。

② 原価計算は、大別して3つのステップに分類でき、製品別計算→部門別計算→費目別計算の順に行う。

③ 原価計算には、実績を基に計算する実際原価計算と呼ばれるものがある。

④ 予定原価計算を行うときは標準原価を設定する。

⑤ 標準原価を設定するプロセスでは、実際に達成可能で、かつ具体的な原価低減が期待できる範囲内であることが大切である。

 

【正解は②】

費目別計算→部門別計算→部門別計算。青本p.47

 

 

1-1-8 資材所要量計画に関する次の(ア)~(オ)の記述のうち適切なものの数はどれか。

 

(ア)製品を構成する部品や原材料の生産、調達を先ず決定し、その結果を用いて基準生産計画を立てる。

(イ)資材所要量計画による個々の部品や原材料の生産量や購入量の決定を行うための情報として、製品構成、 リードタイム、手持在庫量、受入確定量などがある。

(ウ)必要な量だけをタイムリに生産するため、通常コンピュータ化されたシステムにより管理される。

(エ)統合業務システム(ERP)は受注・発注から納入までの一連の生産業務を統合管理するものであり、会計や財務は別の専用システムで管理する。

(オ) CALSは供給業者、系列製造業者、流通業者、販売業者などを情報で結び、製品開発から市場への流通といった一連の業務を効率化するものである。

 

①1  ② 2  ③ 3  ④ 4  ⑤ 5

 

【正解は③】 青本p.27~28

(ア)基準生産計画に合わせて部品や原材料の生産、調達を決定する。

(エ)ERPは受注から納入までの一連の業務のみならず、会計・財務・販売・人事なども含む。

 


 

【人的資源管理】

 

1-1-9 組織やプロジェクトの管理に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

 

① マズローは、人間の要求は低次なものから高次なものへ5段階に分かれるとしており、このうち、最も低次な要求は「物質的要求」、最も高次な要求は「安定要求」である。

② 人間の行動には経済的行動、情緒的行動、管理的行動の3通りのパターンがあると言われており、このうち、経済的行動とは、組織の利益を考慮し合理的な思考に従った行動のことである。

③ 代表的な人の行動モデルには、マグレガーによるX理論とY理論があるが、基本的に性悪説に立つものがX理論、性善説に立つものがY理論であり、現代の組織運営ではX理論に基づく管理が適しているとされている。

④ 科学的管理法とは、作業分析や動作分析をもとに効率的な生産方式を考える労働管理の方法論であり、この中では、人間関係論を包含した行動科学的アプローチから人の作業を分析している。

⑤ 人を管理する上で、労働意欲などを引き出す源泉であるインセンティブを与えることが重要であるが、そのうちの1つである理念的インセンティブは、思想や価値観の追求を達成意欲の源泉とするようなインセンティブである。

 

【正解は⑤】 青本p.70

①最も高次な要求は自己実現欲求。②管理的行動。③Y理論に基づく管理が適している。④科学的管理法から、人間関係論を包含し行動科学的アプローチへと発展していく

 

 


 

1-1-10 高年齢者雇用安定法(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、継続雇用制度とは、「現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度」をいう。

 

① この法律における高年齢者とは、 65歳以上の者をいう。

② 事業主は、継続雇用制度を導入すれば、その雇用する労働者の定年を55歳まで引き下げることができる。

③ 事業主は、その雇用する労働者の定年を廃止するか、定年を65歳以上にすれば、継続雇用制度を導入しなくてもよい。

④ 事業主は、継続雇用制度で雇用を希望する高年齢者を、自己の子法人等に定年後引継いで雇用させてはならない。

⑤ 事業主は、労働者の募集及び採用をする場合において、やむを得ない理由により70歳以下であることをその採用条件とするときは、定められた方法により、求職者に対しその理由を示さなければならない。

 

【正解は③】

①55歳以上。②60歳を下回ることはできない。④平成24年の改正により関係グループ企業への継続雇用も可能となった。⑤募集・採用に関わる年齢制限は禁止されている。

 

 

1-1-11 人事考課に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

 

① 多面評価制度とは、従業員の評価を上司だけでなく同僚や部下など多方面から行う制度であり、人材育成や適材適所の達成などの目的で導入される。

② 目標管理制度においては、部下が目的達成度を上げるために意図的に低い業務目標を設定するという行動をとることもあるので、適切に評価を行うためには、上司は部下の業務目標の難易度を正しく判断することが必要である。

③ 人事考課の一般的な評価基準では、能力、姿勢、業績の3つの領域が対象であるが、評価の期間については、変動しやすい姿勢評価と業績評価はやや短期で行い、変動が少ない能力評価はやや長期で行うことが一般的である。

④ 人事考課の実施方法としては、直接の上司による一次査定と、その上の上司が行う二次査定の二段階が一般的であり、業績評価を念頭に置いた場合、通常、一次査定は相対評価で、二次査定は絶対評価で行われる。

⑤ 人事考課に当たっては、そのルールや評価基準を公開し、評価結果を被考課者に伝えることによって、従業員の納得性を高める必要がある。

 

【正解は④】

一次査定と二次査定が逆(青本p.89)

1-1-12 賃金管理に関連する次の式の、(ア)、(イ)に入る用語の組合せとして最も適切なものはどれか。

 

(ア)= 賃金総額/付加価値額

(イ)= 付加価値額/従業員数

 

① ア:労働分配率 イ:労働生産性

② ア:労働生産性 イ:労務費率

③ ア:労働分配率 イ:労務費率

④ ア:労務費率 イ:労働生産性

⑤ ア:労務費率 イ:労働分配率

 

【正解は①】

青本p.77

 

 

1-1-13 労働基準法や、いわゆる育児・介護休業法に基づく労働時間管理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

 

① 法定労働時間は週40時間、1日8時間とする。

② 使用者が従業員に時間外労働をさせる場合には、労使協定を締結し、労働基準監督署に届けることが義務付けられている。

③ 時間外労働の場合には、会社は25%以上の割増賃金を払わなければならない。

④ 使用者はその雇い入れの日から起算して3カ月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して5労働日の有給休暇を与えなければならない。

⑤ 会社は、男女に関わらず子供が1歳に達するまで(両親ともに育児休業を取得する場合は、 1歳2か月に達するまでの聞に1年間)休業できる育児休業制度を設けなければならない。

 

【正解は④】

3ヶ月→6ヶ月、5日→10日(青本p.76)

 

 


 

1-1-14 人間関係管理に関する次の(ア)~(エ)の記述について、適切なものと不適切なものの組合せとして正しいものはどれか。

 

(ア)企業などの組織は、目的に合致した合理的な生産活動を遂行するための技術的組織と人間関係の複合体としての人的組織とのこ面性を持っている。

(イ)人的組織には、公式組織と非公式組織があるが、このうち非公式組織へ管理側からアプローチすることは望ましくない。

(ウ)組織において、従業員の生産性を上げることは大きな管理目的であるが、その前提として職場の人間関係の円滑化を重視するのが人間関係管理の考え方である。

(エ)非公式組織は、従業員の、職場の行動規範の決定、組織の力関係の決定、職場の居心地の決定及び育成の環境の決定に影響を与える。

 

① ア:不適切 イ:適切  ウ:適切  エ:不適切

② ア:適切  イ:不適切 ウ:適切  エ:適切

③ ア:不適切 イ:適切  ウ:不適切 エ:不適切

④ ア:適切  イ:不適切 ウ:適切  エ:不適切

⑤ ア:適切  イ:不適切 ウ:不適切 エ:適切

 

【正解は②】

(イ)は非公式組織への管理側からの積極的なアプローチが求められる(青本p.79)

 

 

1-1-15 組織における教育訓練に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

 

① OFF-JTは、通信教育を受けることや留学など、企業以外の場で個人が主体的に能力開発を行う教育訓練である。

② OJTは、上司や先輩などが職場内のセミナ一室等で行う研修のことである。

③ 組織の一員として働く従業員に求められる主な能力として、一般に課題設定能力、職務遂行能力、対人能力、問題解決能力などがある。

④ 問題解決能力開発では、組織が求める課題を設定する能力や問題解決の能力を養成する。一般的にコミュニケーション・トレーニングが利用されている。

⑤ 知識教育は、知識を活用して仕事に活かす技能を伸ばすことを目的として、実習などの形式で実施される。

 

【正解は③】 青本p.87

①自己啓発。②上司や先輩などの指導の下で、職場で働きながら行われる教育訓練である。④ケース・スタディや課題研究法が用いられる。⑤技能教育。

 

1-1-16 労使関係に関する次の(ア)~(オ)の記述のうち、不適切なものの数はどれか。

 

(ア)団体交渉権は、労使が交渉する場合、従業員個人に代わって従業員の聞から選ばれた代表者、つまり労働組合が交渉を行うことができることを保障するものである。

(イ)団体行動権は、労使の対立の解決が難しい場合、民間企業の労働組合が争議行動を行うことができることを保障するものである。

(ウ)団体交渉では、主に賃金や労働時間、休暇、休日が交渉される。その他、団体交渉の手続き、就業時間中の組合活動、専従役員の取り扱いなどについて交渉が行われる。

(エ)団体交渉がまとまり、その結果を明文化協定にすれば、それが労働協約となる。

(オ)調停とは、労働委員会が労使の自主交渉を促進するために、非公式に仲介するものである。

 

① 0  ② 1  ③ 2  ④ 3  ⑤ 4

 

【正解は②】

(オ)はあっせん(青本p.78)

 


 

【情報管理】

 

1-1-17 情報システムのTCO(総所有コスト;Total Cost of Ownership)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

 

① TCOとは、情報システムの維持・管理など導入後にかかる費用を総合的に捉えた概念であり、それら費用の削減を目指して取り入れられたものである。

② 情報システムを利用して在庫や販売などのデータ分析を行うための費用は、TCOに含まれる。

③ 情報システムに接続された業務用パソコンのウィルス対策ソフト購入費などのウィルス対策費用は、 TCOに含まれない。

④ サーバ稼働状態の監視や障害発生時の迅速な復旧などによりサーバの稼働率を向上させることは、システムダウンによる損失を減らすことに繋がりTCOの削減に寄与する。

⑤ サーバ統合は、サーバ数を減らすことによる導入費用の削減には寄与するが、サーバ統合により維持・管理費用を減らすことはできないので、 TCOの削減には寄与しない。

 

【正解は④】

①導入費用も含む。②含まれない。③ウィルス対策費用はランニングコストとしてTCOに含まれる。⑤サーバ統合により維持管理費用を減らせるのでTCOの削減に寄与する

 

 

1-1-18 知的財産権に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

 

① 特許法は、自然法則を利用した高度な技術的思想の創作のうち、物(プログラム等を含む。)の創作のみを保護の対象とする。

② 実用新案法は、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち、物を生産する方法に係わる創作と物品の形状、構造又は組合せに係わる創作を保護の対象とする。

③ 意匠法は、動産としての物品及び不動産としての建築物の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるものを保護の対象とする。

④ 特許権と意匠権の保護期間はどちらも出願から20年であり、実用新案権の保護期間は出願から6年である。

⑤ 実用新案権として設定登録された後でも、登録出願から一定期間内であれば、その実用新案登録に基づいて特許出願をすることができる。

 

【正解は⑤】

①生産方法も保護対象。②物を生産する方法は保護対象外。③動産・不動産という区分はない④実用新案権の保護期間は出願から10年(青本p.100)


 

1-1-19 特定電子メール法(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)では、営利を目的とする団体及び営業を営む場合における個人である送信者が、自己文は他人の営業につき広告又は宣伝を行うための手段として送信する電子メールを、「特定電子メール」として定めている。この特定電子メールに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

 

① あらかじめ同意した者以外に特定電子メールを送信することは、原則として禁止されている。

② 営業上のサービス・商品等に関する情報を広告又は宣伝しようとするウェブサイトへ誘導することが目的である電子メールは、特定電子メールに該当する。

③ 広告・宣伝メールを送信するための同意の取得・確認のために送信される電子メールは、特定電子メールに該当しない。

④ 特定電子メールには、受信拒否の通知ができる旨の表示をするとともに、受信拒否の通知を受けるための電子メールアドレス等の表示が義務付けられている。

⑤ 特定電子メールには、苦情・問合せなどを受け付けることができる電子メールアドレス等の表示が義務付けられている。

 

【正解は③】

特定電子メールに該当する(特定電子メールの送信等に関するガイドライン)

 

 

1-1-20 次の記述は、WWW(World Wide Web)に関連した用語SSL/TLS,、CGI、Cookie(クッキー)、HTML、URLのいずれかの説明である。このうち、SSL/TLSに該当するものはどれか。

 

① データを暗号化して送受信するのに使われるプロトコルであり、Webページのデータ転送にも利用される。

② Webページを記述するための言語であり、文書の論理構造や表示の仕方などを表現できる。

③ Webページなど、インターネット上に存在するデータやサービスなどの位置を記述するための形式である。

④ Webサーバ上のプログラムを、 Webブラウザなどからの要求に応じて起動させるための仕組みである。

⑤ Webサーバが、 Webブラウザを通じて、 Webページを閲覧したユーザのコンピュータへ一時的にデータを書き込んで、保存させる仕組みである。

 

【正解は①】

②はHTML、③はURL、④はCGI、⑤はクッキー

 


 

1-1-21 情報管理に関連する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

 

① データマイニングとは、コンビュータを利用して膨大なデータの中から役に立つ情報パターンを発見する技術である。

② オープンデータとは、誰でも自由に入手、加工、利用等することができるよう公開されたデータであり、我が国の行政機関でも公共データのオープンデータ化が進められている。

③ M2Mとは、ネットワークに繋がれた機械同士が人間を介在せずに相互に情報交換し、自動的に最適な制御が行われるシステムのことをいう。

④ ビッグデータとは様々な種類・形式が含まれており、ボリュームが膨大で、従来の市販されているデータベース管理ツールや従来のデータ処理アプリケーション、従来のデータベース構造で処理が困難なデータのことをいう。

⑤ いわゆるマイナンバーとは、社会保障、税等の分野で行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号であり、民間企業では取り扱うことができないものである。

 

【正解は⑤】

民間企業も税や社会保険の手続きで従業員等のマイナンバーを取り扱う

 

 

1-1-22 次の(ア)~(エ)の記述のうち、情報セキュリティに留意した行動として不適切なものの数はどれか。

 

(ア)発信者名が知人であるメールアドレス変更通知に添付されていたファイルを、ウィルスチェックを行うことなく開いた。

(イ)システム管理者を名乗る人から、システムに障害が発生したため利用者の再登録が必要との電話があり、利用者IDとパスワードを聞かれたが答えなかった。

(ウ)情報漏えいを発見したので、直ちに上司や管理者に連絡した。

(エ)職場の駐車場で拾ったUSBメモリの所有者を確認するために、職場のネットワークに接続されたパソコンに挿入した。

 

① 0  ② 1  ③ 2  ④ 3  ⑤ 4

 

【正解は③】

(ア)と(エ)がウィルス等感染リスクがある

 


 

1-1-23 緊急時の特徴と情報収集に関する次の(ア)~(オ)の記述のうち、不適切なものの数はどれか。

 

(ア)緊急事態が発生した場合には、通常業務と異なる状況において活動することになるため、通常ではありえない行動をとってしまう可能性があることを考慮する必要がある。

(イ)緊急事態としては、自然災害以外にも危険物の漏洩や製品への異物混入、情報リスクに関する被害など、様々なものを考えておく必要がある。

(ウ)緊急時に迅速な情報収集を行うためには、具体的な緊急事態となる事象を検討し、その事象をできるだけ早く発見するための仕組みを構築することが重要である。

(エ)緊急時には、判断における不確定要素が増大するため、収集可能な情報は、その種類・内容にかかわらずできるだけ多く収集することが必要となる。

(オ)緊急時には、物的被害や機能被害が発生する可能性があり、時間をかけて現場に人を派遣していたのでは、時間的に間に合わない場合もあるため、緊急時に確実に機能し迅速な情報収集が可能な方法を検討しておく必要がある。

 

①0  ② 1  ③ 2  ④ 3  ⑤ 4

 

【正解は②】

(エ)のみ×。収集される情報は判断に利用される貴重なものであるが、利用できない情報が氾濫することは、情報分析・判断を混乱させることになるため、必要となる情報の種類・内容を事前に検討しておく(青本p.105)

 

 

1-1-24 スマートフォンの業務利用に関する次の記述のうち、情報セキュリティ確保の観点から最も適切なものはどれか。

 

① 重要な業務データは本体のメモリではなくSDカード等のフラッシュメモリに保管する。

② セキュリティソフトを導入し、パターンファイルを最新に保つことで、アプリをインストールする際のアクセス許可の確認を不要にできる。

③ 通信費を削減するため、提供元が不明であっても、無料で使える無線LANスポットを利用する。

④ 同一部門内であっても1台のスマートフォンを複数の人で共同利用しない。

⑤ アプリが素早く使えることがスマートフォンの利点であることから、デバイスのロックのためのパスワード等は無しにするか、簡単に入力できるものにする。

 

【正解は④】

①リムーバルメディアは危険。②不要にはすべきでない。③提供元には注意。⑤パスワードを省略・簡易化するのは危険

 


 

【安全管理】

 

1-1-25 次のリスクマトリクス上に示されたそれぞれのリスク領域の説明として、最も適切なものはどれか。

 

 

① 日常的に経験する可能性が高いリスクであるが、被害規模が一定の値より小さい場合はリスク保有が許容される領域である。

② 顕在化した場合の被害規模も大きく発生確率も大きいので、主に保険などによってリスクの移転を図る必要がある。

③ 確率・規模ともに中程度であって、リスク低減の費用対効果が高いことから、低減を優先的に考えるべき領域である。

④ 発生確率や被害規模は小さいが、組織として許容されるリスクではないことから、主にリスク回避対策が取られる。

⑤ 災害や大事故が該当することが多く、 リスク顕在化時の被害が甚大で組織運営への影響が懸念されることから、確率が低い場合でも、リスクの保有や移転には適さない領域である。

 

【正解は①】

②リスク低減を図る。③保有もあり得る。④リスク保有。⑤確率が低ければ保有・移転もある。

 

 


 

1-1-26 平成23年3月に発生した東日本大震災によって、我が国の企業や組織は深刻な被害を受け、いわゆるBCM(事業継続マネジメント)への関心が高まっている。BCMに関する次の(ア)~(オ)の記述のうち、適切なものの数はどれか。

 

(ア)緊急時にも製品・サービスなどの供給が期待できることから、取引先から評価され、投資家からの信頼性が向上するなど、平常時の企業競争力の強化といったメリットもある。

(イ)経営者を中心に、防災部門、総務部門、施設部門等の防災に関連が深い特定の部門が取り組む。

(ウ)検討すべき戦略には、代替拠点の確保、 OEMの実施等の代替戦略が含まれる。

(エ)事業中断の原因となり得る自然災害、感染症のまん延、大事故などの発生事象(インシデント)を対象としテロ犯罪等は対象としない。

(オ)活動、対策検討の範囲は、サプライチェーン等により依存関係のある主体を含む。

 

① 1  ② 2  ⑤ 3  ④ 4  ⑤ 5

 

【正解は③】

(イ)特定の部門ではなく組織全体で取り組む。(エ)テロ犯罪等も対象とする。

 

 

1-1-27 労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう使用者において配慮する義務のことを安全配慮義務としづ。安全配慮義務に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

 

① 労務の内容及び危険の内容・程度によっては、直接的な雇用関係にない下請作業員に対しても求められる義務である。

② 安全配慮義務において対象となる身体等の安全には、心身の健康も含まれる。

③ 安全配慮義務の具体的内容は、職種、労務内容、勤務場所等具体的状況等によって異なるため、ケース毎に判断される。

④ 安全配慮義務は、民法の信義則に基づいて判例で積み上げられたものであり、労働関係の法律には明文化されていない。

⑤ 労働安全衛生関係法令が規定する内容は、使用者の労働者に対する安全配慮義務の内容の規準としても用いられる。

 

【正解は④】

労働安全衛生法に明記されている

 

 


 

1-1-28 危険と安全のいずれかの状態を出力するセンサがあり、確率pで真の状態とは異なった状態を出力する。このセンサ 1台が危険を出力した場合にのみ警報するルールとすると、欠報率(危険な場合に警報が出ない確率)、 誤報率(安全な場合に警報が出る確率)ともにpとなる。このセンサ 2台を並列システムのように用いて、いずれか、又は双方が危険を出力した場合に警報するルールとしたとき、 欠報率と誤報率の組合せとして正しいものはどれか。ただし、各センサの出力は互いに独立であるとする。

 

① 欠損率:p     誤報率:p

② 欠損率:2p-p2  誤報率:2p-p2

③ 欠損率:2p-p2  誤報率:p2

④ 欠損率:p2    誤報率:2p-p2

⑤ 欠損率:p2    誤報率:p2

 

【正解は④】

並列の場合欠損率は2台とも誤動作する可能性だからp2。また誤報はいずれか1台が誤動作する確率(1-p)・p[1-pは正常動作確率]×2[2題だから2通りある]と、2台とも誤動作する確率p2の合計なので、(1-p)・p=p-p2より、(p-p2)+(p-p2)+p2=2p-p2

 

 

1-1-29 危機管理活動に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

 

① 事前作業段階では、資機材の備蓄、教育訓練、緊急時対策組織の確定などを行うが、被害想定に応じて、組織毎、危機毎に資機材の備蓄は異なる。

② 緊急時対策組織は、 少なくとも実行責任者のほか、情報機能、分析・評価機能、対応機能、広報機能を持つことが望ましい。

③ 危機発生時の緊急事態対応では、意思決定者は混乱を避けるため、正式なルールによる迅速な情報処理、意思決定の徹底が求められる。

④ 緊急事態が去った後の事後復旧段階において少しでも短い時間で平常状態に戻すため、事前作業段階で復旧対策をマニュアル化する。

⑤ 事後復旧段階では、危機管理活動の効果を測定・評価し、計画の有効性を検証し、問題があれば修正を行う。

 

【正解は③】

正式なルールや手順によって行うことが難しい場合もあり、非公式なプロセスによって迅速化することも許容しなければならない。(青本p.141)

 

 


 

1-1-30 安全管理における未然防止活動・技術の項目に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

 

① 定期点検活動:実施レベルにムラがでないように個人の熟練度、技量、体調などを考慮し、チェックリストを作成する。

② インターロック:安全確認型インターロックでは、安全装置が故障した場合にも機械が停止する点が重要である。

③ ヒヤリハット活動:将来の重大災害に結びつく可能性のある重要な事象を発見できる可能性がある。

④ フェールセーフ:人為的に不適切な行為や過失などが発生しても、システムの信頼性及び安全性を保持する機能である。

⑤ 小集団活動:安全衛生意識の向上と懲史に効果がある。

 

【正解は④】

記述はフールプルーフ。(青本p.154)

 

 

1-1-31 職場における心の健康の保持増進(メンタルへルスケア)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

 

① 相談や治療を早期に行える状況をつくることは、二次予防である。

② 従業員のサインを読み取り早期に発見することは、一次予防である。

③ 日常的なメンタルヘルスの啓蒙は、三次予防である。

④ 個々人のストレス耐性を強めることは、二次予防である。

⑤ 職場復帰する従業員に対する職場環境を整備することは、二次予防である。

 

【正解は①】

②は二次、③は二次、④は一次、⑤は三次。(青本p.148)

 

 


 

1-1-32 リスクコミュニケーションに関する次の(ア)~(オ)の記述のうち、適切なものの数はどれか。

 

(ア)リスクコミュニケーションの目的には、 リスクの発見及びリスクの特定のための情報収集が含まれる。

(イ)受け手側には様々なバイアスがかかるため、受け手によらない一律の広報が重要となる。

(ウ)リスクの対象にはネガティブな側面があることも公正に伝え、事象の正負両面を考慮してリスクの社会的受容を判断できる材料を提供する。

(エ)対人的な媒体は注意喚起型のリスクコミュニケーション、マスコミは合意形成型のリスクコミュニケーションに適している。

(オ)リスクコミュニケーションでは、過程、対応経緯、対応者などのコミュニケーションのプロセス、内容、結果を記録し、保存することが必要である。

 

① 1  ② 2  ③ 3  ④ 4  ⑤ 5

 

【正解は③】

(イ)多様な広報が必要。(エ)記述が逆。(青本p.140)

 


 

【社会環境管理】

 

1-1-33 我が国の環境政策推進の基本となってきた(ア)~(エ)の法律を環境政策の流れに沿って制定順に並べたものはどれか。

 

(ア)環境影響評価法

(イ)環境基本法

(ウ)循環型社会形成推進基本法

(エ)地球温暖化対策の推進に関する法律

 

① (ア)→(イ)→(ワ)→(エ)

② (ア)→(ウ)→(エ)→(イ)

③ (イ)→(ア)→(ウ)→(エ)

④ (イ)→(ア)→(エ)→(ウ)

⑤ (ウ)→(イ)→(エ)→(ア)

 

【正解は④】

環境基本法がH5年、アセス法がH9年、温対法がH10年、循環型社会形成基本法がH12年。

 

 

1-1-34 次の記述のうち、拡大生産者責任の考え方の説明として最も不適切なものはどれか。

 

① 拡大生産者責任とは、製品のライフサイクルにおける消費者より後の段階にまで生産者の物理的又は経済的責任を拡大する環境政策上の手法である。

② 拡大生産者責任では、廃棄物処理のための費用又は物理的な責任の全部又は一部を地方自治体及び一般の納税者から生産者に移転する。

③ 拡大生産者責任の主要な目標は、発生源での削減(天然資源保全、使用物質の保存)、廃棄物の発生抑制、より環境にやさしい製品設計、及び持続可能な発展を促進するとぎれのない物質循環の輪の形成である。

④ 拡大生産者責任の効果として、生産者に対し、内部の環境コストを外部化するよう適切なシグナルを送ることができる。

⑤ 拡大生産者責任の具体的な政策手法の例としては、製品の引取り、デポジット/リファンド、製品課徴金/税、処理費先払い、再生品の利用に関する基準などがある。

 

【正解は④】

内部の環境コストを外部化するのではなく、外部の環境コストを内部化する。青本p.177。

 

 

1-1-35 次に示す組織の環境配慮を促進するためのツールのうち、 JIS (日本工業規格)が定められていないものはどれか。

 

① 環境パフォーマンス評価

② 環境ラベル

③ 環境マネジメントシステム

④ ライフサイクルアセスメント

⑤ エコバランス

 

【正解は⑤】

①~④はISO14000sで規定されている。

 

 

1-1-36 次のうち、環境基本法に基づき環境基準が設定されている項目の組合せとして最も適切なものはどれか。

 

① 大気汚染、水質汚濁、悪臭

② 大気汚染、水質汚濁、振動

③ 大気汚染、騒音、土壌汚染

④ 水質汚濁、振動、土壌汚染

⑤ 騒音、悪臭、土壌汚染

 

【正解は③】

悪臭と振動には環境基準はない。

 

 


 

1-1-37 次の(ア)~(オ)の法律(名称は略称を含む。)のうち、リサイクル関連法として制定されているものの数はどれか。

 

(ア)容器包装リサイクル法

(イ)家電リサイクル法

(ウ)食品リサイクル法

(エ)小型家電リサイクル法

(オ)自動車リサイクル法

 

① 1  ② 2  ③ 3  ④ 4  ⑤ 5

 

【正解は⑤】

すべて制定されており、これらに建設リサイクル法を加えてリサイクル関連6法と呼ばれる。

 

 

1-1-38 環境白書に引用されている、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が取りまとめた第4次評価報告書及び第5次評価報告書の中で、地球温暖化の影響の現状に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

 

① 世界平均地上気温は、過去およそ100年間で約2℃上昇した。

② 世界平均海面水位は、過去およそ100年間で、約20cm上昇した。

③ 最近約50年間の世界平均地上気温の上昇の速度は、過去およそ100年間のほぼ2倍に増大している。

④ 北極の平均気温は、過去およそ100年間で世界平均の約2倍の速さで上昇している。

⑤ 1970年代以降、特に熱帯地域や亜熱帯地域で干ばつの地域が拡大している。

 

【正解は①】

0.85度上昇との報告がある。

 

 


 

1-1-39 環境影響評価法に基づく環境影響評価手続きに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

 

① ダムや道路等の開発事業のうち、規模が大きく、環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業について、環境影響評価の手続きの実施が義務付けられている。

② 対象事業が都市計画に定められている場合の環境影響評価は、都市計画決定権者が都市計画の決定又は変更する手続きと併せて行う。

③ 環境大臣意見は、評価書の段階でのみ述べられることとなっている。

④ 事業者は、方法書、準備書及び評価書について、インターネット等を利用した電子縦覧が義務付けられている。

⑤ 事業者は、事業着手後の環境保全措置等の実施状況について、公表が義務付けられている。

 

【正解は③】

方法書段階でも意見を述べられる。

 

 

1-1-40 環境経済評価に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

 

① 製品に関する環境情報を消費者に情報発信し、個人の選好をとらえる方法の1つとしてエコマークがある。

② 環境利用を費用とし市場の内部に取り込む方法として、環境利用に対して税金や課徴金をかける方法がある。

③ 環境の経済評価手法を用いて、市場における社会的評価と代替性のある形で環境を評価する方法として、仮想評価法、 トラベルコスト法などがある。

④ 環境の経済評価手法には表明選好型評価と顕示選好型評価があり、前者にはコンジョイント分析など、後者にはヘドニック価格法などがある。

⑤ 環境全体あるいはその一属性の包括的な評価には、コンジョイント分析は向いているが、環境を構成する属性を詳細に把握するには、仮想評価法が有効である。

【正解は⑤】

コンジョイントと仮想評価法が逆である。青本p.193。

 


記述問題

1-2 次の問題について解答せよ。(指示された答案用紙の枚数にまとめること。)

2020年には東京でオリンピック・パラリンピック競技大会が開催されるが、このような国際会議、国際文化・スポーツイベント、国際展示会・見本市などの国際的なイベントは、我が国の課題である活力ある経済社会の構築、安全・安心社会の実現、地域の活性化や観光振興等を推進していく上でまたとない機会であり、これら国際的なイベントに直接的にあるいは間接的に関係するプロジェクトでは、この機会の有効な活用が期待される。またこれらのプロジェクトの成果は、それが有形であっても無形であっても、一過性のものに留まらず、例えばオリンピック・レガシーI注1]で謡われているように、良い遺産(positivelegacy)として後世に引き継がれていくことが望ましい。
その一方で、プロジェクトやプロジェクトの成果を取り巻く環境には多くの不確かさが存在し、それらはプロジェクトを推進していく上で、あるいはプロジェクトの成果を引き継ぎ管理・運営していく組織にとって、さまざまなリスクの源となる。これらのリスクをあらかじめ認識し、適切なリスク対応を取りながらプロジェクトを計画し、実行することは、総合技術監理部門の技術士に要求される重要な業務の1つである。
そこで、あなたがよく理解しているプロジェクトを取り上げ、さらに、近い将来我が国で開催される国際的なイベントを想定して、その国際的なイベントをそのプロジェクトに関連付けた上で、プロジェクトを推進していく際のリスクマネジメントについて、総合技術監理の視点から( 1 )~( 3 )の問いに答えよ。ここでいう総合技術監理の視点、とは、「経済性管理」、「安全管理」、「人的資源管理」、「情報管理」、「社会環境管理」の5つの視点をいう。
なお、あなたが対象とするプロジェクトと想定する国際的なイベントについては、以下の(ア)~(エ)のとおりとする。

(ア)「国際的なイベントをプロジェクトに関連付ける」とは、その国際的なイベントの開催を契機にして(あるいは利用して)、そのプロジェクトの成果が、我が国や地域社会のさまざまな課題の解決のために、貢献できるよう工夫することをいう。
(イ)あなたが対象とするプロジェクトは、国際的なイベントの開催期間末までには終了する。
(ウ)そのプロジェクトの成果は、プロジェクト終了後に適切な組織に引き継がれ、将来にわたって管理・運営されていく。
(エ)プロジェクト終了後にその成果が引き継がれ管理・運営されている期間に発生する可能性のあるリスクについても、プロジェクト期間中に可能な範囲で対応策をとる。
リスクマネジメントについては、その用語や考え方を整理した国際規格ISO31000:2009及びその翻訳版であるJISQ 31000:2010が制定されている。問いに対する解答論文(あなたの答案)を作成するに当たっては、この新しいISO/JIS 31000の枠組みに基づいて作成してもよいし、従来一般に用いられてきたリスクマネジメントの枠組み(例えば、 JISQ 2001:2001や『技術士制度における総合技術監理部門の技術体系(第2版)、日本技術士会』で紹介されている枠組み)に基づいて作成してもよい。

(1) 本論文においてあなたが対象とするプロジェクトと国際的なイベントの内容を、次の①~⑤に沿って記せ。この際、以後の問い(2)、(3)の解答に必要な内容を含めて記すこと。なお、あなたの立場は、当該プロジェクトの総括責任者あるいはそれと一体となってプロジェクトを推進する総合技術監理部門の技術士であり、プロジェクトの責任を他に転嫁できないものとする。
(問い(1)については、問い(2)と併せて答案用紙3枚以内にまとめ、解答せよ。)
① 想定する国際的なイベントを設定せよ。
② 対象とするプロジェクトの名称、目的、事業期間及び予定される成果を記せ。
③ プロジェクトの置かれている背景状況ないし環境を記せ。
④ そのプロジェクトに国際的なイベントを関連付けよ(そのプロジェクトの成果が国際的なイベントの開催を契機に、我が国や地域社会のどのような課題に対して、どのような工夫をすることによって、どのように貢献できるかを記せ。)。
⑤ 国際的なイベントの終了後(この時点ではプロジェクトも終了している。)にプロジェクト成果が置かれていると予想される状況を記せ。

(2) 対象とするプロジェクトの主要な作業ステップを①に従って記せ。また、プロジェクトを推進していく上での主要なリスクを4つ取り上げ、②に従って記せ。ただし、取り上げる4つのリスクのうち少なくとも1つは、国際的なイベントの終了後に発生する可能性のあるものとする。
(問い(2)については、上の問い(1)と併せて答案用紙3枚以内にまとめよ。)
① プロジェクトの主要な作業ステップ及びその作業ステップにおける留意点を記せ。
② 取り上げる主要なリスク4つのそれぞれに対して、(a)リスク源(ハザード、危険因子)、(b)事象(ある一連の周辺状況の出現又は変化)、(c)その事象により生じうる結果、について説明せよ。また、(d)そのリスクが①の作業ステップのどの段階で出現する可能性があるかを示せ。なお、国際的なイベントの終了後に発生する可能性のあるものについては、その時期を記せ。

(3) 問い(2)で取り上げた 4つのリスクのうち、対象とするプロジェクトに大きく影響を与えるリスクを2つ取り上げ、それぞれのリスクに対して、次の①~③に沿ってリスク分析とリスク対応について説明せよ。ただし、取り上げるリスクのうち少なくとも1つは、国際的なイベントの終了後に発生する可能性のあるリスクとする。
(問い(3)については、答案用紙を替えて2枚以内にまとめよ。)
① そのリスクに対して、(a)起こりやすさ(確率の程度)と(b)プロジェクトへの影響(あるいはプロジェクトの成果を管理・運営していく上での影響)の程度について想定し、記せ。また、(c)そのように想定した理由を簡潔に述べよ。
② リスクに対する具体的な対応策(プロジェクト期間中にとる対応策)を提案せよ。なお、対応策は、当該リスクへの対応のみならず、より広い視点からのものであることが望ましい。
③ 上で提案した対応策の提案理由を述べよ。提案理由には予想される効果と対応策実施上の留意点を含めること。また、他の懸念に対する配慮、総合技術監理の管理分野を踏まえた視点からの考察、生じる可能性のあるトレードオフ、その対応策を採用することによる新たなリスクの発生等についての考察を含めることが望ましい。

【注1】『オリンピック憲章』には「オリンピック競技大会の有益な遺産を、開催国と開催都市が引き継ぐよう奨励する(to promote a positive legacy from the Olympic Games to the host cities and host countries)」(第1章、第2項の14号)とあり、この「オリンピック開催を契機として社会に生み出される持続的な効果」は、一般に「オリンピック・レガシー」と称される。

記述問題の解説
 かなり露骨にISO31000の考え方を問題文の中に入れてきています。ただ、ISO31000と総監技術体系(青本)におけるリスクの定義が異なるのですが、その点はどちらでもいいとなっています。ですから青本におけるリスクを基本に考えてもいいでしょう。
まずはプロジェクトの設定が重要になります。国際イベントは多くの人がオリンピックを考えたでしょうが、オリンピックそのものではなく、オリンピックを契機に(便乗して)従来からあった課題を解決するプロジェクトを設定します。たとえばオリンピックの会場整備を契機に地域の再開発を進めるとか、アクセス道路整備を契機に老朽化構造物を更新するとか、運営を契機にIoT・ユビキタス社会の導入を推進するとかいったことですね。
 そしてリスクですが、オリンピック開催までの最重要管理項目はおそらく工程管理になってくるでしょうが、当然ながら品質との両立をどこまで持って行くかも重要です。国際イベントに絡んでいますから、安全管理や社会環境管理は、工事中の事故などの小さなものよりも、社会への悪影響という公益の視点での事故(土木事故なども含んでいいでしょう)や環境負荷を考えればいいと思います。
そしてイベント後の管理運営にあたっては、平成26年度問題も参考に、人口減少社会到来の中での管理などをあげると間違いがないかなと思います。
 このようにしてステップ(平成25年度問題も参考に、計画設計、施工製作、運転保守維持管理といった段階で考えればいいでしょう)ごとにリスクをあげ、その対策を5つの管理と全体最適化(優先順位、トレードオフ)の中で考え、さらに二次リスクについても考察すればいいと思います。