平成16年度技術士第二次試験問題(水産部門)
 ●経験論文・水産一般(全科目)
 ●専門問題(水産土木)
提供:きんぞうさん

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必須科目
水産一般(択一問題) 正解付
水産一般(記述問題)
選択科目
   経験論文(全科目共通)
専門問題(水産土木)

必須科目

水産一般(択一問題)

U-1 次の20問題のうち15問題を選んで解答せよ。(解答欄に1つだけマークすること)

U-1-1 養殖魚のうち生産量が多く食品として重要な魚種のうちブリ,マダイ,ウナギなど11魚種について,残留に特に注意が必要な医薬品の使用基準が定められている。次に挙げた魚種のうち,この11魚種に含まれない魚種はどれか。

@コイ Aアユ Bヒラメ Cクロダイ Dマアジ

正解 C


U-1-2 最近の我が国における輸入水産物の動向について,次の記述のうち不適切なものはどれか。

@水産物の輸入量は,依然として増加傾向にある。
A水産物の輸入先別数量の上位3カ国(順不同)は,中国,米国及びチリである。
B水産物の輸出先別金額の上位3カ国(順不同)は,米国,中国及び韓国である。
C中国からの輸入品目のうち,ウナギ調整品が数量及び金額で1位を占める。
D水産物の輸出量は,ここ3年増加傾向にある。

正解 B


U-1-3 水産生物の人工種苗生産技術について,次の記述のうち不適切なものを選べ。

@クロマグロの種苗生産は,1979年に始まり2002年に世界で初めて,人間の飼育管理のもとで,ライフサイクルを完成させることに成功した。
Aイセエビの種苗生産は,フィロゾーマからプエルルスまでの育成に成功したが,プエルルスから稚エビまでの飼育は,まだできていない。
Bウナギの種苗生産は,レプトケファレス(柳葉幼生)まで飼育可能となったが,シラスウナギまでの飼育は,研究室レベルでは成功している。
Cハマチの種苗生産は,技術的に解決されているが,経済性健苗性などの点から,現在でも流れ藻に付く稚魚が種苗として用いられている。
Dアユの種苗生産は,昭和30年代後半から試みられたが,量産化が可能になったのは,初期餌料としてのワムシ類の大量培養技術開発に成功してからである。

正解 A


U-1-4 魚介類及びその加工品に起因する食中毒について,次の記述のうち正しくないのはどれか。

@腸炎ビブリオによる食中毒が魚介類の汚染防止や低温流通により減少した。
Aカキの生食等によるノロウイルス(SRSV)による食中毒が増大している。
BSRSVの感染経路は生食魚介類を介して感染するほか,人から直接感染すると考えられる。
C魚介類及び加工品からサルモネラ菌による大規模な食中毒が起きている。
D平成10年,11年と腸炎ビブリオによる食中毒が再び増大した。

正解 C


U-1-5 食料自給率について,次の記述のうち正しくないのはどれか。

@通常「我が国の食料自給率」は,重量べースを使用した供給総合食料自給率である。
A我が国の食料自給率は,昭和40年度73%から50年度54%に大きく低下し,平成10年度40%になり4年連続して横ばいに推移している。
B食料自給率は,国内消費について国産でどの程度賄えているかの指標である。
C食料自給率の低下要因は,主として国民の食生活が大きく変化した事が挙げられる。
D水産物の自給率低下は,大衆魚マイワシの漁獲量激減や遠洋漁業の規制強化等による。

正解 @


U-1-6 生鮮水産物のJAS法による表示について,次のうち表示義務が無いものはどれか。

@解凍 A名称 B養殖 C原産地 D漁獲年月日

正解 D


U-1-7 水産物の生理活性で有効な成分とその機能の作用について,次のうち誤っているものはどれか。

@アスタキサンチン−血中コレステロールの低下
AEPA(エイコサンペンタエン酸)−血中脂質の低下,血栓の予防
BDHA(ドコサへキサエン酸)−脳・神経の発達,抗アレルギー炎症
Cタウリン−血圧調整,肝機能改善
Dフコイダン−ガン細胞増殖抑制

正解 @


U-1-8 海の波の発生原因に関する次の記述のうち,正しくないものはどれか。

@風波は風によって生じ,重カを復元力として生じる。
A潮汐は月や太陽等の引力を起潮力として生じる。
Bうねりは台風等の強風の通過時に生じる。
C津波は海底の隆起や陥没,海底火山の噴火によって生じる。
D高潮は台風等の通過時の気圧低下によって生じる。

正解 B


U-1-9 地球表面の一次生産力について,次の記述のうち正しいものはどれか。

@沿岸域は陸からの栄養塩供給が多いため,河口域,多湿農耕地に比べ最も大きい。
A多湿農耕地は河口域,沿岸域に比べ大きい。
B河口域,沿岸域,多湿農耕地を比較した時河口域が最も大きい。
C外洋域と陸上の砂漠地帯を比較した時,外洋域の方が格段に大きい。
D外洋域は,乾燥農耕地と同程度かそれより大きい。

正解 B


U-1-10 魚類の成熟・産卵を人工的に制御する方法として適切でないものは次のうちどれか。

@選抜育種による方法
A紫外線照射水による方法
B水温変化による方法
Cホルモン投与による方法
D日長変更などによる光による方法

正解 A


U-1-11 養殖水産動物用飼料(配合飼料)について,次の記述のうち適切でないものはどれか。

@配合飼料の規格・基準が定められているのは7魚種である。
A配合飼料組成では約60%を魚粉が占めている。
B平成13年度の配合飼料生産量第1位がブリ用,2位がタイ用である。
Cタンパク質原料には魚粉・肉骨粉・植物性油粕などを使用している。
D配合飼料の方が生餌に比較して,品質が保持される。

正解 C


U-1-12 養殖業として淡水給餌養殖の水管理について,吹の記述のうち適切でないものはどれか。

@止水式養殖地では水質が変わりやすく水管理が難しい。
A温水加温池では酸素の供給と有機物処理が環境管理の要点である。
B流水式養魚池では注水量が確保されれば水管理は容易である。
C網生賛養殖の換水量は収容魚の影響を受けやすい。
D循環濾過池は使用水量が少なく飼育水の供給も不必要である。

正解 D


U-1-13 水産資源に関する「用語(略号)」について,次の記述のうち適切でないものはどれか。

@ABCとは,資源量や資源密度を反映する指数で,資源量指数と表す。
ACPUEとは,操業時の資源密度を表す指標となるもので,漁獲努カ量当りの漁獲量を表す。
BMSYとは,資源にとって持続的に達成できる最大の漁獲量で最大持続生産量である。
CTACとは,資源の状態や経営事情などを考慮して設定される漁獲量の上限で,漁獲可能量を表す。
DTAEとは,悪化した資源を採捕する漁業種類毎に,期間,海域を定めて設定される漁獲努力量の上限で,漁獲努カ量を示す。

正解 @


U-1-14 赤潮生物へテロカプサに関する次の記述のうち,適切でないものはどれか。

@渦鞭毛藻の一種で温度や塩分の急激な変化により,一時性シストを形成する。
A主にニ枚貝に被害を及ぼし,養殖魚への被害はほとんどない。
Bへテロカプサの赤潮は1週間から長い場合は数ケ月に及ぶこともある。
C外来生物である可能性が高いと考えられており,全国で被害が見られている。
D富栄養化水域だけでなく,都市や大規模な流入河川がほとんどない海域でも赤潮の発生が見られる。

正解 C


U-1-15 漁業権に関する次の記述のうち,間違っているものはどれか。

@漁業怯は,海や河川等の公共に供する水面のすべてに適用される。
A漁業は,制度的には自由漁業,漁業権漁業,許可漁業の3つに分類される。
B漁業法における漁業は,水産動植物を採捕する事業である。
C漁業権には,定置,区画,共同の3種類がある。
D定置漁業権のうち定置網漁業は,大型のものだけが対象となる。

正解 B


U-1-16 次のような略称や型式名等で呼ばれる機材の説明で,誤っているものはどれか。

@USWは,超音波式波高計。水面波形が得られる長所があるが,砕波による気泡の巻き込みが多いと観測が困難である。
AADCPは,ドップラー効果を応用した超音波式多層流速計。船を航行させながら平面的な流況を把握できる。
B北原式採水器は,浅海用の採水器。大量の採水には不向きで,水温測定,塩分・DO分析等に使用される。
Cスミス・マッキンタイヤ型採泥器は,コアサンプラーのひとつで,1回の採泥で最大8本の不撹乱試料が得られる。
Dノルパックネットは,主として動物プランクトンを採集する目的で用い,水中で開閉する装置のない開放型である。

正解 C


U-1-17 動物性自然毒のフグ毒の毒素として正しいものは次のうちどれか。

@エンテロトキシン
Aテトロドトキシン
Bジノフィシストキシン
Cドウモイ酸
Dベロ毒素

正解 A


U-1-18 波の諸元に関する次の記述のうち,適切でないものはどれか。

@換算沖波とは,現地の沖波を屈折や回折変形を加味して求めた波をいう。
A有義波は,不規則な波群を便宜的に統計的な単一の諸元で表した波をいう。
B最高波は,ある波群中の最大の波高を示す波をいう。
C沖波とは,一般的に深海波を含めて海岸から離れた場所の波をいう。
D波向は,波の進行方向を指し,真北を基準として反時計回りに度数で表す。

正解 D


U-1-19 藻場形成の阻害要因に対する解決策として,適切でないものは次のうちどれか。

@光量不足が藻場形成の制限要因と考えられる場合は,基盤を浅くして対応する。
Aカキ,イガイなどによって,目的とする藻場の形成が阻害される場合がある。
B底生動物による食害防止策として,海藻着生基盤の水深を深くして波動を弱くすることが有効である。
C漂砂の影響がある岩礁では,砂面からの高さに応じて海藻の植生が異なり,これを参考に基盤の高さを決める。
Dホンダワラ類の幼胚は,胞子数が少なく重たいため,母藻投入,藻体の移植が有効となる。

正解 B


U-1-20 HACCP(危害分析重要管理点)は,食品の品質安全管理手法である。次の記述のうち誤っているのはどれか。

@HACCPは,宇宙船に搭載する食品の安全管理のため,米国で開発された。
A米国で生産され,または輸入される水産物はすべてに,HACCPの適用が義務付けられている。
B日本でも水産練り製品は,HACCP方式の品質管理が義務付けられている。
CHACCPではまず全ての危害分析を行うことが必須である。
DHACCPプランを作る前に,最小限必要な生産設備の準備が必要である。

正解 B

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水産一般(記述問題)

U−2 次の問題について解答せよ。(青色の答案用紙を使用し,3枚以内にまとめよ。)

我が国の水産業は,多くの困難な問題に直面している。中でも水域環境の保全と水産物の安全性確保のための取り組みが,今日的には大きな課題となっている。
漁業は,水産物を食卓に供給してくれる唯一の産業であり,かつ,その生産活動は良好な水域環境のもとで初めて成り立つ特質を持っている。一方,良質な動物性タンパク質の多くを水産物に依存する我が国では,水産物の安全性に対する国民の関心も高い。そこで,(1)良好な水域環境の維持・保全,及び(2)安全な水産物を供給するための取り組みについて,幅広い見地からあなたの考えを述べよ。また,これらの実現に当たって,「漁業及び増養殖」,「水産加工」,「水産土木」及び「水産水域環境」の各分野における技術的な課題を(1)及び(2)のどちらかから1例ずつを挙げて論述せよ。

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選択科目

経験論文(全科目共通)

T-1 次の問題について解答せよ。(答案用紙6枚以内にまとめよ。)

受験申込書に記入した「専門とする事項」について,あなたが技術責任者として携わった仕事の中で,技術士にふさわしいと思われる2例について,(1)その名称,(2)実施時期,(3)あなたが担当した立場とその内容及び技術的特徴,(4)特に留意した点及び(5)あなたがとった解決方法について詳述せよ。さらに,(6)現在の技術水準に照らして総合的に評価せよ。

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専門問題(水産土木)

T-2 次の3問題のうち2問題を選んで解答せよ。(緑色の答案用紙を使用し,問題ごとに用紙を替えて解答問題番号を明記し,それぞれ3枚以内にまとめよ。)

T-2-1 水産業・漁村は,国民への安全な水産物の供給と漁業者や地域住民が居住し漁業生産活動を継続的に行い,豊かで安全な国民生活を実現するための多面的機能を有している。この多面的機能の評価分野を5つ挙げ,その内容について論述せよ。

T-2-2 個々の漁港整備計画の策定に当たって,考慮すべき要件を列挙し説明せよ。
また,その評価法について記述せよ。

T-2-3 養殖場造成事業における海水の交流を促進する工法の設計に当たって,考慮すべき要件を列挙し説明せよ。また,海水交流工法を3つ挙げ,その工法の考え方と留意点について記述せよ。

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