2025.4.18最終更新

2025(令和7)年度作問

Ⅰ-1 

 我が国では地方を中心に、人口減少・少子高齢化、過疎化・東京圏への一極集中、地域産業の空洞化といった問題に直面している。こうした問題を解決するため、これまでの地方創生の成果を最大限に活用しつつ、地方活性化を図っていくことが求められる。他方、近年のデジタル化の進展は目を見張るものがあり、国際社会や企業活動、そして一人ひとりのライフスタイルに至るまで、そのありようを変化させている。このことを踏まえ、デジタル実装を通じて地方が抱える課題を解決し、誰一人取り残されずすべての人がデジタル化のメリットを享受できる心豊かな暮らしを実現することが求められている。このような状況を踏まえ、以下の問いに答えよ。

(1)   デジタル実装を通じて地方が抱える課題を解決するために、投入できる人員や予算に限りがあることを前提に、技術者としての立場で多面的な観点から3つ課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、課題の内容を示せ。(※)
 (※)解答の際には必ず観点を述べてから課題を示せ
(2)   (1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)   (2)で提示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクおよびそれへの対策について述ベよ。
(4)   (1)~(3)を業務として遂行するに当たり必要となる要件を、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から述べよ。

Ⅰ-2

 建設業における人手不足は、高齢化に加えて、職人不足と後継者不足が同時に進行しており、2050年には建設業の労働人口が約90万人不足すると予測されている。さらに2024年度からは時間外労働の上限時間適用がスタートし、働き方改革は待ったなしの状況である。その一方で、建設業の許可業者数は増勢に転じている。国土強靱化やインフラメンテナンスといった従来からの需要に加え、都心や地方での再開発も動き出し、コロナ禍の低迷から受注環境は民間中心に徐々に回復している。このように建設需要が拡大する中、デジタル技術も積極的に活用して働き方改革を進めていくことが求められていることを踏まえて、以下の問いに答えよ。

(1)   建設業における働き方改革を進めるにあたり、投入できる人員や予算に限りがあることを前提に、技術者としての立場で多面的な観点から3つ課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、課題の内容を示せ。(※)
(※)解答の際には必ず観点を述べてから課題を示せ
(2)  (1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)  (2)で提示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクおよびそれへの対策について述ベよ。
(4)  (1)~(3)を業務として遂行するに当たり必要となる要件を、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から述べよ。 


2024(令和6)年度作問 

Ⅰ-1 

 我が国は現在、人口減少による地域の足の衰退や担い手不足、気候変動に伴う災害の激甚化・頻発化、脱炭素化等の課題を抱えており、地域社会さらには国全体の持続性を確保するため、分野横断的な課題解決に取り組む必要に迫られている。他方、近年のデジタル化の進展は目を見張る者があり、国際社会や企業活動、そして一人ひとりのライフスタイルに至るまで、そのありようを変化させている。このことを踏まえ、国民の生命・財産を守る防災、日々の生活に密着した交通・まちづくり、暮らしや社会を支える物流・インフラ、そして行政手続のデジタル化など、「国土交通分野のデジタル化」は、持続可能で活力ある豊かな暮らしと社会を形作る上で必要不可欠である。このような状況を踏まえ、以下の問いに答えよ。

(1) 国土交通分野のデジタル化を進めていくに当たり、技術者としての立場で多面的な観点から課題を3つ抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、課題の内容を示せ。
(2) (1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3) (2)で提示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクおよびそれへの対策について述ベよ。
(4) (1)~(3)を業務として遂行するに当たり必要となる要件を、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から述べよ。

Ⅰ-2 

 「働き方改革関連法」により、時間外労働の上限時間は月45時間、年360時間に規制されているが、建設業では長年にわたり長時間労働が常態化していたため急激な労働環境変化が困難と判断されたことから、医師や自動車運転業務などとともに5年間の猶予期間が設けられていた。その猶予が期限を迎え、2024年度からは適用がスタートする。その一方で、建設業では人手不足が深刻で、2050年には建設業の労働人口が約90万人不足すると予測されている。国土強靱化やインフラメンテナンスなど建設需要が拡大する中、働き方改革に対応しつつ担い手を確保していくことが求められていることを踏まえて、以下の問いに答えよ。

(1) 建設業における働き方改革を進めるにあたり、技術者としての立場で多面的な観点から課題を3つ抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、課題の内容を示せ。
(2) (1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3) (2)で提示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクおよびそれへの対策について述ベよ。
(4) (1)~(3)を業務として遂行するに当たり必要となる要件を、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から述べよ。

2023(令和5)年度作問 

Ⅰ-1 

 新型コロナウィルス感染症の中、テレワークなどの新しい働き方が普及するとともに大都市圏から地方への移住の動きが見られるなど、働き方や住まい方の変化の兆しがみられる。その一方で地方都市は地域の存続基盤として重要な地域公共交通の存続が危ぶまれるなどしている。急速に発達するデジタル技術の活用も含めて、地域社会を持続可能で暮らしやすい社会社会とすることが強く求められている。このような状況を踏まえ、以下の問いに答えよ。

(1) 地域社会を持続可能で暮らしやすい社会を目指すに当たり、技術者としての立場で多面的な観点から課題を3つ抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、課題の内容を示せ。
(2) (1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3) (2)で提示したすべての解決策を実行して生じる波及効果と新たに生じうるリスクおよびそれへの対策について述ベよ。
(4) (1)~(3)を業務として遂行するに当たり必要となる要件を、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から述べよ。

 

Ⅰ-2 

 我が国の社会資本は、その多くが高度経済成長期以降に整備され、今後、建設から50 年以上経過する施設の割合は加速度的に増加することが確実である。そこで国土交通省では予防保全による戦略的インフラメンテナンスの取り組みを進めてきたが、小規模な市区町村を中心に予防保全への転換が遅れており、また事後保全段階にある施設が依然として多数存在し、それらの補修・修繕に着手できていないものがある。このような状況を踏まえ、これからは個々のインフラメンテナンスを適切に行うことに加え、複数・多分野のインフラを局所的ではなく広域の地域インフラとして捉え、総合的かつ多角的な視点でマネジメントする観点が非常に重要となってくることを踏まえて、以下の問いに答えよ。

(1) 地方自治体におけるインフラ群の戦略的なマネジメントに関して、技術者としての立場で多面的な観点から課題を3つ抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、課題の内容を示せ。
(2) (1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3) (2)で提示したすべての解決策を実行して生じる波及効果と新たに生じうるリスクおよびそれへの対策について述ベよ。
(4) (1)~(3)を業務として遂行するに当たり必要となる要件を、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から述べよ。

2022(令和4)年度作問 

Ⅰ-1 

 新型コロナウィルス感染症の影響で、観光関係業界、交通関係業界等を中心に、利用者数や予約が大幅に減少し、経営に極めて大きな影響が出ている。特に地域の存続基盤として重要な地域公共交通は、コロナ禍以前から経営が困難化していたが、コロナ禍により利用者がさらに減少しているとともに、コロナ禍収束後においてもコロナ禍以前と同等まで回復しないおそれがあるなど、経営環境が非常に厳しい状況となっている。これにより、人口減少及び都市集中と相まって、生活必需サービスの維持が困難となり、地域の存続自体も危うくなるおそれがある。このような状況を受けて、地域公共交通の持続性を確保することが喫緊の課題となっている。このような状況を踏まえ、以下の問いに答えよ。

(1) 地域公共交通維持に向けて、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。
(2) (1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3) (2)で提示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述ベよ。
(4) (1)~(3)を業務として遂行するに当たり必要となる要件を、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から述べよ。

Ⅰ-2 

 我が国は現在、人口減少の中で地方から大都市圏への人口流出が進んでおり、人口減少が続く地方では今後、医療、福祉、買物、物流など生活に必要な機能・サービスの持続性が困難になってくると予測される。さらに気候変動の影響による風水害の激甚化など、安全安心の確保にも懸念が増している。その一方で、新型コロナウィルス感染症等を経て、テレワークや二地域居住など新しい働き方・住まい方も広がりつつあり、地域社会を持続可能で暮らしやすい社会社会とすることが強く求められている。このような状況を踏まえ、以下の問いに答えよ。

(1) 地域社会を持続可能で暮らしやすい社会社会とするために、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。
(2) (1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3) (2)で提示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述ベよ。
(4) (1)~(3)を業務として遂行するに当たり必要となる要件を、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から述べよ。