技術士会宛メール(2004年8月19日送信)の全文 Back

※以下のファイルを添付しました。
調査結果集計表(Excelファイル)
アンケート自由意見抜粋(Wordファイル)

(社)日本技術士会 技術士試験センター御中

 立秋の候を迎え、貴会・貴センターの皆様には益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
 私は、8月16日にもメールをお送りいたしました、インターネット上で「技術士受験を応援するページ」(http://apec.fc2web.com/pe/)というホームページを運営しております鳥居直也(ハンドルネームAPEC)と申します。

 先日のメールでもご報告申し上げましたが、先般実施されました二次試験におきまして、「受験番号等を試験開始時刻前に記入するよう指示が出たが、その時間が統一されていない。これは不公平ではないか」という意見が、受験者諸氏よりメール等で寄せられております。
 私のホームページの掲示板での議論を見ておりましても、無視できない程度の不公平さが生じている可能性があると考えましたので、インターネット上でアンケートを実施し、201件の情報が寄せられました。
 これを見る限り、現場の試験管理において以下のような現状があったように拝察いたします。

(1) 試験会場・試験場(教室)によって、受験番号記入指示時間に大きな開きがある。
 状況から、試験管理アニュアルのようなもので、「試験開始15分前から説明し、それが終ったら『試験開始まで時間があるので』ということで受験番号等の答案用紙への記入を指示するということになっていたのではないかと拝察いたします。
 その場合、試験官の個人差で、説明が終って記入指示する時刻がいくぶんずれてくることは避けられないと思われますが、現場では最大10分程度の差がついているようです。さらに、説明・封筒への記入指示まで行った後、試験開始まで時間があるにもかかわらず答案用紙への受験番号等記入を指示せず、意図的にこれらの記入を試験開始後に送り込んだ試験場もあるようです。アンケート結果を集計したものを添付ファイルに資料として添えましたので、そちらをご参照ください。
 この結果、試験場によって実質的な試験時間に最大10分程度のばらつきが生じ、10分あればかなりの問題の解答や見直しなどができますので、点数への影響が生じたことは確実と判断されます。
 このような顕著な不公平性が、主催者側の試験管理体制によって生じたということは、公平性を保つべき国家試験としては非常に遺憾であると考えます。

(2) 受験番号等記入に関する規制が不十分である。
 試験官の指示を待たずに勝手に受験番号等を記入している受験者を見かけたとの情報も多数寄せられております。特に、午前中に試験開始時刻前からの記入指示があったためか、午後は答案用紙配布直後から記入を始めていたという例もあるようです。
 こういった行為に対して、これを注意したという事例が寄せられておらず、「やったもん勝ち」「正直者が馬鹿を見る」といった印象を受けた受験者がかなりいるように見受けられます。
 これらもまた、「公平性の確保」という点で、試験の信頼性を損ねかねない、ぜひとも改善されるべき問題点ではないかと思います。

 以上のことを踏まえ、次年度試験あるいは10月の一次試験においては、次の事項についてぜひ対策を講じていただきたくお願い申し上げます。

 (1) 実質的な試験時間が不公平にならないよう配慮した措置
  例えば、試験開始10分前からの記入等、受験番号等記入開始時刻の統一と、それを可能にするような試験スケジュール。
 (2) 指示に従わない受験者に対する厳格な措置
  例えば、記入指示前から勝手に記入した場合の失格規定など。

 また、今年度二次試験については、受験番号・問題番号等の記入不備に対する失格規定の適用見合わせを要望いたします。
 受験番号等の記入については、元来受験者の特定を目的としているところであり、たとえ受験番号のマークがなくとも記入はしてある等で目的が達せられていれば、ことさらに失格者を作り出す必要はないと思われます。それにもかかわらずあえて厳格な失格規定適用を行うのは公平性確保のためと思われますが、前述のように主催者側の試験管理体制に原因がある著しい不公平性あるいは管理の不徹底が現場で生じている以上、受験生にだけ受験者にだけ厳格性を求め失格規定を適用するのは、一般通念上考えても適当とは思われないことが理由であります。
 まずは不公平性が生じないような試験管理体制を構築・実行して、その後に受験生に対して厳格な失格規定適用をすべきであって、これを逆にした場合は、「自分の不始末は棚に上げて」といったような批判が生じ、技術士試験・技術士会に対する信頼の低下、さらには技術士資格の尊厳にもかかわることが懸念されます。
 これらの理由から、一定の公平性が確保できるような試験管理体制の構築ができるまでは、受験生に対して厳格な失格規定を適用するべきではないと考えるものです。

 誤解なきように申し上げますが、私は試験官諸氏や貴会・貴センターを糾弾しようというような意図は全く持っておりません。
 現在進められております技術士制度改定には基本的に賛成しておりますし、その一環としての技術士試験の公平性・透明性確保への取組み(問題持ち帰りや正解公表、成績通知、配点や合格基準の公表など)は高く評価しております。
 それだけに今回の問題は、試験管理体制のさらなる改善のために、さらには、技術士試験が公平性・透明性が保たれた国家試験としての国内外での信頼性をより確実なものとし、また技術士資格の社会的地位向上を目指す上で、適切な対処が必要不可欠であると考えております。
 どうかよろしくご検討いただき、ご高配賜りますようお願い申し上げます。

 なお、アンケートで寄せられた自由意見の中から、試験体制改善にかかわると思われるものを抽出したものを添付ファイルとして添えさせえていただきましたので、ご参照いただければ幸いです。

 末筆ながら、貴会・貴センターの益々のご発展を祈念いたします。

平成16年8月19日

(私の住所氏名電話番号等)