平成19年度技術士第一次試験専門科目問題(農業部門) 提供:まーちゃんさん   各部門の部屋Topへ
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W 次の35問題のうち25問題を選択して解答せよ。(専門科目解答欄に1つマークすること。)


4-1 目本の農業の現況に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
(1) 総農家戸数は昭和35年では600万戸を超えていたが,平成18年は300万戸を下回り,この間一貫して減少傾向が続いている。
(2) 平成17年農林業センサスでは,耕作放棄地面積は平成12年に比べて約13%増加しているが,その要因としては自給的農家や土地持ち非農家の耕作放棄地面積の増加が大きく影響している。
(3) 平成17年の農業総産出額(概算)は8兆4,887億円であり,前年より約2.6%減少した。
(4) 認定農業者は平成10年に約11万経営体を超えたが,その後は減少傾向をたどっており,平成18年は前年より約1万経営体減少した。
(5) 平成18年における女性就農者は農業就業人口の約44%を占めており,そのうちの約49%が65歳以上である。

4-2「21世紀新農政2007」(平成19年4月,食料・農業・農村政策推進本部決定)の「国内農業の体質強化」に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
(1) 担い手への施策の集中化・重点化を進め,他産業並みの所得を確保し得る経営への発展を加速する。
(2) 就農希望者の農業知識・技術レベルを評価する農業技術試験の本格実施,再チャレンジ就農者への支援等により,多様な人材の農業参入・定着を後押しする。
(3) 担い手への農地の面的集積の加速化を進め,平成27年において「効率的かつ安定的な農業経営」が経営する農地面積の3割程度を面的に集積することを目指す。
(4) 食料供給コスト縮減のため,規制や補助制度の見直し,農協系統の経済事業改革の徹底による生産資材価格や流通コストの低減等に向けた具体的な取組を進める。
(5) 農業生産現場の課題に対応し,ITやロボット等先端技術を活用して,より生産性が高く,高品質な農産物の生産を可能とする新たな技術体系の開発・実証を行う。

4-3日本の農林水産物・食品の海外輸出の状況に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
(1) 日本の農林水産物・食品輸出額は近年徐々に拡大してきており,2006年の内訳では水産物が7割以上を占めて最も多く,次いで農産物,林産物の順である。
(2) 2006年の農産物・食品輸出額を2001年に対する比率でみると,りんご,長いも等が大きく伸びているものの,しょう油,みそ,緑茶等の加工食品の輸出額は減少している。
(3) 2006年の農林水産物・食品輸出額を輸出先国別にみると,欧州先進国での目本食ブーム等の進展により,EUへの輸出額がアジア諸国より多くなっている。
(4) 政府は,「攻めの農政」の柱の一つとして,農林水産物・食品の輸出額を平成25年までに3,000億円に拡大する目標を立てている。
(5) 日本の農産物は高品質であり,安全性に対する信頼が高いので,高級品や贈答品等としての海外でのニーズが高まっている。

4-4国際貿易交渉を巡る状況に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
(1) 日本は,WTO農業交渉において,これまで終始一貫「多様な農業の共存」を基本理念とし,輸出国と輸入国のバランスのとれた現実的な貿易ルールの確立を目指している。
(2) WTO農業交渉の主な争点は,市場アクセス,国内支持,輸出競争である。
(3) 日本は,WTOを中心とする多国間自由貿易体制の維持・強化を基本としつつ,これを補完するものとしてFTA(自由貿易協定),EPA(経済連携協定)の締結を推進している。
(4) 日本とオーストラリアのEPA(経済連携協定)については,2006年末に合意が成立し協定を締結した。
(5) 日本は,後発開発途上国(LDC)への無税無枠の市場アクセスの供与等を内容とする支援策を,2005年12月上旬に策定,公表した。

4-5バイオマスの利活用に関する次の記述のうち・誤っているものはどれか。
(1) バイオマスを燃焼したときに発生する二酸化炭素は,生物の成長過程で光合成により大気中から吸収した二酸化炭素であることから,カーボン・ニュートラルと呼ばれる特性をもつ。
(2) 国は,市町村が中心となって地域のバイオマス利活用の全体プランを作成し,実現を図る「バイオマスタウン」の構築を推進して映る。
(3) 家畜排泄物等を原料としてメタンガスを生成する技術や食品廃棄物である廃食用油からバイオディーゼル燃料を作り出す技術は,各地において利用が進められている。
(4) 日本では,「廃棄物系バイオマス」,「未利用バイオマス」,「資源作物」の3つのバイオマスの区分のうち,2006年において利用率が最も高いのは「資源作物」である。
(5) 米国,ブラジルはとうもろこし,さとうきび等を原料にバイオエタノールを製造,実用化しており,この2国で世界のバイオエタノール生産量の約7割を占めている。

4-6食の安全及び消費者の信頼確保に向けた取組に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
(1) 食品の安全性に関するリスク評価は,内閣府に設置されている食品安全委員会が行っている。
(2) 砂糖や食塩は品質が安定しているので,賞味期限及び保存方法の表示は省略することができる。
(3) アレルギー物質を含む食品は,平成14年にJAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)で,当該原材料を含む旨の表示が義務づけられた。
(4) 外食における原料原産地表示については,国が策定したガイドラインを踏まえ,業界団体と各企業で自主的に取組が行われている。
(5) 牛肉については,牛肉トレーサビリティ法(牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法)に基づき,生産段階での届出等と流通段階での表示等が義務づけられている。

4-7植物分類上の科名と,それらに属する主な作物の組合せで,次のうち誤っているものはどれか。
(1) あぶらな科:レタス,ごぼう,べにばな
(2) なす科:ばれいしょ,とうがらし,たばこ
(3) ばら科:りんご,うめ,いちご
(4) いね科:とうもろこし,小麦,大麦
(5) ゆり科:たまねぎ,ねぎ,にら

4-8一代雑種(F1品種)の特徴として,次の記述のうち誤っているものはどれか。
(1) 雑種強勢の利用により生育が旺盛で収量が高くなる。
(2) 単交配による一代雑種では遺伝的な均一性が高く,野菜などの形質がよく揃う。
(3) 自家採種ができないため,品種の育成権を保護しやすい。
(4) 主働遺伝子支配の病害虫抵抗性など,両親の有用遺伝子を容易に集積して利用できる。
(5) 自殖性作物では交配種子が得にくいため,一代雑種の利用は他殖性の強い作物に限られる。

4-9大豆栽培に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
(1) 千粒重は特殊な品種を除き10〜40gの範囲であり,日本で一般的に栽培される品種の千粒重は20g前後である。
(2) 茎の伸育性により無限伸育型,有限伸育型,半無限伸育型に分けられ,日本で栽培される品種はほとんどが無限伸奇型で,中下位節の花芽分化後も茎頂の生育が長く続く。
(3) 根に根粒菌が共生し,大豆の光合成産物をエネルギー源として生活し,空気中の窒素を固定している。大豆は地力窒素や施肥窒素のほか,根粒菌の固定窒素を吸収利用する。
(4) 花芽の分化には日長と温度が影響し,大豆は代表的な長目性植物で,花芽分化には一定時間以上の明期を必要とする。
(5) 数千年の栽培の歴史をもつとされるが,新しい産地のアメリカやブラジルでの生産は少なく,ほとんどは中国,韓国,日本など,アジアで生産される。

4-10いちごの栽培・利用に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
(1) 日本では,自然条件で栽培する普通栽培の収穫期は5〜6月であるが,保温や加温,電照等により,11〜5月と長期にわたって収穫できる促成栽培が主力作型である。
(2) ランナーによっても繁殖できるが、病気の感染を避けるため、一般的には種子繁殖によって苗を生産している。
(3) 果実は植物学的には果托が肥大した偽果で,その果実(偽果)表面に分布する種子が植物学上の果実に相当する。
(4) 成熟果実にはシュークロース,フラクトース,グルコースなどの糖のほか,有機酸,ビタミンC,アントシアニンなどを含む。
(5) 生果として利用されるほか,冷凍,缶詰,ジャムなどに加工され,パウダーは菓子原料に利用される。

4-11麦類の赤かび病に関する次の記述で,[A〜C]内に入る語句の組合せとして,正しいものは(1) 〜(5) のうちどれか。
麦類の赤かび病は各種[ A ]属菌等により,小麦や大麦などの穂が侵される病気で,開花期前後の[ B ]が本病の発生を助長する。被害は単に収量の低下だけに留まらず,赤かび病を起こす病原菌が[ C ]を産生することから,収穫された麦の安全性に問題を引き起こす。
    A        B       C
(1) フザリゥム    乾燥   マイコトキシン
(2) フザリウム    降雨   ファイトアレキシン
(3) オルピデイウム 降雨   ファイトアレキシン
(4) フザリウム    降雨   マイコトキシン
(5) オルピデイウム 乾燥   マイコトキシン

4-12ウイルスに関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
(1) ウイルスは一般に外被タンパク質に包まれ,細胞内で自律複製する感染性核酸とされている。
(2) ウイルスは通常は生細胞に寄生して増殖するが,最近は多くのウイルスで純粋培養が可能になった。
(3) ウイルスはゲノム核酸の種類によって,1本鎖及び2本鎖のRNA又はDNAウイルスに分けられるが,植物ウイルスは大部分が2本鎖DNAウイルスである。
(4) 植物ウイルス粒子の形態はすべて棒状であり,動物ウイルスにみられる球状(正20面体状),双球状,ひも状のものなどはみられない。
(5) 植物ウイルスはすべて昆虫,ダニ,菌類などの媒介生物を介して伝染し,他の方法での伝染は知られていない。



4-13次に掲げる肥料のうち,肥料効果のほか,除草効果や土壌病害虫防除効果があるものはどれか
(1) 尿素 (2) 石灰窒素 (3) 重過燐酸石灰 (4) 熔成燐肥 (5) 硫酸苦土

4-14目本の火山灰土壌に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
(1) 日本の畑地で最も広い耕地面積を占め,畑地での代表的な土壌である。
(2) 黒ボク土は腐植に富み,黒色を呈した火山灰土壌である。
(3) 容積重の小さい軽い土壌である。
(4) 関東ロームは火山灰土壌である。
(5) 燐酸吸収係数が低い土壌である。

4-15食品衛生法に基づくポジティブリスト制度が2006年5月29目に施行され,輸入農産物で残留基準を超える違反が急増したが,違反件数の多かった次の5つの農薬のうち,殺虫剤でないものはどれか。
(1) 2,4-D
(2) クロルピリホス
(3) BHC
(4) シペルメトリン
(5) ピリミホスメチル


4-16生物農薬(生物由来物質を含む)に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
(1) 生物農薬は,環境にも人体にも安全なため,農薬取締法の規制の対象外である。
(2) 昆虫フェロモンは、当初トラップ法(誘引して捕獲)として実用化したが、現在は主に交信撹乱法(交尾阻害)によって害虫被害軽減が図られている。
(3) 天敵農薬のチリカプリダニは,捕食性ダニで,ハダニによる作物被害を軽減する。
(4) BT剤(Bacillus thuringiensis)は,菌の生芽胞,産生結晶毒素の両方が農薬の有効成分である。
(5) 生物農薬は,海外からも日本に輸入されている。

4-17脂肪酸に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
(1) リノール酸やEPA(エイコサペンタエン酸)は,必須脂肪酸である。
(2) オレイン酸は,飽和脂肪酸である。
(3) 酪酸は,脂肪酸である。
(4) ステアリン酸は,高級脂肪酸である。
(5) トランス型脂肪酸は,米国ではできる限り摂取量を抑えることが奨励されている。

4-18牛の「日本飼養標準」に用いられている次の略号のうち,「可消化養分総量」を表すものはどれか。
(1) DCP (2) ADF (3) NDF (4) VFA (5) TDN

4-19 牛の「初乳」についての次の記述のうち,誤っているものはどれか。
(1) 分娩後約1週間以内の乳汁を初乳といい,一般に初乳は加熱すると凝固する。
(2) 分娩直後の初乳の乳成分は,常乳に比べて固形物含量が2倍以上あり,著しく濃厚である。特に,乳糖は6倍以上含有している。
(3) 初乳は初生牛にとって必要不可欠な栄養源であるばかりでなく,胎児便の排泄を促す下剤的効果もある。
(4) 初生牛が初乳中の免疫体を吸収する能力は,出生直後が最も高く,時間の経過とともに減少する。
(5) 分娩時の事故で母牛から初乳が搾れない場合には,冷凍備蓄した他の牛の初乳を利用することができる。

4-20牛飼育におけるβ一カロチン及びビタミンAについての次の記述のうち,誤っているものはどれか。
(1) β一カロチンは栄養成長期にある植物の葉に豊富に含まれていて,牛にとって若い生草は最良の供給源である。
(2) 牛は植物のβ一カロチンからビタミンAを体内で合成して利用している。
(3) 牛の妊娠後期にビタミンAが欠乏すると,流産,胎盤停滞,死産が生じたり,虚弱な子牛が生まれたりする。
(4) ビタミンAは母牛の健康の維持に必要なだけでなく,母乳中にもたくさん分泌されるので,泌乳牛は特に多量のビタミンAを必要とする。
(5) 生草を予乾して調製したラップサイレージのβ一カロチン含有量は,生草のものとほぼ同じである。

4-21 SPF豚に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
(1) SPF豚は発育の障害になる疾病をもたないことから,消費者の安全・安心志向に合致する養豚技術の一つとして普及している。
(2) SPF養豚技術は米国で開発され,日本では昭和38年,農林省家畜衛生試験場でSPF豚作出技術の開発研究がスタートし,昭和40年代中頃以降に実用化された。
(3) SPF豚はその豚がもつ遺伝的な能力がほぼ100%発揮されるので発育が良く,通常の場合,肥育日数が3〜4週間短縮される。
(4) SPF豚の肉は食感がやや硬めで,豚肉特有の臭みが強いのが特徴である。
(5) SPF豚由来の臓器は,ウイルスやマイコプラズマの混入の恐れが少なく,安心して培養細胞を作ることができるので,動物や人のワクチン製造によく利用されている。

4-22日本の「牛枝肉取引規格」に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
(1) 牛枝肉の格付けは,社団法人日本食肉格付協会が農林水産省の承認を得て制定した「牛枝肉取引規格」に基づき,全国の食肉卸売市場及び基幹的な産地食肉センターで実施している。
(2) 「牛枝肉取引規格」は、「歩留等級」A,B,Cの1区分と・「肉質等級」5,4,3,2,1の5区分の両者を連記し,「A-5」〜「C-1」のように記す。
(3) 格付けは,所定の解体整形方法によって処理された冷却枝肉を対象とし,温枝肉については,これを準用する。
(4) 取引規格は,年齢,性別にかかわらず,和牛,交雑牛,乳用牛について別々の基準を用いている。
(5) 取引規格の適用は,半丸枝肉を第6〜7肋骨間において平直に切り開いたものについて行う。

4-23畑地かんがい方式に関する次の記述について,[A〜D]の中に入る語句の組合せとし
て,正しいものは(1) 〜(5) のうちどれか。
畑地かんがい方式には,水の供給方法によって以下のものがある。スプリンクラーかんがい方式は,圧力水をノズルから噴射させて降雨状に散水するものであるが,散水量の分布が[ A ]に強く影響される欠点がある。マイクロかんがい方式は,ほ場配管に取り付けたエミッターや滴下孔を通して用水を作物の根群域に供給するもので,[ B ]管理を要する作物に適する。地表かんがい方式は,流水又は湛水により用水を供給するもので,その一つに,耕地を低い畦畔で短冊状に区切り,水を薄層流として全面に流下させる[ C ]かんがいがある。以上のかんがい方式のうち,かんがい効率が最も悪いのは,[ D ]かんがい方式である。

   A      B       C       D
(1) 風     集約的   ボーダー   地表
(2) 地形    粗放的   畦間     スプリンクラー
(3) 風     集約的   畦間     地表
(4) 地形    集約的   ボーダー   スプリンクラー
(5) 風     粗放的   畦間     マイクロ



4-24フィルダムの堤体材料に関する次の記述について,[A〜D]の中に入る語句の組合せとして,正しいものは(1) 〜(5) のうちどれか。
フィルダムの不透水性材料として用いる土質材料は,シルトや粘土などの細粒土を適当に含み,クラックを生じることなく一定の変形に追従できる[ A ]を有し,締め固めた状態で,透水係数が1×10-5cm/sec [ B ]であることが要求される。ロック材料は,堤体の力学的安定性を確保するものであるから,締め固めた状態でせん断強度が大きく,過剰な[ C ]が発生しないことが要求される。一砂礫材料は,フィルタとして用いる場合には,浸透水によって不透水性材料から[ D ]が流出するのを防止する機能と,浸透水を完全に排除する機能をもつことが要求される。
   A     B      C        D
(1) 塑性   以上   間隙水圧  粗流部分
(2) 弾性   以上   外水圧    粗粒部分
(3) 塑性   以下   間隙水圧  細粒部分
(4) 弾性   以上   間隙水圧  細粒部分
(5) 塑性   以下   外水圧    細粒部分


4-25温室効果ガスに関する次の記述について,[A〜D]の中に入る語句の組合せとして,正しいものは(1) 〜(5) のうちどれか。
水田から放出される温室効果ガスとして,CH4(メタン)やN20(亜酸化窒素)が注目されている。このうち[ A ]は,嫌気的環境下で,土壌中の有機物が分解されて生成する.この有機物は,植物が大気中の[ B ]を固定したものである.固定された[ B ]がそのままの形で大気一戻れば温暖化一の影響はないが,[ A ]という形で戻る地球温暖化を加速する。一方[ C ]は、主に、嫌気的環境での[ D ]の過程で生成する。この土壌中の窒素化合物は、生物学的な窒素固定や化学的に製造された窒素肥料によるものである。
   A    B    C     D 
(1) CH4   N2   N2O   硝化
(2) CH4   CO2  N2O   脱窒
(3) N2O   N2   CH4  硝化
(4) N2O   N2   CH4  脱窒
(5) CH4   CO2  N2O  硝化


4-26 地域の環境の質を評価するために用いられる生物指標に関する次の記述のうち誤っているものはどれか。
(1) 生物指標の利点は,出現する生物は繁殖と成長の結果であるため,測定時のみでなく長期間の環境の状態を評価できることである。
(2) 指標生物として利用するには,生態学的によく研究され,その生物が生息できる環境条件が明らかになっていることが必要である。
(3) 人工的に生物が保護されている場合,そこに存在する指標生物は,その場所に限られた指標にしかならず,広い地域の指標とはならない。
(4) 生物指標によって河川の水質を評価すると,イトミミズがいれば「きれいな水」,サワガニがいれば「大変汚れた水」となる。
(5) 生物指標の難点は,専門的な知識がないと種の同定が困難な場合が多いことである。

4-27農業用揚排水機場に使用されるポンプに関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
(1) 軸流ポンプとは,羽根車の回転による遠心力によって水に速度エネルギーを与え,その速度エネルギーを圧力エネルギーに変換して揚水するポンプである。
(2) 渦巻ポンプとは,円筒形のケーシング内で羽根車を回転し,羽根車の推力によって水に圧力エネルギーと速度エネルギーを与えるポンプである。
(3) 斜流ポンプとは,渦巻ポンプと軸流ポンプの中間的な形式のもので,羽根車の回転による遠心力と推力で揚水するポンプである。
(4) 排水機場は,一般に高揚程で年間を通じて定期的に運転されるため,渦巻又は高揚程斜流ポンプが用いられる。
(5) 揚水機場は,一般に低揚程で不定期運転が多く,軸流又は斜流ポンプが多く用いられる。



4-28 次の記述は、水路システムにおける調整施設に関する用語の説明である。A〜Dに該当する用語の組み合わせとして、正しいものは(1) 〜(5) のうちどれか。
A:送配水における需要量と供給量の調整や分水の安全性の向上等のため,水路を横断して設置される堰やゲートを主体とした構造物で,自動式,操作式,固定式がある
B:水路の安全のため,水路周辺からの流入洪水量や分水中止により生ずる水路の通水
能力以上の水量を,自動的に排除する構造物
C:水路の保守点検や事故時の緊急対応等のため,計画通水量の全量あるいは相当量を,
水路外に計画的に排除する構造物
D:取水量,通水量,用水量の不均衡を調節することにより,配水運営上生じる水量損失を極力防止するとともに,水路システムの機能を弾力的なものとするための構造物

    A         B     C         D
(1) 調整池      余水吐 放水工      水位調整施設
(2) 放水工      調整池 水位調整施設  余水吐
(3) 水位調整施設  放水工 余水吐      調整池
(4) 調整池      放水工 余水吐      調整池
(5) 水位調整施設  余水吐 放水工      調整池


4-29 環境影響評価法(1997年6月制定)による環境アセスメントに関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
(1) 対象事業は,道路,ダム,埋立・干拓などの13種類の事業である。
(2) 対象事業は,事業規模に関係なく法による環境アセスメントの対象となる。
(3) 環境アセスメントの実施者は,対象事業を実施しようとする事業者である。
(4) 環境アセスメントの方法書及び準備書の内容について、地域の住民に限らず、誰でも意見の提出ができる。
(5) 地方公共団体も、独自の環境アセスメント制度を設けており、すべての都道府県に条例による制度がある。


4-30日本の農業用水に関する次の記述で,[A〜E]内に入る語句の組合せとして,正しいものは(1) 〜(5) のうちどれか。
平成15年における日本の農業用水使用量(取水量ベース)は約557億m3/年である。農業用水の主要部分を占める水田かんがい用水は,水稲作付面積の[ A ]に伴う用水量の[ B ],水田利用の高度化,汎用化に伴う単位面積当たり用水量の[ C ],用排水の分離による水の反復利用率の低下に伴う用水量の[ D ]等の諸要因を受けて,全体としては[ E ]傾向にある。'

   A   B   C   D   E
(1) 増加 増加 増加 減少 減少
(2) 増加 増加 減少 増加 減少
(3) 減少 減少 増加 減少 増加
(4) 減少 減少 増加 増加 増加
(5) 減少 減少 増加 増加 減少


4-31 水田ほ場の排水計画に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
(1) 自然排水が可能な場合,田畑輪換及び畑利用の排水計画は,4時間雨量4時間排除を原則とする。
(2) 排水量の算定に用いる計画基準雨量は,1/10年程度の確率雨量を原則とする。
(3) 水稲単作の場合,許容湛水深は30cmとし,やむをえず30cmを超える場合には湛水時間が12時間を超えないものとする。
(4) 排水方式の選定に当たっては,まず自然排水の可能性を検討し,それが困難な場合には,地区の一部又は全部について機械排水を考慮する。
(5) 排水路の護岸は,地下水排水機能を重視し透過性のある構造とする。


4-32 日本の農業集落排水施設のうち汚水処理施設に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
(1) 汚水処理施設は,集落を基本単位とした数集落からなる小規模分散処理方式をとっている。
(2) 汚水処理施設の処理水の水質は,「水質汚濁防止法」の適用を受ける。
(3) 汚水処理施設の発生汚泥は,「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の産業廃棄物に位置付けられている。
(4) 汚水処理施設は,「浄化槽法」の適用を受ける.
(5) 汚水処理施設の管理は,一般的に,専門技術者による巡回管理と併せて地域住民参加型の維持管理形態をとっている。

4-33 平成19年度から始まった,地域の共同活動により農地・農業用水等の資源や農村環境の保全向上を図る「農地・水・環境保全向上対策」に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
(1) 共同活動への国の支援は,活動参加者の人数に応じて支払われる。
(2) 共同活動の対象地域は,集落単位,水系単位,事業単位など,地域の実情に応じて設
定できる。
(3) 共同活動組織の構成員は,農業者を中心にして,地域住民や自治会,都市住民やNPOなど,地域の諸条件に応じて様々な組合せが可能である。
(4) 共同活動への支援を受けるためには、国の定める地域活動指針に基づいて活動計画を作成する必要がある。
(5) 営農活動への支援は,相当規模のまとまりをもって化学肥料や化学合成農薬を一定割合以上低減する等の取組に対して行われるが,共同活動への支援の対象地区内に限られる。


4-34国際協力に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
(1) 政府開発援助(ODA):政府機関等が開発途上国や国際機関に対して行う資金や技術の協力のことをいう。
(2) 南南協力:開発の遅れている東南アジアやアフリカに対して先進諸国が資金協力や技術協力を行うこと。
(3) 参加型かんがい管理(PIM):かんがい施設の管理と管理費負担を農民組織に移すことにより,施設の機能維持及び水管理の効率化を進める取組のことで,国際的に支援協力がなされている。
(4) 独立行政法人国際協力機構(JICA)=日本国政府の,開発途上国に対する資金協力や技術協力などの一元的な実施機関である。
(5) 世界水フォーラム(WWF)=世界の水問題を協議するための国際会議で,3年に一度開催され,農業用水についても議論されている。

4-35 日本のほ場整備事業における換地に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
(1) 機能交換とは,国又は地方公共団体が所有する道路・水路等に関わる土地の処置に用いられる手法のことをいい,工事前後の面積の増減に応じて清算金が支払われる。
(2) 共同減歩とは,事業の際に新設される道路や水路などの土地改良施設等の用地に充てるために,関係権利者の従前の土地面積の一定割合を強制的に減ずることをいう。
(3) 異種目換地とは,従前が農用地である土地の換地を非農用地区域内に定めることをいう。
(4) 創設換地とは,対応する従前の土地がないのに,換地を定めることをいう。
(5) 不換地とは,従前の土地に対して,換地を定めないことをいう。


正解
問題 正解 問題 正解 問題 正解 問題 正解 問題 正解 問題 正解 問題 正解
1 4 6 3 11 4 16 1 21 4 26 4 31 3
2 3 7 1 12 1 17 2 22 4 27 3 32 3
3 5 8 5 13 2 18 5 23 1 28 5 33 1
4 4 9 3 14 5 19 2 24 3 29 2 34 2
5 4 10 2 15 1 20 5 25 2 30 5 35 1