最終更新:2026.06.24

  • 防災減災やインフラ老朽化、デジタル技術、SDGs、まちづくりなどの社会的重要課題に関する現状と課題、その対応方策などが問われます。
  • 試験時間は問題4-1・問題4-2とともに試験Bの130分です(試験Bの中で各問題を行ったり来たりすることはできます)。従来は問題2も合わせて3時間35分(215分)だったものが、問題2を除いただけで130分になったのですから、著しく時間が短くなったといえます。
  • 1,600字以内の記述問題(入力練習用のフォームはこちら
  • ウェイト:推定20~30%
  • 公表済み問題は6問で、以下のとおりです。

1)地方公共団体のインフラの老朽化に対するインフラマネジメントのあり方

設問①、②について、1200〜1600字の間で記述しなさい。次の10個の⽤語「⽼朽化」「人口減少」「地方公共団体」「インフラの再構築」「マネジメントサイクル」「広域連携」「多様な契約方式」「群マネ」「官民連携」「新技術」の中から4つ以上を⽤いて記述しなさい。
記述⽂中で⽤いた⽤語は「 」で囲んで記述すること。
⽤語は①、②の全体を通して(「①のみ」「②のみ」「①、②併せて」のいずれも可)、4つ以上を⽤いていればよい。
① 地方公共団体のインフラ老朽化を取り巻く現状と課題
② 地方公共団体のインフラマネジメントのあり⽅について
※2025年度の(3)に近い問題ですが、群マネやインフラ再構築、多様な契約方式なども含んでいるので、新規問題として考えたほうがいいでしょう。

(2)安全・安心な国土づくり

設問①、②について、1200~1600 字の間で記述しなさい。次の12個の用語「巨大災害」「マネジメント」「サプライチェーン」「インフラ」「国土強靭化」「ハード対策」「ソフト対策」「災害に強いまちづくり」「渇水」「火災」「事前復興まちづくり」「官民連携」の中から4つ以上を用いて記述しなさい。
記述文中で用いた用語は「 」で囲んで記述すること。

語は①、②の全体を通して(「①のみ」「②のみ」「①、②併せて」のいずれも可)、4つ以上を用 いていればよい。
① わが国における安全・安心な国土づくりに向けた課題
② 安全・安心な国土づくりに向けた防災・減災及びまちづくりのあり方
※2024年度の(6)と類似のテーマですが、「渇水」「火災」「事前防災」「官民連携」といった新キーワードが増えており、想定するハザードの幅が広がっていると思われるので、2024年度と同じような答案では不十分と思われます。

(3)SDGsへの取り組み

設問①、②について、1200~1600 字の間で記述しなさい。次の7個の用語「飢餓」「水循環」「エネルギー」「技術革新」「まちづくり」「気候変動」「生物多様性」のなかから4つ以上を用いて記述しなさい。
記述文中で用いた用語は「 」で囲んで記述すること。
用語は①、②の全体を通して(「①のみ」「②のみ」「①、②併せて」のいずれも可)、4つ以上を用 いていればよい。
① SDGsの17 の目標と関連する我が国における社会課題
② 社会課題の解決に向けた建設コンサルタントの役割
※2024年度の(5)がキーワードまで含めて同じ問題です。

(4)AI技術の活用と成果品の品質向上

設問①、②について、業務遂行能力の観点から、1200~1600 字の間で記述しなさい。次の12個の用語「建設コンサルタントの役割」「業務の効率化」「生産性向上」「信頼性」「品質管理」「照査体制」「エラー防止」「建設DX」「技術継承」「判断支援」「情報セキュリティ」「リスクと対策」の中から4つ以上を用いて記述しなさい。
記述文中で用いた用語は「 」で囲んで記述すること。
用語は①、②の全体を通して(「①のみ」「②のみ」「①、②併せて」のいずれも可)、4つ以上を用 いていればよい。
① 成果品の品質向上における現状と課題
② 成果品の品質向上に向けて、AI技術活用の可能性について
※2025年度の(6)ICT,IoT,AI 技術の利活⽤、2024年度の(3)設計成果の品質向上を組み合わせたようなテーマですが、キーワードが全く異なり、生成AIを含めて考える新規問題として考えたほうがいいでしょう。

(5)国際競争力の強化

設問①、②について、1200〜1600 字の間で記述しなさい。次の10 個の用語「都市課題」「技術基準」「国際標準」「国際建設契約」「ODA」「官民連携」「インフラ輸出」「復興」「防災」「人材育成」の中から4つ以上を用いて記述しなさい。
記述文中で用いた用語は「 」で囲んで記述すること。
用語は①、②の全体を通して(「①のみ」「②のみ」「①、②併せて」のいずれも可)、4つ以上を用いていればよい。
①我が国の建設コンサルタントの国際競争の現状と課題
②我が国の建設コンサルタントの国際競争への参入に向けた取り組み
※2025年度の(2)がキーワードまで含めて同じですが、「業務遂行能力の観点から」という言葉が入ってきています。

(6)BIM/CIMの適用

設問①、②について、業務遂行能力の観点から、1200~1600 字の間で記述しなさい。次の8つの用語「3次元モデル」「電子納品」「BIM/CIMの活用目的」「生産性向上」「フロントローディング」「デジタルトランスフォーメーション(DX)」「データ連携」及び「プロセス改革」のなかから 4つ以上を用いて記述しなさい。記述文中で用いた用語は「 」で囲んで記述すること。
用語は①、②の全体を通して(「①のみ」「②のみ」「①、②併せて」のいずれも可)、4つ以上を用いていればよい。
①BIM/CIMの適用により期待される効果
②BIM/CIMの適用にむけて克服すべき課題
※2024年度の(4)がキーワードまで含めて同じですが、「業務遂行能力の観点から」という言葉が入ってきています。

1.答案準備の基本的考え方

問題3は6問中1問が出題されるため、この答案を全部準備して記憶していくのは大変だし非効率的です。このため、課題と提案の項目と項目ごとの書くべきキーワードからなる骨子を作って記憶し、文章そのものは当日試験会場で作成するようにすることをお勧めします。
 ただ、全くゼロベースで文章を試験当日に作るのは大変だと思うので、骨子を使って文章を作るトレーニングは何度か行なっておく必要はあると思います。
 ただし、そのようにして文章を作成した場合でも、その文章を丸暗記することはやめましょう。なぜなら骨子から文章を作成する作業はロジックやストーリーといったものを「考える」作業ですから、文章を多少忘れても元となる骨子をしっかり覚えていればどうにかなりますが、文章丸暗記は文字面を「覚える」作業であり、もうそこにはロジックやストーリーがなくなってしまうので、一部を忘れてしまって抜け落ちやおかしな表現が出てくると、全体のロジックやストーリーがおかしくなってしまい、高得点が期待できなくなるからです。

だいたいにおいて丸暗記に走ろうとする人は、ロジックやストーリーを理解する力が不足していることが多いので、丸暗記した文章の一部が変わってロジックやストーリーがおかしくなって「似たような言葉が使われていても、文章の意味合いが全く変わってしまっている」状態になっても、そのことに気がつかない・理解できないのです。
 
もし自分がそういうタイプだと思うのであれば、ロジックやストーリーに弱いとコンサル業務でもいい仕事ができませんから、この試験を機会に技術者としてステップアップすることを目指しましょう。

骨子作りは次の手順で行います。

①キーワードを、

・ネガティブなもの:好ましくない現状や予想される状況などに関するワード
・ポジティブなもの:実施すべき施策取組みなどに関するワード
・その中間的なもの:課題にも対応策にも使えそうなワード

の3つに分類する。ネガティブなものは課題に、ポジティブなものは対応策に割り振る。中間的なものはとりあえず課題にも対応策にも割り振らない。


②割り振ったキーワードから、実際の施策・取組みや問題となるワードを導く。これが課題や対応策の項目名になってくる。
(例:「ハード対策」「ソフト対策」「防災&減災」からハードとソフトを一体化した多重防御、あるいはハードソフトベストミックスといった施策に関するワードを考える)
キーワードが項目名そのものに含まれるようであればなおよい。

③その項目名と対になるワードを考える。項目名のワードを裏返して考えるとよい。課題に関する項目名に対して考えたのであれば対応策の、対応策に関する項目名に対して考えたのであれば課題の項目名となる。(例:ハードとソフトを一体化した多重防御に対してであれば、「ハード対策の限界」とかいったワードになる)

④このようにして、課題と対応策のペアを2つから3つ程度考える。これで骨子は完成。

この骨子を元に答案を作成するわけですが、全体で1600字という制限の中で、各項目に何文字程度割り当てられるかを考え、その文字数枠に応じた文章を考えるトレーニングを積むことをお勧めします。
紙の答案用紙に書いていた時代なら「何行」という目安で考えられたのですが、 CBTではちょっと難しく、おそらく答案入力フォームは「1行何文字」ではなく「全部で何文字」という制限しかないと思われます。そして画面上で1行何文字になるかはディスプレイの解像度次第で、さらにユーザーが画面ズームをできるような仕様の場合はもっと自由に1行の文字数を変えられてしまうので、行数ではなく文字数で考えておくしかないと思われます。
こういったことから、文字数に相当する文章がどういった内容の、どういったボリューム感のあるものなのかをトレーニングの繰り返しの中で身につけることがお勧めになってきます。

2.答案の構成

問題3は、大きく①課題、②その対応策という2部構成になっているだけで、問題1のように項目名が細かく決まってはいません。課題や対応策の書き方は自由ですが、それだけに答案の構成で差がつくことが考えられます。つまり章立てが大切だということで、大項目・中項目というように入れ子構造にした章構成、箇条書きの活用による簡潔明瞭な論述に留意してください。

一方、答案は1,600字以内で、改行もするので、それほど多くのことは書けません。ということは、入れ子構造にしたうえで、短文(箇条書きというほどではないが、接続詞で文章をつないでいった長文とも違う、1つの項目に1つの事柄だけを述べたもの)を並べるようにすれば、省力的に(つまりあまり多くのことを書かなくても)答案を作成することができます。例えば以下のような構成です。

ここでインデントもできるといっそう読みやすくなるのですが、実際の試験ではCBTのシステム制限上、インデントはできないと思われます。ただ行等を1文字字下げすると少し読みやすくなりますが、スペースも1文字カウントされるので、注意してください。

答案の構成

①●●の課題
(1) ▲▲▲(課題の1つ目)
・□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
・□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
(2) ■■■(課題の2つ目)
・□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
・□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
(3) ◆◆◆(課題の3つ目)
・□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
・□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
②●●の課題への対応のあり方
(1) ▲▲▲(対応策の1つ目)
・□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
・□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
(2) ■■■(対応策の2つ目)
・□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
・□□□□□□□□□□□□□□□
(3) ◆◆◆(対応策の3つ目)
・□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
・□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

このように、答案は入れ子構造と行頭に段落記号(上記の場合は「・」を入れた短文のみから構成することができます。行末に空白が多く、記述量をあまり多くせずに簡潔明瞭な答案が賭けます。また、大項目や中項目ごとに空行を入れてもかまいません。
このとき注意しないといけないのは、課題とあり方の各項目(上記(1)(2)(3))は1対1に対応していなければならないことです。課題の(1)とあり方の(1)が別のことについて述べていたり、課題が3つあるのにあり方は2つしかないなどといったことはあってはいけません。

3.各問題の答案骨子の考え方

お断り
6月24日に2026年度の問題が公表されました。すぐにコンテンツ作成に取り掛かっていますが、少し時間がかかります。WordPressの特性上、完成するまで非公開にはできないので、途中段階で公開しています。このメッセージがなくなったら完成したんだと思ってください。

注意

文例集ご利用上の注意

  • 極めて当たり前のことではありますが、このページに掲載の骨子をそのまま丸パクリして答案を作成するといった技術者倫理に抵触するような行為は厳にお慎みください。
  • 文例そのものではなく解説の内容をじっくりとお読みいただき、突破マニュアルの解説も含めて理解を深め、自分自身の言葉で答案を作成していただきたいと思います。
(1)地方公共団体のインフラの老朽化に対するインフラマネジメントのあり方
問題文

設問①、②について、1200〜1600字の間で記述しなさい。次の10個の⽤語「⽼朽化」「人口減少」「地方公共団体」「インフラの再構築」「マネジメントサイクル」「広域連携」「多様な契約方式」「群マネ」「官民連携」「新技術」の中から4つ以上を⽤いて記述しなさい。
記述⽂中で⽤いた⽤語は「 」で囲んで記述すること。
⽤語は①、②の全体を通して(「①のみ」「②のみ」「①、②併せて」のいずれも可)、4つ以上を⽤いていればよい。
① 地方公共団体のインフラ老朽化を取り巻く現状と課題
② 地方公共団体のインフラマネジメントのあり⽅について


テーマに関する基本知識
  • 我が国のインフラの多くは高度経済成長期に構築したため、50年以上経過した老朽化インフラが今後急速に増加
  • 従来の構造物の損傷が顕在化してから補修する事後保全型では割高になるとともに時期のコントロールもできず、体系的管理ができなかったので、2013年度を「インフラメンテナンス元年」と位置づけ、管理基準値を決めて点検・診断を行うことにより劣化状況を把握し、損傷する前に補修・更新等を行う予防保全に転換。具体的には優先順位をつけて予算の範囲内で順繰りに補修更新をしていくインフラ長寿命化計画を各地方公共団体が策定し、点検・診断、計画、措置(修繕・更新)、記録の4段階を繰り返すマネジメントサイクルで管理していくこととした。
  • しかし人口減少・少子高齢化時代のなか、地方公共団体にはマンパワーや予算不足でインフラ長寿命化計画が策定できず予防保全への転換ができないところも多い。これを受けて国交省はインフラメンテナンス第2フェーズ「地域インフラ群再生戦略マネジメント」(群マネ)への移行を提唱。ここでは以下のような施策が提唱されている。
    • 自治体の枠を超え広域連携して、複数・他分野の施設を「群」としてまとめて捉えて戦略的に維持管理
    • 地域の将来像に合わせてインフラの維持、補修・修繕、更新、集約・再編、新設等を適切に実施するインフラの再構築を行う
    • 複数年契約、包括的民間委託、地域維持型契約方式、単価契約・総価契約など多様な契約方式で自治体負担軽減を図るとともに、
    • 官民連携により、ドローンで撮影した画像をAI解析するなどのデジタル技術を活用した新技術を積極的に導入

問題の解説と骨子

まずキーワードを分類すると下表のようになります。

ネガィブなキーワードポジティブなキーワード中間的なキーワード
老朽化
人口減少
インフラの再構築
マネジメントサイクル
広域連携
多様な契約方式
群マネ
官民連携
新技術
地方公共団体

ポジティブなキーワードが圧倒的に多いので施策から考えていくといいのですが、前述した基礎知識のように、

  1. 予防保全への転換(マネジメントサイクルの実行)を提唱
  2. しかし地方公共団体では人員・予算不足によりこれを実行できていない
  3. そこで群マネを提唱

というストーリーを根幹に据えるといいでしょう。そして群マネの具体策である広域連携、インフラ再構築、多様な契約方式、新技術の4つを対応策としてあげるとまとまりがいいでしょう。

ですから課題と対応策の対応は、
(課題)予防保全への転換が地方公共団体でなかなかできていない
(対応策)群マネ
という1対1の組み合わせになり、骨子はシンプルなものになるでしょう。

(骨子例)

現状と課題インフラマネジメントのあり⽅
マネジメントサイクルによる維持管理が実行できていない
・我が国インフラは老朽化が進み、従来の事後保全では補修経費が割高&補修更新時期がコントロールできないので適切な維持管理ができない
・そのため事後保全から予防保全に転換し、インフラ長寿命化計画に基づきマネジメントサイクルを回すことが必要 
・しかし多くの地方公共団体人口減少の中で人員・予算不足でこれが困難
群マネの実行
・自治体の枠を超え広域連携して、複数・他分野の施設を「群」としてまとめて捉えて戦略的に維持管理
・地域の将来像に合わせてインフラの維持、補修・修繕、更新、集約・再編、新設等を適切に実施するインフラの再構築を行う
・複数年契約、包括的民間委託、地域維持型契約方式、単価契約・総価契約など多様な契約方式で自治体負担軽減を図る
官民連携により、ドローンで撮影した画像をAI解析するなどのデジタル技術を活用した新技術を積極的に導入

この問題のポイント

  • 2013年の話をしないように
    インフラメンテナンスは、事後保全から予防保全に転換するという施策を「インフラメンテナンス元年」として打ち出した2013年と、それが10年たっても地方自治体でうまくいかないので第2弾として群マネ(地域インフラ群再生戦略マネジメント)を打ち出した2023年の2段階があり、この問題は明確に後者の内容を求めています。したがって、事後保全ではダメだから予防保全に転換するといった2023年の話をしてしまわないように注意してください。
  • 「新技術」や「インフラの再構築」などを群マネと切り離して論じないように
    キーワード「新技術」だけに着目してしまうと、ドローンやAIを活用した点検という話にしかなりません。また「インフラの再構築」だけであれば、第6次社会資本整備重点計画の「地域の将来像を踏まえたインフラの再構築」の内容も同様ですから、こちらの話になるかもしれません。
    しかしそのような話になると群マネとは別の話になって、課題との整合性や対応策全体の枠組みなどロジックがおかしくなりやすいので、設問2は全て群マネという枠の中で論じるようにした方がいいでしょう。
  • 無理にキーワードを全部使わなくてもいい
    この問題はキーワードが10個あってかなり多いので、無理に全部使わなくてもいいと思います。無理をするとロジックはおかしくなったりする懸念があります。
(2)安全・安心な国土づくり
問題文

設問①、②について、1200~1600 字の間で記述しなさい。次の12個の用語「巨大災害」「マネジメント」「サプライチェーン」「インフラ」「国土強靭化」「ハード対策」「ソフト対策」「災害に強いまちづくり」「渇水」「火災」「事前復興まちづくり」「官民連携」の中から4つ以上を用いて記述しなさい。
記述文中で用いた用語は「 」で囲んで記述すること。
用語は①、②の全体を通して(「①のみ」「②のみ」「①、②併せて」のいずれも可)、4つ以上を用いていればよい。
① わが国における安全・安心な国土づくりに向けた課題
② 安全・安心な国土づくりに向けた防災・減災及びまちづくりのあり方


テーマに関する基本知識
  • 気候変動に伴う集中豪雨に伴う出水、大地震に伴う津波など、巨大災害では現行施設能力を上回る事象、超過外力が作用し、従来の防災インフラだけで国民の安全安心は守り切れない。そこで、事前防災災害に強いまちづくりサプライチェーンの確保により、国土強靱化を進める必要がある。
  • 事前防災
    巨大災害に伴う想定外事象を、ハード対策ソフト対策を一体化して進める。ハード対策は希有な超過外力に対する粘り強い構造(危機管理型ハード)やダム再生等既存ストック効果の最大化により、災害リスク低減や避難時間の確保を図る。また予防保全によるインフラマネジメントにより能力喪失を防ぐ。ソフト対策はわかりやすいハザードマップやマイ・タイムライン等により、確実な避難行動が取れるようにする。
  • 災害に強いまちづくり
    立地適正化計画に防災指針を導入し、災害リスクの低いエリアへの居住地や都市機能に係わる重要インフラを誘導する。
    また、発生しうる災害による被災の分布や規模を想定し、復興後の空間を計画する事前復興まちづくり計画の策定を推進する。
    また木造家屋密集地帯など大地震時に大規模火災が発生しやすいエリアは、建築物の耐震化・不燃化や土地区画整理事業による住宅集約と道路拡幅により道路を延焼防止帯とするなどの対策を講じる。
  • サプライチェーン確保)
    巨大災害に伴って物流幹線・緊急避難道路の被災に伴うサプライチェーン寸断により、生活物資が届かなくなったり、物流が滞ったりして、国民経済・生活への影響が規模としても地域としても拡大するため、物流幹線・緊急輸送道路の耐震化や落橋防止、迂回路(特に高速道路のネットワーク化)等のリダンダンシー確保、官民連携による物資輸送の体制強化など、サプライチェーンに関わる生産活動を継続するBCPの策定が必要。
  • これらとは別の問題として渇水がある。気候変動により気象の極端化が進み、旱天日数が増加してダム枯渇等の渇水頻発化が懸念される。対応策としては、利水ダム建設の他には森林再生による水源涵養林の保水能力の向上などがある。
問題の解説と骨子

まずキーワードを分類すると下表のようになります。

ネガィブなキーワードポジティブなキーワード中間的なキーワード
巨大災害
渇水
火災
国土強靭化
ハード対策
ソフト対策
災害に強いまちづくり
事前復興まちづくり
官民連携
マネジメント
サプライチェーン
インフラ

ポジティブなキーワードが圧倒的に多いので施策から考えていくといいのですが、前述した基礎知識のように、巨大災害に対して事前防災・災害に強いまちづくり・サプライチェーンの確保という3つの施策により、国土強靱化を進めるというストーリーが基本になります。さらに「渇水」は気候変動の影響として、「火災」は大地震に伴う被害として木造家屋密集地帯にからめて整理すれば、キーワードを全部使うことができると思います。

(骨子例)

課題防災・減災及びまちづくりのあり方
防災インフラの限界
気候変動に伴う集中豪雨に伴う出水、大地震に伴う津波など、巨大災害では現行施設能力を上回る事象、超過外力が作用し、従来の防災インフラだけで国民の安全安心は守り切れない
気候変動に伴う渇水が顕在化→生活用水や工業・農業用水の不足、生態系破壊などの被害
ハード対策ソフト対策一体となった事前防災
ハード対策は危機管理型ハードや既存ストック効果の最大化で災害リスク低減や避難時間を確保し、予防保全によるインフラマネジメントにより能力喪失を防ぐ
ソフト対策はわかりやすいハザードマップやマイ・タイムライン等により、確実な避難行動が取れるようにする
渇水対策→水資源安定確保(ダム再開発と連携強化、雨水再利用・工場排水循環等の代替水源確保など)、水需要管理策(農業用水のパイプライン化によるロス削減など)
災害に対して脆弱な都市構造
都市構造の拡散に伴う、災害リスクの高い地域での居住・都市重要インフラの立地が被害を拡大
大地震に伴う大規模火災が予想→木造家屋密集地帯では建築物の耐震化・不燃化が進んでおらず道路も狭いため延焼しやすい
災害に強いまちづくり
立地適正化計画に防災指針を導入→災害リスクの低いエリアへの居住地や都市重要インフラを誘導
発生しうる災害による被災の分布や規模を想定し、復興後の空間を計画する事前復興まちづくり計画の策定を推進する
木造家屋密集地帯で土地区画整理事業を展開し、道路の拡幅や公園の新設などにより延焼遮断帯や避難路を面的に形成し、地区計画指定等により建築物の不燃化も進め、火災被害を軽減
サプライチェーン寸断
・巨大災害に伴って物流幹線・緊急避難道路の被災に伴うサプライチェーン寸断により、生活物資が届かなくなったり、物流が滞ったりして、国民経済・生活への影響が規模としても地域としても拡大する
サプライチェーン確保
物流幹線・緊急輸送道路の耐震化や落橋防止、迂回路(特に高速道路のネットワーク化)等のリダンダンシー確保、官民連携による物資輸送の体制強化など、サプライチェーンに関わる生産活動を継続するBCPの策定が必要

この問題のポイント

  • 渇水と火災をどう扱うか
    キーワードのうち「渇水」と「火災」をどう扱うのかが難しい問題です。というか、これらのキーワードも網羅しようとすると、どうしても内容が冗長になったりピントがボケてきたりします。
    上記骨子では「火災」を木造家屋密集地帯の大規模火災リスクとして扱っていますが、この対策も土地区画整理事業に寄る道路用地確保だけでなく住宅の耐震化・不燃化とか様々な対応策があります。
    また「渇水」は、気候変動→気温上昇→降水頻度減少→局地的な集中豪雨と長期間の無降水日数の増加という仕組みで、集中豪雨と表裏一体の関係にあります。ただ水害とは逆の減少であるため、きちんと区別してうまく書かないと、おかしな内容になってしまいます。ここがうなく処理できないなら渇水の項目はカットしたほうがいいように思います。
(3)SDGsへの取り組み
問題文

設問①、②について、1200~1600 字の間で記述しなさい。次の7個の用語「飢餓」「水循環」「エネルギー」「技術革新」「まちづくり」「気候変動」「生物多様性」のなかから4つ以上を用いて記述しなさい。
記述文中で用いた用語は「 」で囲んで記述すること。
用語は①、②の全体を通して(「①のみ」「②のみ」「①、②併せて」のいずれも可)、4つ以上を用 いていればよい。
① SDGsの17 の目標と関連する我が国における社会課題
② 社会課題の解決に向けた建設コンサルタントの役割


テーマに関する基本知識
  • SDGsはSustainable Development Goals:持続可能な開発目標。我が国ではどちらかというと環境保全の目標という印象が強いが、国連では「地球上の誰一人として取り残さない」という誓い、世界の貧困層を見捨てないというだけの意味ではなく、世界・社会のあらゆる層が問題の解決に参加し、地球の未来に貢献することを求めるといった非常に高い理念になっている。
  • そしてそれを実現するためには、地球という大きな視野でとらえた、環境保全という理念と取り組みが必要だと考える。SDGsが目的とする「持続可能な世界」とは、人類による地球環境の保全と利用、消費と再生とがバランスを保ち、人と自然の共存が実現できた世界だという考え方である。
  • 今回の問題はキーワードが17の目標のどれかに対応するように作られているようなので、それに関する内容をまとめておく。
    • ゴール2:「飢餓をゼロに」…飢餓
      食料安定確保・栄養状態の改善・持続可能な農業。持続可能な農業のことを念頭に置いている?
    • ゴール6「安全な水とトイレを世界中に」…水循環
      雨水・地下水・上水・下水といった水循環の確保、安全でおいしい水を念頭に置いている?
    • ゴール7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」…エネルギー
      再生可能エネルギーの導入・拡大を念頭に置いていると思われる。
    • ゴール9「産業と技術革新の基盤をつくろう」…技術革新
      ICT/IoT・AI等を中心とした技術革新、建設DXあるいは各種イノベーションを念頭に置いていると思われる。
    • ゴール11「住み続けられるまちづくりを」…まちづくり
      コンパクト+ネットワーク、もしかするとスマートシティを念頭に置いていると思われる。
    • ゴール13「気候変動に具体的な対策を」…気候変動
      温暖化緩和策・適応策を念頭に置いていると思われる。特にカーボンニュートラルか。
    • ゴール14・15「海の豊かさを守ろう」「陸の豊かさも守ろう」…生物多様性
      特にゴール15(陸の豊かさ)のほうに「生物多様性損失の阻止を図る」とあるので、そちらを中心に考えればいいと思われる。生物多様性第一の危機・第二の危機を中心に。
問題の解説と骨子

この問題はSDGsのゴールごとに割り当てられた7つのキーワードを含めた課題をあげて解決策をあげ、その中での建設コンサルの役割を書くことになると思われます。ですからネガティブ・ポジティブなキーワードという分類ではなく、課題ごとの分類としたほうがいいですね。
農業のことを言っているかな?という「飢餓」と里地里山につながる「生物多様性」というキーワードから里地里山でくくれるかなと思います。森林荒廃→災害激甚化という視点では「気候変動」も盛り込めるでしょう。また水源涵養という点で「水循環」もくっつけられるかなと思います。建設コンサルの役割としては生態系に配慮した中山間地域の地域づくり計画などがあるでしょう。
さらには「まちづくり」というモロに建設分野のキーワードがありますので、まちづくりを課題にあげて、コンパクト+ネットワークにもっていけば建設コンサルの役割も簡単に出てきますね。
そして「エネルギー」「気候変動」「技術革新」はセットにできるでしょう。温暖化緩和策→再生可能エネルギー→イノベーションと話をつなげるといいですね。

(骨子例)

社会的課題建設コンサルタントの役割
中山間地域の過疎化と荒廃(ゴール2・6・13・14・15)
・大都市圏への人口集中の中で地方の中山間地は過疎化が進行、里地里山荒廃等による生物多様性危機、水源涵養機能の衰退による健全な水循環喪失、気候変動に伴う災害激甚化が懸念。食糧供給機能低下で食糧安保上、将来は飢餓の懸念も
持続可能な地域づくり
・持続可能な農林業を再生することで里地里山荒廃を防止、生物多様性の保全、食料安定供給などの生態系サービス確保に寄与、健全な水循環のための地下水涵養機能確保、豪雨時の雨水流出抑制
<建コンの役割>農地基盤整備計画や水理計画、林道計画、治山治水計画など
都市のスポンジ化(ゴール11)
・経済成長期にスプロール化した都市のスポンジ化が進み持続性に懸念
コンパクト+ネットワーク
・都市構造を集約し公共交通で結ぶ
<建コンの役割>
まちづくり計画、マネジメント
化石燃料依存のエネルギー(ゴール7・9)
・化石燃料エネルギーに依存は温暖化に寄与するとともに経済安保上も不適切
再生可能エネルギーの導入・拡大
・都市圏内外に再生可能エネルギーを導入・拡大し、自立分散型エネルギー源を確保
・VPPやZEH・ZEB等の新技術開発を含め技術革新を進める
<建コンの役割>
自立分散型エネルギーを有し、ICT/IoTの活用により快適に生活できるスマートシティの構築計画・マネジメントなど

この問題のポイント

  • 建設コンサルタントの役割を答える
    通常は設問①が課題で設問②が課題解決策(施策等)を書くのですが、この問題は施策ではなく建設コンサルタントの役割を書くように求めています。従って課題解決策を書いて終わりにしてはいけません。建設コンサルタントの役割を明確に書いてください。
    一方で、課題からいきなり建設コンサルタントの役割に話が飛ぶと、ロジックが繋がらなくなります。従って設問②は、まず課題に対する解決策を書いて、その中で建設コンサルタントはどのような役割を果たせるのかということを書くようにするといいでしょう。
(4)AI技術の活用と成果品の品質向上
問題文

設問①、②について、業務遂行能力の観点から、1200~1600 字の間で記述しなさい。次の12個の用語「建設コンサルタントの役割」「業務の効率化」「生産性向上」「信頼性」「品質管理」「照査体制」「エラー防止」「建設DX」「技術継承」「判断支援」「情報セキュリティ」「リスクと対策」の中から4つ以上を用いて記述しなさい。
記述文中で用いた用語は「 」で囲んで記述すること。
用語は①、②の全体を通して(「①のみ」「②のみ」「①、②併せて」のいずれも可)、4つ以上を用 いていればよい。
① 成果品の品質向上における現状と課題
② 成果品の品質向上に向けて、AI技術活用の可能性について


テーマに関する基本知識
  • 令和7年10月の建コン協会「品質の確保・向上に向けて」セミナー参考資料によれば、品質向上に関する課題として以下のようなものがあげられている。
    • 技術継承の困難(後継者不足とナレッジの属人化)
      ベテラン技術者の退職・引退が進む一方で、新入社員や若手技術者へのスキル・知識の伝達が不十分であり、熟練者が持つ「暗黙知」の継承が途絶する危機にある。
    • 人材不足による品質の低下
      団塊の世代の引退や人口減少に伴う労働人口の減少により、慢性的な技術者不足に陥っており、個々の技術者が抱える業務過多が品質低下の懸念を生んでいる。
    • 検討・照査時間の不足
      残業規制の強化や労働時間の制約、度重なる設計条件の変更等により、十分な検討時間や成果品の照査時間を確保することが困難になっている。
  • この課題への対応およびそこでのAI活用としては、以下のようなものがある。
    • 熟練者のノウハウの形式知化と教育環境の整備
      ベテラン技術者の持つ暗黙知や過去のトラブル・エラー事例、設計の勘どころを解説した「社内独自照査マニュアル」の作成やデータベース化(ポータルサイトやWiki等)を進める。また、講習会を録画してeラーニング(動画コンテンツ)としていつでも視聴できる環境を整える。
    • 組織的な品質管理システム(QMS・照査室)の構築と多段階レビュー
      個人の能力に依存しないよう、現業を持たない専門の「照査室」や「審査チーム」を設置する。業務の節目(着手、中間、最終)にプロジェクトチーム外の熟練技術者を交えた「第三者レビュー」や「複眼チェック」を義務付ける。
      このため業務内容を効率化し、照査技術者が照査に専念できる環境を作る。
    • フロントローディングと受発注者間のスケジュール管理の徹底
      業務の初期段階で「条件明示チェックシート」や「業務スケジュール管理表」を活用し、設計・工程条件を早期に確定させる。また、工期末の1〜2週間前の作業完了を目標に設定し、確実に照査期間をコントロールする。
  • また上記に関連したAI活用としては、以下のようなものが考えられる。
    • 基準書や過去成果品のデータベース検索(ナレッジ管理)の高度化
      膨大な技術基準書、関係法令、過去の不適合(エラー)事例、社内成果品をAIに読み込ませ、対話形式やあいまい検索(RAG等の活用)で瞬時に必要な知見を引き出せる「社内アシスタントAI」の構築が試行されている。ベテラン技術者が不在でも、若手が設計の途中段階で即座にリスクや過去の知見を検索・確認できるため、手戻り防止と技術継承を同時に効率化できる。
    • 生成AIを用いた情報収集・書類作成の高速化
      報告書や提案書のたたき台、行政手続き等に伴う議事録の作成を生成AI(ChatGPTやCopilot等)に担わせることで、内業に係る事務作業時間を大幅に短縮(省力化・高速化)し、照査時間を捻出
    • 単純エラー(不整合・誤記)チェックの自動化による照査時間の創出
      図面、設計計算書、数量計算書の間におけるデータや図面数量の不整合、誤字脱字といった「人為的単純エラー」をAIの画像認識や機械学習を用いて自動検知・自動照査する技術の開発が進められている。これにより、技術者は本質的な技術的判断のレビューに時間を割くことが可能となる。
問題の解説と骨子

まずキーワードを分類すると下表のようになります。

ネガィブなキーワードポジティブなキーワード中間的なキーワード
業務の効率化
生産性向上
信頼性
品質管理
照査体制
エラー防止
建設DX
技術継承
判断支援
情報セキュリティ
リスクと対策
建設コンサルタントの役割

ほぼ全てがポジティブなキーワードですから、これらを使ってどのような取り組みが求められるかをまとめていくといいでしょう。
また、設問①がAIではなく品質向上における課題をあげさせていることから明確なように、この問題のメインテーマはAI活用ではなく品質向上です。従ってあくまで品質向上を中心に話を進めることが求められます。具体的には、まずは品質向上について課題と対応策(あり方)を考えて、そこにAI技術を活用できないものかと考えるという手順がいいでしょう。AI活用から考えていくと業務の効率化とか生産性向上策になり、題意から外れていくと思われます。「業務の効率化」「生産性向上」「建設DX」というキーワードもあるのですが、それは品質向上策をとった結果の副次的効果として扱ったほうがいいでしょう。

(骨子例)

品質向上における現状と課題品質向上に向けAI技術活用の可能性
技術者不足に伴う技術継承危機と品質低下
・従来の品質確保は指導チェックが熟練者のノウハウに依存
・熟練技術者大量退職・入職者低迷で人材不足→業務多忙で若手への技術継承なしに離職し技術力空洞化して暁霧成果の信頼性低下懸念
技術継承を補完するAIによる判断支援
・熟練者の思考をシミュレートする判断支援ツールとしてAI活用
・過去の優良設計成果・熟練者判断データをAI学習→最適工法選定等の技術的判断支援
・若手技術者でも熟練者ノウハウに裏打ちされた高度な検討が可能
業務の高度化・複雑化とマンパワーによる品質管理の限界
・近年は自然災害対応や環境配慮など、社会ニーズが高度化・複雑化→業務内容が高度化・煩雑化
・履行期間内で処理すべき作業量が増大
・従来のマンパワーに頼る目視チェック主体の品質管理では時間やリソースが限界→エラー発生しやすい
自動チェックによるエラー防止品質管理の高度化
・AI技術を組み込んだ設計図書の自動チェックシステムを導入→マンパワーに頼らずエラー防止
・AIに図面や数量計算書を相互チェック→誤記・計算ミス・最新の技術基準との乖離を自動検知
・定型確認をAIが肩代わり→ヒューマンエラー防止→人間は計画・考察業務に集中→業務の効率化生産性向上建設DX実現が期待
照査技術者の慢性的繁忙と既存照査体制の機能不全
・既存の照査体制は主担当者と別の照査技術者が客観的に確認
・照査技術者自身も慢性的繁忙状態→十分な照査時間を確保できていない→納期前の突貫的・形式的な書類チェックにとどまる→設計図書間の不整合や致命的なエラーを摘出できていない
AIによる照査作業の効率化
照査体制効率化のためAIを一次スクリーニングに活用し重点照査すべき箇所を明確化
・ただしリスクと対策として、ハルシネーション対策としてのファクトチェック・熟練者チェックを徹底
・発注者重要データ・個人情報の外部流出を防ぐ高度な情報セキュリティを確保した環境でAI運用

この問題のポイント

  • 業務の効率化・生産性向上が主題ではない
    キーワードに「業務の効率化」・「生産性向上」・「建設DX」が入っているため、「AIを活用して業務を効率化・生産性向上する」みたいな答案を書いてしまいがちですが、あくまで主題は品質向上であり、AIはあくまで品質向上のサポートツールであるという位置づけを忘れてはいけません。
  • 「業務遂行能力の観点」を忘れずに
    問題文には「業務遂行能力の観点で」と明記してありますから、総論として(設問2の冒頭で「以下の方策により業務遂行能力を確保しつつ課題を解決する」みたいな趣旨の文章を入れる)でも、個別の方策の中でもいいので、業務遂行能力確保・向上と課題解決を両立するとか、課題解決が業務遂行能力確保・向上につながるといった趣旨の文章を書きましょう。これをしないと最悪「問題文指示を無視している」と非常に厳しく評価されます。
(5)国際競争力の強化
問題文

設問①、②について、業務遂行能力の観点から、1200〜1600 字の間で記述しなさい。次の10 個の用語「都市課題」「技術基準」「国際標準」「国際建設契約」「ODA」「官⺠連携」「インフラ輸出」「復興」「防災」「⼈材育成」の中から4つ以上を用いて記述しなさい。
記述文中で用いた用語は「 」で囲んで記述すること。
用語は①、②の全体を通して(「①のみ」「②のみ」「①、②併せて」のいずれも可)、4つ以上を用いていればよい。
① 我が国の建設コンサルタントの国際競争の現状と課題
② 我が国の建設コンサルタントの国際競争への参⼊に向けた取り組み


テーマに関する基本知識
  • 令和6年度建設コンサルタント白書の「4-9 海外事業の現状・課題を踏まえた競争力の強化」が出典と思われる。ここでは以下のような課題と対応策が述べられている。
    1. 多様化・拡大する国際市場への参入
      1. ODA以外の業務の拡大
      2. PPP事業への参画
    2. 国際建設契約約款への対応
    3. 今後の市場環境の変化に即した官民連携
    4. 人材育成の強化
      1. 必要能力の向上
      2. ダイパーシティーの推進
      3. 技循者の国内•海外間での相互活用(技術者表彰制度の活用)
  • これらの内容とキーワードからみて、1ー1、2、3、4ー1をベースに答案を用意すると良いと思われる。
問題の解説と骨子

まずキーワードを分類すると下表のようになります。

ネガティブなキーワードポジティブなキーワード中間的なキーワード
都市課題官民連携
インフラ輸出
復興
防災
人材育成
技術基準
国際標準
国際建設契約
ODA

キーワードはポジティブなキーワードと中間的なキーワードですが、中間的キーワードを「それに対応できていない」という形にして課題の方で使うことにします。

前述1-1と3で多様化・拡大する国際市場への参入、2で国際契約約款への対応、4で人材育成について述べることとし、キーワード「都市課題」「復興」「防災」は「インフラ輸出」と合わせて上記3の官民連携以外の部分を使って、我が国のノウハウ・強みを生かすというストーリーにしてみます。

(骨子例)

現状と課題参入に向けた取り組み
多様化・拡大する国際市場への参入
・建設コンサル国際市場における我が国コンサルの業務量はわずかで、ほとんどがODAに依存
・高品質を追求するあまりコスト面の競争力が弱い
ODA以外の業務の拡大、官民連携による海外展開の強化
・選任部署設置・海外コンサルとの提携・M&A等により、国際開発金融機関(MDBs)発注フィージビリティスタディ・設計等業務への参画拡大
ODA活用案件形成、インフラシステム輸出戦略に基づいた政府系金融機関による資金供給・貿易保険活用促進
国際契約約款への対応
国際標準に準拠した契約や技術基準への対応や国際建設契約に関して知識・交渉力が不足
国際標準への適合と国際建設契約の習熟
・国内外研修機関と連携しFIDIC契約条件の理解を深めるプログラム拡充
・レッドブック・シルバーブック・ゴールドブック・イエローブックの各国際建設契約約款の十分な理解と契約管理
都市課題への対応能力
・急激な都市化により顕在化している都市課題復興防災などの分野では我が国のノウハウが強み
・しかし我が国コンサルは個別技術分野には強いが、政策立案から実行までを一貫支援する総合的コンサルティング能力に劣る
インフラ輸出を推進するための戦略的なアプローチ
・商社やゼネコン、金融機関とのコンソーシアムを組成して総合的な提案力を強化
・新興国都市課題解決に資するスマートシティや高効率エネルギーシステム等の分野での先端技術、防災技術や復興支援ノウハウ等我が国強みをパッケージとして提供
人材の国際化
・英語や異文化理解、国際的PM能力を持つ人材が不足
人材育成
・海外留学や国際機関派遣の奨励、海外大学・研究機関との連携強化による人材育成

この問題のポイント

  • 「業務遂行能力の観点」を忘れずに
    問題文には「業務遂行能力の観点で」と明記してありますから、総論として(設問2の冒頭で「以下の方策により業務遂行能力を確保しつつ課題を解決する」みたいな趣旨の文章を入れる)でも、個別の方策の中でもいいので、業務遂行能力確保・向上と課題解決を両立するとか、課題解決が業務遂行能力確保・向上につながるといった趣旨の文章を書きましょう。これをしないと最悪「問題文指示を無視している」と非常に厳しく評価されます。
  • 問題点をきちんと分類
    ODAに依存・国際契約等に弱い・プロジェクトマネジメントに弱い・得意分野を活かせていないなど、切り口のまったく異なる問題点をしっかり考えて、そこから課題やあり方に展開していきましょう。
  • 少しでも独自色を
    日ごろの業務内容などと最もかけ離れたテーマなので、私の文例などと似たような答案が乱立する懸念があります。いろいろ調べて、少しでも独自色を出して、他の答案との差別化を図りましょう。
(6)BIM/CIMの適用
問題文

設問①、②について、業務遂行能力の観点から、1200~1600 字の間で記述しなさい。次の8個の用語「3次元モデル」「電子納品」「BIM/CIM の活用目的」「生産性向上」「フロントローディング」「デジタルトランスフォーメーション(DX)」「データ連携」及び「プロセス改革」のなかから4つ以上を用いて記述しなさい。
記述文中で用いた用語は「 」で囲んで記述すること。
用語は①、②の全体を通して(「①のみ」「②のみ」「①、②併せて」のいずれも可)、4つ以上を用いていればよい。
① BIM/CIM の適用により期待される効果
② BIM/CIM の適用にむけて克服すべき課題


テーマに関する基本知識
  • BIM/CIMは、計画、調査、設計段階から3次元モデルを導入することにより、その後の施工、維持管理の各段階においても3次元モデルを連携・発展させて事業全体にわたる関係者間の情報共有を容易にし、一連の建設生産・管理システムの効率化・高度化を図ることを目的としている。
  • 最新のICTを活用して、建設生産システムの計画、調査、設計、施工、管理の各段階において情報を共有することにより、効率的で質の高い建設生産・管理システムを構築する。
  • 属性情報を伴うので、材質や物性値の正確な情報共有ができるとともに、例えば設計強度・施工時の実際の強度・その後の点検時の強度…というように、インフラのライフサイクルにわたってデータ連携により情報を共有できる。
  • 3次元モデルであることを活かし、フロントローディング(初期の工程(フロント)において負荷をかけて事前に集中的に検討する)を実行することで、後工程で生じそうな仕様変更や手戻りを未然に防ぎ、品質向上や工期の短縮化といった生産性向上に効果が期待できる。たとえば設計段階で施工時のクリアランスや仮設計画、さらには将来の維持管理段階での点検や補修の容易性確保に配慮するなど。
  • これらにより、ミスや手戻りの大幅な減少、単純作業の軽減、工程短縮等の施工現場の安全性向上、事業効率及び経済効果に加え、副次的なものとしてよりよいインフラの整備・維持管理による国民生活の向上、建設業界に従事する人のモチベーションアップ、充実感等の心の豊かさの向上が期待されている。
  • 国交省は、インフラ分野のDXの推進にあたり、インフラのデジタル化を進め、2024年度には小規模なものを除く全ての公共工事についてBIM/CIM活用への転換を実現している。BIM/CIMの3次元モデル+環境や交通等の変化をセンシング技術で取得した動的デジタルデータを利活用することでDXすなわち業務プロセス改革や働き方・働き手の変革をもたらすと期待される。
問題の解説と骨子

通常の問題は①課題、②解決策(あり方、方策)なのですが、この問題は①適用により期待される効果、②そのために克服すべき課題と、逆展開です。
このことを考慮してキーワードを分類すると下表のようになります。

BIM/CIMの高価キーワードBIM/CIMの特徴キーワード分類が難しいキーワード
生産性向上
プロセス改革
DX
3次元モデル
データ連係
フロントローディング
電子納品
BIM/CIMの活用目的

基本的には特徴キーワードと効果キーワードを組み合わせて①適用により期待される効果を書き、それを実現するうえでのBIM/CIM適用におけるハードルをあげればいいでしょう。
効果ですが、まずは3次元モデルによる合意形成促進、属性情報の建設プロセスでの連係による生産性向上ですね。建設コンサルタント白書には「3次元モデルに付与する属性情報を活用することで、発注者の事業マネジメント、とりわけ工事における生産性向上に貢献」とありますから、この文章をそのまま引用してもいいでしょう。
フロントローシングも生産性向上効果が期待されます。建設コンサルタント白書には「近年、(中略)整備事業全体のなかでフロントローディング等を行う生産性向上への舵を切った。特に、測量や調査の段階から維持管理まで一貫して有益な情報を管理していくことが、事業全体のフロントローディングとして大きな効果を生み出すと期待されている」とあります。
そしてDXについては、こういったBIM/CIMの3次元モデルや各種ビッグデータを活用することで実現することが期待されます。
ここまでで6つのキーワードを使っているので、克服すべき課題は、どうやって建設コンサルタントがそのニーズに応えるかといったことを書いておけばいいのではないかと思います。
ここでぜひ書いていただきたいのがi-Construction2.0の「データ連携のオートメーション化」です。2次元モデルでも3次元モデルでも、測量調査と設計、施工はそれぞれ使っているアプリケーションが異なるためデータフォーマットが異なります。2次元モデルでは、CALSにおいてDXF(P21)という互換フォーマットをデータ受け渡しのルール化しているため、アプリケーションが異なってもデータ連携ができます。ところが3次元モデルではこれがまだ未整備なため、データコンバートに手間がかかっています。そこで国交省はJ-LandXMLという3次元用互換フォーマットを導入しており、今後これを整備普及する必要があります。これは前回(2024年度)出題時にはなかったので、これを書いていただくと差をつけられるのではないかと思います。

(骨子例)

BIM/CIMの適用により期待される効果BIM/CIMの適用にむけて克服すべき課題
合意形成の促進
3次元モデルによる合意形成促進
建コンにおける積極的な導入と活用、技術者育成
・建コンが作成する3次元モデルがその後のプロセスでデータ連携フロントローディング効果の基盤となる→積極的なBIM/CIMの導入と活用、高度な技術力が求められる
建設事業プロセス全体の生産性向上と効率化
3次元モデル+属性情報を建設プロセス全体で共有するデータ連係による生産性向上およびフロントローディングによる施工の円滑化や効率的な維持管理
制度・基準類の整備
・全国での実施には制度面・基準類の整備も必要
・測量調査→設計→施工の工程間で一気通貫のデータ連携のためJ-LandXMLの整備普及が必要
建設プロセス改革によるインフラ分野のDXの推進
・社会のDXが急速に進行→現実空間とサイバー空間が融合したSociety5.0に向かいつつある
・建設分野でも地図等基盤情報デジタル化、BIM/CIMによる3次元図面、センシング技術で取得したデジタルデータを利活用→建設プロセス改革DXの推進が期待
建設コンサルタンツ協会等での取組み
・一企業だけでは解決できない問題も多いので、建コン協会の講座等も積極的に活用

この問題のポイント

  • 「業務遂行能力の観点」を忘れずに
    問題文には「業務遂行能力の観点で」と明記してありますから、総論として(設問2の冒頭で「以下の方策により業務遂行能力を確保しつつ課題を解決する」みたいな趣旨の文章を入れる)でも、個別の方策の中でもいいので、業務遂行能力確保・向上と課題解決を両立するとか、課題解決が業務遂行能力確保・向上につながるといった趣旨の文章を書きましょう。これをしないと最悪「問題文指示を無視している」と非常に厳しく評価されます。
  • 最後に課題解決策を少し書くといい
    問題Ⅲの一般的な問題は、設問①が課題で設問②が解決策ですが、この問題はむしろ逆で、設問①が期待される効果で設問②が課題です。ですからそのまま書いていると、「こんなことに取り組まなければならない」と課題を書いて終わってしまいます。これでは、その解決策を知っていながら課題を書いているのか、解決策は知らずに「どうやって解決したらいいかわからないけれど、とにかくこういうことに取り組まないとにけない」になっているのかが読み手にはわかりませんから、あまり積極的に点数をつけられないことが考えられます。
    そこで、課題を書いた後に「対応策としてはこういうことが考えられる」と解決策まで少し書くようにするといいでしょう。あるいは「例えばこういう対応策のように、こういうことに取り組むべきである」みたいにして解決策を例示するかですね。
  1. 問題1と同様、とにかく読みやすい文章を書く。
  2. 小項目・箇条書きを使う。
    前述したような入れ子構造の答案にするとともに、積極的に箇条書きを使うと、これでかなり読みお安くなります(読みにくいと点数がガタッと落ちる)。
  3. 事前に文章まで一度作って、ぼんやりでいいので覚えておくといい。
    骨子だけ覚えていって文章は本番で考えてもいいのですが、一度文章まで作っておくと、ぼんやりとでも内容が頭に入るので、本番で文章を作りやすくなります。
  4. 途中で思いついたエピソードは入れない(構成が崩れやすい)。
  5. 長文は読みやすければかまわないが、主語と述語のねじれなど、構文エラーや読みにくさにつながりやすいので、避けたほうがよい。