技術士第一次試験専門問題対策資料 =土質および基礎=
最終更新:2007.02.12
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これまでの一次試験専門科目でよく出題されていた土質特性(物理特性・圧密特性)についてまとめた資料です。

CONTENTS
一般特性
コンシステンシー特性
圧密特性
粘着力と内部摩擦角

一般特性

土→土粒子間隙から成る。
土粒子は岩片、鉱物片、有機物や貝殻・・・・から成る。
間隙は、空気と水で充填されている(飽和土では水100%)。

右図において、
   空気の質量Ma=0
   水の質量  Mw=Vw×水の密度ρw(≒1.0)
   土の質量  Ms=Vs×土粒子密度ρs

  1. 土粒子の密度 ρs(g/cm3)
    土粒子そのものの密度
    ρs=Ms/Vs  普通の土ではρs≒2.65g/cm3
    ρsから、土の材料がわかる
     ρsが高い→土の粒子が重い→苦鉄質鉱物や重鉱物が多い→塩基性岩起源
     ρsが低い→土の粒子が軽い→有機物や珪長質鉱物が多い


  2. 含水比 Wn(%)
    自然含水比
    Wn=Mw/Ms×100[%]
    含水比と他の特性を合わせて、いろいろなことがわかる→間隙比・単位体積重量・圧縮指数・qu・・・・
    一般に粘土のWn>砂のWn→粘土は間隙が多い(小さい間隙がいっぱいある)

  3. 湿潤密度 ρt(g/cm3)
    全体(土粒子+水+空気)の密度
    ρt=M/V
    飽和土に限り、ρt={ρs*(1+Wn/100)/(1+ρs*Wn/100)}
    飽和土なら、ρsとWnからρt、γtが換算できる
     ρs=Ms/Vs、Wn/100=Mw/Ms
     よって、ρs×(1+Wn/100)=Ms/Vs×(1+Mw/Ms)=Ms/Vs+MsMw/VsMs
     =Ms/Vs+Mw/Vs=(Ms+Mw)/Vs=M/Vs
     1+ρs×Wn/100=1+Ms/Vs×Mw/Ms=1+MsMw/VsMs=1+Mw/Vs
     ここで水の密度は1.0なので、Mw=Vw
     よって、1+Mw/Vs=1+Vw/Vs
     ρt=ρs*(1+Wn/100)/(1+ρs*Wn/100)=M/Vs/(1+Vw/Vs)
     Vs/Vsを乗じれば、M/(Vs+Vw)=M/V=ρt

    単位体積重量γt=ρt×g(≒9.8m/sec2)
    飽和土ならγtsat=ρt×g、γt’=γtsat−γw(=g)
    γt=γt’+9(道示の「γt’=γt−9」という記載を逆読みする)
    不飽和土ならγt=ρt×g、γt’=γt−9

  4. 乾燥密度 ρd(g/cm3)
    水を抜いたときの全体の密度
    ρd=Ms/V

  5. 間隙比 e (比なので無単位)
    間隙部分と土粒子部分の体積比全体の中に占める間隙の割合ではない。それは間隙率)
    e=(Va+Vw)/Vs
    飽和土に限り、e=Wn×ρs/100 ←覚えておくと便利
    飽和土なら、ρsとWnからeが換算できる
     ρs=Ms/Vs、Wn=Mw/Ms*100
     ここで水の密度は1.0なので、Mw=Vw、よってWn=Vw/Ms*100
     よって、Wn×ρs/100=Vw/Ms*100×Ms/Vs/100=Vw/Vs=e


  6. 間隙率 n(%) 間隙比との違いに注意!
    全体の何%が間隙であるか
    n=(Va+Vw)/V×100[%]

  7. 飽和度 Sr(%)
    間隙の何%が水で満たされているか
    Sr=Vw/(Va+Vw)×100[%]
    地下水位以深では普通100%・・・・100%超→試験誤差なのでモデル検討では100%とする

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コンシステンシー特性

  1. 土の状態、WL、Wp
    (含水小) ←  → (含水大)
    (乾きすぎ) ←  → (湿りすぎ)
    半固体 塑性状態 液性状態
    半固体 〜塑性状態の境界含水比・・・・塑性限界Wp(%)
    塑性状態〜液性状態の境界含水比・・・・液性限界WL(%)
    あまり乾きすぎると・・・・外力が加わると変形せずにこわれる(もろい) Wn<Wp
    あまり湿りすぎると・・・・土が液状となる。トロトロで自立しない    Wn>WL
    WL>Wn>Wpの状態が良い(塑性状態である)
    WLが大きい土→圧縮性が高い(WLと圧縮指数Ccの間に正の相関)
    WLから圧縮指数Ccを出す経験式あり・・・・Cc=0.009(WL−10)

  2. 塑性指数Ip
    土が塑性状態である範囲の広さ・・・・大きいと粘性増加
    Ip=WL−Wp
    Ipから力学特性にかかわることもわかる・・・・cu/p、φ’など

  3. コンシステンシー指数Ic
    Ic=(WL−Wn)/(WL−Wp)=(WL−Wn)/Ip
    土の安定の程度
    Ic>1→Wn<Wp・・・・安定→半固体、乾きすぎてボロボロこわれる
    Ic<1で1に近い→WL>Wn>>Wp・・・・やや不安定→通常はこの状態で施工しやすい
    Ic≒0→WL≒Wn・・・・液状となりやすい→鋭敏な状態
    Ic<0→Wn>WL・・・・すでに液状となっているはず→わずかの刺激で一気に液状となる(クイッククレイ

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圧密特性

  1. 圧密とは?
    土が静的に締め固められる作用→間隙比が減少間隙の水・空気が排出される(圧密排水
    @ 体積が収縮する→沈下(圧密沈下)
    A せん断強度が増加する→圧密強度増加

  2. 圧縮指数Cc
    沈下する度合いを示す定数
    圧力増加Pのに伴う間隙比eの減少を、e=a・logP+bなる一次式にした場合の、
    傾きa(マイナス記号を取る)
    →圧力に対する間隙比の減少割合
    →大きいとよく縮む

    Cc=(e0−e1)/(P1−P0)=−(e0−e1)/(P0−P1)・・・・右図の傾き

  3. 圧密降伏応力pc
    沈下が始まる圧力
    荷重を徐々に増加させた場合・・・・あるところまでは縮まない
    →あるところからCcの割合で縮む
    →この境界の圧力Pがpc
    最大履歴荷重(かつてかかった最大のP)
    土は塑性体なので、一度圧密するとPが減っても戻らない(と考える)
    pc=現土被り圧po・・・・正規圧密→少しでもPが増えると圧密を始める
    pc>現土被り圧po・・・・過圧密→P>pcとなるまで圧密しない(余裕がある)
       正規圧密と過圧密の理解を問う問題が多く出ています!
    実際の土→Pが減ると周囲の水を吸って若干膨張する→再度Pが増えると戻った分だけ少し縮む・・・・載荷盛土工法におけるリバウンド
     P<po・・・・沈下しない
     po<P<pc・・・・若干沈下する →過圧密領域
     pc<P・・・・Ccの割合で沈下する→正規圧密領域
    建築基礎構造設計指針では、過圧密領域のCcをCrとし、Cr=0.114Ccとしている

  4. 体積圧縮係数mv
    荷重増加あたりの体積の収縮する割合(cm3/kN)

  5. 圧密係数Cv
    圧密排水のスピード(cm2/day) 沖積粘性土やや低めの代表値200くらい

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粘着力と内部摩擦角

  1. 内部摩擦角φ

    土のせん断強度→基本的には内部摩擦角φ
    机の上に物体を置いた状態(右図)で、物体と机の全体を土塊に例える
    物体と机の面の間に摩擦力が働く →摩擦力→せん断強度τ
    これを上回る力で引っ張ると物体が動く →土が破壊した状態(せん断破壊)に相当
    机の表面がザラザラしていたほうが動きにくい →ザラザラの度合いが内部摩擦角φに相当
    物体が重いほど物体は動きにくくなる →上載圧・土被り圧に相当→τは重さσに比例する
    τ=σtanφ → φ=45°でτ=σ → τ>σにはなり得ない
    φは45度以上にはなり得ない
    砂時計のようなきれいな砂やパチンコ玉などは安息角≒φ
    圧密理論では、せん断強度は土粒子間の摩擦力(真の内務摩擦角φ)によってのみ構成される
    τがφのみによって構成されるということは・・・・
    切片がゼロ、傾きtanφ(φ°)の一次式・・・・σ=0だとτ=0×tanφ=0
    →土被りがないと、せん断力はゼロ →支持力もゼロ →海底の浮遊ヘドロの状態

  2. 粘着力は膠着力
    もし机と物体の間にノリをつけたら・・・・
    物体の重さに関係なく(重さゼロでも)発生するτが出てくる→粘着力c
    → 真の粘着力 → 岩盤や洪積層の膠着力(固結力)
    圧密理論では、膠着力は見込まない
    膠着力の中身→イオン結合、晶出物質など→続成作用の中で生成
    膠着力が見込める土では、τ=c+σtanφ
    正比例の一次式(σに比例してτ増大)
    φは傾き、cは切片で、φやcが大きいほどτ大きくなる
    以上は、すべての土粒子に共通
    粘土も砂も、膠着がなければ τ=σtanφ(c=0)
    粘土も砂も、膠着があれば τ=c+σtanφ

    「粘土のせん断力は粘着力、砂のせん断力は内部摩擦角」というのは間違い
    真のせん断力は、粘土でも砂でも内部摩擦角で、膠着があれば粘着力も加わる」
    見掛けのせん断力は、粘土では粘着力、砂では内部摩擦角として現れる」
    真の粘着力c・・・・・・・・上載圧に関係なく、一定なせん断強度
     膠着による力
     まったく固結していない土ではゼロ
    真の内部摩擦角φ・・・・上載圧に比例して変化するせん断強度
     土粒子間の摩擦による力
     どんな土にもある(max45°)

  3. 全応力と有効応力
    水を含んだスポンジをつぶすと、水が出て、スポンジがつぶれる→圧密排水
    スポンジをラップで完全にくるむ→力を加えてもつぶれない、反力を感じる→水圧が反力として力を押し返している→間隙水圧
    ラップなしの場合・・・・
     力を加える→間隙水圧上昇→排水→かけた力がそのままスポンジ内部に伝わる→すぐに排水できる土→透水係数が高い砂、礫
    ラップありの場合・・・・
     力を加える→間隙水圧上昇→排水できない→押し返す→かけた力が押し返され、スポンジ内部に伝わっていない→排水の遅い土→透水係数が低い粘性土
    土にかけた全部の力F1→全応力
    間隙水圧ではね返された分F2を差し引いた、土粒子に有効に働いた力F3→有効応力

    10の力を土にかけても、間隙水圧で戻される分があるので、実際に土粒子には10の力はかかっていない

  4. 見掛けのせん断強度
    排水の良い土なら・・・・
    上載圧σ1をかける→τ1=σ1・tanφだけのせん断強度が得られる
    もっと大きいσ2→τ2=σ2・tanφだけの、もっと大きいせん断強度が得られる
    間隙水圧が発生するが、排水に伴って直ちに消散→全応力=有効応力となる
    排水の悪い土なら・・・・
    σ1をかける→間隙水圧u1が発生→σ1−u1しか有効に伝わらない
    @ σ1 の力を加えるが、u1 戻されてτ0 の力になった
    A σ2 〃u2 〃〃
    B σ3 〃u3 〃〃
           σ1 の力を加えても、σ2 の力を加えても、σ3 の力を加えても、τ=τ0 でまったく変化しないように見える
    切片=τ、傾きゼロの関係に見える→  切片=粘着力→c=τ0  τ=c(φ=0)
    傾き=tanφ=0→φ=0
    このc,φを、見掛けの粘着力見掛けの内部摩擦角という
    土の強度 @土粒子同士が膠着している(続成) 真のc
    A土粒子がしまっている (圧密) ●排水良 真のφ
    ●排水難 見掛けのc
    見掛けのφ

  5. 三軸圧縮試験
    いろいろな試験方法とせん断特性の関係がよく出ます。
    UU(非圧密非排水)・・・・粘性土の見かけの強度(短期強度)。全応力測定。
    CU(圧密非排水)・・・・粘性土の圧密強度増加を見込む。全応力測定。
    C'U'(実際は「CU」に上線:間隙水圧を測定する圧密非排水)・・・・間隙水圧も測定するため有効応力の測定が可能。
    CD(圧密排水)・・・・砂質土の強度を測定するのに適している。有効応力測定。

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