最終更新:2026.09.07
この資料は、2007年に作成した資料を、その後の法令や施策等の改定変化に合わせてリメイクしたものです。
そのためまだ改定が必要なものが残っているかもしれませんので、ご指摘をこちらまでご連絡いただけるとありがたいです。
1.目的
良好な街づくりを目的とする。建築基準法と一体となって、土地利用計画を実現するという体系。
2.実現体系
2段2層といわれ、都道府県と市町村がそれぞれ役割分担をして都市計画を定める。現在は地方分権が進み、広域的・根幹的なものを都道府県が、より地域に密着したものを市町村が定める体系となっている。
| 都道府県が定めるもの | 市町村が定めるもの |
| 都市計画区域とその中の線引き(市街化区域・市街化調整区域)およびその整開保(整備・開発または保全)の方針 | 都市計画マスタープラン |
| 準都市計画区域の指定 | 用途地域(原則としてすべて) |
| 複数市町村にまたがるなど広域的・根幹的な都市計画 | 地区計画 |
(都道府県)
都道府県は、「線引き」と言われる区域わけとや、準都市計画区域の指定など、広域的かつ根幹的な都市計画を行う。
都市計画区域指定時には、都道府県は次のことをしなければならない。
(1) 関係市町村・都市計画地方審議会の意見を聞く。
(2) 国土交通大臣と協議し同意を得る。
(市町村)
地方分権の推進により、現在では原則として市町村が主たる都市計画の決定主体となっている。
市町村は、「色塗り」といわれる用途地域の指定や、用途区域内のさらに細かい地区計画、および市町村の都市計画の指針である都市計画マスタープランを決定する。
(※旧制度では三大都市圏等における用途地域の決定権者は都道府県であったが、法改正により現在は原則すべて市町村へ権限が移譲されている。)
1.都市計画区域
日本の国土は、都市計画区域と都市計画区域外に分かれる。さらに都市計画区域は、市街化区域・市街化調整区域・非線引区域に分かれる。
例外として、都市計画区域外で市町村が定める準都市計画区域がある。近年のクルマ社会進展に伴う郊外型大型SCなどの開発に対処することを目的としている(都計法改正による)。
| 区域名称 | 目的 | ||
| 日本国土 | 都市計画区域 | 市街化区域 | 市街化を進める区域 |
| 市街化調整区域 | 市街化を抑えて自然を守る区域 | ||
| 非線引区域 | 上記いずれにも属さない区域 | ||
| 都市計画区域外 | 都市計画法対象外 | ||
都道府県は、都市計画区域についておおむね5年ごとに基礎調査を行い、結果を市町村長に通知する。
2.用途地域
前記の区域のうち、市街化区域はさらに用途地域を定める。その内容は下表のとおり。
市街化調整区域・非線引区域・準都市計画区域は定めても定めなくてもよい。用途区域の定められていない区域を「白地区域」ともいう。
| 用途地域の分類・種類 | イメージ・指定の目的 | |
| 住 宅 系 | 第一種低層住居専用地域 | 低層住宅(一戸建て等)のための良好な住居の環境を保護する地域 |
| 第二種低層住居専用地域 | 主として低層住宅のための良好な住居の環境を保護する地域(小規模な店舗等が立地可能) | |
| 田園住居地域 | 農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護する地域 | |
| 第一種中高層層住居専用地域 | 中高層住宅(マンション等)のための良好な住居の環境を保護する地域 | |
| 第二種中高層層住居専用地域 | 主として中高層住宅のための良好な住居の環境を保護する地域(一定規模の店舗等が立地可能) | |
| 第一種住居地域 | 住居の環境を保護するための地域(3000㎡までの店舗・事務所・ホテル等が立地可能) | |
| 第二種住居地域 | 主として住居の環境を保護するための地域(パチンコ店やカラオケボックス等も立地可能) | |
| 準住居地域 | 道路の沿道等において、自動車関連施設等と調和した住居の環境を保護する地域 | |
| 商 業 系 | 近隣商業地域 | 近隣の住宅地の住民に対する日用品の供給を行うことを主たる内容とする商業の利便を増進する地域 |
| 商業地域 | 銀行、映画館、飲食店、百貨店などが集まる、主として商業その他の業務の利便を増進する地域 | |
| 工 業 系 | 準工業地域 | 主として環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便を増進する地域(住宅や商業施設も混在可能) |
| 工業地域 | 主として工業の利便を増進する地域(住宅や店舗は建てられるが、学校や病院は建築不可) | |
| 工業専用地域 | 専ら工業の利便を増進するための地域(住宅や物品販売店舗等は一切建築不可) | |
用途地域の決定権限は原則として市町村にある。
ただし複数市町村にまたがる広域的な見地から必要なもの等の例外に限り都道府県が決定する。
3.補助的地域地区
用途地域指定よりさらにきめ細かく用途を決めたいというときには、補助的な地域を定めることができる。
特別用途地区と特定用途制限地域はまぎらわしので注意。特に特定用途制限地域は白地地域に決められることに注意。
また、景観法の成立により、これまで「美観地区」であった地区が「景観地区」となった。景観法に基づく景観地区指定は、全国的に自治体が取り組んでいるので、トピック的出題があるかも。また、景観法は人工美、風致地区は自然美を守ることにも注意。
| 名称 | 定められる地域 | 決定者 | 目的 |
| 特別用途地区 | 用途地域内 | 市町村 | 特別の用途の建築物等を制限 例)商業専用地区、特別工業地区 |
| 特定用途制限地域 | 白地地域 | 特定の用途の建築物等を制限 | |
| 高度地区 | 用途地域内 | 建築物の高さの最高or最低限度を定め | |
| 高度利用地区 | 土地を高度利用するための地区 | ||
| 景観地区※ | 都市計画区域内 | 景観行政団体は、景観法に基づき、条例で、開発許可基準に景観計画に定める基準を追加することができる。 | |
| 風致地区 | 都道府県 | 都市の風致(自然美)を維持。都道府県の条例で定める。 |
※景観地区は、H16景観法以前は「美観地区」
4.地域計画
各地区の特性に応じた、良好な街づくりをするための「地区単位の都市計画」である。
地区計画は、以下の2つからなる。
(1) 地区計画の方針・・・・地区の目標将来像
(2) 地区整備計画・・・・詳細なルール(建築物の建て方など)
問題点:規制力が弱い。
地区計画区域内で建物を建てる時は、着手の30日前までに市町村長に「届け出」るだけでよく、許可は不要。
市町村長は、建物が不適切であっても、「勧告」できるだけで、命令はできない。ただし市町村が建築基準法第68条の2に基づく地区計画条例を制定することで、建築確認における審査対象となり、違反に対する是正命令等の法的強制力を持たせることが可能である。
開発許可と建築確認
1.目的
都市計画に加え、個々の開発や建築を規制することにより、「良好な街づくり」の実現をはかる。
2.開発許可
一定規模(下表)以上の開発行為について、知事の許可を必要とする。
| 大分類 | 小分類 | 許可を要する面 |
| 都市計画区 | 市街化区域 | 1,000㎡以上は許可必 |
| 市街化調整区域 | 面積に関係なく許可必要 | |
| 非線引き区域 | 3,000㎡以上は許可必 | |
| 準都市計画区域 | 3,000㎡以上は許可必要★ | |
| どちらでもない区域 | 10,000㎡以上は許可必要★ | |
市街化調整区域が最も厳しいことに注意。また、★は法改正により変更があったものなので、特に注意。
また、2020年の都市計画法改正(2022年施行)に伴い、災害レッドゾーン(土砂災害特別警戒区域、地すべり防止区域、浸水被害防止区域)において、自己居住用・自己業務用の開発行為が原則禁止(法33条1項8号)となった。
さらに市街化調整区域内で例外的に開発を認める条例区域(法34条11号・12号)の要件から、浸水想定区域等の災害ハザードエリアを原則として除外することが義務化された。
なお、変更等があった時の手続きは下表。
| 大分類 | 小分類 | 内容 |
| 計画の変更 | 通常の変更 | 知事の「許可」が必要 |
| 軽微な変更 | 知事に「届出」が必要 | |
| 開発の廃止 | ||
| 土地の譲渡 | 知事の「承認」が必要 | |
| 子供に相続(一般承継) | 手続き不要 | |
3.建築確認
特定用途・一定規模以上の建築物を建築する時などに、その計画が法令に適合しているか、建築主事の確認を受けなければならない。
都市計画区域外にも規制が及ぶが、都市計画区域の方が厳しい。
さらにその中でも防火・準防火地域の方が厳しく規制される。
| 区域 | 規制対象建築物等 |
| ①すべての地域 | 200㎡超特殊建築物、大規模建築物 ・新築 ・10㎡超の増改築・移転 ・大規模な修繕・模様替え ・200㎡超の用途変更(特殊建築物以外→特殊建築物) |
| ②都市計画区域 準都市計画区域 | ①に加えて、すべての建築物の新築・10㎡超の増改築・移転 |
| ③防火・準防火地域 | ①に加えて、すべての建築物の新築・増改築・移転(10㎡以下も) |
※2)2025年(令和7年)4月施行の改正区分(旧4号特例の縮小)により、従来の「4号建築物」に対する審査特例が縮小され、建築物は新たに「新1号〜新3号」の区分に再編された。これにより、従来は特例対象であった「木造2階建て」や「延床面積200㎡超の木造平屋」などは「新2号建築物」に分類され、すべての地域において構造計算等の構造審査および省エネ基準適合審査が義務化された。
※3)特殊建築物(劇場、病院、共同住宅、店舗など不特定多数が利用する建築物)への用途変更において、建築確認の手続きが必要となる規模要件が、従来の「100㎡超」から「200㎡超」に緩和されている。
都市施設
1.都市施設とは
都市計画区域内では、都市施設を定めなくてはならない。
※都市計画法第11条 都市計画区域については、都市計画に、次に掲げる施設で必要なものを定めるものとする。
この場合において、特に必要があるときは、当該都市計画区域外においても、これらの施設を定めることができる。
都市施設は、次のものである。
1.道路、都市高速鉄道、駐車場、自動車ターミナルその他の交通施設
2.公園、緑地、広場、墓園その他の公共空地
3.水道、電気供給施設、ガス供給施設、下水道、汚物処理場、ごみ焼却場その他の供給施設又は処理施設
4.河川、運河その他の水路
5.学校、図書館、研究施設その他の教育文化施設
6.病院、保育所その他の医療施設又は社会福祉施設
7.市場、と畜場又は火葬場(→建築基準法51条参照)
8.一団地の住宅地設(一団地における50戸以上の集団住宅及びこれらに附帯する通路その他の施設をいう。)
9.一団地の官公庁施設(一団地の国家機関又は地方公共団体の建築物及びこれらに附帯する通路その他の施設をいう。)
10.流通業務団地
11.その他政令で定める施設(施行令5条)~電気通信事業の用に供する施設又は防風、防火、防水、防雪、防砂若しくは防潮の施設
ここで注意すべきなのは、河川なども都市施設になることである。
2.最低限定めなければならない都市施設
都市計画区域内であれば、たとえ非線引き区域でも、道路・公園・下水道は最低限都市施設として定めなければならない。
また、法第11条にあるように、都市計画区域外においても、必要があれば都市施設を定めることができる。
1.市街地開発事業のできる区域
都道府県(一部は市町村)は、市街化区域または非線引き区域において、一体的に開発または整備する必要がある土地の区域について、市街地開発事業を都市計画で定めることができる(都市計画法13条1項12号)。
なお、市街化調整区域だけは市街地開発事業ができない。
2.市街地開発事業の種類
市街地開発事業の種類は以下の6つである。
(1) 土地区画整理事業
(2) 新住宅市街地開発事業
(3) 工業団地造成事業
(4) 市街地再開発事業
(5) 新都市基盤整備事業
(6) 住宅街区整備事業
3.市町村で実施できる事業
市街地開発事業のうち、市町村が実施できるものは以下の3つである。
(1) 政令で定める小規模な土地区画整理事業、
(2) 市街地再開発事業
(3) 住宅街区整備事業
現代の都市計画制度(コンパクトシティ・防災)
1.立地適正化計画(コンパクトシティ・プラス・ネットワーク)
人口減少下においても持続可能な都市経営を行うため、2014年(平成26年)の都市再生特別措置法改正により創設された制度である。 市町村は、都市計画マスタープランの一部として「立地適正化計画」を作成することができる。この計画の中核となるのが、以下の2つの区域設定である。
- 居住誘導区域: 人口密度を維持し、生活サービスやコミュニティが持続的に確保されるよう、居住を誘導すべき区域。
- 都市機能誘導区域: 居住誘導区域の内側に設定され、医療・福祉・商業等の都市機能を拠点に集約し、誘導すべき区域。
これらの区域と公共交通ネットワークを連携させることで、「コンパクトシティ・プラス・ネットワーク」の拠点形成を図るのが現在のまちづくりの主流となっている。
2.防災まちづくりと流域治水(居住調整地域の創設)
頻発する大規模水害等に対応するため、従来の河川管理等のハード対策にとどまらず、まちづくりと一体となった流域治水の観点が都市計画の規制誘導にも強く反映されている。 安全なまちづくりを推進するための土地利用規制として、2020年(令和2年)の都市計画法改正により、以下の制度が強化・創設された。
- 居住調整地域: 都市計画法第8条に基づく地域地区として新たに創設された。市街化区域内であっても、浸水被害想定区域等の災害ハザードエリアにおいて、将来的な住宅や社会福祉施設等の立地を抑制し、安全なエリアへの居住誘導を図るための地域である。
- 災害ハザードエリアにおける開発抑制: 開発許可制度の厳格化(災害レッドゾーンにおける自己用開発の原則禁止等)とあわせ、危険な場所には住まない・建てないという、防災と都市計画が一体となった土地利用の適正化が進められている。